純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

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こんにちは!

今回は過去最高の難産でした。
うん。初心者が下手にアレンジをしようとするとこうなるんやな、って。
こうした方が良くない?と思う場所を減らすようにしながら、純狐さんを窮地に追い詰めるように努力はしました。が、結果が伴ってないかもしれません。
お許しください。

純狐さんの小説増えろぉぉおお!


騎馬戦2

『爆豪容赦なし!!おいおい、取られてまだ2分も経ってねぇぞ!』

 

 だんだんと調子に乗ってきたプレゼントマイクの実況で、これ以上ないと思われた歓声が、さらに盛り上がりを増していく。

 

その原因である爆豪の成長は、純狐の予想を上回るスピードで進んでいた。

 

 0ポイントになり、狙われることの無くなった爆豪は、物間からハチマキを取られてからの約2分間左手を使わなかった。汗を温存していたのだ。

 

 普段の爆豪を見ている者からすれば、爆豪が感情の制御をうまくやっているという事だけでも驚くべきこと。だが、爆豪はそれだけではなかった。右手を使って、いかにも冷静さを欠いているかのような演技をして、物間たちに警戒を怠らせたのだ。

 

 そのため、爆豪を注意深く見ていた純狐でも、爆豪が何か作戦を立てていることが分かったのは、爆豪が物間たちに近づいて行く直前であった。

 

 十分に汗が溜まった爆豪は、芦戸の溶解液と瀬呂の個性を利用して物間チームに急接近し、左手を物間に向けて勢いよく伸ばして爆発を起こす。

 

 接近したとはいっても、爆豪チームと物間チームは2メートル以上離れていた。そのため物間は、冷静さを欠いている爆豪が、見当違いの場所で爆発を起こしたと判断する。

 

 そのコンマ数秒後、物間チームの騎馬は爆発によって大きくよろめいた。爆豪が勢いよく手を伸ばした時に温存していた汗が飛び、それを伝うことで爆発が届いたのだ。

 

 騎馬がよろめいた隙を爆豪が逃すはずも無い。すぐに物間に近づくと、円場に防御させる時間も与えずにハチマキをすべて奪い取った。

 

『これで順位が変動!爆豪が4位に!そして、物間チームは急転直下の0ポイントー!そして、落月のいる方でも何やら動きがあるぞ!』

 

「そのハチマキもらい受ける!」「小大サン!ハチマキもらうヨ!」「小大!その化け物何だよ!」「落月ちゃん、さすがだねぇ!」

 

 純狐に向かって突進してきたのは、拳藤、角取、鱗、葉隠チームだ。おそらく葉隠たちによって純化が同時に行えないことが話され、小大の個性が戦闘向きでは無いことを知っているB組のチームは勝算があると思ったのだろう。

 

 それは実際間違ってはいない。純狐が今回、最も面倒だと思っていたのは混戦になることであった。おそらく、この4チームに加えて、爆豪、轟、緑谷、鉄哲チームのどれかが混ざれば、純狐もかなり苦しい戦いを強いられることになっただろう。

 

 しかし、この程度であれば純狐が強化を使うまでも無い。

 

「小大さん。お願い。」

 

「解除。」

 

 純狐が指示を出すと同時に小大は手を合わせる。その瞬間、4チームそれぞれの頭上と進行方向に四角い影が現れた。純狐が投げた小型化されたセメントのブロックが、元の大きさに戻ったのだ。

 

 驚いた彼らは咄嗟に回避行動に移る。だが、そこは純化の範囲内であった。

 

『おおっと!小大チームに近づいて行った4チームの頭上にセメントのブロックが出現!回避には成功したが、落月、これを読んでいる!回避した彼らを待っていたのは第一種目の最初に見せた底なし沼だ!!見事な連携プレー!』

 

「これ骨抜じゃ無かったのか。」

 

 真横に落ちてきたブロックの振動を感じながら、拳藤は口をとがらせる。他のB組の生徒も同じようなことを考えていたらしく、改めて純狐という壁の大きさを感じていた。

 

 しかし勿論足首を埋めただけでは完全に騎馬を殺しきれないチームも存在する。

 

「うぉぉぉおおお!」

 

