1話 ヨロイの勇者は召喚される
次に仙谷夜光が飛ばされた世界は、「盾の勇者の成り上がり」の世界だ。
それを神様に言われた時は、確かに知ってはいるもののアニメの知識しか知らなかった。スピンオフ作品がある事は知っているが、それもどのような物か分からない。それに死んでからは何十年単位と時間が過ぎている。記憶も朧げだ。その世界に行ったら……徐々に思い出していくかもしれないが。
そしてそこへと転移する時は、どうやら自分はその世界の勇者として呼び出されるらしく、ファサリナとは一緒に転移されないとの事で……一瞬シュンとなる。
しかしそこも神様から、転移と同時にファサリナもその世界へと送る事。すぐに会う事は出来ないが、転移されて1日後……と言う事は、勇者がその世界に召喚された次の日、召喚した国……まぁこの場合国王が勇者の同行者となる冒険者を集め、冒険者自身が付いていきたい勇者を決める旅立ちの日みたいなものである。
そこにファサリナが冒険者として転移、夜光に付いていけば問題ないと言う事で……一応納得はした夜光。
「一緒に転移されないのは悲しいが……」
「そんなに悲しまないでください夜光くん。すぐに会えますから……ね?」
夜光はファサリナに抱擁される。そして背中もポンポンと叩かれる様子は……まるで赤子をあやす様に見える。
その様子が十数分見られて、少し呆れた感じになっている神様に促されて、夜光は漸く「盾の勇者の成り上がり」の世界に転移された。勿論……その世界の国が召喚した程を装って。
盾の勇者の成り上がり 本編
ヨロイの勇者は理不尽を許さない
神様の間から一瞬で違う風景に変わる。どうやら無事に転移されたようだ。目の前には召喚者であろう術者達。足元には魔法陣。そして隣を見ると……自分と同じように召喚されたであろう若者が4人……手元に剣、弓、槍、盾を備えている。
(あぁ……この4人と一緒に召喚されたという事か。だったら俺は何の勇者だ?)
確か前は……普通に勇者という肩書きだけだった。だがこの世界は、装備品に関連した勇者の名が肩書きとして周囲に伝わる。
(剣、弓、槍、盾……ここは前世のアニメで見たところと一緒か。なら俺は?)
視界の隅っこに何かアイコンがあったためそれを見ようとすると、急に視界いっぱいにステータスみたいなものが映し出される。
(ほぅ……これが今の俺の能力値か。勇者という事だけあってレベル1でも高いな。で俺は……ヨロイの勇者か。……何故カタカナだ?)
ヨロイの勇者とカタカナで書かれてある。しかし夜光は疑問に思う。本来漢字で表記されるのでは……と。そう考え込んでいると……
「おい、さっきから黙っているけど大丈夫か?」
「ん? あぁ、少しこの状況について考えていたんだ」
「そ、そうか……邪魔してしまったか?」
「いや、丁度纏まっていたところだ。確か自己紹介してないよな。仙谷夜光だ。君は何と呼べばいい?」
「俺は岩谷尚文。尚文って呼んでくれ」
「分かった尚文。なら俺も夜光で良い。宜しくな」
「あぁ、宜しく」
互いに自己紹介をして握手をした。
そこからは召喚者達の案内で国王の間に案内される。その際建物の窓から外を見てそれぞれ感想を述べていた。尚文は景色を見て感嘆の声を上げていたが、他の3名は海外と同じ景色だろとドライな感想だった。
夜光はというと、この世界に転移される前も同じような世界だったこともありあえて何も言わなかった。
そして国王の間に案内された5人。まずは国王が召喚した勇者達に定型文の様な形で台詞を言った。
まぁ簡単にまとめると……波と呼ばれる災害からこの国、世界を守って欲しいというものだった。
波……空が赤く染まり、それに伴って魔物達が跋扈し、人々を襲う。1回目の波は何とか凌いだものの、2回目はどうなるか分からない。だからこそ異世界から勇者を召喚する必要があり、いまこの状況であると……
しかし召喚された5人のうち3人はそれに否定的だった。
まぁ、支援がなければ満足に動く事は出来ないだろうとか、これが終われば無事に元の世界に帰れるのかやらと……
(全く……この3人は図々しいにも程がないか? 勇者として召喚されたからといって最強というわけではないだろうに)
夜光はそのやり取りを呆れて眺めていた。自分達の状況が分かっていないのではと。まぁ目の前の王も王で威厳を振り撒くようにしか見えない。
「ぬぅ……分かった。勇者の皆にはそれ相応の支援をしよう」
「それだけでなく、波が終わった後の報酬もしっかりとお支払いさせて頂きます」
「へぇ〜、そういう話なら、まぁ納得してやらんでも無いな」
「だが俺達を飼い慣らせるとは思わない事だ。お前達が俺達に対して不当な扱いをしない限りは協力してやる」
「そう……だな」
「ですね」
(尚文はともかく……この3人は報酬の事しか目がないのか? さっきまで主張していた元の世界へのウンタラカンタラはどこいった?)
