純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

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こんにちは!

第二種目には行けませんでした…。
そして、久しぶり過ぎて設定を忘れつつあります。
何で、純狐さんの設定こんなにめんどくしちゃったんだろ。
そして、ヘカTさんは何で自分勝手に動いちゃうの?(プロットがしっかりしてないから)

アンケート協力ありがとうございました!


第一種目を終えて

「第一種目が終わったわけだが…、何じゃありゃ。俺たちはあれと戦おうとしてたのか。」

 

 死柄木は不機嫌さを隠すことなく首を強く掻く。純狐の異常なパワーを見た死柄木は、最初は唖然としていたものの、何が起こったか理解した途端に無性にイライラしてきたのだ。

 

「落ち着いてください死柄木弔。今は観察に集中しましょう。それに彼女の限界を知ることも出来たじゃないですか。これは大きな収穫ですよ。」

 

 そう言う黒霧も焦っていなかったわけではない。USJで見せつけられた異常なまでの戦闘への慣れも加味すると黒霧と死柄木で共闘しても止めることはできないだろうと思ってしまっていた。

 

「あれが限界だとしてどうすりゃいいんだよ!あれだけ動き回って、あれだけの力を使ってやっとだぞ。脳無を何体消費すりゃ止められるんだよ。」

 

「あら、久しぶりに来てみたらずいぶんな荒れようね。」

 

「あなたは…!」

 

 そんなピリピリした空間に現れたのは、変な服装をした神様、ヘカーティアだ。ちなみに月のである。

 

「こんにちは。赤髪の私には会ったことがあったのかしら?あれと同一人物だから気にしないでね。」

 

 月のヘカーティアはそう言うと、半透明の椅子を作ってそれに座る。死柄木と黒霧は、髪の色は違うが、まとう雰囲気が同じだったためそのことに納得して警戒を解いた。

 

「ああ、久しぶりですヘカーティアさん。今、何かお出ししますので。」

 

「いや、すぐに帰るからいいわよ。仕事もあるし。」

 

 紅茶の葉を用意し始めた黒霧を止めると、ヘカーティアはお土産と言って、死柄木にクッキーを渡す。死柄木もオールフォーワンに丁寧に接しろと言われているため、テレビ画面から目を離してクッキーを受け取った。

 

「彼女…落月のことについて何かわかることはある?」

 

 死柄木は冷静になった頭で、もう一度冷静に純狐の映った映像や、これまでの行動を思い返す。

 

「…行動はヒーローだ。ただ、何か引っかかるものはあるな…。」

 

 死柄木の答えに静かに頷くヘカーティア。死柄木が、人の表情の変化やちょっとした動作から多くのことを察することができることをヘカーティアは知っていたのだ。

 

「なら、他の生徒と比べてどうかしら?」

 

 死柄木はまた少し考えると考えを口に出す。

 

「必死さが無い…余裕があるって言った方が正しいか。どこか不満そうにも見える。自分で自分に枷をかけてんのか?だが、雄英に行った奴だ。何かヒーローに対する憧れから必死になってもおかしくねえのに…。」

 

(あら、もうそこまで考えられるのね。なら、この質問で終わりにしようかしら)

 

 ヘカーティアは予想していた以上に察しのいい死柄木に驚き、異界のヘカーティアが用意していた質問を色々飛ばして最後の質問をする。

 

「じゃあ、あの子は何がしたいのかしら?これで質問は終わりよ。後は頑張って考えてね。」

 

 また、考え始めた死柄木と話についていけていない黒霧を置いてヘカーティアは帰る準備を始めた。

 

「あっ、それでは…」

 

 黒霧はヘカーティアがゲートを開いたのを見ると、お菓子を棚から取り出し、簡単にラッピングして渡そうとした。しかし、ラッピングした瞬間に黒霧の手からお菓子は無くなり、ヘカーティアの手の中に現れる。

 

「…あんたの個性は何なんだよ。」

 

 一連の出来事を見ていた死柄木は、考えるのをいったんやめてヘカーティアに尋ねる。オールフォーワンがどうしようもないというような個性のことを死柄木は知っておきたかったのだ。

 

「うん?これは個性じゃないわよ。オールフォーワンから伝えられていないの?」

 

 この答えには尋ねた死柄木だけでなく黒霧も驚いた表情を見せる。それを見たヘカーティアは本当に伝えられていなかったのかと思い、簡単に説明する。

 

「まあ、私は神様だし。それもかなり上位の。大抵のことはできるわよ。」

 