 個性【ビースト】を持つ宍田はコンクリートを砕きながら無理やり拘束を脱する。そして、鱗の個性で純狐の注意を逸らしながら、今度は足を埋められないように大きくジャンプをして小大に迫った。

 

「解除。」

 

 しかしその跳躍は、目の前に現れたブロックに突き飛ばされるという結果で終わる。騎馬戦はあくまでチームプレイ。一人がいくら強力だとしても、もう一人を警戒しないことには勝利を収めることなどできない。

 

 悔しがる鱗チームとは対照的に、どこか満足げな純狐は、地面に落ちた鱗チームを今度こそ抜け出せないように宍田の胸元まで地面に沈めた。そして、爆発音と共に近づいて来た脅威を避けて、人の少ない、純狐にとって戦いやすい場所に戦いの場所を移す。

 

「よぉ、女狐。元気そうで何よりだ。」

 

「爆豪!だから勝手すんなって!」

 

 おそらく爆豪は、原作通り何の相談も無しに一人で飛び出したのだろう。切島はセロハンで回収される爆豪が不安であるようだ。そんなやり取りを聞きながら、純狐は先程地面に埋めたチームが邪魔にならない場所にいることを確認すると爆豪チームを見据えた。

 

『爆豪チームが小大チームと満を持して対峙する!鉄哲チームと争っていた轟チームもそちらへ向かう!残り時間はあと5分強!ここでこの体育祭の三雄が潰し合いを始めるのか!?』

 

 小大チームに近づいた爆豪チームが最初にしたのは、純化が届かない範囲を保ちつつ、円を描くように移動しながら純狐の方に向かって酸を飛ばすという事だ。

 

 爆破や瀬呂の個性を利用すれば酸が撒かれているところだけ加速するため、どのタイミングで何をすれば効果的なのかを読みにくくしようとしているのだろう。

 

 純狐はそれを、爆豪チームが自分たちの周りを半周する前に理解すると、爆豪たちのいく手を阻むようにセメントのブロックを設置していく。

 

それに対して爆豪チームは、瀬呂の個性を使ってブロック回避したり、爆破でブロックが大きくなる前に吹き飛ばしたりしていた。しかし、そのせいで酸の散布が限定的な部分にとどまってしまう。轟チームも緑谷チームに足止めされ、純狐の元にはたどり着けずにいた。

 

「クッソが!ちまちました攻撃続けやがって!」

 

 本気でいら立ってきた爆豪は単騎で突っ込むとも考えたが、さすがに距離がありすぎる。だが、少しでも近づこうとすれば、純狐が訓練中の切島戦で見せた氷の礫を放ってくるため近づくことも出来ない。

 

 爆豪チームが攻めあぐねている時、純狐も純狐でこの状況をどうするか迷っていた。

 

調子が戻っておらず、爆豪チームとあまり目立った戦闘をしたくない純狐。しかし、逃げようにもフィールドの端にいるため後ろに下がることはできず、正面の爆豪を避けて前に跳ぼうにも、右方には轟と緑谷が、左方には鉄哲と0Pの集団がいるのだ。

 

 フィールドの反対側の方は比較的空いているが、そちらに跳ぼうとすれば、背中の小大への負担が大きくなり、今後予測不能な展開が起きた時に対処できないかもしれない。また空中では、単騎の爆豪と違い小大を背負っている純狐はできることが少ない。

 

(やっぱり私、チームプレイは苦手ね…)

 

 そんなことを考えて、ため息をついた純狐は背中の小大の息遣いがだんだん荒くなってきていることに気づく。小大は時々飛んでくる瀬呂のテープをはじいたり、純狐の手の動きに合わせて個性の解除をしたりと忙しかったため、純狐が渡した力も無くなりかけていたのだ。

 

「煙幕が厄介ね…!あと、小大さんコレ!」

 

 爆発による煙幕で瀬呂のテープの動きが読みにくくなったため、風を使ってそれを晴らしながら小大に力を追加で渡す。

 

「ああッ!読まれてたか!」

 

 煙幕を晴らすと切島が叫んだ。どうやら何かの作戦だったらしい。

 

『お互いに攻めあぐねてるな。爆豪チームの方は有効な一打が無い。小大チームの方は爆豪を吹き飛ばすような力を使えば、騎馬を崩す悪質な行為と受け取られかねない。』

 

