純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

30 / 55
こんにちばんは!

スランプぅ…ですかねぇ。
文がまとまらないです。
例のアレネタが結構あります。苦手な人はごめんなさい。

片道ニ十キロ自転車がきつ過ぎた件



体育祭後

「んで、イレイザーヘッド。落月のあれはいったい何だ?」

 

 体育祭後のホームルームも終了し、雄英の職員たちは各学年に分かれて会議を行っていた。例年であれば主な議題は体育祭の反省であるが、今回はより重要だと考えられた課題があった。

 

 プレゼントマイクに話を振られた相澤は、ゆっくりと顔を上げる。

 

「あれは…確証はないが、思考の純化だと俺は考えている。」

 

「でも、そうだとすれば効果範囲が広すぎる。彼女の純化は最大でも半径15メートル以内だったはずだけど?」

 

 相澤の説明に疑問を覚えるミッドナイト。だが、相澤も始めて見る能力であったため説明のしようがない。

 

「こうは考えられないか。ほら、例えば彼女が風を純化した時、作られた風は効果範囲外でも影響を及ぼすことができる。思考の純化でも同じようなことが起こったとか…。」

 

「確かにそれなら説明が付く…のか?」

 

 ブラドキングが出した予想に、数人の教師が首を傾けながらも同意する。その後も、このことについて数分間話し合われたが情報が少なすぎるため答えは出ず、保留することとなった。

 

「では次ですね。落月純狐の限界について。これは今回の体育祭でいいデータが集まったのではないでしょうか。」

 

「そうだな。第一種目の最終盤。大爆発の後で、確かにあいつの体は限界を迎えた。あの大爆発が何だったかは分かっていないが。」

 

 第一種目での大爆発。これも教師たちにとっては悩みの種であった。今まで純狐の強力な攻撃は純化の範囲内に限られると考えていたのがひっくり返されてしまったのだ。

 

「あの後エクトプラズマたちが調査に行ったよな。どうだった?」

 

「タダ爆発ガアッタ…トシカ言エナイ。爆発ノ原料トナルヨウナ成分ハ一切残ッテオラズ、炭ナドヲ調ベテモ変ワッタトコロハ何モナカッタ。」

 

 エクトプラズマは首を横に振りながら話す。彼らは地質学に向いた個性を持つ者のところまで行って調べてもらったが、結局何も分からなかった。まあ、あの爆発を起こしたのは霊力というこの世界には認知されていない力であるため、分からないのは当たり前である。

 

「そうですか…、オールマイト先生からは何かありますか?彼女との交流も多いようですが。」

 

 話しかけられたオールマイトは肩をビクンッと揺らして顔を上げる。オールマイトはワンフォーオールとのつながりなどの方向から考えを巡らせており、あまり話を聞いていなかったのだ。

 

「いや、私からは何もないよ。まあ、強いて言うなら…あの光弾が何か気になるかな。あの光弾の原理が解明できれば轟戦でのレーザーや爆発も説明がつくかもしれない。」

 

「…なる程。」

 

 オールマイトが何かを隠していることは明らかであったが、本人が話そうとしないため誰も追及はしない。そもそもこの議題は純狐のプライバシーに必要以上に踏み込んでいるという事で消極的にしか参加しない教師も多く、追及は禁止という暗黙の了解が出来上がっていたのだ。

 

「皆さん一通り話されましたかね。では…次です。彼女の出生について。これについてはリカバリーガールから発表があるという事で、よろしくお願いします。」

 

 一時的に司会を行っているセメントスが会議室の扉の方に向かって話しかけると、扉が開き、分厚い資料を抱えたリカバリーガールと二人の警官が部屋に入ってくる。その様子はかなり物々しく、その場の教師たちは息を飲んで説明が始まるのを待った。

 

「先に言っておくが…」

 

 準備があらかた整うと、ため息をつきながらリカバリーガールが口を開く。

 

「私はこれに反対したんだよ。さすがにやりすぎだ。一個人のプライバシーにここまで干渉するなんて。だが…まあ、色々あってねぇ。彼女に対しての対策を早くまとめるよう上から指示があったんだ。」

 

 よいしょ、とリカバリーガールは用意された椅子に腰を下ろして資料を眺める。そして、後ろにいた警官たちの作業も終わったようで、ついにリカバリーガールたちの話が始まった。

 

 その内容は、純狐のことについてではなく、その家族についてのことだった。

 

