純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

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お久しぶりです。

頑張ると言ってましたが、あまり頑張れてません。
誤字や、矛盾などがあれば教えていただけると嬉しいです。



読み返して思ったんだけど、戦闘シーン(もちろん他も)ホントひどいね。
うまくなりたい…


USJ後

 ヴィラン連合によるUSJ襲撃の後、純狐とオールマイトは別々の部屋で治療を受けていた。

 

「あんたも災難だったねぇ。これに懲りたら先生の指示には従うことだね。」

 

「…はい。すいませんでした。」

 

 純狐は脳無との戦闘ですっきりしていたので素直に謝る。

 

「それにしてもあんた」

 

 よっこいしょ、と言いながらリカバリーガールは純狐の近くの椅子に座る。その目は優し気ではあるが、何かを疑っている雰囲気をまとっているのを純狐は見抜いていた。

 

「あの何だっけか、脳無?とかいう奴と戦ったそうじゃないか。どうやって倒したんだい?」

 

 純狐は慎重に答えを考える。初めから脳無のことを知っていることを悟られたら色々面倒なことになるのは明らかだからだ。

 

「…私が戦っていた2体の脳無はオールマイトが戦っていたのとは比べ物にならないほど弱かったです。だから、私でも倒すことができました。しかし、運がよかったです。いくら弱いと言っても、攻撃をまともに受けていたらこの程度のケガでは済まなかったでしょうし、勝てていなかったでしょう。」

 

 ちなみに、話していることは事実だ。爆豪が間に合わなかったりして攻撃がまともに当たっていたら戦いを続行させることは困難だっただろう。ヘカーティアに頼んだり、多くの霊力を使ってケガを治したりすれば何らかの方法でばれた時にそれを追及されることになってしまう。

 

 雄英側にはばれなくてもヴィラン連合の方にばれ、自分が集中的に狙われるのも原作が崩壊してしまう可能性が大きくなるので大規模な回復は使うわけにはいかなかった。

 

「ん?今2体と言ったかい?」

 

 リカバリーガールは驚いた表情になる。純狐は何かあったかと自分の回答を思い返してみるがおかしなところは別段見当たらない。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや…あんたが脳無を埋めたと言った場所に脳無は1体しかいなかったよ。」

 

「え?」

 

 純狐は驚き声を漏らす。しかし、ここで黙ってしまってはリカバリーガールの自分への疑いをさらに深くしてしまうと思った純狐は、すぐに適当な答えを考える。

 

「もしかしたら、ヴィランに連れて帰られたのかもしれません。2体いたことは爆豪君に聞けばわかると思います。」

 

 そこまで、話したところでチャイムが鳴った。下校の時間になったようだ。

 

「おっと、もうこんな時間か。歩けるかい?」

 

 リカバリーガールは純狐の足を見る。包帯が巻かれていてとても痛々しい。普通の人であれば松葉杖がなければ動けないが、純狐は霊力で少しずつ肉体を回復させていたので歩く程度であれば問題は無かった。

 

「大丈夫です。個性の影響で少し回復が早いので。それよりも、オールマイトは大丈夫ですか?かなり激しい戦いをしていたようですけど。」

 

 純狐は出入り口に手をかけながら振り返る。

 

「ああ、オールマイトは気にしなくていいよ。大丈夫だ。2、3日すれば復帰できるよ。」

 

「それならよかったです。では、ありがとうございました。」

 

 純狐はそう言うと外へ出て行った。

 

◇  ◇  ◇

 

「怪しいところは特になかったね…。白でいいんじゃないか?」

 

 翌日、雄英の教師たちは集まって会議を開いていた。中心となる議題はもちろんヴィランによる1-A襲撃だ。

 

 リカバリーガールが話し終わると、数人の教師は安堵の息を漏らす。

 

「まあ、もしものためだったけどな…。よかったよ。」「あの個性が敵に回ったらホントにまずいからねぇ。」

 

「それよりも、本当に一人で2体の脳無を倒したのかい?聞く限り生徒が倒せるような奴ではなかったようだが。ああ、爆豪君の支援もあったんだっけ。」

 

 一人の教師が質問をする。知らされていなかった教師たちからは驚きの声が上がり、知っていた教師からは唸るような声が漏れた。

 

「ああ、爆豪君に電話で尋ねたら2体を相手にしていたのは本当みたいね。でも、オールマイトが戦っていた奴と比べると赤ん坊のようなものだったらしいよ。」

 

