凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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空いたなぁ...(白目)


第81話 もう一度前へ

---美海side---

 

「一緒にお風呂、どう?」

 

一瞬、耳を疑った。あかちゃん、何言ってるの...?

 

「は、はぁ!?なななんでそんなこと出来るわけ!?無理無理無理、絶対無理だから!!」

私は赤面しながら叫ぶ。遥に聞こえてるかなんて心配は頭になかった。

 

「んー?私は至さんにやってもらったけどなー?」

「それとこれとは違うでしょ!パパとあかちゃんはその...、夫婦なんだし...。」

 

「あはは、冗談冗談。...いや、少し冗談じゃないけどね。」

「どういう事?」

 

するとあかちゃんは症状について語りだした。

 

「あれは一見、ただ陸で身体が冷えただけかと思われがちだけど、実はもうひとつ、自分の中に引き起こす原因があるの。私も初めて聞いた時は馬鹿じゃないの?って思っちゃった。」

「それって...?」

 

「うん、それは、本人の心の問題。専門家が言うには、外部的影響で自分の心に欠落が生まれてしまった人で、エナを持ってる人間にのみ起こる病気らしいの。つまり遥君が抱えてる心身的ダメージは、美海が思ってるより大きいはず。...だから、今そんな遥君のそばにいれるのは、美海だけってこと。」

 

嘘だ。こんな理不尽な病気があってほしくない。

だってこれは、あまりにもズルすぎる。

 

 

 

...でも、面倒を見るって、最後までそばにいるって決めたのは私だ。

 

約束もそうだけど、自分の核である、決意だけは嘘をつきたくない。

 

 

 

結局私は風呂場に向かう。

一歩一歩、踏み出す足は次第に重くなってゆく。

 

最後に遥とお風呂に入ったのはいつだっけ?

確か、まだ私は、小学生にもなってなかったかな...。

 

 

 

 

そして私はドアを開ける。

 

 

「み、美海!!?」

浴槽に浸かっていた遥がガバッと音を立てて驚く。

「ちっ、違うの!これにはちゃんと理由が!!」

 

なんて言っても、そう信じてはもらえないだろうな。

一応ちゃんと大事な部分は隠す配慮はしてるけど、それでもやっぱりこの歳だと恥ずかしい。

 

でも今更戻るなんて訳いかないし...。

 

 

あぁもう!あかちゃんのバカ!私のバカ!

 

 

まあ、突っ立ってても何も始まらないし、とりあえずシャワーでも浴びようかな...。

 

「...お、おう。まあ、落ち着いたからいいや...。」

私が固まってる時間が短かったからか、遥は少し戸惑ったが、何故かしら落ち着いてしまったようだ。

 

 

私に対して、何も思うところがないのかな...。

なんて思って見た遥の視線は、完全に私の身体を捉えていた。

 

「何?」

「...いや、大きくなったなって。」

「...変態。」

「何が!?」

 

遥はほんとに、こういう所に鈍感だ。

男ってみんなこうなのかな?なんて思ってしまう。

パパだったら...。

 

...。

 

 

もっとひどい結果になりそうだな。

 

「...いや、あれだよ。こうやって一緒にお風呂入るのって久しぶりじゃん。それで、改めて美海を見ると、あれから成長したんだなって、綺麗になったんだなって、思うところがあるんだよ。」

「...やっぱり、変態じゃん。」

 

そう呟いたが、別段悪い気分でもなかった。

 

遥は、ちゃんと私を見てくれている。

遥の眼中に私がいる、それだけで少し嬉しかった。

 

「それで?改めて聞くけどなんでこのタイミングで?」

「...あかちゃんに嵌められたの。」

「それはまた...。」

 

実際、あれは嵌められたようなものだ。

とはいえ、最終的な決定は私の意思だから、そこはなんとも言えない。

 

 

そこからはお互い行き過ぎた干渉なく、ただ時間が過ぎていった。

目を合わせれば恥ずかしいだけだし、声を聞けば詰まりそうになる。

とりあえず、やましい話は一旦なしにした。

 

 

「そういえば美海も、風呂に海水と同じぶんぐらいの塩を入れてるのか?」

「...うん、そうだね。エナが分かってそれからは、ずっとこうしてる。確かに、時々忘れたりすると少し苦しくなることもあるよ。5年前、寝る前に光が自分のエナを濡らしてた事があったけど、今ならその気持ちがよくわかる。」

「そうか。」

 

そして遥はさらに深く浴槽に浸かる。

遥が何を考えてたかは知らないけど、こういう時の遥は、だいたい難しいことを考えてるから、私にはきっと無理だ。

 

「なぁ、美海。」

「何?」

「本当に俺、これからどうすればいいのかな?」

 

 

 

 

どうすればいいか。

 

聞く側としてはすごく気分が楽で、答える側はすごく重苦しい言葉だ。

ましてや、どうして欲しいか、私自身が分からない。

 

こんなに近くに遥がいる生活は考えてなかった。

だから今こうしていることに、すごく戸惑っている。

 

もちろん、嫌なわけじゃない。私は遥が好きで、だから一緒にいられるということは嬉しいに決まってる。

 

けど、これが正しい選択かなんて、決めれるはずもない。

 

 

だからせめて、今は時間が欲しい。ちゃんと答えを出すために。

 

 

「私にもわからない。遥のことは結局遥自身の問題だから。...もう、5年前のあの日みたいに何も考えず言えることは無いよ。ただ、ただね?

......ちゃんと答えが出るまでは、ここにいて欲しいな。」

 

「そうか...。そうだよな。...分かった。とりあえず今は、それに甘えさせてもらおうかな。」

 

遥もいろんなものを抱えてる。

私もいろんなものを抱えてる。

 

もちろん、お互いきれいさっぱりそれが無くなるなんてそれは遠い未来だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから今は、せめて前だけを向きたい。

 




特にないよー。
がんばろーる!!

また会おうね(定期)
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