俺? 俺は別にこいつらに呼ばれたわけではないし、神様に転移してもらってこの世界だからな。役目を終えるまではこの世界にいるさ……それに
(俺にとっては、ファサリナさんのいる所が俺の居場所だからな)
この場にはファサリナさんはいないが、明日になれば会える。カギ爪に連れていかれたあの数年を考えればまだ安いものだ。
「うむ、それでは此度において召喚された勇者の名前を聞こうではないか」
「順番的に俺からだな。天木練だ。年齢は16、高校生だ」
夜光から見て1番左にいた人物がそう名乗る。髪色は群青色、瞳は青、線は細いクールな男。剣の勇者。
「じゃあ次は俺だな。俺の名前は北村元康、年齢21歳の大学生だ」
練の右隣、金髪で髪が長い為か結ってある。赤い瞳で身長は高い。線もしっかりしている。槍の勇者。
「次は僕ですね。僕は川澄樹、年齢は17歳、高校生です」
元康と同じく金髪ではあるが、ショートで癖っ毛がある。緑の瞳をもち、この中では1番小柄だ。弓の勇者。
「次は俺か。俺は岩谷尚文、年齢は20歳で大学生だ」
黒髪ショート、冷静沈着そうに見える顔つきで、練、元康、樹と比べるとまぁ一般的な顔つきであろう。しかしながら線はしっかりしている。盾の勇者。
「最後は俺か……仙谷夜光。確か年齢は……16だ。高校生だったな」
最後に夜光が名乗る。しかしながら最後という事もあり他の4人と比べると、どこか安定感の無い自己紹介になってしまっていた。まぁ本人自体その肩書きを持っていたのも、感覚的には数十年前の話。神様に興味を持たれてから歳と老いを外見的に取らなくなった事も関係している。
「ふむ、レンにモトヤス、イツキにヤコウだな」
「王様とやら、尚文の事を忘れちゃあいないか?」
「おぉ、そうであったな。いやはやすまなかった、ナオフミ殿」
夜光は王に尚文の名前を言い忘れている事を言い、それに対して王もとぼけたような感じで尚文の名前を謝罪しながら口にする。
(王が召喚された勇者の名前を言い忘れる……しかも尚文の事を飛ばして俺の名前を言った。さっき自己紹介したばかりだというのにだ……やはり俺がここにいるからと言ってこの流れは変わらないか)
数十年前とはいえ、この場面は印象的でもあった夜光。
(これは……尚文が理不尽に見舞われてしまいそうな感じだな。俺の嫌いなパターンになりそうだ。どこかで少しでも変えれたらいいが……)
と、夜光はそんな事を考えていた。自己紹介が済んだ後は、ステータスを開いて客観的に云々、レベル1だから不安だ云々、武器を育て上げる必要があるとかだったり、勇者同士ではパーティーを組めないから国側で冒険者を集い冒険に出向いてもらってそれぞれが強くなり、波に対抗してもらう……などなどこれからの話をしていた。そんな中……
「ところでヤコウ殿。そなたは何の勇者なのであろうか? レン殿、モトヤス殿、イツキ殿、ナオフミ殿は見て分かるとして……ヤコウ殿は何も装備されていないように見えるが……」
「あぁ……俺はどうやらヨロイの勇者って事になってるな」
「よ、鎧の勇者?」
「ぶ、武器ですらねぇ……」
「どうやって戦うか想像もつきませんね……」
「俺の盾よりも酷いんじゃ……」
順に練、元康、樹、尚文が言う。まぁ一般的には普通に身につける防具だよな〜。
「よ、鎧の勇者とは……いささか聞いたことが無いな……」
王も反応に困っている。
(まぁ……鎧じゃなくて
確かに防具の勇者……盾でも武器としては微妙であるにも関わらずに鎧ときたものだ。武器ですら無い。戦力にならないのではと……
だがそこは、夜光と周りの認識が違うだけだ。周りは身につける防具の鎧と連想しているが、夜光からしてみればそれでは治らない。何故なら……
ステータス
名前:仙谷夜光
職業:ヨロイの勇者
装備:ヨロイの腕輪(エクストラ武器)
スキル:オペオペの実の能力者
魔法:テイルズ初級呪文
(まぁレベル1だから今まで覚えてきた呪文を再度覚える必要はあるが……この腕輪の大体の使い方は分かる。それにオペオペの実も使えるようだからな)
周りに気付かれないように掌の上でルームを展開していた。
「ま、まぁともかく今日は既に日も傾いている。城の来賓室に案内するが故、今日はゆっくりと休むが良い」
そして今日はお開きとなった。
何やかんや深夜投稿になりました。少しハイです。
いきなりですが少し解説を……
・ヨロイの腕輪
夜光が思い浮かべた武器が腕輪の宝玉から出てくる。大体はこれを用いて戦う。勿論全身をガンダムの装甲で覆うことも出来る。装備の掛け合わせ可能。ほぼほぼガンダムビルドファイターズ(作者は見たことが無い)みたいに自由な設定で装備できる。
こんな感じです。ちょっとここはとっさに作った設定なので少し煮詰めていないところがありますが……まぁチート装備ですね。
と言うところで今回はここまでにしたいと思います。次回もよろしくお願いします!