疲れました。
いや、ホント夏風邪が辛いです。
亀更新ですみません。
戦闘描写苦手とかいうレベルじゃない。無理だわ。
相澤はザコたちを簡単にあしらいながら考える。
(落月…。あいつ、これがあるって分かってやがったのか?)
ここ数週間、相澤はオールマイトの頼みで純狐のことをよく観察していた。やりすぎで、不合理的だと考えていたが、オールマイトにとってオールフォーワンがどんな存在であるかを知っていたために断らなかったのだ。
(ッ考えてる暇は無いか!とりあえず、目の前のヴィランに集中しなければ。)
急に目の前に現れた増強型だと思われる個性持ちのパンチを間一髪で避け、カウンターを叩き込む。
(しかし、数が多いな…このままだと押し切られちまう。)
相澤は周囲を確認し、今まで、15人ほどは倒したものの、まだ30人ほどが周りにいることに焦りを感じていた。ドライアイのこともあり、ハイペースでヴィランを倒してきていたが、さすがに疲れがたまってきていた。
そして、その相澤の疲れを感じ取ったのか、3人のヴィランがここぞとばかりに特攻を仕掛けてくる。
(チッ、めんどくせぇ)
相澤は今までやってきたように首に巻いた布をヴィランに巻き付けようとする。しかし、さっきからの戦いの中で汗をかいてしまっていて、布を巻き付けようとした瞬間に目に汗が入り布がうまく巻き付かない。
「へへっ、やっぱり疲れてきてんな。この程度なら…」
ヴィランは相澤の布をほどきながら走ってくる。相澤はしまったと思い体術で対応しようと試みるが、3人相手に勝てる可能性は低かった。
そして、相澤にヴィランの拳がついに届きそうになったところで、熱、光と共に暴風が吹き荒れ、相澤の周辺にいた10人ほどにヴィランは吹き飛ばされる。
相澤は、何とか踏みとどまり暴風の発生源を見る。そこには黒い袍服のような服を着た金髪の女性が降り立っていた。
「相澤先生、加勢しますよ。」
「落月!?お前、避難はどうした!」
相澤は、急な純狐の参戦に驚きを隠せない。さっきまで、もしかするとヴィランの仲間なのではないか、と考えていたのでなおさらだ。
「まあまあ、いいじゃないですか。大丈夫ですよ、私以外は来ませんので。」
純狐はそう言うと相澤に力を与える。相澤は体がほんのりと熱くなっていくのを感じながら純狐に命令した。
「支援には感謝するが取り合えず逃げろ!」
純狐が相澤の命令を無視して、集まってくるヴィランと戦闘を始めようとした時、死柄木が純狐を見て笑いだす。
「お前が先生の言っていた生徒だな。お前の相手はこいつだ。」
死柄木はそう言うと脳がむき出しのヴィランの方を見て呟いた。それはまるで自分のおもちゃを自慢する子供のような声だったが、内容は純狐を動揺させるのに十分なものだった。
「行け、脳無。」
脳無と言われた2人のヴィランの内、体格の劣る方が一瞬で純狐の目の前に移動しパンチを放つ。純狐はそれを綺麗に避けると脳無の腕を掴み、勢いを生かして脳無を背負い投げのような形で地面に叩きつける。そして、間髪入れずに強化した足で脳無の頭を踏みつけようとした。しかし、それは純狐に掴まれていない方の脳無の手の平によって防がれ、そのまま足を掴まれた純狐は広場の端の方に投げ飛ばされる。
(原作の化け物脳無とは違う奴みたいだけど、流石といったところね)
純狐は冷静に自分の後ろの空気を水に純化し自身の勢いを弱めた。そこへ脳無が純狐を仕留めようと突っ込んでくる。
「甘いわよ。」
純狐はそう言うと、目の前にある重力に従って落ち始めた水の一部を熱に純化し、小規模な水蒸気爆発を起こした。
純狐は、爆発に合わせるように強化していた足で後ろに飛びのき、霊力で火傷している部分を回復させながら水蒸気に隠れて見えない脳無の出方を慎重に伺う。弾幕以外に霊力を使うと面白くなくなると思い今まで使っていなかったが、脳無との戦闘という事とパワーが落ちてどこまで戦えるか分からないので、今回は必要最低限使うことに決めていた。
(原作では、脳無の熱に対する耐性は書かれていなかった…。でも、エンデヴァーとの戦いを見る限りでは熱にはそこまで耐性があるようには見えなかった。これで、動きが鈍ってくれたらいいけど…。)
だんだんとモヤが晴れてきて腕をクロスさせている脳無が見えてきた。その皮膚は熱でただれてしまっているものの、かなり回復している。動かなかったのは回復を待っていたからのようだ。どうやら、原作の脳無程の回復力は無いらしい。
純狐は視界が晴れ傷ついている脳無を確認すると、回復しきる前に倒してしまおうと思い一気に近づく。
