純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

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こんにちは!

息抜きで書いていたのができたのでとりあえず投稿です。
書くのが癖になってるんですよね…。
勉強しなきゃ…(焦燥)

(模試の結果を見て)
「どういうことだ、オイ…こいつ死んでるじゃねえか…!」


障害物競争2

「何これ…。入りたくないんだけど。」

 

 ここまで快調に進んでいた純狐は、急に地面から生えてきた巨大な真っ黒の箱を前にして立ち止まる。原作とのずれを修正するのは豊姫が入ってきた時点で諦めていたので、そこまで焦ることは無かったが、邪魔をする宣言をされた状態で文字通りブラックボックスに入るのは抵抗があった。

 

『第三関門、ブラックボックスだ!中は真っ暗で様々な障害物が設置してあるぞ!それを時には避け、時には壊しながら突き進め!障害物が追加されることは無いから、先に入った奴ほど不利だぞ!』

 

 明らかに自分を狙ったように追加された障害物の説明を聞き、少し呆れる純狐だが、長時間立ち止まっているわけにもいかないので、どうするか考え、一つの結論を出す。

 

「中に入って思いっきり殴れば解決なんじゃ…」

 

『そーんなこともあろうかと、ちょっと仕掛けがあるぞ!中にある障害物には強い衝撃を加えると爆発して周囲に強粘着性の液を飛び散らせるようになっているものもある!つまり、下手に強行突破すると動けなくなってしまうという事だ!』

 

『なんかお前も必死だな。』

 

 純狐はその説明を聞き、中に入ろうと踏み出していた足を止め箱を観察し始める。

 

(まずいわね…。豊姫がどこまで出しゃばってくるか分からないからまだ何とも言えないけれど、私の一人勝ちの妨害をする上ではこの液を利用しない手は無い。だからといって私が“穢れ”なんかを使ったら遊びじゃなくなってしまうかもしれないし…)

 

 箱は、高さと幅は50メートル程、長さは200メートル程の長方形で、目立った特徴も無い。高さと幅が25メートル程の入口には、黒く細い布が中の様子が見えないよう、幾重にも付いていて、お祭りなどでたまに見るお化け屋敷の入り口のようだった。

 

(豊姫の位置が分かれば楽なんだけどなぁ。最悪なのは、手の届かない場所で一方的に妨害してくることなんだけど…)

 

『オイオイ、落月どうした!何か問題でもあったかー!轟と爆豪が迫ってるぞ!』

 

『明らかに自分を標的にしたかのような妨害に戸惑ってるんだろうよ。』

 

 純狐が箱を観察したりしているうちに、轟たちが純狐から約200mの距離まで近づいて来ているのを見ながら相澤は言う。純狐は爆発音を聞き、二人が近づいていることが分かると、箱の入り口を見て深呼吸をした。

 

(正直これは私も危ないからしたくなかったけど、豊姫が中にいたら一番有効なはず!)

 

 深呼吸を終えると同時に、純狐は指の先を切って血を流す。血が流れ始めたのを確認すると、頭の1メートル程上に水を作り出して血の付いた手を突っ込み、すぐに引き抜いて、その水を血に純化し、間髪入れずに鉄に純化した。

 

『うおッ!鉄の球体ができたぞ!どうなってんだー!』

 

「よし、ここまで成功。後は…」

 

 純狐はそう言うと、鉄の塊を箱に蹴り入れ、熱に純化。すると、何かが爆発するような音がする。鉄が気化したのだ。

 

 純狐は自分の前に風を起こして熱風と気化した鉄を吸い込むことを防ぎ、鉄を熱に純化させた場所を今度は“寒”に純化すると、限界まで足を強化し、箱の中に跳びこんだ。箱に入ると同時に自分の前方を殴って障害物を吹き飛ばし、そのまま出口へ、数十メートルおきに障害物をどけながら進んでいく。

 

(ここまで妨害なし、っと。鉄の気化で豊姫が近くにいた場合の錯乱と入り口近くの液爆弾の処理。それに伴う障害物の安全な撤去。サーモ機能の無効化。多分これが今、私のできる限界!)

