ヨロイの勇者は理不尽を許さない   作:橆諳髃

12 / 13
タイトルから盛大なネタバレです。ごめんなさい……

また、後半部分「なぁにこれー?」みたくご都合主義が含みます。

「なぁにこれぇ?」

……作中とは全く関係ないヒトデが出たところでご覧下さい。


10話 ヨロイの勇者はヨロイを召喚する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚文と別れて数日があった。風の噂だと色々と薬草を作ったり小さな装飾品などを作っている様だ。今度俺も作ってみようかな。

 

まぁそういう事で近くの薬草とかを素材になりそうなものをヨロイの腕輪に吸収させている。そうする事で採取した薬草などの効能を良くできる鎧ができた。それを一部纏って薬草を採ると、なんという事か! 普通の薬草が特上級の薬草になったではないか‼︎

 

(これは持っていても損は無いな)

 

あぁ、でも薬屋のおじさんのところ行った事ないし……会ったところで薬を作れる道具を譲ってくれるだろうか? まぁそこは……最低買って何とかなるだろう。

 

という事でファサリナさんと一緒に薬草を採っていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、その筈なんだがな……この状況って一体何なんだろうな?」

 

空は赤く、雲の代わりに変な感じの渦が所々で渦巻いていた。そして目の前には日本……特に戦国時代後期に作られた石垣の城があり、その周りを武装した何かが取り囲んでいた。

 

「あれは……先日も対峙した機械では?」

 

「あっ、本当だ。脇侍だな」

 

にしてもこれ……どう見たって城側が危ないよな? 何とか凌いでいるみたいだけど、それも時間の問題に見えるか。あの渦からは延々と脇侍が出ている様だし。どっかにいるボス倒さないと……

 

「夜光くん、どうしますか」

 

「……そんなもの決まっているさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[鉄血メイスを展開します]

 

「目の前で困っている人たちがいるのなら、俺は誰だって助けに行くさ‼︎」

 

鉄血メイスを展開し、矛先を地面に付けながら城に向かっていく。その速度は、例え武器がどれだけ重かろうと関係ない。夜光はあっという間にファサリナの前からいなくなっていた。

 

「ふふっ……この、まだ原理も分からない世界に来ても貴方は目の前の人を助けるのね……さらに貴方の事が好きになったわ♡」

 

ファサリナの夜光に対する好感度がうなぎのぼりに上がった。いや、ずっと前から登り続けている。そしてファサリナも本来の武器を持って夜光の後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日は突然訪れた。私は大切な友を助ける為に力を得たが、その友も無限迷宮とやらに閉じ込められてどれ程経ったろう。何回も助け出そうとしたが、友の元に辿り着く前に物資が無くなっては退いていく。次に来た時はまた道が違い、また物資が無くなって退くの繰り返し……私はいつになったら助け出せるのか?

 

そんな時に波と呼ばれる厄災が起こった。確か大昔にも起きたとされるもので、その時も私と同じ様に武器に選ばれた勇者が波を退けると……どこかの文献で読んだ事がある。

 

(しかしここまで禍々しいものだとは……)

 

空が赤く染まり、雲ではない奇妙な渦が浮かび、そこから異形なものどもが降り降りてくる。あれが波の魔物なのか……しかし人工物に見える。

 

(いや、考察は後だな。今はここにいるもの達の指揮を取らねば)

 

夜光達がくる1時間前、扇の眷属器に選ばれた和装の女は波に立ち向かう為指揮を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「吹き飛べっ‼︎」

 

ガラガッシャーンッ

 

「か、かたじけない!」

 

「礼なら後でいい。ここは俺に任せてアンタは負傷した人達と後退しろ」

 

「だ、だが1人でこの量は!」

 

「負傷者がそこらにいたら最悪の場合巻き込んじまう。そうならない為だ」

 

「わ、分かった。ご武運を!」

 

夜光が助けた武士は、他に動けるもの達をまとめて負傷者達と一緒に城へと後退する。

 

「さて、途中から数えなくなったが、200は倒したか」

 

そう呟きながら近づいてきた脇侍を鉄血メイスで叩き潰した。

 