脳無はそれを読んでいたかのように少し横にずれ、迎撃するため蹴りを放とうとした。
しかし、蹴りを放とうとした瞬間に脳無はバランスを崩す。純狐が軸足の方の地面を柔らかくしてバランスを取れなくしたのだ。
バランスを崩した脳無はとっさに顔の前で腕をクロスさせ純狐の拳を受ける準備をする。
脳無の目の前に来た純狐は勢いを生かしてガードの上から思いっきり膝蹴りを食らわせた。脳無は踏ん張り切れず吹っ飛ぶ。そして、脳無のぶつかった広場の端の壁からは土煙が舞い上がった。
数秒たって土煙が晴れダメージを負いすぎて動くことができなくなっている脳無が見えてくると、純狐はゆっくりと脳無に近づく。さすがに命を奪うことはできないので、片足を千切って自由を奪い地面に埋めておくことにした。
「さて、これで終わりね。この後はどうしましょうか。」
純狐が脳無の足を強化した手で千切ろうと手を近づけた、その時だった。
純狐は悪寒が走り、倒れている脳無から急いで離れようと地面を蹴る。
その瞬間、今まで純狐の顔があったところ大きな拳が勢いよく現れた。
純狐はそのまま2、3メートル離れると、目の前に現れた拳の所有者を確認し、愕然とする。
「まさかの三体目…!」
純狐が見たのは、今まで純狐が戦っていた脳無とほぼ同じ体格の、脳無の姿だった。
◇ ◇ ◇
拳の空を切る音と、ロープ型の布が空気を切る音が不規則に聞こえてくる。
相澤は純狐から力をもらったおかげで、脳無の攻撃を何とか耐えていた。
相澤は純狐が投げ飛ばされたのを見て、邪魔をしようとした死柄木を一瞬で拘束して地面に叩きつけ、そのまま肘と膝の骨を足で踏むことで折り、急いで純狐のもとに駆け付けようとしていた。しかし、相澤が走り出したのとほぼ同時に、4,5メートル離れたところにいた脳無が相澤の目にも見えない速さで回り込んだのだ。
相澤は無視していこうとしたが、脳無がそれをさせてくれない。その後、何度か脳無を避けて進もうとしたが進めず、このままだとらちが明かないと悟った相澤が、強化が切れる前に倒してしまおうと戦闘を始めて今に至る。
(こいつッ、個性を消してこれかよ。オールマイト並みじゃねえか!)
脳無の拳をぎりぎりで避けながら相澤は戦慄する。さっきまでは脳無の攻撃を避けた後に反撃する余裕があったが、強化の効果が落ちてきたのと、長引く戦闘で疲れてきたせいで攻撃を避けるので精いっぱいになってしまっていた。
少しでも体力を回復させようと脳無から少し離れた相澤は、ちらっと純狐の方を見る。
(あいつ…あいつが戦ってる奴がこいつと同じ性能なら化け物ってレベルじゃねえな。)
目の前の脳無の挙動に注意しながら、相澤は苦笑いをする。そして、脳無のパンチを避けた瞬間、相澤の視界に、拳を構える緑谷が入った。
「緑谷!!離れろ!」
相澤は脳無から視線を外し叫ぶ。それが命取りになった。
脳無は相澤が視線を話した瞬間、余っている方の腕で相澤の肘のあたりを掴み握りつぶす。
「しまッ」
相澤は痛みに顔を歪ませながら何とか振りほどこうとしたが、そのまま後頭部を持たれて地面に叩きつけられてしまった。
脳無はうつぶせになった相澤の上に乗り、もう片方の腕も握りつぶして、完全に抵抗する可能性を消す。
「脳無!そいつを殺せ!」
死柄木は脳無に指示する。脳無はそれを聞き、必死に這い出ようとしている相澤の首を掴んで体を固定する。そして、もう片方の腕を振り上げて相澤の頭に狙いを定めた。
「先生!!」
緑谷は叫んで飛び出そうとしたが、蛙吹が前にいたせいでそれは出来なかった。
「終わりだ、イレイザーヘッド。」
死柄木がそう言った瞬間に脳無が腕を振り下ろす。その場にいた誰もがイレイザーヘッドの死を覚悟した瞬間だった。
USJの入り口の扉が吹っ飛び、爆発音とともに土煙が舞い上がった。死柄木は、何が起きたか分からないというような顔をして、土煙が起こったが所を見る。脳無も当たる直前のところで手を止めていた。
「もう大丈夫 私が来た。」
そこには、いつもの笑顔を浮かべていないオールマイトが立っていた。
「待ってたよヒーロー。社会のゴミめ。」
◇ ◇ ◇
純狐の前に急に現れた脳無は、倒れている脳無の右脇腹に手刀を突き刺す。その瞬間、倒れている脳無の傷がみるみる治っていった。
純狐はこれはまずいと思い、手を突き刺している脳無に近づき殴ろうとする。しかし、脳無は、純狐が動くのを確認した瞬間に倒れている脳無から離れたため、攻撃を避けられてしまう。
「チッ」
純狐は舌打ちをすると、回復して上半身を起こしていた脳無の顔を狙って蹴りを放つ。脳無はそれを体を横に倒すことで避ける。そして、上半身を倒したまま片足を上げて純狐を蹴り飛ばそうとした。
