純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

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こんにちは!

遅れて申し訳ありません。
ここから終盤にかけてどう話を持っていくか考えてました。
まあ、いつも通りグダグダになりそうですが。

疲れ~る。

追記:博士→ドクターに訂正しました


体育祭後 2

 体育祭終了後、死柄木はCMの入ったテレビから目を逸らし、ネットの反応の確認を始める。そこには死柄木の狙いである純狐の能力の考察などが乗せられていた。しかし、どれも結局よく分からない、という事に落ち着いており、死柄木を満足させるものではない。

 

「…なあ、黒霧。トーナメントでどれが気になった?」

 

「…やはり、最後の目が赤く光ったものですかね。あれだけ、何と言いますか…その、彼女の持つ能力の中でも異質でした。」

 

 うまい言葉が見つからない黒霧を死柄木はじっと見つめる。そして、黒霧の言葉が止まったところで死柄木は顔をパソコンに戻し、再びネットの記事をあさり始めた。

 

「そうだよな。何個かの記事もあれのことを気にしている。お前はあれを何だと思う?」

 

 死柄木は画面から目を離さずに黒霧に問う。問われた黒霧は、死柄木の求めている答えがよく分からなかったため思い浮かんでいたことを話すしかない。

 

「資料にあった思考の純化でしょうか。それ以外は思いつきません。」

 

「まあそうだよな。効果範囲が広いのは、その波紋みたいなもんが広がってたからか?現時点じゃ何も分からないな。」

 

 死柄木はこのまま考えてもらちが明かないと、立ち上がって用意されていたコーヒーを飲む。その様子を無言で見ていた黒霧は、その時ふとあることを思いつく。

 

「すみません、死柄木弔。彼女が思考の純化を行ったのならば、いったい何という思考に純化をしたのでしょうか?」

 

 そう言えば、と死柄木は雄英から盗んだ純狐に関する資料を確認する。しかしそこには、思考の純化ができるがそれは危険であるため使用できない、としか書かれておらず、純化の具体的な内容などは何も載っていない。

 

 改めて見ると、純狐の資料には引っかかる点が数箇所あった。まず、『危険である』という点。常闇のダークシャドウなど、他の個性の危険であるとされることについては詳細が載っているにも関わらず、思考の純化の危険性の詳細は何一つ載っていないのだ。

 

 他にも、どの程度相手の行動を制御できるかという事や、どのような条件でそれが解けるのかなど、重要だと思われる情報が欠けている。

 

 しかし、そのこと以上に死柄木の関心を引いたことがあった。

 

「…無い…。」

 

「何がです?」

 

「あいつが思考の純化を使う際に、目が赤くなるなんて書いていない。」

 

 死柄木は資料を穴が開くほど見るが、何度見直してもそこには目のことなど書かれていなかった。いつも冷静沈着な黒霧も、これには驚かざるを得ない。

 

「思考の純化ができる、という文はただの憶測で書かれていたという事ですか!?」

 

「いや、それだと、『危険である』とされる部分が何で書かれたのか分からない。何かを隠蔽しているのか?いや、それならば思考の純化のことを一切載せない方が確実だ。クソッ、ますます分かんねぇ。」

 

 資料を黒霧の方に投げながら死柄木はソファーに寝転ぶ。資料を受け取った黒霧も何度か資料に目を通したが、今の情報量でこれ以上のことは分かりそうになかった。そのため黒霧は、気分転換しようと他の生徒について考えてみることを提案する。

 

「死柄木弔。落月以外の生徒はどうだったのですか?何か気になるところは?」

 

「他の生徒はあんま見てねぇよ。轟って奴と爆豪ってのに注意しとけばいいんじゃねーの?」

 

 純狐の話題の時とは違って死柄木の食いつきは良くない。黒霧はそんな死柄木を少し心配するが、最たる問題である純狐のことについてあそこまで考えてくれた死柄木に注意する気も起きず、これについては自分が考えることにした。

 

 そんな感じで、彼らの時は流れていく。それとは別に、彼ら以上の情報と知能を持つ者、つまりオールフォーワンはその情報量故に悩むことになっていた。

 

「家で確かめていた目の赤く光る現象の正体はこれか。問題なのは、これが【純化】かどうかだが…おそらく違うかな。」

 

 ぶつぶつと独り言をしながらパソコンにそれを記録していくオールフォーワン。彼はすでにあの目が引き起こした現象が、純化によるものではないという事に気づいていた。

 

「何でそう思うの?」

 

 そんなオールフォーワンの様子を後ろで見ていた地球のヘカーティアはアイスを舐めながら話しかける。もはやオールフォーワンのプライバシーというものは無くなってしまっているが、オールフォーワンもヘカーティアのことを信用し始めたため、そこまで気にしていなかった。