[鉄血メイスの熟練度が5に上がりました。攻撃力+800防御力+400]

 

[武器をアンロックしました。バルバトスの太刀:攻撃力+200素早さ+600]

 

「へぇ、こいつは良い。それじゃ早速使うか!」

 

[バルバトスの太刀を展開します]

 

夜光は鉄血メイスからバルバトスの太刀に持ち替えた。

 

迫り来る脇侍。それに対して夜光は太刀を構えて……その場から消えた。消えたと思えば既に……

 

「あぁ、遅すぎる……」

 

迫り来ていた数十体の脇侍は全て斬り伏せられていた。

 

「さて次は……あっちだな」

 

敵が多くいるところを目指して突き進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、数が多いな」

 

これまでに習得した技、そして今まで実践などで培ってきた戦闘能力で波が起きてから数百は屠ったであろう目の前に湧き出るカラクリ。脆く崩れるのもすぐではあるが、倒したところから無数に湧き出てくる。

 

(このままではジリ貧ぞ……)

 

この1時間たらずで兵達の指揮も下がっている……早急に大将の首を取らねば……

 

そう考えて僅かに動きを止めてしまった女の隙を……見逃すはずはなかった。残骸に隠れていた1体の脇侍が背後から刀を振り下ろした。

 

(っ⁉︎ 防御も間に合わぬか⁉︎)

 

どうにか扇で防ごうにも完全に間に合わない。やられる……そう思った時だ。

 

ザシュッ‼︎

 

そんな音が聞こえた。しかしいくら待っても痛みはどこにもない。反射的に閉じていた目を開けるとそこには……

 

ガッ……ゴゴゴッ……

 

刀を振りかぶったまま動く事ができない脇侍が、軋んだ音を立てていた。見ると左腕から振りかぶろうとしていた右腕までもが、何かで一直線に串刺しになっていた。

 

なんだこれは? 和装の女が考察に入っていると……

 

「チィェェェストォォォッ‼︎」

 

シュキャリンッ‼︎

 

何かが高速で脇侍を蹴飛ばした……いや、脇侍を串刺しにしていた何かを蹴り押して貫通していったのだ。そのため先程まで刀を振り上げたままの脇侍は原型など留めず崩れ去っていた。

 

「一体何が?」

 

「ふぅ、どうにか間に合ったか」

 

和装の女が声の聞こえた方を振り向く。そこには、戦いの最中だと言うのに戦いには向かない衣服を纏う男が、何の飾り気のない太刀を携えて立っていた。これこそが、ヨロイの勇者である夜光と異世界で扇の勇者を務めるグラスが初めて会った経緯である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あの和装で戦う女の人……どっかで見たことあるな……)

 

先程攻撃を和装の女に仕掛けようとしていた脇侍を粉砕した夜光。しかし助けた女はどこかで見た事が……

 

(あっ……確かグラスっていう扇の勇者だった様な……という事はここは)

 

「まぁそんな事は後で聞けばわかるな。そこにいる方、怪我はありませんか?」

 

「あ、あぁ。傷は負っていない。助かったぞ」

 

「それなら良かった。にしてもここにいる数はさっきの奴らよりも多いな。1体1体倒していくのは面倒だな」

 

という事で武器を変えようか。

 

[ケルベロスを展開します]

 

そんな音声が流れると、夜光が持っていた太刀は消え、代わりに2つの大筒が夜光の両腰に展開された。色合いは主に緑と黒で彩られ、先端には銃口が付いていた。

 

それを夜光は構え、大筒の側面から伸びていた引き金を引く。すると銃口にエネルギーが溜まる。

 

「1匹残らず目の前の獲物を喰らい付くせ‼︎」

 

引き金をさらに深く引くと、その銃口から赤い凶暴な光が一直線に発せられた。その光はあまりにも凶暴なのか、触れた空気でさえも白く光らせる。

 

そんな光が目の前の脇侍達を襲う。触れたものは即座に分解……鉄であるため幾分か頑丈ではあるものの、それはあまりにも禍々しい赤い光に溶けて霧散していく。

 

「デェェェェヤッ‼︎」

 

