凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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原作と台詞変えても...バレへんか(いなり)
この作品難しいっすねええ...。


第9話 きっと同じだから

---遥side---

 

「水瀬千夏、さんね...。」

一瞬動揺した。と同時に、みをりさんにあの日言われたことを思い出していた。

「...おい、遥?」

「...ん、ああ。悪い。」

どうやら少しぼうっとしていたようで、紡に声をかけられてしまった。

「次体育だから、そろそろ行こう。また今度、海についてもっと教えてくれ。」

「ああ、知ってること全部話してやるよ。」

そして俺達は体育へ向かった。遠く離れたところからの光の視線が少し痛かったが。

 

 

 

 

 

 

 

時は流れて今は体育。

今日の忘れ物はまさしくこれだったのだが...まあいい。

内容は持久走。男はただひたすら外を走らされている。

「さてと...。」

軽く体を動かして跳ねるような軽さで走る。

 

勉強しかしなかった、とはいったものの身体を動かしてない訳でもないし、何より陸での活動はかなり慣れている。

そんな理由相まって、俺は先頭を走っていた。

 

ほぼ横を走ってる紡はどうやら少し驚きのようだった。

「お前、早いんだな。海の中でも走ったりできるのか?」

「ああ、海の中って言ってもずっと泳いでるわけじゃないしな。寧ろ汐鹿生だと泳ぐことの方が少ないかもな。」

「ふーん、そうなのか。」

「ついでに、陸には色々と思い入れもあるからな...。」

 

少し思い出し、胸が痛くなる。忘れてしまいたい悲しみだが、きっと忘れてはいけない。

 

「どおおっせえええええい!!」

気がつけば後ろから光がものすごい勢いでペースを上げていた。

バカ!ぶつかる!!

咄嗟に俺は外に進路を外したが紡と光が衝突してしまう。

 

「おいバカ光。内抜きは禁止っていくら言えばわかるんだ。危ないだろ。ったく、二人とも、大丈夫か?」

両手を差し出して紡と光の腕を引っ張り立ち上がらせる。

「すまない、遥。」

「ったく、悪かったよ。」

紡は相変わらず無表情で、光は終始不機嫌そうに礼を言った。まあ、終始紡を睨みっぱなしだった辺り反省はしてないのだろう。

 

光が行ったあとで紡に確認をとる。

「なあ紡。なんか光に、もしくは海村の人に対して何かやらかしたか?」

「直接はなんもしてない。けど、向井戸にはちょっとあったか...。」

「と言うと?」

「さっき、俺のじいちゃんは漁師って言ったよな。それで、今朝も船を出したわけなんだけど、網で向井戸を引き上げてしまってだな...。」

 

ははぁ...そういうことか。

まなかのことになると光は止まらなくなる。

きっと陸からその様子が見えていたのかもしれない。

そういえば自己紹介の時もまなかの顔は紡に向いてたな。

嫉妬ファイアー、そういうことか。

 

「なるほど、だいたい分かった。じゃあ大丈夫だな。」

「そうか、それならいいんだが。」

それ以降は特に何も無く、浜中での最初の一日が終わった。

 

帰り道、あれやこれやとあり、俺と光の2人で下校していた。

「ったく、やっぱ地上の奴らってダメだよなー。」

「おい、具体性がないぞ。」

とりあえず1-1の時の光は愚痴が多い。このメンタルの複雑さこそが光の厄介な部分だと思う。

 

「おーい、光と遥くーん。学校お疲れ様。どうだった?」

サヤマート辺りで俺と光はあかりさんに遭遇した。まあ、勤務中なのでそうなるか。

「お疲れ様です、あかりさん。まあ、普通ですかね。」

「別になんともねえよ。」

 

...あれが何ともないのなら結構曲がってるぞ光。

 

「ところで二人とも、友達できた?」

おいおいストレート過ぎますよあかりさん。いますけど。

「はあ?あんな連中と出来るわけ『出来ましたよ?』は!?お前まじかよ!」

 

光は嫉妬と驚きが混ざってて結構五月蝿いモードに入ってる。

「安い挑発なんかに乗るからああなるんだよお前は。もっと冷静に周りが見えないのかほんと。」

 

「ふーん、光また暴走しちゃったんだ?」

「して!....たかもしれないけど!なんで言うんだよ遥!」

「まあ、隠しておいてもなんだろうしな...ってちょい待った。」

俺はサヤマートの裏の方に2人の人影を見つけた。1人はよく見えないがもう1人は...。

...美海、か?