 まず最初に説明されたのは、純狐以上に情報の無い落月神獄の異常性について。彼女はちゃんと住民票も存在はするのだが、そこに書かれているのは名前だけで、個性も住所も載っていない。

 

 これは住民票偽造の疑いもあるとして、警察はさらに神獄について調査を進め、情報収集に特化したような個性を持つ者も調査に参加したが、結局何の成果も得ることができなかった。

 

 こうなってはさすがの警察もお手上げである。また、差し迫った危険も特にないという事で、神獄の調査はここで打ち切られることになった。

 

 次に調べられたのは、純狐が小さいころに亡くなったとされる両親だ。しかし、これに関しては名前さえも判明しなかった。どう考えても異常である。

 

 ここまで説明されると、今まで純狐のことをただの一生徒であり、特に問題なしと判断していた教師たちも真面目な顔になり始めた。いないはずの両親から生まれ、個性も分からない叔母に育てられた異常性の塊、純狐の評価は教師間でそう固まりつつあった。

 

「まあ、今回の調査で分かったのはここまでだ。それじゃあ、質疑応答に移ろう。どなたか、質問はあるかい?」

 

 資料を目の前の机の上に置いたリカバリーガールは顔を上げ、教師たちの座る席の方を見る。そして、真っ先に手を挙げていた相澤を指名した。

 

「…彼女の家族のことについてはよく分かりました。しかし、我々にそのことを知らせて、何を期待しているのですか?我々はヒーローであると同時に教師でもあります。いくら彼女に謎が多いからと言って、彼女に必要以上の負担をかけることは許されません。もし何かするようでしたら、我々の権限を持って止めさせてもらいます。」

 

 相澤の発言が終わると、それに賛同するように他の教師たちは静かに頷いて警官たちの方を見る。だが、警官たちも一歩も引かず、前に出て説明を始めた。おそらく彼らも相当な手練れであるのだろう。

 

「私たちが期待していることは、あなた方との情報共有、そして例の対策マニュアルの早期完成です。また、彼女に対して私たちが何かを行うという事はありません。私たちはあくまで警察です。その権限を越えたようなことはしません。」

 

 警官たちは返答が終わると、すぐに次の質問を募集する。教師たちはそんな彼らの様子から、今は何を言っても決まりきった答えしか返ってこないと考え、誰も手を挙げなかった。

 

 そのまま質疑応答の時間は終わり、警官たちは機材をまとめ終わると、教師たちにお礼を言いながら部屋を出て行く。その動作はどこまでも機械的であり、教師たちは最後まで彼らに好感を抱くことができなかった。

 

「…リカバリーガール。彼らは何ですか?ただの警官ではないようですが、信用に足るものたちなのですか?」

 

 警官たちの乗った車が校門を出て行くのを確認しながらミッドナイトは話し始める。ヒーローと警察は職業柄共同作業することも多く、基本的に顔なじみである。しかし今回来た警官たちは教師たちの誰もが初対面であり、彼らをどこまで信用していか判断しかねたのだ。

 

 また、可能性は限りなく低いが、ヴィランが身分を偽って嘘の情報を流し、教師たちを混乱させようとしているという事もありえる。例のマスコミ事件やUSJの襲撃などもあったため、警戒をしておいて損は無い。

 

「彼らは政府直属の警官らしいよ。ああ、この情報は信用できる。私の知り合いに詳しいのがいて、そいつに調べてもらったからね。だとしても信用はまだできない。安易に情報は流さない方がよさそうだ。まあ、このことは校長も知っている。私たちが過度に心配する必要はないよ。」

 

 リカバリーガールは椅子に座ってお茶を飲みながら答える。教師たちは、年配者であるリカバリーガールの様子や、校長の根津がこのことを知っているという事で少し安心することができた。

 

 その後、会議は順調に進み、最後の各人からのお知らせに移る。そこでは、数人がちょっとしたことを話すと他に手を挙げている者は居なくなり、司会をしていたミッドナイトは会議を終わらせようとした。だがその時、ブラドキングが今思い出したかのように手を挙げる。

 

「すみません。USJの時に捕まえた奴らの取り調べで気になることがあったらしいので、それだけお伝えします。」

 

 ブラドキングは怪訝な目をしながら資料を眺める。そこに載っていたのは、USJで捕まえた、吸った空気で体の部位を巨大化できる個性を持つヴィランの言葉だった。

 

