夜光の心に10000のダメージ……
結果……ファサリナさんに好きなように弄ばれる夜光……
夜光が城から抜け出して向かった場所……それは、先程テラスに出て手を振っていた場所だった。城と城下町、外門を繋ぐ大通りの道の中間地点……人通りがほぼほぼ無い時間に夜光はそこへと赴いた。
(さて……あの人が態々あそこに立って俺に手を振ってきたという事は……つまりそういう事だよな?)
神様が言うには最低でも明日と言っていたが……
(だが俺としても……会えるのなら今会いたいな……っ⁉︎)
そう考えていたところで夜光は何者かに視界を覆われて、すぐ近くにあった路地に連れていかれた。
普通に捉えるなら敵からの攻撃……しかしながら国としては、勇者を召喚したとまでは国中に伝えてはいるがどんな人物なのかはまだ伏せている。だとしたら城の物だろうか……いや、これも違うだろう。何故なら夜光は細心の注意を払いつつ城からここまで来たのだ。追っ手があったとしても撒いているか、夜光の速さについて行けず見失っているだろう……
と言う事は……
「ふふっ……だぁ〜れだ?」
「……まさか貴女がこんなイタズラをするなんて思ってなかったですよ。ファサリナさん」
「うふふ……正解。会いたかったわ……夜光くん」
side ファサリナ
夜光と一緒にその世界に転移したファサリナ。夜光が城に召喚されたのは夕方ごろではあるのだが、ファサリナは朝方にその世界へと転移していた。そして場所は城の外、それも町の外だった。
まぁそこは神からの配慮でもある。朝方とはいえ、突然町の中に転移してしまうと怪しまれる可能性がある。そんな理由があるからこその町の外に転移された訳だ。
それに外から入った方が何かと都合が良いと言うのもある。
(確かこの世界に来たらまず冒険者ギルドに行って冒険者登録する必要があるのね)
そこからのファサリナの行動は早かった。まずは外門の守衛に冒険者ギルドがどこにあるのかを尋ねた。聞かれた守衛は丁寧に優しく教えた。まぁその時に守衛の鼻の下が伸びていたのは気のせいではないだろう。
まぁその理由としては、ファサリナの衣装がガン×ソードと同じだったからこそで……言うなれば露出が半端なかったのもある。
そして早々にギルドについて冒険者登録をした。そこでもステータスが初期値でどれくらいかを測定する水晶玉があるのだが、その初期値が思いの外高く受付の人はかなり驚いていた。
それに聞き耳を立てていた冒険者達が一緒にチームになろうと誘ってはいたのだが、ファサリナはソロでやりたいと言ってやんわりと断っていた。中には諦めきれずに強引に引き入れるもの達もいたが……そこはファサリナから発せられる威圧で、そのもの達も撃沈した。その冒険者達が言うには、笑顔を浮かべているはずなのにまるで蛇に睨まれた蛙のように、それを受けて何も言えなかったという……
まぁどれほどステータスが高くても初級の依頼をこなすもの……そこはファサリナも郷に入っては郷に従えで最初は簡単な依頼から始めるのだが……
「あらあら……手応えがまるでありませんわ」
何ということだろうか……初級のクエストを僅か10分足らずで終える始末……それを繰り返していくうちに上がる階級とレベル……昼頃にはレベルも20まで上がっていた。
これにはギルドにも震撼が走る。冒険者登録初日の数時間でレベル20まて到達……突如現れた女性冒険者とその偉業は既に城下町にまで知れ渡り、やがて勇者を召喚した国王の元にまで届くのだった。
それを知らないファサリナは、出来るだけ夜光と同じ位置にいたいという思いが強く、結局その日は夕方までクエストを受注しまくり、レベルは30に……受注していたクエストも中の上あたりまでになっていた。
それを終えたら近くの宿屋へと行き、宿泊の手続きを済ませた。その宿泊1回には、受付と併用して食堂も設けられてあった。そこでファサリナは、今日1日クエストばかりをして何も食べていない事に気付き、その時は大量に注文して食べていた。しかしながら所作は優雅に丁寧に……それを見ていた他の宿泊客もファサリナの虜になっていたが、本人はそんな事を知る由もなかった。
夕食を終えたら1回外出をして、城の外まで赴く。近くを流れる川に着くと、レベルを上げる事に覚えていった魔法を使用……まずは川の1部を少し大きめの岩石で囲う。そして火の魔法で囲った川の温度を上げ、丁度いい所まで上げる。言うなれば即席のお風呂である。風呂が出来上がったら次は植物に魔法をかけ、即席ではあるが高めの塀を作る。そして持ってきた荷物からタオルやら何やら用意をし、身に纏っていた衣服を脱いで即席の風呂に入る。
まぁ何故即席のお風呂を作って入浴しているかというと……
(夜光くんと会う時は清潔でいないと……)
簡単にいったら乙女の嗜みである……
そして簡単な入浴を終えて町に戻った時……
(あら? これは夜光くんのルームの効果ね。何かあったのかしら?)