『ふむふむ、だから威力の低い氷を飛ばしてけん制してるのか。おっとここで、残り時間は4分を切った!さあ、終盤戦だ!』

 

 終盤戦になったとは言っても、戦況は特に変わらない。それまでと同じように、純狐が妨害を続けていると、残り時間は3分を切った。

 

「黒目!醤油顔!」

 

 ここで爆豪が声を上げる。それを聞いた芦戸と瀬呂は文句を言いながらも動きを止め、純狐からさらに距離を取った。

 

「何か仕掛ける気かしら。」

 

「んー。」

 

 純狐と小大は手にブロックを握りながら警戒を強める。純狐の方に何かしてくるのであれば対処の方法はいろいろあるが、横や後ろから小大を狙われれば、ブロックくらいしか対処の方法は無い。

 

「死ねぇ!!」

 

 ヒーローらしからぬ言葉と共に、この攻防で最も大きな爆発が起きた。元論、その規模の爆発からはそれ相応の煙幕も放出される。

 

発生した大量の煙幕は一瞬で爆豪チームの騎馬全体を隠してしまった。そして、それとほぼ同時に芦戸が大量の酸を飛ばし、瀬呂のセロハンが地面を這うように迫る。

 

 だが、それは速さだけを求めた攻撃であった。そのため、攻撃はただ直線を描くようにしか迫ってくることは無く、避けるのは簡単であった。が、速いという事はそれだけで厄介なことでもある。そのため、純狐はそれの回避に集中してしまい、肝心な爆豪から注意を外してしまった。

 

「解除!」

 

 そして、後ろから聞こえた爆発音と小大の声。純狐は咄嗟に爆発音の聞こえた方に体の向きを変える。純狐よりも先に爆豪の接近に気づいていた小大がブロック使って空中の爆豪の攻撃を遅延させてくれたため、ハチマキは取られていなかった。

 

「甘ぇ!」

 

 純狐とブロックを隔てた場所にいる爆豪はそう叫ぶと、ブロックに手を当てて爆発を起こし、純狐の方に押し返す。

 

(ブロックで視界が塞がると爆豪君が横から攻めてきたときに対処できないし、瀬呂君のセロハンの遠距離攻撃もある。ここは距離を取って…)

 

 そう考えた純狐が距離を取ろうとした瞬間であった。

 

「―ッ!」

 

 純狐の右足が急に動かなくなる。第一種目での疲れ、骨折、豊姫からの妨害などが重なったことで限界を迎えていたのだ。さらに霊力の回復も純狐の予想より遅く、回復に回す分が枯渇していた。

 

(疲労が重なっているのは分かっていたけど、何でこのタイミングでっ!)

 

 純狐は急いで腕を強化し、眼前に迫るブロックを弾く。それによってブロックの直撃は免れたが、爆豪が自由になる時間を作ってしまった。

 

 案の定、爆豪はブロックを押し返した後、ブロックを右に抜けて小大に近づこうとしていた。そこで爆豪は純狐の右足の状態を見て勝利を確信する。

 

 爆豪は純狐の右足の疲れを見抜いていた。また、純狐がそれに気づいていないことも感づいていた。そのため爆豪は純狐が逃げの作戦だという事を確認すると、遠距離から積極的に攻めるという作戦を立てた。

 

 今の純狐を動かし続ければ必ずほころびが出る、と爆豪は考えていた。そしてそれは起こった。

 

 しかし、この爆豪の作戦には大きな欠陥がある。純狐と組む生徒のことを考えていないのだ。周りの生徒に興味が薄い爆豪は、純狐と轟以外に自分の障害になる生徒はいないと思っていた。

 

 だからこそ、純狐を出し抜いた瞬間、爆豪は油断していた。故に、視界の端に映る小さなブロックを見逃してしまう。

 

「解除ッ!」

 

「なっ!」

 

 爆豪が小大に近づくための爆発を起こしたタイミングで、爆豪の目の前に新たなブロックが現れ、元の大きさに戻ると同時に爆豪を弾く。

 

 爆発を使うことで大きく弾かれることは防いだ爆豪だが、ハチマキを取る大きなチャンスを逃してしまった。

 