 答えたリカバリーガールは会議に参加している警察の方を見る。

 

「はい。血液などを採取して調べたところ、個性抜きの力はオールマイトが戦っていた方の2分の1程度、増強系の個性は2個、ショック吸収は持っていないようでした。」

 

 リカバリーガールに見られた警察が立ち上がって答える。脳無が個性を複数持っていることはさっき説明があっていたので今は特に驚きの声は上がらない。

 

「それでもおかしいんだがな…。」

 

質問をした教師は下を向いてため息をつく。他の教師も同じような反応をしているものが多い。

 

 ここでミッドナイトが手を挙げる。

 

「ねえ、オールマイト先生。最後、落月さんは“本気で”脳無を殴ったのよね。」

 

 今まで、腕を組んで何か考えていたらしいオールマイトは突然の質問に驚き、びくっとするがすぐに顔を上げる。

 

「あ、ああ、そうだと思うぞ。それがどうかしたのか?」

 

「いや、この時期の生徒は個性の扱いにあまり慣れていないから人を殴るのに少しはためらうはずなのよね。まあ、たまに例外もいるんだけど。」

 

 教師は、その意見を聞いてざわざわとし始める。

 

「確かにそうだが…。オールマイトが本気で戦っているのを見て大丈夫だと思ったんじゃないか?」「でも、体が真っ二つになったんでしょ?脳無じゃなかったら死んでいたのよ。」

 

「はいはい、そこまで。あんまり生徒を疑うのは良くないよ!それよりも、今度の体育祭のことを話し合おう。」

 

 と、ここで校長が入り、話は体育祭のことに移った。その後は特に何もなく話し合いは進んでいった。

 

◇  ◇  ◇

 

 会議が終わった後、オールマイトは帰る準備をしながら考える。

 

(最後…落月少女は一発で脳無を破壊した…。いくら私の攻撃で弱っていたとは言え恐ろしいパワーだな…)

 

 荷物をまとめ終わり扉を出る。廊下ですれ違う教師たちからは、USJのことや体育祭のことが聞こえてきた。

 

「…だろ?!でも、今年のメインは1-A…特に落月、轟あたりだろうなぁ。どう思う?」

 

「あ~やっぱ落月じゃないか?あいつの個性と比べたらどんな個性も霞んで見えるぜ。それに容姿も整ってるからな。」

 

「容姿もだけどメディアからの印象もいいみたいよ。あのマスコミ事件の時にすごい丁寧に対応してたんだってさ。」

 

 オールマイトは挨拶をしながらその横を通り過ぎる。そして、また純狐のことを考え始めた。

 

(戦闘にも慣れているように見えたし…。彼女を次の平和の象徴に…)

 

 ここまで考えてオールマイトははっと顔を上げて首を振った。

 

(いやいやいや、何を考えているんだ私は。出久君を選んだじゃないか。彼も頑張っているんだしそれを無下にするようなことを考えるなんて)

 

 そうは思うものの、やはり象徴は強さも必要だ。今、先生たちに出久と純狐、どちらが次の象徴にふさわしいか聞けば、誰もが純狐だと答えるだろう。

 

「…今、あまり深く考えるのはやめよう。」

 

 警備員がたっているのを見てマッスルフォームになり、目の前の出入り口から出る。外は夕暮れ時で、夕焼けがきれいだった。

 

(おお、きれいだな)

 

 オールマイトはそれを見てうっとりとし、自分の車を停めている場所へ向かう。その時、突然声がかけられた。

 

「オールマイト先生。」

 

 マッスルフォームを解こうとしていたオールマイトは驚き、声の聞こえた方を見る。

 

「…落月少女。どうしてここに?」

 

 今日はヴィランの襲撃の影響で1-Aは休みになっていた。純狐は少し下を向いたまま答える。

 

「話しておきたいことがあって…少し時間よろしいでしょうか?二人で話したいのですが。」

 

 オールマイトは、純狐のいつになく真剣な様子を見て、何かあるのであろうと思い、純狐の頼みに答えることにした。

 

「分かった。じゃあ、ついてきてくれ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 純狐は頭を下げる。オールマイトは、そんなかしこまらなくても…という感じでHAHAHAと笑うと、仮眠室に向かって案内を始めた。

 

校舎に入る瞬間、オールマイトには、夕日の反射でよく見えなかったが、鏡に映った純狐が笑っているように見えた。

 

 

 

 仮眠室につき椅子に座ると、純狐は早速話を始めた。

 

