凪のあすから 〜心は海のように〜   作:白羽凪

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たまには他キャストにも目を向けな(あかん)


第91話 後悔と希望とこれからの事

---遥side---

 

翌日、俺は1つのアドレスに電話をかけた。

どうしても知りたいことがあったからである。

 

prrrr...

 

「おう、なんだ?久しぶりだな。」

「お久しぶりです、大悟先生。」

 

大悟先生に電話をかけた理由は1つ。

記憶治療についてだ。

 

数年前からその手の話題はちらほら聞いていたが、実際に行われているかは分からない。

せめて医者の口から、ちゃんとした情報を聞いておきたかったのだ。

 

「どうよ?あれから元気やってるか?」

「いくらか問題がありますが、まあ、ぼちぼちです。そういえば、あれから陽香は?」

「ああ、もうすっかり良くなって当分前に退院してるぞ。なんだ?連絡いかなかったのか?まあ、忙しいってんなら無理もないけどな。」

「忙しかったんですよそれが...。それに、新しい件についてはまだ解決してないですし。」

 

「ふーん?また俺、何か厄介事に絡まれそうな雰囲気がするんだが、まあいい。聞いてやるよ。んで、医者の側面から出来ることがあれば手伝ってやるよ。」

 

正直ありがたかった。

こればかりは精神論ではなく、物理的な話だ。

医者から見て可能かどうか、というのは、今回重要な基盤になる。

 

「先生、記憶治療って、知ってますか?」

「ああ。さすがに俺も医者だからな。...なるほど、分かった。電話越しは面倒だから後で病院来てくれ。」

「そうですね、立ち話の方が楽ですし。」

「じゃあ一旦切るぞ。」

 

俺は一旦電話を終え、数分の後に病院へ向かった。

 

 

 

 

...

 

 

 

 

 

道中。

たまたまこの日は早めのバスに乗っていたが、同タイミングでちさきが乗り合わせていた。

 

 

実は、ココ最近ちさきとの会話はほとんどなかった。

別に関係がギクシャクしてるとかそういうのではない。ただ単に、お互いのことで忙しかったり、などが重なっていたのである。

 

「よう、ちさき。」

「遥...。」

 

ちさきは少しこちらに驚き、またいつもの調子に戻った。

 

「遥がこの時間でバスに乗ってるのって、少し意外。病院にでも用があるの?」

「まあな。今日も学校か?」

「ううん、今日は休み。ただ、ちょっと...。」

 

そう言ってちさきは言葉を濁す。

 

「...まなかのことか?」

「うん。」

 

聞くところによると、今朝になってもまなかが起きる様子は無かったようだ。どうやら光の時のようにすんなりとはいってないらしい。

 

...当然か。

 

誰にも口外はしていないが、俺なりに推論は立っている。

まなかがおじょしさまになったというのはまあ間違いないことだ。

そして生贄として、海にずっと眠らされ続け...。

 

 

...。

 

 

...待てよ?

 

そもそもなんで、昔のお船引は生贄を必要としたんだ?

陸の人が海神様に何かを求めたというのは考えれる。

けれど、海神様は、何を思っていたんだ?

 

ウロコ様なら...知ってるのか?

 

 

 

くそっ、ダメだ。

今はここが限界だろう。これ以上は見通しが立たない。

まなかの目覚めを待つこと、これが、現状できることだ。

 

 

 

 

「今日、先生に詳しい検査をお願いしてみようと思うの。おそらく、あの様子じゃまなか、まだ起きなさそうだから...。」

「そうだな。それが一番だと思う。...なあちさき、もしまなかが目覚めて、何も異常がなかったとしたら、そこから先はどうするんだ?」

「その話は、ちょっとしたくないかな...。」

 

トーンは暗かった。

どうやら触れてはいけない部分に触れてしまったようだ。

 

ただ、ちさきも俺と同じ状況だ。

皆より先に、人生を進んでいる。ちさきはおそらくそのことを一生気にするだろう。

あの日、病院で死んだように眠っていた俺とは違い、ちさきは、皆が海へ引っ張られていくのをただ1人見ていたのだ。

 

そして、ちさきは人一倍責任感が強い。

自分だけ陸に残ってしまって、おめおめと未来を掴んでいいのか悩んでいる。

俺みたいに、元から陸に残ると決めてたわけじゃないからな...。

 

確かに簡単に聞いていいような質問でもないな。

そこを反省し、話題を変えようとする。

 

が、ちょうど病院へついたみたいだ。

「じゃあな。」

「うん、またね。」

俺はバスから降りると、以降後ろを振り向かなかった。

 

 

 

 

...

 

 

 

 

「で、話の続きだな。」

「ええ。」

俺は、病院へ入ると顔パスで先生の診察室に案内された。そして今に至る。

 

「記憶治療、確かにうちの病院でもできないことは無いが、ちゃんと症状の確認、一定期間の入院、高難易度の手術...。まあ、少なくとも簡単な話じゃない。まずは、どういう状況か聞こうか。」

「えっとですね...」

 

 

 

それから俺は千夏の事について、洗いざらい話した。

もうこの際、この人に隠すことなんて何も無い。

ただ、海と関係がある以上、手術で治るのかどうかは謎だが...。

 

 

 

 

「なるほどな。その場合なら、多分手術で治せないこともない。強力な外部ロックのようなものがかかってるのなら別だが、お前単体のことくらいなら、恐らくそれもかかってないだろう。...ただ、さっきも言った通り、この手術は結構危険だ。もう一度本人の口からどうしたいか聞いてから来るんだな。」

「先生...。」

「なんだ?」

 

 

「最近彼女でもできました?」

 

「な!?...はぁ!?」

大悟先生は赤面して一気に熱くなる。

ああ、やっぱこの人ウブだなぁ。

 

「...あれから上手くいってます?」

「ああ、おかげさまでな、ちくしょう...。」

 

どうやら、あれから鈴夏さんと上手くいってるらしい。

当然な話だと思うけどなぁ...。

結局2人とも両思いで、ずっとそれこじらせてたんだから。

 

 

...。

 

 

俺もこう、いつか素直に人を愛せるんだろうか?

その答えは、これから見つけなきゃだな。

 

恋愛と、幸せと、海と...。

なるほど、少しずつ見えてきた。

 

いつか書いてこいと言われた論文、その内容が浮かんでくる。

簡単な話だ。俺の人生はこんなに色濃い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なら、俺が生きてきた証を、目一杯記そう。




あっ、ほんま...(絶句)
期末試験も順調、この様子なら行けそう。
では、がんばろーる。

また会おうね(定期)
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