凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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最近困ってるのはサブタイトルボキャ貧


第68話 後悔の瞳に映るもの

---遥side---

 

「...珍しいっすね。先生が自分のことを語るなんて。」

全てを聞き終えて、俺の最初の感想がそれだった。

 

そして次に、ああなるほど、と理解が行く。

 

この人もまた、苦しんだ。辛い思いをした。

それでも、もがいて前へ進むことを選び、ここまで来たんだ。

臆病だのなんだの、この人がそうだったからこそ語れるんだ。

 

なるほど。やっぱりこの人には...叶わないな。

 

 

「まあ、言ってて恥ずかしいけどよ、ホント。まあ、スッキリしたぜ。職場じゃ、こうやって話を聞いてくれる人、いなかったからな。あいつに伝えるのもまあ...何か癪だし?」

「先生、一匹狼は良くないですよ?」

 

「わかってるよんなこと...。でも、何か合わないっていうか...俺が求めれるものって高すぎんのかな?」

「さあ?そう言われましても...。ただまあ、少しは柔らかい人になった方がいいっすよ。先生の頑固っぷりは鈴夏さんとよく似てますし。いっそ付き合ったらどうです?」

 

俺は半分冗談、半分本気でそんなことを言ってみる。だって...

 

「おいおいやめろ、縁起でもねえ...。それに、今の俺じゃ、あいつには届かねえよ。あいつはきっと、俺なんかより苦労して生きてんだ。

いくら奇跡を起こしても足んねえよ。」

 

先生は、これだけ鈴夏さんのことを思ってるのだから。

 

「そうですか...。あぁ、そうだ先生。せっかくだから俺の過去の話もしましょうか?」

 

軽口で言ってみるが言ってることは本気だ。

特に言う理由なんてないのだろうけど、この人には何故か伝えたい、そう思った。

 

ひょっとして、俺は先生に相談したかったのだろうか?

過去の未練を断ち切るためにどうすればいいか、という事を。

 

「いや、時間が無いから今日はいいや。また時間ある時に頼むわ。」

 

「さっき時間はある素振り見せてませんでした?」

「はは...、冗談だ、時間が無いのは。まあ、今回の1件が終わってゴタゴタが片付いたらまた聞いてやるよ。」

 

「それって死亡フラグってやつですか?」

「それで死ぬんならそれが運命、なんだろ?」

 

いつしか俺が言った戯言が今になって武器にされた。

そうだな。ここで死んだらそれが運命なんだろうし、だからこそ生きてやろうと燃える。

 

「そうですね。じゃあまた今度お話します。陽香にも、よろしく言っといてください。あの子は強いと思いますが、きっとどこか弱い部分があるはずですから。」

「ああ、分かったよ。じゃあな。」

「はい、失礼します。」

 

 

そうして長い長い電話は終わった。

 

 

 

 

翌日。

 

俺は改めて真冬さんの元へ訪れた。

詳しい家の場所までは教えて貰ってなかったが流石名家、街でどこら辺にあるかということを聞いたところ、直ぐに教えて貰えた。

 

というわけで、その場所に来てみたんだが...。

 

そこは想像以上に広く、流石に驚くしかなかった。

綺麗な洋館風の建物。人10人で住んでも問題くらいの大きさだ。

 

ちょうどここは少し外れたところの丘の上にあり、ここからだと程よく街を見渡せる。夜になるとより一層綺麗に見れるだろう。

 

鷲大師じゃ、こんな家は見る機会すらないだろうと思う。

 

 

俺はインターホンに手を当てる。とはいえ、門から家まで距離が空いてるので、届くのか分からないが...。

 

と、鳴らしたところで執事の一人が出てきた。

 

「お客様、いかがなさいましたか?」

「あ、いえ。...昨日の島波遥と言うものです。真冬さんにお話があって、伺わせて頂きました。」

 

執事はふむ、と数秒考えて快く入れてくれた。

多分あの後で真冬さんから話か何かあったのだろう。

 

家の中へ入ると、客間の方へ案内され、そこでは真冬さんが待っていた。真冬さんは俺が入ると執事に下がるように指示を出し、そして執事の方はそれに従い部屋から離れていった。

 

「まず、昨日はありがとうございました。ちょうど娘の1件で取り乱してしまってあのような...。」

「それは仕方の無いことです。きっと自分が同じ立場でも、正気を保っている方が難しいでしょうし。」

 

「ありがとうございます。...ただ、元はと言えば私が、娘に早めに手術を受けさせるべきだったんでしょうね。」

真冬さんは後悔の念を一回の溜め息に込める。

 

「それなんですけど、どうして踏み込めなかったんですか?」

「そうですね...、何といえばいいか...。」

 

真冬さんは何やら難しげな顔をして、伝える内容を考え、やがてまとまったところで言った。

 

「私も、元々体が弱くて、昔小さい時に手術した時、向こう型の不手際で麻酔の時間内に手術が終わらなくて...。」

 

「そうですか...。」

なるほど、簡単に言うと自分の幼少期の時のトラウマという所か。

でもこれって...。

 

俺はあることに気づいたが、失礼があってはいけないのでこの場では言わないことにした。

それに、自分が実際同じ場面にいた訳では無い。偉そうな口を聞くのは失礼極まりないことだろう。

 

「なんて、逃げていたってのは自分でもわかってるんですけどね...。それより、病院での陽香の様子を聞かせてもらってもいいでしょうか?

きっと、陽香のそばに1番居たのは貴方だと思うんです。」

 

「様子、ですか...。そうですね、自分のことを悲観はしていませんでした。常に明るく振舞って、いつも元気そうに。だからこそ、あの時倒れたことが不思議だったんです。その後、先生からどんな状態だったかも聞きました。...あの子はきっと、とても強いです。」

 

「そうなんですね。」

俺の言ったことを聞いて真冬さんは何を思ったんだろうか?その真意は今の俺には分からなかった。

 

「ところで、こちらもいくつか聞きたいことがあったんです。」

犯罪者の身に覚え、最近憎まれるような出来事、ただ、そんな中で一番聞きたかったのは...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真冬さんの目に映る、鈴夏さんの事だった。




70で終わらなーい!!(絶望)
なんでや!もっと字数増やせってのか!
やってやんよコノヤロウ?

また会おうね(定期)
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