「『神』と呼ばれる存在がヴィラン連合内にいるらしいのです。ははは、まあ彼は麻薬の常習犯だったので、ただのうわごとだと思いますけどね。」

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

「うっま!これめちゃうま!」「落ちつけ切島…。料理は逃げていかないんだから。」「ねえ、これバえそう!写真撮ってもいいかな!」「えっ、ああ…いいんじゃない?」

 

教員たちの会議が終わりに差し掛かった頃、1-Aの生徒は近所のファミレスに集まり、体育祭の打ち上げをしていた。皆疲労困憊のはずだが、それでもこれだけ騒げるのは若さのパワーだろう。

 

 そんなみんなの中には、純狐の姿もあった。しかし、その顔にはあまり生気がない。それもそのはず、純狐は体育祭で派手に目立ったせいで、待ち構えていた取材班に捕まり、約1時間質問攻めにされていたのだ。

 

 ちょっとやそっとのことでは疲れない純狐でも、長時間知らない人にマイクを近づけられ、相手の表情やその会社のことを考えながら話すことは堪えたのだろう。

 

 それに加え、帰宅後、外出用の服に着替えようとした時、それを見ていたヘカーティアとどの服を着ていくかで(くだらない)論争が起きたのだ。結果的に純狐が勝ち、変Tを皆の前で晒すという事態は避けられたが、その代償として体力と気力を大量に失ってしまっていた。

 

「落月ちゃん大丈夫?疲れてるみたいだけど…。」

 

 心配した芦戸が純狐の隣に座り様子を見守る。そんな優しい芦戸に申し訳なさを覚えた純狐は、何とか元気を絞り出して笑顔を作り芦戸を安心させると、料理を頼もうとメニューを見た。

 

「ねぇ、芦戸ちゃん。おすすめの料理とかある?」

 

「そうだね…これとかどうかな!『しっとりとしていてそれでいてべたつかないブラウニー』!」

 

「それホントに大丈夫なやつ?なんか危ないものに通じてる気がするけど。」

 

 何か不穏なものを感じながらも、芦戸に紹介された料理を純狐は注文する。料理はすぐに運ばれてきて、純狐はそれを食べながら芦戸にお礼を言った。

 

「ありがとうね。色々あって疲れてたのよ。」

 

「あはは、元気が出たなら何よりだよ!」

 

 芦戸は爽やかな笑顔を純狐に向ける。見ている方も自然に笑顔になるような笑顔で、やはりここにいる皆はヒーローの卵だな、と純狐は再認識した。

 

「てぇてぇなぁ…。」「こち抜か不作法…。」「労兄。」

 

 そんな二人の様子を見ていた男子数人がそんなことを言っていた気がしたが、純狐はそれを聞かなかったことにして食事続ける。すると、たまたま目が合った耳郎と葉隠が純狐たちのところにやってきた。

 

「やっほ!それ美味しそうだね。」「お疲れ様。取材大変だったでしょ。」

 

 向かいの席に座った二人は芦戸にも話しかけ、席が盛り上がり始める。そして、話題が一段落したところで、ふと耳郎が純狐の方を向いた。

 

「そういえば、落月さん。最後の爆豪眠らせたやつ何だったの?」

 

「あ、それ私も気になる!」

 

 話を振られた純狐は一瞬固まるが、何とか用意していた答えを記憶の中から探す。目の個性に関しては、周りの人の捉え方で大きく性能が変わる可能性がある為、迂闊に話すことができないのだ。

 

「ああ、あれは自分でもよく分かっていないのよ。多分思考の純化の何かだとは思うんだけどね。」

 

 純狐が笑顔でそう言うと、三人は特に何の疑問も抱かずにそれで納得する。そんな三人の様子を見た純狐は、嘘をついていることに罪悪感を覚え、今度からアドバイスなどを積極的にしてやろうと心に決めた。

 

「皆さん!盛り上がっているところすみませんが、そろそろ帰る時間でございましてよ!」

 

 純狐たちがそんなことを話していると、突如欠席となった飯田の代わりに幹事役をしていた八百万が店に掛けてある時計を指す。その声を聞いた1-Aのメンバーは名残惜しそうに片づけを始めた。

 

「あら、ここで終わりみたいね。楽しい会だったわ。」

 

 純狐も今まで話していたメンバーに声をかけながら席を立ち、八百万にお金を渡すと皆よりも一足先に店を出る。純狐にはこの後、主にステインにことについてヘカーティアとの話し合いの予定が入っていたのだ。

 

(あの駄女神!今度新しいBBでも作ってやろうかしら。ヘカーティアアローラの姿とか需要爆発でしょ)

 