そんな禍々しい光を放つ大筒の威力を、ただ夜光は地に足をつけただけで踏ん張り、踏ん張るだけでなく射程外にいた脇侍にも浴びせる。

 

大筒が禍々しい光を放ち終わった時、目の前に数百体といた脇侍は1体もいなかった。

 

「ふぅ、目の前の敵も片付いたようだが、まだこの空は晴れないのか。何かボスみたいなやつを倒さないとって〜いうお約束か?」

 

夜光の言う通り、目の前の敵を倒しても以前空は赤いまま。奇妙な色と形をした渦からは、少ないながらもまだ脇侍が溢れ出る。そんな中1つの動きがあった。それは、夜光に1番近い奇妙な形の渦から、これまでとは比べ物にならない程の大きな足が出てきたのだ。

 

「な、何だあれは⁉︎」

 

「ほぅ、あれが本命というやつか」

 

「ほ、本命? あ、あの様な大きさに太刀打ちなど……」

 

どうやら隣の和装女性……いや、もう名前とか一応知っているしグラスと言おうか。グラスはあの敵の大きさに驚き、勝てるかどうか心配している様だ。正直このケルベロスでも倒せる……が

 

[アンロック武器の熟練度総計が15以上になりました。ヨロイの展開が可能になりました]

 

(ふむ……まぁ貰ったものは有効に活用するとしよう)

 

今展開できるヨロイは……ふむ、普通に問題ないな。

 

そこまでで奇妙な渦からは今回のボスが足先から頭まで姿を現し、地面に大きな音を立てながら着地していた。全体的には脇侍とかわらないが、背中には筒を担ぎ、刀も両手に一刀ずつ持っていた。そして地面に降り立つと直ぐに夜光とグラスを敵と判断。頭部にある1つ目が怪しく光ると、背中に背負う筒から直ぐ様弾が発射された。放物線を描きながら夜光とグラスに迫る。

 

「ここにいては危険だ! 直ぐにここから逃げるぞ‼︎」

 

グラスは隣にいる夜光にそう言うが……

 

「なに、あの程度大したものではないな。それに……」

 

夜光がケルベロスを仕舞い、鉄血メイスを手に持つ。

 

「ここで逃げたらあいつは余裕で背後にある城を攻撃する。あそこに避難している無関係な人達がが傷付いちまう」

 

夜光の握る手から電流の様なものが流れ、それは鉄血メイス全体に流れた。流れた途端、先端のメイス部分の角ばった所から順番に鋭い棘が出た。

 

「そんなのを見過ごして逃げるのは……勇者(ヒーロー)じゃねぇからな。だから俺はここで戦う!」

 

「っ⁉︎」

 

「まぁ、あなたはここにいると完全に巻き込まれるからさ。下がっててほしいな」

 

「わ、分かった」

 

夜光に言われてグラスはそこから離れる。そんなやりとりをしている間にも脇侍から放たれた弾は夜光達に迫ってくる。そんな中でも夜光は落ち着いていた。鉄血メイスを片手で、まるで体操のバトンを回すかの様に軽々回し、その後両手で持ってメイス部分を地面に叩きつけた。叩きつけられた地面は夜光を中心に半径10メートルくらいのヒビ割れを生じさせていた。

 

そんな行動をしている時点で夜光と弾の位置は既に目と鼻の先ほど近い。

 

「危ない! 避けろ‼︎」

 

十分その場から退いたグラスが夜光に叫ぶが、夜光はそこから動く事なく、しかも笑いながら鉄血メイスを片手でまた先程の様に軽快に回していた。

 

いよいよもって弾が当たる……そう思われたと同時に夜光は鉄血メイスを脇侍に向けて掲げた。その瞬間、夜光と弾の間に空から何かが割って入ってきた。それと弾がぶつかると、豪快な音と光がその場を支配する。砂埃が立ち、夜光の姿は一瞬のうちに見えなくなった。

 

だが少しして砂埃の中、地面から岩が砕ける音と白い光が見えた。

 

「な……なんだあれは?」

 

そんな中グラスは見たのだ。この表現は間違いかもしれないが……さっきまで夜光がいた所は砂埃しか見えなかった。しかし今は……あの現象が起きてからは違った。確かに砂埃は依然たっている。たってはいるがその砂埃の中、さっきまで確かになかった大きな影があるのだ。所々角ばっているという事以外、砂埃の影響でわかる事は少ない。