「では、時間もないので話し始めたいと思いますが…本題の前に1ついいですか?」

 

「なんだ?」

 

 お茶を机に並べながらオールマイトは聞き返す。

 

(オールマイトが普通サイズの湯呑を持っているのを見ると、少し力を加えるだけで割れそうね)

 

 湯呑を持ったオールマイトの様子を見てそんなことを思うが視線をオールマイトの手元から戻す。

 

「オールマイトって、個性、出久君に似てますよね。何か関係があるんですか?普段も、親しくしているようですし。」

 

「ぶふぉっ!?」

 

 オールマイトは予想外の質問に、飲みかけていたお茶を噴き出した。純狐は、オールマイトが持っている湯呑が割れないかハラハラしている。

 

「すまんすまん。え?なんだって?」

 

「大丈夫ですか?いや、出久君との関係のことですが…。」

 

「なななななにもないよ。単に、言ってもらったように個性が似てるから気にしてるだけさ。」

 

(さすがにここでは話してくれないか)

 

 純狐は、オールマイトがポケットから出したハンカチで口元をぬぐいながら答える様子を見ながら思う。

 

「そうですか。じゃあ、本題に入ります。」

 

 純狐は姿勢を正し、手を軽く上げその手のひらを見る。

 

「私の個性は限界があります。それを超えると個性が使えなくなってしまうんです。限界というものは…説明しずらいのですが…。」

 

 そこで純狐は少し考えるしぐさをしながらオールマイトの顔をうかがう。オールマイトは湯呑を持ち上げながら呆然とした顔を向けていた。

 

 作画の違うガチムチおじさんが、小さな湯呑を持ち上げたまま固まっているという奇妙な光景に純狐は笑ってしまいそうになるが、我慢して話を続ける。

 

「そうですね…水の溜まった水槽があって、個性を使っているとき、その水を少しずつ、継続的に抜いている感じでしょうか…。」

 

 ここで、呆然としていたオールマイトが口を開く。

 

「ちょっと待ってくれ!どうしてそんなことがわかるのかい?今まで私は純化なんて個性は聞いたことが無いのだが?」

 

(それは、まるで…)

 

 オールマイトは純狐に疑問をぶつけながら、冷や汗を流す。

 

(私の消えゆくワンフォーオールのようではないか)

 

「それはですね…。えっと、私の育て親の話は聞いてますか?」

 

 オールマイトはどうしてそれを聞くのか分からないが、とりあえず頷く。

 

「落月神獄さん…だっけ。」

 

 純狐はオールマイトの答えを聞き頷く。

 

ちなみに、落月神獄という名前はヘカーティア、クラウンピース、純狐が集まって3時間も話し合って決めた名前だ。ヘカーティアが変な名前ばかり提案するので時間がかかってしまっていた。

 

 そんなことを思い出しクラウンピースにそろそろ会いたいなー、など思いながらオールマイトとの会話に戻る。

 

「そうです。実は彼女がその純化持ちでして…。彼女から聞いたんですよ。突然変異だったらしいんですけど。」

 

 オールマイトはそれを聞くと、えっ、という顔をして笑顔を引きつらせる。個性は親から子へと受け継がれるので、そういうことを考えたのだろう。

 

 純狐はそんなオールマイトの様子を見て、しまったと思うが適当に言い訳を探す。

 

「あー、別に神獄さんが親ってわけではないですよ。稀に、ほんと稀に親ではなく血のつながっている親戚などから個性が受け継がれることがあるらしいんです。」

 

 オールマイトはそれを聞くと引きつらせていた顔を戻し、申し訳なさそうな顔になった。

 

「顔に出てしまっていたか。すまない。でも、そんなことがあるんだな。初めて知ったよ。」

 

 気にしてないですよ、と言いながら純狐は説明を続ける。

 

「で、純化が知られていないのは、彼女には、あまり個性のストック?容量?が無かったからです。発現して半年ほどで使えなくなってしまったらしいんですよね。」

 

「そんなことが…。でも、今のところ神獄さんと君だけだろ、純化使えるのは。神獄さんだけの例で分かるものなのかい?」

 

 オールマイトはワンフォーオールに似ているという事でかなり詳しく聞いてくる。その話し方は、緊張を必死に隠してはいるが、少し早口になってしまっていて完全に隠すことはできていなかった。

 

(あと一押しかな)

 