 黒い笑みを浮かべながら帰りを急ぐ純狐。そんな純狐の姿を見ていた通りすがりの人々が、純狐を通報しかけていたというのはまた別の話である。

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

「凄かったよな、今日の落月。」

 

 純狐が出て行った後、切島は砂藤と一緒に帰りながら思い出すように話す。彼は、この体育祭で純狐と直接戦うという事は無かったが、それでも純狐の実力をひしひしと感じていた。それは砂藤も同じだったようで、腕を組みながら頷く。

 

「なんだかなぁ。完全に住む世界が違ったよな。第一種目の爆発、第二種目の隕石落とし、トーナメントでの小技から大技まで。」

 

「あー、確かにトーナメントも凄かったなぁ。」

 

 二人の話はそこでいったん途切れ、その場が一瞬だけ静寂に包まれる。夜空には、初夏らしからぬ寒い色をした月が浮かんでいた。

 

「でもよ」

 

 なんとなくそんな月の浮かぶ夜空を眺めた切島が静寂を破る。砂藤も同じように月を眺めた後、まだ上を見ている切島の方を向いた。

 

「落月が最後に使ったやつ。一瞬だったから俺の間違いかもしれねぇけどよ、なんだかとてつもなく悲しくなるような感じがしたんだ。」

 

「……。」

 

 砂藤は切島の方に向けていた顔を伏せて歩く。砂藤も、切島程強くではないが同じようなこと感じていたのだ。そんな砂藤の様子を見ることなく、切島は話を続ける。そんな彼の表情はいつもと違い、わずかながらの畏怖が混じっていた。

 

「前から俺、落月には触れたらいけないことがあるって思ってたんだよ。もしかしたらあれの中身がそれなのかもしれないな…。」

 

 

― ヘカーティアside ―

 

 

「クラピちゃん。何だか嫌な感じがするからどこか行きましょうか。」

 

 いつも通り、のんべんだらりとしていたヘカーティアの髪の毛の一束がピンと立つ。それはどんな魔術なのか?という疑問を飲みこみつつ、クラウンピースはヘカーティアに続いて立ち上がり、ため息をついた。基本的にヘカーティアの嫌な予感は、ヘカーティアだけに害があるものであるため、クラウンピースにとってはただの迷惑なのだ。

 

「ご主人様。別にいいんですけど、私にとって得のある所に連れていってください。さすがに今日は疲れました。」

 

「ん?クラピちゃんそんなに疲れてたの?いいわよ、どこ行きたいの?」

 

 クラウンピースからの珍しいお願いに、ヘカーティアは不思議に思いながらもそれに応じる。

 

「幻想郷に新しくラーメン屋ができたらしいんですよ!そこが妖精界隈で美味しいと評判なんです!晩御飯食べに行きましょう!」

 

 目を輝かせるクラウンピースを見ながら、ヘカーティアはそんなものがあったのかと興味を惹かれる。しばらく幻想郷に行っていなかったヘカーティアは、クラウンピースが晩御飯を食べている間その辺を見て回ろうと計画を立て幻想郷へのゲートを開いた。

 

「そんじゃあ、行きますか。クラピちゃんが食べてる間私はその辺回っとくから、何かあれば呼んでね。」

 

「はーい!レッツゴーです!」

 

 そうして二人は、純狐から連絡の届く数分前に幻想郷に旅立った。その後、無事幻想郷に着いた二人は計画通り別行動を始めた。

 

「ふーん。あんまり変わった場所は無いか。」

 

 きょろきょろとあたりを見渡しながら飛行するヘカーティア。妖怪の山の方まで行こうかとも考えたが、あの辺は本当に景色の変化がないため行くことを諦めた。

 

 と、その時。

 

 バァン!!

 

「…え?」

 

「おいゴラァ!」「神性持ってんのか!」

 

 観光を終えてクラウンピースのもとへ向かうヘカーティア。前方不注意からか、不幸にも狙ったかのようにそこにいた映姫と月のヘカーティアに追突してしまう。いやおかしいだろ、と思いながらも世界の強制力をすべて背負ったヘカーティアに対し、その二人が言い渡した示談の条件とは…。

 

― side out ―

 

 




読んでいただきありがとうございます!

例の病気休みも終わりを迎えたところが多く、色々忙しくなってきました。
私はすでに夏バテしました。皆さんは気を付けてください。
今回、例のアレネタが過剰だった気がしますが、ネタ切れなんだな、と思って許して頂けると嬉しいです。

次回、未定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。