 納得できない死柄木だが、今までの行いを思い返すと納得せざるを得ない。黒霧も同じような結論に至ったようで、軽く頷いていた。

 

「では、何で私たちに協力を?」

 

 今度は黒霧が尋ねる。

 

「バランスをとるため?」

 

「何で疑問形なんだよ…。」

 

 月のヘカーティアはその後、お菓子のお礼を言うと、今度こそさよなら、と言ってゲートに入っていった。

 

 

「落月がやりたいことか…。」

 

 死柄木はヘカーティアがいなくなった部屋でもらったクッキーを食べながら、第二種目がすでに始まっている画面を見て呟く。純狐が他の奴とは違うと、うすうす気づいてはいたが、具体的に考えたことは死柄木にはなかった。

 

「そう言えば彼女、ただ力任せに物事を解決した時はあまりすっきりした表情をしていなかったような気がしますね。」

 

 死柄木ほどの洞察力は無いが、少しでも役に立とうと、黒霧は自分で思ったことを言ってみる。

 

 それを聞いた死柄木は、はっとしたような顔をすると、目を近くのパソコンに移して純狐のUSJの時の表情を確かめた。盗撮していた映像を次々に見ていき、もう一度テレビの画面に目を戻す。

 

 ちなみに死柄木は、ヘカーティアがオールフォーワンに渡した映像はもらっていない。もちろんオールフォーワンは、その映像から得たヒントなどをほのめかすことはあるが、それだけである。

 

「ははっ、黒霧、分かったぞ。」

 

「私には分かりませんね。教えてもらっていいですか?」

 

 愉快そうな死柄木に黒霧も笑顔で話しかける。靄になっているため表情は分からないが。

 

「“楽しさ”だ。」

 

「楽しさ?彼女は楽しむためにあのようなことをしているというのですか?」

 

 黒霧はヒーローやその卵についてそれなりに知っているつもりである。しかし、今まで楽しみたいという理由でそれになったものは記憶に無かった。

 

 黒霧の疑問を聞き、死柄木はパソコンの画面を見せる。そこには笑う純狐の姿が映っていた。

 

「あいつが楽しそうだったのは、友人と話しているときを抜きにすれば、戦闘で驚いた表情をした後だ。相手が工夫した時など、いい動きをした後、落月はほとんど力押しをしていない。それをしていれば確実に勝てているのに、だ。」

 

 黒霧はうすうす死柄木の言いたいことが分かってきた。そのような手口を近くで見ていたからだ。

 

「お前も気づいただろうが、これは先生の俺への教育に似ている。そして、あいつがやっているのは教育ではない。なら、何か?これも先生がよくやっていたな。自分が楽しむためだ。」

 

 死柄木は言葉を切ることなく続ける。

 

「ヒーローの卵のあいつは違うと思うかもしれないが、ヒーローになりたいならば、何故あいつは高校まで自分の存在を隠してきた?あの個性と頭の出来なら雄英の推薦は確実だろう。もちろん、推薦の方が目立つからヒーローになりやすい。」

 

「そこは彼女に個性のことが関係しているのではないですか?先生も言っていたように彼女、だんだん出力が落ちています。それに、プロからのスカウトが本格的に始める高校から目立つことは別段珍しくないと思うのですが…。」

 

 ここで黒霧が口をはさむ。黒霧はまだ、純狐がヒーローになりたいという願望を持った一般生徒として考えていた。

 

「あいつの弱体化の原因は、時間の経過か、ワンフォーオールみたく使えば減っていくものかという2つがあったよな?だが、今までの行動やこの体育祭での無茶ぶりから考えると、使用と共に弱っていくという線は薄い。時間経過だと考えると早めに有名になっておかない理由は無い。」

 

「個性の制御ができなかったという線は…ありませんね。入学当初からあれだけうまく使えていたのならば、中学入学時ごろにはそれなりに使えるようになっていたのでしょうから。」

 

 黒霧が自己解決した疑問に、死柄木はこくりと頷く。そして、パソコンの画面を笑っている純狐から、USJの時の純狐が相澤に助太刀しに来た時の動画に変え、それを流した。

 

「この角度のカメラから見ると、飛び出すときに何か呟いて、その後笑っているのが分かるな。そしてその後、相澤の動きが異常に良くなった。あの怪人脳無と個性を消してとはいえ渡り合うほどに。これは落月から力の譲渡が行われたとみられる。」

 