 

 中はプレゼントマイクの説明通り真っ暗で手を伸ばすと自分の肘も見えないような様子だったが、障害物はほぼ無くなっていたので純狐は止まることなく、真ん中あたりまで進んでいった。

 

「いい感じね。強化した足で跳んで進むと地面に落ちた粘着液を踏む可能性も少ないし、踏んだとしても強化してあるから姿勢が崩れる位で済むでしょう。真っ暗で天井がどこにあるか分からないから、大きくジャンプして一気に突破することができないのが痛いけれどね。」

 

 この辺りまでくると、粘着液が溜まっていると思っていた純狐だが、数度、前方に腕を振るっていたおかげで、地面が軽くえぐられていたらしく粘着液に捕まることは無かった。

 

「あッ」

 

 ここまでかなり順調に進んできている純狐だったが、少し油断してしまっていたのか跳び出す場所にちょっとした穴があったことに気づかず足を取られてしまいつまずいてしまう。

 

「おっと、危ない危ない。」

 

 純狐は体制を立て直し、風の流れでゴールまでの道を再確認すると、足を適度に強化して跳びだす準備をする。しかし、その瞬間悪寒がし、横に飛びのいた。そして、自分を覆うように水を展開すると、それが半円の形を保っているうちに凍らせて氷の壁を作る。

 

 それとほぼ同時に爆発音と水の飛び散るような音が聞こえ、氷の壁の外側に粘着液と思しき黄緑色の液が付く。純狐はそれを見ると、氷の壁を強化した手で殴り、粘着液の付いた氷を周囲にまき散らした。

 

 そして、間髪入れず足を強化し、ゴールへ向かおうとするが、目の前に急に出てきた土の壁にぶつかって止まってしまう。

 

「…遅かったわね。豊姫。」

 

 純狐は振り向き真顔で言う。その声に答えるように周りが明るくなり、服の端に少し煤の付いた豊姫が現れた。

 

「あのさぁ…、さすがに鉄は無いでしょ。私といえども熱いわよ。それに入口あたりに爆弾を集めていたから、爆弾のストックもあんまりないし。」

 

 豊姫は手に持っていた爆弾を純狐に向かって投げつける。純狐はそれを読んでおり、豊姫が現れた瞬間にそれの中身をただの水にしておいたので避けずに手ではじいた。

 

「ねえ、豊姫。あなたその能力で妨害するつもり?お互いに楽しくないでしょ。」

 

 豊姫の持つ【海と陸を繋ぐ程度の能力】は、指定した空間を好きに転移させることができる能力で、その精度とスピード、転移させることのできる規模は、あの八雲紫ですらどうしようもないほどのものだ。

 

 そんな能力を使われると、今の純狐にはどうしようも無いのである。

 

「ん?私は楽しいけど?」

 

「ダメだこいつ…。」

 

 笑顔で答える豊姫に呆れた表情を向ける純狐。そんなことをしていると、遠くから爆発音が聞こえた。豊姫はそれを聞くと明かりを消す。

 

「じゃあね純狐。このエリアで私が妨害することはもうないと思うわ。それにさすがの私もそこまで酷い妨害はしないわよ。あんまりやると、ヘカーティアに怒られちゃうし。じゃあね~。」

 

 気の抜けた声と共に豊姫の気配が無くなると、純狐は少しホッとする。そして、もう一度風の流れを読みゴールの方向を確認すると、足を強化した。

 

(まあ、どこまで信用できるか分からないから、注意はしないといけないけどね)

 

 純狐はそう考え、気を引き締めるとゴールに向かって跳び出した。

 

 しかし、跳び出した瞬間、純狐は突然現れた10個ほどの爆弾に突っ込むことになる。が、勢いは衰えず、ゴールまで1メートルのところあたりに着地することはできた。

 

 着地した純狐は、怒りに肩を震わせ、大声で叫ぶ。

 

「ふっざけんなよ!!いや、もう…マジでふざけるな!あいつ、今度出てきたら全身からキノコを生やしてやる!」

 

 どこからともなく聞こえてくる笑い声に、さらに怒りを募らせながら、純狐は第三関門を抜けた。出口に付いていたひらひらに粘着液が付かないように加工されていたのが、唯一の救いだった。

 

 第三関門を抜けたと同時にプレゼントマイクの声が聞こえてくる。

 

『さあ、落月、中が見えなくて、実況することが無かった実況殺しの第三関門を攻略―!しかし、べっとべとだな!二つの意味でやったぜ!』

 

『お前…大丈夫か?ヒーローとしても人間としても。そして、落月。お前はもう少し考えろよ。』

 

 相澤の言葉でさらにイライラを募らせる純狐。しかし、冷静さを失うと邪魔されたときに対応できないかもしれないので深呼吸をし、冷静さを取り戻す。

 

