「あー楽しかった。人と話してこんなに盛り上がったの始めてね。」
純狐は家に帰るとニコニコ笑いながら鼻歌交じりにシャワーを浴び始めた。
そして着替え終わると、窓のそばにある椅子に座って、少し暗くなり始めている空を見上げる。
(なんか、空を見ていると心が落ち着くわね…)
そんなことを考えながら、リラックスしようと目を閉じた。すると目の前に、幼いころの自分が先ほどと同じような幸せな笑みを浮かべ、数人と談笑している映像が流れだす。
話題は何なのだろうか、誰かが何かを言うと、それに反応した自分が顔を真っ赤にしてポカポカとその誰かをたたく。それを見て、周りの皆は笑っていた。
その映像に吸い込まれそうに感じた純狐は、目を開け、椅子から立ち上がって部屋を見るが、もちろん純狐以外には誰もいない。
「…ん?どうしたの純狐?何かあった?」
手の鍵穴から不思議そうなヘカーティアの声が聞こえる。
落ち着きを取り戻した純狐は、ヘカーティアに、何でもない、と答えると、また、ゆっくりと椅子に座った。
そして、日が完全に沈み、星が見え始めた空を改めて眺める。その目は、空よりも遠いところを見ているようだった。
(そうね…初めてなんかではなかったわ)
純狐は手を空に向かって伸ばす。
「名も顔も忘れた旧友たちよ、見ているか。私たちは、もう会うことも話すことも叶わないだろう…。しかし、もし…もし会うことがあるならば、もう一度でも会うことができるならば、何に囚われることもなく、純粋に世間話でもしてみたいものだな。」
言い終わった純狐は、その後も数分間、空を眺めていたが、不意に笑って立ち上がったかと思うと、いつもと変わらぬ声で、鍵穴に話しかける。
「ヘカーティアー!クラピちゃんを連れて今からこっち来ない?晩御飯、一緒に食べましょ。」
「えっ、友人様が作るんですか!?もちろんです!ご主人様早くいきましょう!」
「分かったわよ、クラウンピース。ちょっと待ってなさい。」
純狐は鍵穴から二人の会話を聞くと、料理の準備を始める。
「さてと、何作ってあげようかしら。とりあえず、サラダからね。」
純狐が野菜を洗い始めると、ヘカーティアとクラウンピースが部屋にやってくる。
「うわっ、部屋綺麗ですね。ご主人も見習って下さいよ。」
「別にいいでしょ!誰に迷惑をかけているわけでもないし!」
「この前、書類が無くなったって騒いで私やその部下に迷惑かけたのは誰でしたっけ?」
「そのあとパフェ食べさせてあげたからいいじゃない!」
ヘカーティアたちが騒いでいる内に、純狐が様々なサラダの入った皿と食器を机に並べていく。
「簡単だけど、サラダできたわよ。」
「「いただきま~す!!」」
純狐の言葉を聞いて、ヘカーティアとクラウンピースは我先にと自分の皿にサラダを取り始めた。
純狐はそんな二人を見て、久々に賑やかな食事になりそうだと心を躍らせて料理を作っていくのだった。
こんなのもあればいいなって。
次回!わがんね。