 そう言うと、死柄木はまたパソコンをいじりだした。そして、次に見せたのは最後のオールマイトと脳無が戦う直前の動画であった。

 

「資料を見る限り、あいつの力の譲渡は制限があるようには考えられない。この後、脳無を破壊したことから限界だったとも考えにくい。ならば何故この時は力の譲渡をしなかったのか。そして、何故その後すぐに準備をしていたかのように茂みから出てきて脳無を一撃で壊したのか。」

 

 黒霧は頭の中のピースが埋まっていく。それと同時に、そこまで考えている死柄木に若干の畏怖の念を覚えた。

 

「もう分かるよな。あいつは、自分が戦いたかったんだ。まあ、脳無2体と戦ってまだやりたいってのもヤバいがな。あいつの力を見ればそれもおかしくは無い。雄英側もこのことに気づいてはいるんだろうが、あいつを敵に回す可能性があるから除籍もやりにくいんだろう。」

 

「でも、それはただの戦闘狂では?純粋に楽しむためにやっているとは言えないような気がしますが…。」

 

 黒霧は皿を拭き終わっていったん休憩しようと、ソファーに座る。今度迎えに行く予定のマスキュラ―などのことも考えると、ただの戦闘狂という線は外せないでいた。

 

「そこで、最初に言った戦闘の工夫だ。あいつは脳無戦で様々なことを試していた。それに、何もあいつが楽しんでいるのは戦闘においてだけでは無い。友人との会話もある。」

 

 そして…、と言って死柄木はまたパソコンの画面を最初に表示していた純狐の笑う顔に戻した。

 

「俺や先生が言うように、あいつは歪んでいる。何でそうなったかは分からないが。」

 

 この辺の感覚では黒霧はどうしても死柄木やオールフォーワンに劣るため、二人に合わせるしかないが、この二人がこのことで間違えることはおそらくないため信頼もしていた。

 

「まあ、だからと言って俺たち側に引き込むことができるかは別問題だがな。それに俺たちの目的はこの社会をぶっ壊すことであって、この社会の中で楽しむことじゃない。だが、あいつがこの社会をぶっ壊すことの方が面白いと感じたならば案外簡単に引き込めるかもしれねぇ。」

 

 そこまで言うと死柄木は、またテレビの前に移動し体育祭の観察を始めた。そんな死柄木の姿を見て、黒霧は頼もしく思う。そして、また仕事に戻ろうとした時、ふと疑問が浮かんだ。

 

「すみません、死柄木弔。あなたはヒーローの卵やヒーローを見るのも嫌がっていましたよね。でも、彼女のことはよく見ている。何かあったのですか?」

 

 死柄木はその黒霧の疑問を聞き、振り返ることもなく答えた。

 

「ははっ、何でだろうなぁ。ただ…」

 

 ここで死柄木は黒霧の方を見る。その顔は無邪気な子供のように笑っていた。

 

「あいつの歪みは俺にとって心地がいいんだ。あいつも何か大きいものを憎んでいるのかもしれないな。」

 

― ヘカーティア side ―

 

「ハハハッ、あの子もやってるわね。」

 

 ヘカーティア(異界)はいつものように、オールフォーワンの部屋で半透明の机といすを出し、雄英の体育祭を鑑賞していた。その横ではこれまたいつものように、頭を抱えたオールフォーワンもいる。

 

「何ですかねあのパワー。あれが限界のようですが…。」

 

 オールフォーワンは縋りつくような目でヘカーティアの方に顔を向ける。最近、純狐の情報をくれるヘカーティアなら、ヒントをくれるかもしれないと思ったのだ。

 

 ヘカーティアはその視線に気づき、ジト目になって言う。

 

「教えないわよ。少なくとも今は。」

 

 あからさまに肩を落としたオールフォーワンは、第一種目のハイライトが流れているテレビ画面を確認する。純狐がやたらとコースの横の森を気にしていたため、その原因を探そうとしていた。

 

「ああ、探しても何も無いと思うわよ。」

 

 あなたには気づけないだろうし、とヘカーティアは付け加え、ジュースを口に含む。

 

「私には気づけない?ヘカーティアさんは何があったか分かっているのですか?」

 

 オールフォーワンは、何か知っているようなヘカーティアの口ぶりに引っ掛かり尋ねる。ちなみに、最近はヘカーティアがよく来るため、オールフォーワンも初対面のトラウマを克服しつつあり、様呼びはやめていた。

 

「ひ・み・つ♪」

 

「うっわ。キツ…。」

 

「あ“?」

 