 そんなオールマイトの顔やしぐさを純狐は慎重に観察する。顔はいつもの笑顔で分かりにくいが、ひっきりなしにお茶を飲み、落ち着きが無かった。

 

「彼女の話では、使うたびにパワーが落ちていったらしいんですよね。幼い頃だったので彼女自身は詳しくは覚えていないらしいのですが。でも、彼女の家族などがそれを鮮明に覚えていて、それは確かだと思います。」

 

「そうなのか…。少し、変なことを聞くようだが…その…純化は誰かに譲渡したりできるのかい?」

 

(おっ、来たわね。まあ、だからと言って何かあるわけではないのだけれど)

 

 覚悟を決めたような表情で話すオールマイトに対し、純狐の表情は変わらない。

 

「出来ませんよ。というか、個性の譲渡ってできましたっけ。」

 

「いや、何でもないんだ。気にしないでくれ。」

 

オールマイトはその答えを聞くと安堵の息をついた。それに対し純狐は、一瞬はっとした顔をすると顎に手を当てて何か考えるしぐさをする。

 

「どうかしたのかい?」

 

 不思議に思ったオールマイトが尋ねると、純狐はオールマイトの腕などをちらっと見て、考えるしぐさをやめた。

 

「先生…さっきより、腕しぼんでませんか?」

 

 オールマイトはハッとして腕を見た。しかし、目に見えてしぼんでいるわけではない。ずっと見ていて、気づくか気づかないかという程度だ。

 

「そうか…?そんなことないと思うが…」

 

 オールマイトは自分の秘密を知られるわけにはいかないので、純狐の言ったことを否定した。

 

「そうですか?そう言えば…」

 

 純狐は少し上を向く。オールマイトはその何かを思い出すかのようなしぐさに少し身構えた。

 

「USJで全盛期なら5発で倒せたとか言ってましたよね。オールマイトの全盛期といえば7,8年前…いくらそれだけ年を取ったといっても300程も打たなくてはならなくなるのはおかしくないですか?」

 

 ここでいったん話すのをやめた純狐はオールマイトの顔色をうかがう。オールマイトの顔は何とか笑顔を保ってはいるが、引くついて、冷や汗も止まっていなかった。

 

「HAHAHA、そう言われるとぐうの音も出ないね。衰えるのは思ったよりも速いってことだよ。」

 

 オールマイトは純狐が自分を疑っていることに気づくと、笑ってごまかそうとする。

 

「オールマイト…何か隠していませんか?今、話したことで、ある程度考えが整理できました。オールマイト、あなたの個性はわたしのと似たようなものではないのですか?そうだとすると早すぎる衰えや、継続的な使用による体への影響…つまり、筋肉のしぼみなども説明できるのですが。」

 

(そろそろ、話てくれないかなぁ)

 

純狐はそんなことを思いながらオールマイトの秘密を暴いていくようなことを話す。しかし、オールマイトの顔を見る限り話すつもりはないようだ。

 

 そんな、オールマイトの様子を確認すると、純狐は大きなため息をついた。

 

(ちょっと無理やりになるけど…。これでだめだったら諦めましょうか)

 

「はぁ、オールマイト、実は私、出久君に聞いてるんですよ、あなたの秘密。」

 

「!!」

 

 純狐の発言にオールマイトは今までに見せたことがないほどの動揺を見せた。その証拠に、今まで崩さなかった笑顔が崩れてしまっている。

 

「出久君に渡したんでしたっけ。」

 

「ちょっと待ってくれ!出久君に個性を譲渡?何を言っているんだ。個性の譲渡はできないと、さっき言っていたではないか。」

 

「私は“個性”の譲渡、とは言ってませんよ。」

 

 オールマイトは発言をからめとられて顔色がどんどん悪くなっていく。

 

(あと少し…)

 

 純狐はさらに畳みかける。

 

「話すとそんな不都合があるんですか?私は、口は固い方ですよ。」

 

 オールマイトは純狐にそう言われると、首をがっくりと下げ何も言わなくなってしまった。純狐は、それを見ると優しい声で語りかける。

 

「オールマイト…もし、そんなことが本当にあるのだとすれば、私に手伝わせてください。まだ、子供なので出来ることや考えの至らないことも多々あると思いますが、力だけはあるので手伝えることもあると思います。そして、似たような個性を持つも者として何か対策があれば見つけていきましょう。」

 

 顔を下げていたオールマイトはそのまま純狐の話を聞く。純狐が話し終わり、数秒がたって、純狐が失敗したか、と思い始めた時、オールマイトは急に話し始めた。

 