 爆豪は、純狐が足が動かないという動揺から覚める前にもう一度ハチマキを取りに行こうとするが、純狐もそう甘くは無い。風を使って爆豪を遠ざけ、爆豪とは反対側から迫っていたセロハンを手で弾くと、左足を使って爆豪チームの騎馬三人に近づく。

 

 突然、純狐に近づかれた爆豪チームは瀬呂の個性で何とか爆豪を回収しながら、純狐の個性範囲外に出るように距離を取った。彼らは爆豪がいなければ純狐に対する有効な攻撃が行えないため距離を取るしかなかったのだ。

 

 これで、小大チームと爆豪チームの攻防は、純狐が後ろに逃げることのできるスペースを作ったことを除いて振出しに戻った。

 

『瞬きも許さないような攻防を制したのは小大チーム!!爆豪はいいとこまで追い詰めたがあと一押し足りなかった!おいおい、今回の体育祭かなりレベル高いんじゃないの!?』

 

 純狐たちの攻防で盛り上がっている観客たちに負けないように声を張り上げて実況するプレゼントマイク。相澤は、純狐の足の具合が心配だったが、それはいったん置いておき、今の攻防の解説をする。

 

『この攻防のMVPは小大だな。落月の力あってのものだとは言え、爆豪の油断を突いた良いサポートだった。』

 

 

― (ちょっとだけ)ヘカーティア side ―

 

 

「残念。賭けは私の勝ち。」

 

 とある観客席の一角で、変な服を着た青い髪の女神が、頭を抱えている月人に勝ち誇ったような顔をしていた。

 

 彼女たちは、純狐がハチマキを取られるか否かの賭けをしていた。そして、ハチマキを取られない方に賭けていた青い髪の女神が月人に勝ったのだ。

 

「あれ、ダメでしょ。あの子が人間に助けてもらうなんて考えられないじゃん!不成立!ノーカウント!ノーカウントなんだこの勝負は!」

 

 頭を抱えた月人、豊姫は必死だった。遊び過ぎたせいで、給料が地味に減ってきている豊姫にとって、ヘカーティアへのお菓子一年分は許容できるものではなかったようだ。

 

「何よ、さっきまでの威勢はどうしたの?」

 

「だって…あそこまでやったのよ!それに、あなたたちは3人で1人だから食べる量も3倍だし…!」

 

 実は豊姫、純狐の足をずっと微調整し続け、ぎりぎりの状態のままにしていた。爆豪チームとの攻防中、タイミング悪く純狐の足が動かなくなったのは、豊姫がそのタイミングで足の調整をやめたからである。

 

 常識的に考えて、本人にばれないようにそんなことをすることは不可能だ。しかし、この世界の常識で語ることができるほど、彼女は常識的な存在ではない。

 

「まあいいわ。半年分に減らしてあげる。面白いものも観れたしね。」

 

 地球のヘカーティアはそう言うと視線をフィールドの純狐に戻す。しかし、そこに純狐の姿は無かった。

 

「フフッ、また面白そうなことを…」

 

 

― side out ―

 

 

「助かったわ、小大さん。」

 

 落ち着きを取り戻した純狐は、右足の回復に徹しながら助けてくれた小大にお礼を言う。爆豪チームは悔しそうに、純狐から離れた場所でチャンスを窺っていた。

 

 純狐たちが睨み合いを続けているのと時を同じくして、轟は緑谷チームの相手をしながら、残り少ない時間の中でどう動くかを考えていた。

 

(落月に近づくなら今しかないが…。あいつのことだ、おそらく今の状況を覆すような手を持っている)

 

 轟は、近づいて来た常闇のダークシャドウを右手に持った氷の剣で薙ぎ払う。そのまま剣を地面に伸ばし、冷気を流し込んで地面を凍結させ、緑谷チームの動きを止めようとするが、それは凍結させにくい轟の左側に移動することで防がれた。

 

 残り時間は二分弱。このままいけば通過は確定だが、この種目で轟はあまりアピールできていない。

 

 それではエンデヴァーに、右の氷結だけでやっていけるということを見せつけることはできない。そのため轟は、何とかして目立つ方法は無いかと、緑谷の攻撃を氷の壁で防ぎながら考える。

 

(やっぱりあいつには近づかない方が賢明か…)

 

 そう結論付けた轟は目の前の緑谷に集中する。だが、轟はそこで純狐が言っていた言葉、そして第一種目での屈辱を思い出した。

 

(そうだ…!あいつは俺がつまらない戦いをするようならまともに戦わないと言っていた。ここであいつに挑まないことは、あいつに全力を出させることにつながるのか?いや、つながらない!)