「いや、何でもないです。」

 

 オールフォーワンは、思わず口に出してしまった本音を誤魔化し、再びテレビ画面を確認する。

 

「それにしても、彼女の個性の範囲内は彼女の世界ですね…。まるで小さな神様だ。」

 

 オールフォーワンは、轟との妨害合戦をしている純狐の映像を見て呟く。雄英を襲撃するにしても、最大級の難関になるであろう純狐への対策を練る必要性が、オールフォーワンの中でますます上がっていった。

 

 と、ここで神様と口に出したことで、オールフォーワンはふと、ヘカーティアを見る。

 

「ヘカーティアさんは、落月と同じようなことはできますよね?」

 

「体験したい?」

 

 ヘカーティアは右手の上にプラズマを出している小さな風の塊、手元の陶器のカップが溶けて歪み始めるほどの熱量を持った火の玉を出し、左手には離れているオールフォーワンの吐息が白くなる程度の氷の塊と何か分からないがヤバそうな黒い球体を出して見せる。

 

「大丈夫です…。」

 

 オールフォーワンの返事を聞いたヘカーティアは手を握り、それらを何もなかったかのように消した。オールフォーワンはそれを確認して、やはり敵わないなと思いながらもいつか出し抜いてやると心に決める。

 

「そう言えば、仕事は大丈夫なんですか?忙しいって聞いてましたけど。」

 

 オールフォーワンなんとなしにヘカーティアに話を振る。それを聞いたヘカーティアは、びくりと体を揺らし、冷や汗を浮かべてオールフォーワンの方を向いた。

 

 実は彼女、今日は会議の予定が入っていたのだ。

 

「大丈夫よ。大丈夫だけど、ちょっと他の奴らが心配だから帰ろうかしら。」

 

 オールフォーワンは部下のことも考えるいい神様だと思ってヘカーティアを誉める。

 

「おお、さすが神様ですね。」

 

 それを聞いたヘカーティアは、苦笑いをしながらゲートに入っていった。その奥から怒号が聞こえてきたのは気のせいだろう。

 

 

「ふぅ…。」

 

 ヘカーティアがいなくなり、静かになった部屋でオールフォーワンは思考し始める。

 

「何にでも変えられる力か…。神力、霊力、妖力、魔力あたりかな。そして、ヘカーティアさんはおそらく神力。もし彼女もそれのどれかを使っているのだとすれば…。」

 

 オールフォーワンはすでに、純狐が起こした最後の爆発は個性によるものだとは考えていなかった。ヘカーティアとの遭遇によって視界が広がっていたのだ。先ほどヘカーティアに質問したのは、神力ではどの程度のことができるか確認したかったからである。

 

「しかし、あれだけの力…ヘカーティアさんと比べるまでも無いが、相当なものだぞ。それこそ昔の人が持っていれば神話級になるレベルだ。」

 

 ここで、オールフォーワンは手元のパソコンを取り出し、ヘカーティアからもらった純狐の自宅での映像を見る。それには音声は入っていないが、純狐の動きは良く分かるようになっていた。

 

「彼女は時々、一人でいるときに目が赤くなっている。鏡の前でそれをしていることが多いから何か気にしているのだとは思うが…。これも彼女の力と関係があるのだろうか。」

 

 オールフォーワンは映像を早送りにして、純狐の家での一連の流れを確認する。そして、純狐が窓辺に向かったところで映像をいったん止めた。

 

「毎晩こうして空を眺めているが、ある日だけはしていなかった…。しかも、その日は雲も無く、きれいな満月が見えたというのに。この日だけ忘れているとは考えにくい…。」

 

 オールフォーワンは結局そんなに進展は無かったな、と思いパソコンを閉じる。

 

「はぁ、彼女と直接会ってみないことには分からないな。死柄木の成長計画もそれなしには組むのが難しい。」

 

 しかし、こうやって悩みながら物事を動かしていくことも悪くはない、とオールフォーワンは思うのであった。

 

 ◇    ◇    ◇

 

 どこかの会議後の会話。

 

「ねえ、月の。死柄木に何渡したの?」

 

「カフェインの錠剤入りクッキー。頭の回転が速くなるって聞いたから。」

 

「へぇー、今度映姫ちゃんあたりに渡してみようかしら。」

 

― side out ―

 

 




読んでくださりありがとうございます!

コロナ、ヤバいですね。

次回、第二種目前半を大幅カットする予定。投稿遅いかも。失踪しないように頑張る。
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