もう召喚されているであろう夜光のいる城に視線を向けると、城のテラスから夜空を眺めて誰かと話している夜光を見つけた。隣にいる人は夜光と一緒に召喚された勇者の1人だろう。夜光ともう1人は親しげに話している。
(この世界で私以外にも信頼に足る人ができたのね……少し安心だわ)
あの隣が自分でない事は惜しい気がするが……それでも夜光が1日足らずで信用できる人を見つけた事に嬉しさを覚えていた。
そして夜光がこちらの方に視線を向けた時、伝わるかどうかは分からないが手を振った。そしたら直ぐに夜光の方からも手を振り返してくれた。
「うふふ……神様からは最低でも明日に会えるって言われていたけど……」
「我慢……できなくなっちゃった♡」
そしてファサリナは一度宿に戻って荷物を置き、その部屋に施錠の魔法をかけるとさっきの道まで戻り、路地裏に来ていた。
ここで待っていたら夜光に会える気がする……最早賭けでも何でもないのだが、それから数時間くらいで夜光はそこに現れたのだっだ。
side out
夜光を路地裏に引き込んだのは、夜光とは別の所に転移していたファサリナだった。夜光に言い当てられてからも夜光から離れようとはせず、目を覆っていた手は、今は夜光を背後から抱きしめていた。
「はぁ……半日離れただけなのに……貴方に触れるとこんなにも愛おしい♡」
ファサリナは自分の頰を夜光の頰に優しく擦り付けていた。
「い、いくら人通りのない時間とはいえ……恥ずかしい」
「あら? どうして? 私は嬉しいわ。えぇ、とても嬉しい」
「い、いや……確かに嬉しいけどさ……まさか出会って初っ端あんなイタズラされると思ってなかったし///」
「照れているのね……ふふっ♡ そんなところも可愛いわ♡」
「も、もうそれ以上からかわないで……欲しい……です」
「からかってなんていないわ。愛情表現よ」
「っ⁉︎/// ほ、本当に貴女と言う人は……」
勇者達と会話していた時の態度は何処へやら……完全にファサリナにペースを握られていた。
「も、もぅそろそろ本題に入りたいんだが……」
「そうね。じゃあ後でとっておきましょう」
ようやっと夜光から離れるファサリナ。その頃には夜光の顔は茹で蛸のようになっていた。その夜光の様子にもファサリナは可愛いと追い討ちをかける。それを受けて夜光は更に顔を赤めた。初心である……一応ファサリナとは長い付き合いの筈なのに……未だに初心である……
「ご、ゴホンッ……そ、それでだが、本来ファサリナさんに会うのは明日の予定だった。ただ今日は……偶々見かけたからもしかしたらと思ってここに来たのもある。だけど今回は……」
「えぇ、大体は察します。今の貴方がどの程度戦えるのか……それを試したいのよね? 貴方の身に付けている左腕の腕輪から途轍もない力を感じるわ。だからその力をどの程度振るえるか……ね?」
「その通り、この使い方は大体頭の中に流れ込んできたから分かる。まぁそれはそれで……肩慣らしくらいはしておきたいからな」
「分かったわ。じゃあ、早速行きましょうか」
そして夜光はファサリナと共に外門の外へと出た。
真夜中になると、昼間行動している魔物は眠りについたりなどしているが、逆に夜中活発に動く魔物も存在する。そして夜光達の周りには、既に夜間活動する魔物の群れがかこっていた。
「確か……グリーンウルフという名前だったはず。夜間群れで行動して獲物を狩る。主に草原や森林地帯で生活し、昼間は森の奥に帰る習性。火に弱いはずだから、旅の行商人が野宿などする際は焚き火とか松明で近づかせないようにして安全を確保する……って、冒険者ギルドからもらったガイドブックに載ってあったわ」
「へぇ〜、初心者には優しい内容解説だな。まっ……」
「ここから行うのはただの肩慣らし……初心者狩りだと思い込んで囲っているのなら残念だったな。獣相手に俺の言葉が通じるかどうかは知らないが……逃げるのなら今の内だぞ?」
夜光は周囲のグリーンウルフを威圧……それに負けたのか数匹は森の奥へと引き返した。