純狐はそれを避けようと横にずれるが、目に前に拳が迫っていた。
(やっぱりこの脳無、何かしらの透明化をッ)
純狐はとっさに右手を顔の前に出しそれを防ぐ。
(あら?思ったよりも軽いわね。)
純狐は後ろに跳ぶことで勢いを殺そうと準備をしていたが、それが必要ないくらいの威力の拳を手のひらで受け止める。そして、大きな脳無の拳に指を食い込ませて力ずくで掴み、思いっきり殴り飛ばした。純狐はその脳無が飛んで行くのを見るとすぐに横にいる脳無を足の裏で蹴るが、片手でうまく受け止められ、靴の上から足を掴まれてしまう。
脳無は先ほどので学習したのか、今度はそのまま純狐の足を握りつぶしにかかった。しかし、相澤の戦っている原作の脳無程の力は無いようで、一瞬で握りつぶすような芸当はできない。親指の骨を折るか折らないかのところで、純狐に足を“硬”に純化され、防がれてしまった。
足を握られたままの純狐はとりあえず開放してもらおうと脳無の目を狙って小さな弾幕を高速で飛ばす。それに気を取られ、足の拘束が緩んだのが分かると、純狐は足を引き抜いて足を掴んでいたのとは逆の手で放たれたパンチを避けて懐に潜り込み、肘で脳無の腹を殴る。そのまま、脳無は踏ん張りきれずに体をくの形にして飛んで行った。
「やったか!?」
純狐は脳無の飛んで行った方で上がった土煙を見て言う。そして、数秒待っても脳無が出てこないのを確認すると、今度は、さっき飛ばしていた方の脳無を確認しようと、脳無が飛んで行った方に視線を向けた。
その瞬間、土煙の中から脳無が飛び出してくる。その音を聞いた純狐は急いで視線を戻し迎撃する準備をした。しかし、
「え!?」
純狐はさっきのようにその単調な攻撃を避けてカウンターを叩き込もうとしていたが、急に現れた脳無に後ろからがっちりとホールドされてしまう。
純狐は予期せぬタイミングでの妨害に対処できない。
(まず…)
純狐は、目の間に迫っていた拳を受ける覚悟をした。その時、
「邪魔だぁ!!」
そんな叫び声が聞こえ爆発音が鳴り響く。それによって脳無の拳は少し逸れ、純狐に当たることは無かった。そして、すぐに我に返った純狐はとりあえず腕を強化して、拘束を振りほどきその勢いで、脳無の顔に肘を叩き込んだ。それが相当効いたのか、脳無はそのまま痙攣を起こし白目を剥いて倒れてしまった。
純狐はそれに見向きもせずに、目の前で脳無に対し爆撃を繰り返している自分を救ってくれた人物にお礼を言う。
「ありがとう。助かったわ。爆豪君。」
爆豪はそれを聞くと、ちょうど動かなくなった脳無に爆撃をやめて純狐に向き直る。
「うるせぇ、女狐!俺はお前を助けたんじゃねえ、自分が戦いたかったから来たんだよ!!」
「そうなの?でも、感謝だけでもさせてね。」
純狐は爆豪の言い訳?を適当に受け流すと、オールマイトが戦っているであろう広場の真ん中を見る。そこには、バックドロップの状態のまま黒霧に拘束されてピンチのオールマイトがいた。
(うん。あっちは原作通り。心配なさそう…)
と、ここで純狐に電流走る!
(あれ?このままだと…)
オールマイトピンチ! → 爆豪、黒霧を妨害!
…あれ?爆豪は?
純狐は隣で、ぶつぶつと文句を言いながら脳無たちを倒壊ゾーンの建物の中から持ってきた頑丈なロープでぐるぐる巻きにしている爆豪を見る。
純狐はとっさに爆豪の襟首を持った。当然、爆豪は暴れる。
「おい!何すんだよ!離せ!」
純狐は爆豪を目の前に引き寄せ笑顔を作る。しかし、目は笑っていなかった。その笑顔を見て爆豪は暴れるのをやめる。そこで、純狐は爆豪に向かって話し始めた。
「ねえ、爆豪君。あの黒いもやもやに復讐したくないかしら?」
「あ!?」
「やりたいわよね?やりたいわよね!やりたいわよね!?よし、やろう。やりなさい。」
純狐はそう言うと、爆豪を持ったまま野球の投球フォームを取る。
「お、おい!何す…」
「行けぇぇぇええええ!」
純狐は腕を強化し、思いっきり投げる。爆豪は抵抗むなしく広場の真ん中に飛んで行った。
お読みいただきありがとうございました!
十話ですよ!十話!
純狐さんとヒロアカの人気にあやかって始めたようなものにここまで付き合っていただいて感謝、感謝です!
捕捉
途中の熱への純化について。
あれは、”水”を熱するために”水”を純化したので大体1500度くらい出ています。
”人”を攻撃しようと”周りの空気”を熱に純化しても、「あっつ!」となる程度でそこまで熱は出ません。
一応、人を”直接”即死させるのは禁止されてるので、不思議な力が働くのです!
次回!次回、次回…ねぇ…次回……