 

 気にすることを諦めたとも言う。

 

「感覚ですかね。多くの個性と触れ合う機会があったので、なんとなく分かるんです。ですが、彼女に直接会って目の前で使ってもらうまでは確定ではありませんし、詳細も分かりませんね。」

 

「彼女と会って、あなたが操られるってことは無いわけ?」

 

「映像を確認すると、彼女の目を一瞬でも見ていたものの動きが止まっています。私にはすでに目が無いので、感覚を操っている個性をいくつか切れば大丈夫なはずです。」

 

 オールフォーワンはヘカーティア出した紅茶を飲みながら話す。こんなことを言ってはいるが、オールフォーワンは純狐の能力を警戒してないわけではない。個性は時に想像もつかないことを引き起こすものである。

 

「ふーん、色々考えてはいるのね。」

 

 アイスの最後の部分を食べながら呟くヘカーティア。オールフォーワンはそんな彼女から目を離して、純狐の私生活が記録されたUSBをパソコンに差し込み、それの確認を始めた。

 

「変わったところは無し…か。うん、分からないのは彼女が何であの場で今まで隠していたあれを使ったかだな…。彼女の行動から考えると、あまり勝ち負けに拘らないものだと思っていたのだが…。」

 

 そう、オールフォーワンが純狐について抱える最大の疑問はそれだった。もし今までの予想が外れており、純狐がヒーローに本気でなりたいと考えているようであれば、作戦の大幅な変更を迫られるからだ。

 

 純狐はヒーローサイド、ヴィランサイド双方で重要な駒の一つであることは確定的である。ここで判断を間違えれば、ただでさえ今は勝てないヒーローサイドに、平和の象徴クラスの人物が加わることになる。次世代の悪を育てるオールフォーワンにとって、それは何としてでも避けなければならない事態であった。

 

「そんなに心配なら雑魚を数人送りつけて調べさせればいいじゃない。すでに彼女は自分が様々なところから調べられていることを知ってそうだし、ばれてもそう簡単に誰かに話すことも無いでしょ。」

 

「それも今では慎重にならざるを得ません。彼女はオールマイトをそれなりに信用して秘密を話している。オールマイトのことです、何が何でも彼女を守ろうとするでしょう。」

 

 面倒な奴だと思いながら、話を聞き流すヘカーティア。オールフォーワンはその間も、パソコンに何らかの文字列を打ち込んでドクターに送っていた。

 

(早く帰りたい。お菓子をくれるっていうから、純狐をヴィラン連合に近づけることに協力してやってるけど、面倒になってきたわ)

 

 ヘカーティアは心の中でオールフォーワンの慎重すぎる姿勢に悪態をつく。オールフォーワンが慎重になってしまった原因は、ヘカーティアを知ってしまったことも大いに関係しているが、彼女はそれに気づいていなかった。

 

「仕方ない。しばらくは様子見だ。運が良ければ、ステインと会うことで何か変化が生じるかもしれない。それと、これも一応目を通しておくか…。」

 

 オールフォーワンは一枚の資料を取り出す。それは、ドクターが集めた純狐の身内に対する調査の結果だった。彼らもすでにそこまで調査を進めていたのだ。

 

「何も見つからない…。一体彼女はどこから来たんだ?ちゃんと戸籍は登録されているからスラムとかではなさそうだし、そもそもスラムなんかに納まる個性じゃない。もしかするとヘカーティアさんのように異次元から…?」

 

 オールフォーワンは様々な思考を働かせるがこれといった答えが見つからない。ヘカーティアはそんなオールフォーワンを見ながらニヤニヤと笑っていた。彼女は、人が悪戦苦闘しながら答えを見つけようとする姿が好きなのだ。

 

 例えそれが考えている本人にとって無意味なことであったとしても、その姿勢、思考はヘカーティアが尊敬するに値するものであった。

 

(異次元説は何度か考えたが…もしそうだとしてもどうしようもない。やはり、今の彼女の力に対する対策が最優先か。死柄木にもそう伝えなければな)

 

 他よりも情報面でアドバンテージを持つオールフォーワン。しかし、そんな彼でも純狐の真意にたどり着くまでの道のりは遠かった。

 

◇  ◇  ◇

 

「飲んでるかい?」

 

 とある居酒屋にて、三人の一般人が飲み会を開いていた。場はすでに少し落ち着いた雰囲気が流れ始めており、三人ともそれなりに酒が入っている。

 

「今年も雄英体育祭すごかったね!見た?あの三年の男の子!どんな攻撃も当たらないし、ワープみたいなこともしてたよ。やっぱ強個性なのかな?」

 