「…分かった…。話そう、私の秘密を。しかし、その前に一つ教えてくれ。出久君はいつ君にそのことを話したんだい?」

 

(確か、オールマイトが出久君に再度忠告したのが戦闘訓練の日だから…)

 

 純狐は原作の知識を思い出す。戦闘訓練の後、出久は爆豪に個性が借り物であることを話して、オールマイトから注意されていたのだ。その後、出久は個性に関しては話すことがほとんど無くなったのでその前に話されていたといった方がいいだろうと純狐は考えた。

 

「えーっと、戦闘訓練の前ですね。」

 

「そうか…」

 

 オールマイトはそう言うとトゥルーフォームになり自分のことについて話し始めた。

 

 

 

「HAHAHAまあこんなところさ。長くなって悪かったね。」

 

 オールマイトは話しているうちにいつものテンションに戻っていた。

 

「ありがとうございました。」

 

 純狐はここで外が暗いことに気づき、時計を見る。いつの間にか7時を過ぎてしまっていた。

 

「遅くなってしまいましたね。」

 

「ああ、そうだな。」

 

 オールマイトと、純狐はほぼ同じタイミングで立ち上がり、オールマイトは、お茶の片づけを、純狐はそのまま帰る準備を始める。

 

「では、失礼します。」

 

「さようなら、落月少女。改めて言うが今日話したことは秘密だからな。」

 

「分かってますよ。」

 

 純狐はそう言うと、扉に手をかける。そして、急に動きを止めた。

 

「オールマイト、言い忘れてました。出久君に教えてもらったというのは嘘です。騙すようなことをしてしまいすみませんでした。」

 

「えっ!?」

 

 純狐はオールマイトの驚きの声を聞きながら扉から出た。そして振り返り、不敵な笑みを浮かべる。

 

 オールマイトはその顔を見ると、なんとも言えないような笑顔を浮かべた。

 

「HAHAHA…してやられたよ。私も気を付けなくてはな。」

 

「本当にすみませんでした。」

 

「いやいや、いいよ。私の注意不足だ。それに、君も自分の秘密を話してくれただろ?」

 

 オールマイトは本当に怒っていないようだ。純狐はそんなオールマイトの懐の深さに驚き、一瞬呆けた顔をするがすぐに軽く息を吐き、表情を戻す。

 

「優しいんですね。私も、そういう大人になりたいものです。それでは。」

 

「そう言ってくれると嬉しいな。じゃあ、また明日な。」

 

 オールマイトの声を聞き終わると、純狐は仮眠室の扉を閉め帰路に就いた。

 

 

 

 純狐が帰った後、仮眠室でオールマイトがぼーっとしていると、リカバリーガールが入ってくる。

 

「かなり長い時間話してたね。何を話してたんだい?」

 

「ああ、リカバリーガール。お疲れ様です。話してたのは、彼女の個性についてと、私の…ワンフォーオールについてです。」

 

「ワンフォーオールについて話したのかい!?」

 

 リカバリーガールは今まで、怪しいと言っていた純狐に対し、個性のことを話したことに驚く。

 

「うまく、誘導されてしまってですね…。それに、彼女の個性とワンフォーオールは似ている点も多かったので、話してしまいました。」

 

 リカバリーガールは眉間を抑えながら、大きなため息をつく。

 

「はぁ~。まあ、あんたがいいならいいんだけど。」

 

「じゃあ、私も帰りますね。」

 

 オールマイトは時計を見て、純狐が帰って30分ほどたってしまっていることに気づくと、腰を上げた。

 

「お疲れ様。ほどほどに頑張りなさいね。」

 

「HAHAHA、そうですね。」

 

 オールマイトはそう言うと、リカバリーガールに頭を下げて部屋を出た。

 

 外に出たオールマイトは、明るく光っている月を見つめる。

 

「きれいだな。」

 

 オールマイトはそんな綺麗でありながらも妖しく、神秘的な月を見て純狐を思い浮かべる。

 

(落月少女はどうしてあんなに私のことについて知りたがったのだろう)

 

 車を運転しながらそんなことを考える。その答えは、今は分かりそうになかった。

 




お読みいただきありがとうございました!

どんどん忙しくなってきてこのくらいが限界かもしれません。
駄文のくせに更新も遅いってどうなんだろ…。

次回!時間が少し巻き戻って、USJの後始末。の予定…
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