「さてと……じゃあ残った奴らは悪いが……俺の糧となれ! バスターソード‼︎」
[GNバスターソード〈アルケー〉を展開します]
夜光が武器を思い浮かべながら唱えると、視界にその表示が現れると、腕輪の宝珠が光り、その光は夜光の右手に移る。形を形成すると、そこにはアルケーガンダムが装備するGNバスターソードが握られていた。
「へぇ〜、重さまで前の世界で使ってたのと変わらねぇのか。斬れ味は……」
試しに迫って来た1匹のグリーンウルフを一刀両断……両断されたグリーンウルフはピクリとも動かなかった。
「ほぉ〜……変わっちゃいない。こいつは良いな。で、お前達はかかってこないのか?」
目の前で仲間の1匹が一瞬で倒された事で動揺が走る……
「まっ、そっちから来ないのなら良いや。逆に……」
「こっちから行ってやらぁ‼︎」
2人の人間を獲物として狩るつもりが、逆に人間1人にグリーンウルフは滅多打ちに倒されていった。
それから僅か数分後……
「お見事ですね、夜光くん」
「いや、これは流石に肩慣らしにはならなかったな」
敵の血を一滴も浴びずに斬り伏せていった夜光。しかしどこか物足りない様子だった。そう思っていた時、遠くで狼の咆哮があげられていた。しかも途轍もなく強大な個体から……やがて森の奥深くから現れたのは、普通のグリーンウルフよりも比べ物にならないくらいの大きな個体だった。
「あれは……グリーンウルフを束ねる長、ハイ・グリーンウルフね。さっきの個体達がランクでEならあれはCランク相当ね」
「漸く肩慣らしに丁度いい相手が来たってところか」
「油断は禁物よ、夜光くん」
「分かっていますよ、ファサリナさん」
ハイ・グリーンウルフは唸りながら夜光を睨む。よくも我が同胞達を散々殺したな、とでも言わんばかりに。それに対して夜光は好戦的な瞳を隠そうとせずバスターソードを構えていた。
一瞬強い風が吹き、どこかの枝から葉っぱが離れて風に舞う。そしてその葉が地面に落ちたと同時に……
「ガァゥッ‼︎」
ハイ・グリーンウルフが夜光に素早く近付き爪を振るう。
「さっきの奴らよりは速いな」
それを簡単にバスターソードでいなす夜光。
ハイ・グリーンウルフも相手が相当なやり手と判断。そこでとあるスキルを用いた。
「あれは……残像スキルね」
「へぇ〜、強い個体はそういうことも出来るのか」
このスキルを見せても相手は驚くどころか、逆に好戦的な目を強めていく。一体どこにそんな自身があるというのか……
そんな事は考えずにハイ・グリーンウルフは残像を駆使しながら夜光に攻撃した。威力は少し下がるものの、2体で攻撃を繰り出すのと同等だ。徐々に相手の体力は削れて自分の有利になるだろう……そう簡単に結論付けた。
しかしながらそんな事は少しも起こらなかった。何分攻撃し続けても相手の体力は減らない。それどころか攻撃の獰猛さが増すばかりだ。極め付けは……
「はぁ〜どれくらいやるかと思ったらこの程度か。飽きて来たし、次で終わりにするか」
目の前の人間がそういうと、突如いきなり人間の左腕につけている腕輪が光って、腰辺りにその光が移った。そして形を変えていく。形を変えたそれは、どこかスカートの様な鎧に見えた。
だが……話はそんな簡単に収まらない。
「行けよ! ファング‼︎」
人間がそう唱えると、スカートの様な鎧から小さい何かが綺麗な線を描いて飛び出していき、やがて……自分を攻撃し始めた。それも残像もろとも……
明確に痛みが生じる。片目が潰された。振るおうとした爪が簡単に割れた。腹に何本かそれが刺さり血が体外に出て行く。既に意識は朦朧だ。
「それじゃあな、狼どもの親玉よ」
ハイ・グリーンウルフが聞いた言葉はそれが最後だった。
「お疲れ様、夜光くん」
「ありがとう、ファサリナさん。にしても最後の奴は丁度いい肩慣らしになったな。レベルが1上がったし」
「えっ? 私は3つ程上がったけど……」
「えっ?」
既に夜光とファサリナはパーティーを組んでいて経験値も共有されている。そして2人のレベルも共有している。そして今はファサリナが泊まる宿の部屋にいた。