 

だが夜光が立っていた所に突然と現れた。それが意味する事は……

 

少しの駆動音が聞こえた。その後、鉄と鉄がぶつかり合う様な……そんな音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『wake up バルバトス』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピギュイーン‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side グラス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何が起こっている⁉︎」

 

砂埃の中で突然何かが光った。それも綺麗な緑色……そして影がゆっくりと動き出した。その動作はなにか跪いた状態から立ち上がっている様に見えて、緑色の光は1番上で灯っており、よくよく見ればそれは瞳に見えた。

 

『さて、早々に終わらせるか』

 

途端にあの砂埃の中からさっきの男の声が、どこか機械越しではあったが聞こえた。

 

(どうやらさっき私を助けてくれたあの男は生きている様だな)

 

グラスはいつのまにか安堵していた。少なからずも命の恩人……目の前で死なれるのは何故か嫌に思えてそう思っているのだろう。

 

いよいよこの戦いの終わりが近づいてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁーってとっ‼︎』

 

夜光の駆るヨロイ……ガンダムバルバトスが砂埃を手に持ったメイスで払いのける。メイスを振られただけで突風が起こり、砂埃は風で前面に押し出される。目の前にいた大型脇侍も無意識のうちに顔を腕でクロスして守っていた。

 

砂埃を晴らすとバルバトスは前傾姿勢になり、背部のブースターを起動。放たれた鉄砲弾の如く脇侍に迫る。そこでようやく脇侍も迎撃に移ろうとするが……

 

『オセェーんだよ‼︎』

 

脇侍の胴体に勢いの入った蹴りが入り後ろに吹き飛ばされる。それを追撃するバルバトス。

 

だが脇侍もタダではやられない。大筒でバルバトスを狙い撃つ。それをする事で避けるなりしてこちらの態勢を整える事が出来ると判断したの事だった。しかし……

 

『ンなもん予想済みなんだよ!』

 

バルバトスは持っていたメイスを脇侍に投げた。狙い撃った弾とメイスがぶつかる。その衝撃は凄まじく、大きな爆音と閃光をあげる。それと同時に爆煙が広がる。

 

脇侍はAIで動いている。その為に先程夜光達を穿とうとした時は丁度良い火力で調整した。しかし今は同じくらいの大きさが相手である。最大火力を咄嗟ながらに放ったが、あの爆煙だ。あのロボットは近くで受けた分ただでは済まないだろう。

 

その証拠に先程相手が投げてきたメイスの持ち手が爆煙からこちらに飛んできた。材質は頑丈そうではある武器ではあったが、弾の直撃でこの有様なのだ。近くで爆煙に巻き込まれたあのロボットは最悪壊れて動かないか、良くても装甲が全て剥がれ落ちて中身のコードとか骨組みが曝け出されているであろう。

 

AIながらにして、突如現れた時は驚いて反応に遅れが出てしまったが、とっさの判断で調整せずに弾を撃てたことはこちらとしては僥倖……目の前のロボットは意気込んでこちらには来たが、あれは一体何だったのか? まぁこれが所謂、どこかの世界で言われる井の中の蛙大海を知らず……という事だろう。

 

AIの身でありながらも、そんな人間と同じような思考に陥っていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドヒューーン‼︎ ガッシャーンッ‼︎

 

急に視界が真っ暗になった……否、何かに潰されて見えなくなった……

 

『貫け! バルバトス‼︎』

 

グワッシャーァンッ‼︎

 

そこで脇侍は機能停止した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『全く……あの程度で油断されるとは片腹痛い』

 

脇侍からの爆風は、確かにバルバトスを包み込んでいた。衝撃は来ていた。確かにメイスを放った時には弾は目と鼻の先ではあったし、比較的脇侍よりは近い位置で爆風を受けた。だからこそ、油断したのだろうなという考えには至る。だが……

 

(これしきでバルバトスが壊れるわけがない)

 