「?どうしたんだよ遥。」

 

光が急に冷静になったことでこちらが意識してることに気づいたのか、その2人はそそっと逃げていった。

 

「?あっ、おい待てそこの!」

「光、あれはいいのよ。...放っておきなさい。」

あかりさんが咄嗟にストップをかける。

「放っておくって言っても...。」

光は少しうずうずしてるが、こればかりは放っておくべきだ。寧ろ放っておいて欲しかった。

 

見間違えるはずもない。あそこに居たのは美海だった。

 

そして俺と光はさっきの壁に近づく。

壁にはガムで「どっかい」と書いてあった。

「はあ?なんだよこれ。」

光は複雑な心境なのか、困惑していた。

「『どっかい』、ねぇ。きっとどっかいけって私にメッセージを送ってるのかもしれないけど、理由は分からない。なんで完成しないんだろう。」

 

あかりさんは少し悲しそうに、少し不思議そうに言った。でも、何故完成しないのか、それは俺も気になった。

 

「はぁ!?凄い酷い奴らじゃねえか!あかりは何もしてねえのに、海の奴だからって、こういう事をすんのかよ! やっぱり俺が捕まえて...」

 

「落ち着け光!理由の決め打ちはまだするな!それに...」

 

「それに...なんだよ。」

俺が久々に大きな声を出したことで、光は追いかけようとしてた足を止めてこちらを振り返る。

苛立ちを消しきれないのか光は突っかかってきそうな勢いだ。

 

「多分これは、俺とあかりさんが1番分かることかもしれない。だから俺に任せてくれ。」

 

「ったく、しゃーねえ。お前がそう言うならそういうことにしてやるよ。じゃあな遥、先帰ってるぜ。」

光がは不承不承ながら受け入れてくれ、そのまま海へ帰っていった。

 

 

「さて、あかりさん。ちょっとお話しましょうか。」

「まあ、そうなるよね...。」

一息ついてあかりさんは俺に向き合う。

「さっきの片方、美海ですよね。俺の知る美海はあんなことはしませんよ。ということは、何かあったんですよね?」

「うん、そうだね。ここから先は他言禁止にしてくれるかな?」

「まあ、俺もこの件の関知がバレるのは嫌なのでいいですよ。」

 

それから、あかりさんは自分の秘密を話した。

昔からみをりさんと面識があり、仲良くしてたこと。

そしてみをりさんが亡くなったあと、今は至さんと付き合ってること。

美海に仲良くなりたいと接しても、それが叶ってないこと。

 

俺はそれを聞いてひとつ確信した。

きっと美海は俺と同じなんだ、と。

 

「なるほど、そういうことですか。」

「うん、こういうこと。」

終始、あかりさんは悲しそうだった。

「何となく、ですが、分かりました。美海の今のこと。でもこれは、俺が手を加えてはいけないことだと思います。なのであかりさん、あとは自身で答えを導いてください。」

「あはは、厳しいね遥くんは...。」

 

すいません、とだけ謝って、俺は汐鹿生に向かって進み出した。

しかし、言ってはいけない。言える立場ではない。

似ているということは、すなわちそういう事だったからだ。

 

 

さて、ここら辺か...。

汐鹿生へ帰り道のダイブポイントへ着いた。

しかし俺は潜らなかった。遠目に人影が見えたからである。

よく見返す。

そこには、遠く海を眺めていた、朝ぶつかった少女と同じ容姿の少女がいた。

 

話しかけるチャンスか。

そう思って近づく。

「?どうかしました?」

少女はこちらに気づいたのか声をかける。

 

朝のテンパリようからは思えないほど冷静だな...。

特にそこは気にしないことにした。

「ああ、いえ。たまたま通りすがっただけなので。あの、ちょっと名前を聞いてよろしいですか?」

そして、その名前は俺が何度も聞いてきた名前だった。

 

 

 

 

 

 

「はい。えっと、私は水瀬千夏って言います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




平均2000字くらいですが今回伸びましたね。
まだ1話...まだ1話...。
地道に行こう。100話くらいまで
では次回。

また会おうね(定期)
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