 落ち着いてからいったん体に付いた粘着液を確認する。そして血の流れている場所に付いた粘着液だけが溶けて流れ落ちていることに気づいた。

 

「もしかして…」

 

 純狐はそう呟き、水を少量作ると、粘着液にかける。すると、粘着液は溶けて簡単に流れ落ちた。

 

「ああ、水に溶けるのか。なら…」

 

 純狐はそれに気づくと頭上に水を作り、それを浴びた。服が濡れるのは特に気にしていない。

 

『あっ、気づきやがった!』

 

 プレゼントマイクの声と共に黄緑の粘着液が落ちいつも通りに姿に戻った純狐は最終関門に向かって行く。

 

 その時、純狐の後ろから、大きな音が聞こえた。純狐は何が起こったかを確かめるため一瞬後ろを振り返る。

 

「えっ、箱ないじゃん。」

 

 そこにあったのは、今さっきまであった箱が、開閉可能なスタジアムの天井のようなかんじで、真っ二つに分かれ、地面に収納されていく姿だった。純狐は驚きの表情を浮かべて、走るペースを少し落とす。

 

『オット、テガスベッチャター。と、いうわけで喜べ生徒諸君!第三関門は無くなったぞ!…っていうか、障害物ほとんど無くなってるじゃねぇか!落月、お前やりすぎだろ!!』

 

「いやいやいやいや。まあ、いいんだけどね?ちょっとひどくないですか。」

 

 純狐はそう言い、画面に映る実況席を見る。それに気づいたのか、純狐の様子を見ていた相澤は(包帯でよく見えないが)ニヤリと笑う。

 

『まあ、ヒーローは理不尽を乗り越えていく存在だからな。』

 

「はぁ~」

 

 純狐はため息をつくと、ペースを戻して進みだすのだった。

 

 

― ヘカーティアside ―

 

「ハハハッ、豊姫もやってるわね。これも飽きてきたし。やめましょうか。」

 

 真っ暗な空間の中、ヘカーティアはもうほとんど動かなくなってしまったエンデヴァーを見る。そして、エンデヴァーに近づくと、何か呪文を唱え、エンデヴァーの記憶をいじって解放した。

 

「…ん?ここはどこだ?それに最高に嫌な夢を見ていた気が…」

 

 起き上がったエンデヴァーは周囲を確認する。すると、どこからともなく声が聞こえてきた。

 

『元気ですか?私です私。神様です。』

 

「こいつ、直接脳内に…!」

 

 エンデヴァーは顔をしかめて頭を押さえる。

 

『えーっと、あなたに、何か悪いことを考えたりすると頭が痛くなってしまう呪いをかけました。頑張ってください。』

 

 真っ暗な空間の中、突然そんなことを言われて納得する奴などいない……はずなのだが、エンデヴァーは笑ってそれを受け入れる。

 

「ハハハ、いいですよ。」

 

 その答えを聞いたヘカーティアは、エンデヴァーの前に姿を現し、元の世界に戻す準備をする、と同時にエンデヴァーの性格をもとに戻す。

 

「はい、じゃあ、このゲートを潜ったら帰ることができるから。じゃぁね。」

 

 性格がもとに戻ったエンデヴァーは、本気で悩ましそうな表情をして、へたり込んでしまった。

 

「俺は、なんて軽はずみな約束を…。」

 

 エンデヴァーは自分を恨みこそするが、不思議とヘカーティアに抵抗する気が起きなかった。恐怖が体にしみこんでしまったのだろう。

 

「まあ、あなたならできるはずよ。あっちの世界ではできていたんだし。」

 

「そうですか…。」

 

 エンデヴァーはそう言うと、ゲートを潜って盛り上がる観客席に帰っていった。

 

― 数分後… ―

 

「ふぉぉおおおお!ショートー!頑張れー!」

 

 爆豪と2位を競い合う轟を、大声で応援するエンデヴァー。それを、いつもの居間で見ていたクラウンピースは、別の画面で純狐を見ているヘカーティアの方を向き、苦笑いをする。

 

「ご主人様…、性格変えたままですね?」

 

「いや、性格を少し丸くしただけよ。あんな風になるってことは、元々あのような思いを持っていたってこと。まあ、見てて飽きないでしょ?それに、彼も轟君とかの前では今まで通り、というか原作通り振舞うんじゃない?ダメならまた調整するわ。」