ガンダムバルバトスの熟練度は確かに1だ。それは当然だ。さっき初めて顕現させたのだから。それでもだ……それでも脇侍とバルバトスには大きな違いがある。その証拠にどこにも爆風などによる傷は一切付かず、あろう事に新品同様に装甲が輝いていた。

 

それは乗り手のパラメーターである。脇侍には機体だけのパラメーターしか無かっただろうが、バルバトスは違う。確かにバルバトスにもパラメーターはあるが、脇侍よりもはるかに高い数値ではあるし、そこに乗り手のパラメーターも加算される。

 

即ち……脇侍が生き残るには、夜光に出会った時点で逃げるべきだったのだ。

 

ならば何故パラメーターが反映されているにもかかわらずバルバトスのメイスが壊れたのか? それは、武器にまでは防御のパラメーターが付与されなかったからである。正確にいうならば持ち手部分にはだが……

 

いくらメイス部分が持ち手より頑丈だとしても、あの弾に直接真正面から当たったのだ。壊れなかったとしても原型は留めていない筈だった。しかしそれはどこのご都合主義か……メイス部分にはしっかりとパラメーターが反映されていた。

 

いや……そもそもそんな面倒くさい事をしたのは、相手を油断させるためかもしれない。ロボット相手に通用するのかと考えてしまうが……結果的には油断した。メイスの持ち手が相手側に飛んで行った事と、強烈な爆風……近くで相手側が普通に爆風に巻き込まれていた事……その要素が油断に繋がった。

 

或いはただ単に夜光が持ち手部分には反映させなくても大丈夫だろう、と無意識に思ってしなかっただけなのかもしれないが……

 

(まぁ今回はガンダムバルバトスがどれほど能力を有するか……また搭乗者のパラメーターが反映されるか……それも起動したと同時に頭に流れ込んできたが)

 

[ガンダムバルバトスの熟練度が2になりました]

 

ふむ、やはり脇侍は他の魔物よりも経験値は高いか。取り敢えず空は晴れて妙な渦も消え去った。

 

『さて、それじゃあファサリナさんと合流するか』

 

ひょんな事で異世界に召喚され、ひょんな事にいつのまにか波に巻き込まれたものの、ほぼ無傷でその波を退け、その後はファサリナを探しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[レベルが8に上がりました]

 

[ステータスが向上しました]

 

[武器がアンロックされました]

・レンチメイス

・ディファイアントビームジャベリン

・ガーベラストレート

 

[レベルが8に上がったことにより次のスキルが使える様になりました]

・異種混合 レベル1

 

 

 

 

 

 

 

 

 




簡単な解説

・脇侍
いつも夜光を邪魔しようとするも、この世界では経験値稼ぎと武器熟練度アップの格好の的。脇侍を作る創造主はいつも簡単に破壊されるのが腹立たしいと思い強化しているが、いつもの如く簡単に倒されてしまう。また、強くなるによって得られる経験値なども上がっていく事を創造主は気付いていないため、結局は夜光達をパワーアップさせている。

尚、脇侍を作る創造主の正体はデータ不足のため不明。

今回出た兵装の能力値

鉄血メイス 熟練度1→5
・攻撃力+1250→3500
・防御力+700→1550
・熟練度が5に上がったためレンチメイスを開放
・???レベル未達成のため未開放

バルバトス専用太刀 熟練度1→5
・攻撃力+800→2200
・素早さ+1300→3000
・熟練度が5に上がったためガーベラストレートを開放
・???レベル未達成のため未開放

ケルベロス 熟練度1→5
・攻撃力+1300→3200
・射程範囲+400m→1500m
・再チャージ10秒→7秒
・熟練度が5に上がったためディファイアントビームジャベリンを開放
・??? レベル未達成のため未開放


・異種混合レベル1
武器展開時に展開しているものとは系統が違う武器を展開できる。レベルが上がるごとに違う系統の武器を多く展開する事ができる。







今回はグラスを出しました。書籍版、アニメ版などでは3回目の波の時に主人公達と敵対してましたが、夜光は今回1回も波を経験せずにグラスがいる世界に行き、そこで偶々波に遭遇して戦うという物語でした……

以上、簡単な解説と簡単なあとがき……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。