---真冬side---
私は、姉が、日野鈴夏が好きだ。
姉さんは私より3つ上。でも、私からすれば私と姉さんの差なんてそれ以上にあると分かってる。
いつだって姉さんは、私の中の憧れだった。
私は小さい時から、姉さんが両親に怒られてる姿しか見なかった。
聞くところによると、色々いたずらだの悪さだのをしていたらしい。
「お前は跡取りになるかもしれん人間なんだぞ!」とか、そんな台詞をよく聞いていた。
そして、その度に私は「貴方はあの子のようにならないようにね。」と言われ続けた。
私は、そんな姉さんに憧れていた。
私が「籠の中の鳥」だとするなら、姉さんは「羽ばたこうとしてる鳥」そのものだった。
私はそこに「自由」というものを、きっと見ていた。
そうして私はいつからか姉さんの背中を追っていた。
そんな私を姉さんはこっちに来るべきじゃないみたいな目で見ていたが、それでも姉さんは優しかった。
しかし、現実は優しくなかった。
私が姉さんの背中を追ってることがいよいよまずいと両親は思い、姉さんを鷲大師の親戚へ預ける、つまるところ追放すると告げた。
この時私は4歳。姉さんは7歳だった。
姉さんが家を出る時、最後に私に告げたセリフはこうだった。
「自由になれ。きっと真冬も、自分の道が選べる。」
ただ、そんな姉さんの言葉とは裏腹に、私は決めつけられた道を歩んでいっていた。
今現在、私は結婚して子供が1人。私の両親は既に亡くなっており、執事と夫と、娘との暮らしだ。
確かに幸せを感じることが無い訳では無い。でもこれだけは言える。
これが、私の求めていた道だったんだろうか?
私は、自分が望んだ自分になれたのだろうか?
その答えは...きっとNoだ。
それでも、今は夫も、娘もいる。
過去は帰ることが出来ないけど、これからの未来幸せを掴めるなら、私はそれでいい。
そんな姿の私を、姉さんがどう見るかは分からないけど。
---遥side---
真冬さんの口から語られる本心。そこには嘘も偽りもなかった。
こうしていろんな人の口から想いを聞くと、人生の重く深いことが分かる。きっと自分の道もこうなるのだろう。
だからこそ、今回この話が聞けてよかったと思う。
「ありがとうございました。こんな自己満足のような話に付き合ってもらって。」
「いえ。それより、私からも教えて欲しいんです。姉さんが、私のことをどう思ってるか。」
「そうですね。すごく心配してたっていうところですかね。...そしてその上で、真冬さんのことを好きと言ってました。」
「そうなんですね。」
真冬さんは軽く目を伏せる。直接なすれ違いは無かったがいつの間にか大きなねじれを生んでいた2人。そんな相手の思ってることが分かるとなにか思うところはあるのだろう。
「っと、最後にもうひとつ聞きたいことがあるんです。最近、どこからか恨まれる様な事がありましたか?」
本題である。もっとも、旦那さんの方に聞くのが理想なのだが、若くして上の人間として働いており、そう簡単に時間が割けないらしい。
仕方の無いことだとは分かってるが、もう少し家族と、陽香といて欲しいと思う。
まあ、後に聞いたところ、数少ない休みは家に帰ってしっかり家族といると聞いたので、このモヤモヤはただの杞憂だったが。
「そうですね...。夫は基本、仕事の話を家でしないようにしてるんですが、この前ポロッと零してて...、確か、「新部署のリーダーになるのはいいが、この業界だと自営の方に影響が出そうだな...。どうしたものか...。」と、言っていたような...。」
...まじか。
ここまで一気に答えに近づけるとは思ってもいなかったな。
「ありがとうございます。充分参考になります。出来れば会社だけ、教えてくれませんかね?」
「あ、大丈夫ですよ。えっと...」
そうして俺は会社を聞いた。確かに街ではよく聞く名前だ。
後はここを調べれば何とかなるか...。
「分かりました。後はこちらの方に任せてください。絶対になんとかしてみせます。」
「ありがとうございます。...私にも、何かできませんかね?」
真冬さんは少し俯いた。自分の力のなさを恨んでるんだろうか?
でも、この人しかできないことがある。何せこの人は陽香の「母親」だ。だからこそやるべき事、それは...
「そうですね。母親として、ずっと陽香の隣にいてくれませんか?強いと言っても、誰だって1人は辛いんです。愛情が届かないのも。俺だって、そうでしたから...。」
「分かりました。...今日はありがとうございました。」
「いえいえ、こっちの言葉です。」
そうして俺は真冬さん宅から離れる。最後に見た真冬さんの姿からは、どこか決意のようなものを感じた。
一方の俺の決意の方はどうだろうか。
何度も言うがもう立ち止まれないところまで来た。
犯人が凶悪過ぎる場合、自分の命すら危ういだろう。
しかし、俺は遂に解決の道筋まで見つけてしまった。
なら後は、俺の覚悟で全てが動くのだ。
その場を立ち去ると、もう後ろは振り向かなかった。
うーん、この...。
毎日投稿できればしたい。
夏休みは前半しか余裕ないしね。
では。
また会おうね(定期)