 

 そして轟は、騎馬の三人の状態を確認する。

 

(八百万は疲れてはいるが動けないわけじゃない。飯田も疲れは見えるがエンジンはいい調子だ。上鳴もあと一回は放電を使える)

 

 三人の状態を確認し終わった轟は緑谷の方を警戒しながら、三人に指示を出した。これは、純狐の反応を見るためでもある。大きな動揺を見せれば、ハチマキを取るチャンスは十分にあることになり、反応が薄ければ何かあると思って事前に警戒しておくことが可能になるのだ。

 

「八百万、飯田、上鳴!これから落月の元へ向かう!」

 

 急に出された指示に一瞬戸惑う様子を見せた三人だったが、彼らも各々理由は違っても、活躍することに対しては積極的だ。それに、純狐はこの騎馬戦ではかなり消極的であるため、ハチマキを取られる可能性も低い。ローリスクハイリターンというわけだ。

 

 心配だったのは、爆豪チームが近くにいたことだが、爆豪はこのまま純狐を狙い続けても時間の無駄になる可能性が高いと考えたのか移動を始めていた。おそらく緑谷を狙うつもりだろう。緑谷チームの近くにいる轟チームは、さらに純狐の方に向かうことにメリットが増える。

 

「そういえば、落月さんにも宣戦布告していたな。いいぞ、俺もまだ試してみたいことがある。」

 

「私も彼女にしてやられてばかりでは示しがつきませんわ。」

 

「ウェーイ、とりあえず俺でもわかるように作戦を教えてくれ。」

 

 三人はそんなことを言いながら純狐の方に向きを変える。後ろから爆豪の怒号が聞こえてきたため、もう緑谷を警戒しなくてもいいだろう。そう考えた轟は、自分たちの接近に気づいてうっすらと笑みを浮かべている純狐に聞こえないように作戦を伝える。

 

「近づいた瞬間に上鳴の放電を食らわせる。効果は薄いかもしれねぇが動きを一瞬止めるだけでいい。八百万は絶縁体の準備を頼む。あいつが止まっている隙に俺ができるだけ大規模な氷結をあいつにぶつける。それも効果は薄いが、一瞬動きは止まるだろう。そこを飯田のスピードで突く。」

 

「あいつに逃げられたらどうするんだ?」

 

 爆豪が緑谷に向かって行くことを確認した小大チームはフィールドの真ん中の方に移動していた。そこからならばどんな方向にも逃げることができる。上鳴は轟の作戦が、純狐が逃げないことを前提としているところを疑問に思った。

 

「あいつの右足はもう限界だ。それに、体力もあまり使いたくないらしい。爆豪戦でも使ってなかったからな。だが、警戒はしておくように。」

 

 緑谷とのにらみ合いの中、轟は爆豪と純狐の戦いを断片的にだが観察していた。その時に、純狐の疲れに気づいたのだ。

 

 轟の説明に納得した三人は、改めて自分たちの越えねばならない壁を見る。その壁はいつもと違い傷だらけであったが、相変わらずの威圧感を放っていた。今回はそれに加えて支えるものもある。

 

『さあ、ここで爆豪と入れ替わるように小大チームに近づいたのは轟チーム!競技も最終盤!皆、盛り上がってけぇー!』

 

 プレゼントマイクに煽られ、より熱気を帯びるスタジアム。だが、相澤はそれも感じないほどに純狐を注意して見ていた。

 

(あいつ…、また何かする気じゃないだろうな)

 

 何か不穏なものを感じつつも、今の純狐の状態では大したことも出来ないか、と結論付けて、スタジアム内でしのぎを削る生徒たちを眺めるのであった。

 




お読みくださりありがとうございました!


ご指摘等ございましたら、報告お願いします。

最近、『終末何してますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』という作品にはまってました。
メッチャ面白かった。ぜひ読んでほしいです。

次回、昼休みまで行けたら行く。
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