 

 ヘカーティアはそう言うと、新しいポテチの袋を開けて食べ始めた。

 

― side out ―

 

 

 純狐はこの体育大会で未だ全力を出せずにいた。下手に力を使えば、今まで手を抜いていたと非難されるかもしれないからだ。

 

 しかし、今。豊姫のこともあり、純狐はかなりイライラしていた。そう、イライラしていたのだ。

 

『さあ、ついに最終関門!地雷原だ!これも先に着いた奴ほど不利だぞ!それに、空を飛ぶ奴のために誘導ミサイルもあるぞ!!』

 

 別に純狐は、殲滅のようなことが嫌いなわけではない。無双ゲーなどもたまにプレイするくらいには好きだ。今までしてこなかったのは、力の差がありすぎて面白くなかったのと、頭を使って最低限の力で切り抜けたりする方が好きだからである。

 

 しかし、頭を使い続けるとストレスが溜まるのは純狐も同じである。ストレスは少し暴れて発散させるのが一番いい、と純狐は考えていた。

 

『おーっと!?落月上空へ行ったー!おいおい、速すぎて誘導ミサイルのAIが反応できてないぞ!サポート科改良しといてくれよ!!』

 

『…あいつどこまで行く気だ?コースを出なければいいとは言ったが…。』

 

 純狐は、最終関門に着くと同時に、地面を蹴って上空へ行く。上空でも数回空を蹴ってさらに上っていき、雄英の校舎より上に行くと、上るのをやめ、霊力を練り始めた。

 

「よし、今回は出血大サービスしましょうか。幸い、私の純化の底が知れてないので、そこまで疑われないでしょう…無いよね?」

 

 高速で落下しながら、作り出した霊力を純化させ、より質の高いものにしていく。地雷原の中心あたりの上空50メートルくらいのことまで来ると、純狐はほぼ準備を終わらせていた。

 

「純化…さすがにヤバくないか?あの個性。本気で対策を立てておかないとあいつが暴れた時止められなくなるぞ。」

 

 プレゼントマイクはいつになく真剣な表情で、上空の純狐を見る。純狐は稀に見せる嗜虐的な笑顔を浮かべていた。

 

「それができれば苦労はしない。今のところは、何かあった時はオールマイトが動いてくれることになってる。」

 

「それなら安心か。」

 

 プレゼントマイクは軽く息をつくと、実況を再開した。

 

『さあ、後続もどんどん迫ってきているぞ!二位争いは若干、轟が有利か!?』

 

『オイ、オイ、後続をいったん止めろ。何か嫌な予感がする。』

 

 純狐を見ていた相澤は青い顔をして(包帯で見えにくいが)プレゼントマイクに指示する。プレゼントマイクも何か感じとったようで、轟たちに向かって話しかけた。

 

『オーイ、轟、爆豪、いったん止まってくれないか?』

 

 もちろん納得できず、進み続ける轟たちだが、上空の純狐を見ると、足を止めてしまう。

 

「…確かにヤバそうだな。」「あいつ何してんだ?」

 

 得体のしれない物を感じて、妨害合戦をやめ、最終関門手前で立ち止まる轟と爆豪。純狐は霊力を若干使って、落ちる速度を緩め、二人の方を向いて話し出す。

 

「あら、早かったわね。ごめんだけど、後少し待ってくれr…」

 

 純狐がそこまで言ったところで、爆豪が我慢できずに純狐に向かって跳び出す。しかし、爆豪は見えない壁にぶつかって、元居た場所あたりまで戻されてしまった。

 

「だから少し待ってくれって頼んだのに…。あっ、聞こえてないか。まあ、折角だからそこで見ててね。」

 

 純狐はそう言うと、練り上げた霊力を集束させていき、腕を上にあげる。そして、すぐに腕を振り下ろすと、レーザーのような光が地面に向かって伸び、吸い込まれるように消えていった。

 

『オイオイ、今度は何を見せてくれるんだぁ!楽しみで夜しか眠れないぜ!』

 

「よし、これで終わり!」

 

 そう言うと、純狐は指を鳴らす。

 

 

 その直後、最終関門、地雷原のほぼ全域が赤に染まった。

 




読んでくださって、ありがとうございます!

最後の方はあまり深く考えずに書いたので今後どうなるか、私にも分かりません。
まあ、いつもそんな感じなので大丈夫だと信じてます。

次回!多分3月くらい。
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