「夜光くん……貴方のステータスを見ても良いかしら?」
「あ、あぁ、構わないが……」
「ありがとう。それじゃあ早速……っ⁉︎ こ、これは⁉︎」
「ど、どうかしたのか⁉︎」
「まさか……レベル2でこのステータスなの⁉︎ それに次のレベルになる経験値まで970000なんて⁉︎」
「いや、勇者ならそんなものじゃあ?」
「そんな事ないのよ⁉︎ 他の勇者は多分貴方よりも経験値を少なく得てレベルアップできるわ。それに私のステータスを見て」
「あ、あぁ……見たな」
「比べても変でしょう⁉︎ それに次のレベルまで私は2万ほど。貴方は単純計算ではその50倍はあるのよ⁉︎」
「ほぉ〜……なら結構強い個体を相手取らないとレベルアップが難しいって事だよな。まぁ〜なんとかなるだろう」
「……そうね。それに貴方の装備は最早ゲームで言うところのチートレベル……イレギュラーが起こらない限りは相手には負ける事はないでしょうし」
「だな。にしてもなぁ〜んか眠気が来ないな。まぁさっき動いたのが原因だけど」
「明日は早めに起きて城に戻らないといけないんでしょう? でも眠気が来ないのなら……そうね。分かったわ。私が耳かきしてあげる。そしたら……夜光くんも自然に眠気が来て眠れるでしょう?」
「み、耳かき……」
「そう、耳かき……適度に耳をマッサージする様にすればすぐ眠りにつけるらしいから」
「そ、そう言うなら……それで俺はどこにの転がれば良い?」
「勿論……こ・こ♡」
「……逆に眠気が来なさそうなんだが」
「良いから……ね?」
「し、仕方がない……」
そして夜光は寝転がった。その寝転がった場所は……ファサリナの太ももの上だ。俗に言う膝枕である。ファサリナはベットの上で女の子座りをして、壁を背もたれの様に少し体重をかけて座る。
それに対して夜光は、右耳を上にし、顔をファサリナとは逆の方向に向けて寝そべる。
最初の方に記載したが……ファサリナの身に纏う服はガン×ソードの時と同じだ。なので余裕で夜光の肌がファサリナの肌に触れる。その時点で夜光の顔は真っ赤だ。
(だが……なんだかんだ恥ずかしがってもこの人の側は凄く落ち着くんだよな……)
「ふふ……それじゃあ耳かき、するわね。まずは耳のマッサージから……んっ」
ファサリナの親指が夜光の耳を適度に刺激する。それだけで物凄く気持ちがいいのだが……
「次は耳かき棒で耳の縁をなぞる様にしていくわね」
そこにさらに追い討ちをかけるかの様に耳かき棒で耳の縁をなぞられる。それらと言うもの、耳穴の入り口、耳穴の奥へと刺激していく。もうその頃には夜光はウトウトしていた。
「これで右耳は終わったわ。仕上げに……」
「ふぅ〜〜〜〜……」
最後には耳吹きをする。夜光にとってはもう至福である……
「それじゃあ次は左耳やるわね。さぁ、ごろ〜ん」
ファサリナによって夜光の顔はファサリナの方に向き、左耳が上に来る様になった。そして右耳と同じ様にやって最後に耳吹きをする頃には、既に夜光は夢の中である。
「ふふっ……おやすみ、夜光くん♡」
夜光のおでこにキスをして、ファサリナは夜光と添い寝をする形で眠りについた。
夜光の簡単なステータス
レベル1の時
耐久:8000
力:9800
防御:9500
素早さ:10000
魔力:7700
魔防:7000
マジックポイント:5200
これまで出た兵装の能力値
GNバスターライフル(アルケー)熟練度1
・攻撃力+500
・素早さ+2000
・??? レベル未達成のため未開放
・??? レベル未達成のため未開放
GNファング(アルケー)熟練度1
・攻撃力+200
・素早さ+3500
・??? レベル未達成のため未開放
ファサリナさんの簡単なステータス
レベル30の時
・耐久6000
・力3500
・防御5400
・素早さ6700
・魔力2400
・魔防3000
・マジックポイント1700
他の勇者の平均
・耐久140
・力90
・防御85
・魔力55
・魔防32
・マジックポイント18
以上、既に格差が出ている簡単なステータス。