「いや、あの子の個性、調べてみると結構面倒だったぞ。あそこまで昇華できたのはあの子の努力のおかげだろうな。すげぇなぁ。」

 

 三人は雄英の体育祭でここがすごかっただの、この子がかっこよかっただの会話を続ける。だが、あるところで会話が途切れ、三人は顔を向かい合わせた。

 

「でもなぁ、ある一人のせいで他が薄れちゃうんだよな。」

 

「あー…分かっちゃうのが恐ろしい。」

 

「あれは…もうどうしようも無いですね。」

 

 三人は声を合わせてその名を言う。

 

「「「落月純狐」」」

 

 そう、今回の体育祭で最も目を引いていたのは、やはり純狐であった。一年生で世間からここまで注目されるような生徒は片手で数えられるような人数しかいない。そんな特例の中でも純狐はひときわ異質であったのだ。

 

「圧巻だったよね。第一種目もあれだけ不利な条件を押し付けられながら、最後は逆転勝利。第二種目は、一位にも拘わらず戦闘に参加して最後はとんでもない大技。トーナメントでは能力の多様性とそれを使いこなせる技能。」

 

「個性の強さに隠れちゃったが、容姿も完璧だったよな。俺的には、稀にドジするのがポイント高かった。」

 

 大会中の純狐のことで盛り上がる三人だが、彼らが特別にこのような話をしているわけではない。日本中が純狐に注目を寄せているのだ。

 

「三年の一番と戦わせたらどっちが勝つと思う?」

 

「うーん。まあ、順当に落月なんじゃないですか。ミリオ君は遠距離攻撃無いから、ワープみたいなので近づいて気絶させるしかない。でも、それくらいなら落月はいくらでも対処法があるし、そもそも自分の存在を消せるから相手取ることも難しい。」

 

「純化ってやりすぎよね。あんな個性どうやったら生まれるのかしら。洗脳までできるわけでしょ?」

 

「ああ、それに関してだが、色々言われてるみたいだな。

 

 一人がスマホを開き、ある記事を二人に見せる。そこには、会場にいた人たちに聞いた事のまとめが載っていた。

 

「これによると、最後の洗脳だけなんか他のと違うと感じたらしい。だから、もしかすればあれは純化とは別の個性なのかもしれないぞ。まあ、だからどうしたって話だが。」

 

「そうですね。別の個性だからなんだって話ではありますね。それより僕が気になるのは彼女に関する黒い噂ですよ。あれだけ目立つ個性を持っていながら今まで表舞台に一切顔を出さなかったこととか、親がどこにもいないだとか。」

 

「噂なんて誰にでもどこにでもあるよ。ほら、二人ともさっきから酒が進んでないぞ。」

 

 二人の話が長くなりそうなことを察して、残り一人がそれを切る。閉店時間も迫っており、あまり長くいるわけにもいかなかったのだ。

 

「お前が頼みすぎなんだよ!こんな量飲めるかってんだ。」

 

「飲めるよ!私が一人の時の三分の二しか頼んでないし。」

 

「マジか。やばいなお前。」

 

  ◇  ◇  ◇

 

「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ。」

 

「「「胸膨らむやつ来たぁぁあああ!!」

 

 相澤の発言で1-Aの皆が拳を突き上げる。体育祭の余韻も消えきらぬ頃にこんなことを言われれば、盛り上がらない方がおかしいというものだろう。

 

「というのも先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる。今回来た指名は将来性に対する興味みたいなものだ。一方的なキャンセルなんてのもよくある。」

 

 勝手なことだと思うかもしれないが、この程度のことを乗り越えられないようでは厳しいヒーロー社会で生き残ることはできない。もらった指名という分かりやすいハードルがあるだけプロの世界よりましである。

 

「その指名の結果はこうだ。例年はもっとばらけるんだがな…。今年は二人が飛びぬけて多かった。」

 

 相澤はそう言うと、黒板に指名の数を帯グラフにしたものを映し出す。だが、皆はその結果に少し首を傾げた。

 

「…轟と爆豪に比べて落月少なくないか?」

 

 体育祭の活躍を見れば、誰もが欲しがるであろう人物なのに、純狐への指名は轟、爆豪に比べ少ない。これは、普通に考えれば不可解なことであるが、純狐含め数人の頭の回る生徒たちはその理由を理解していた。

 

(ふーん、この世界のプロも馬鹿ではないみたいね。生徒を呼ぶという事はその生徒に対して責任を負うという事。つまり、その生徒を制御しなければならない。だけど、その辺のプロでは私を制御しきれない)

 

 純狐は、指名先の事務所が載せられたプリントを受け取りながら冷静に分析する。こうなることは分かっていたため、純狐が驚くことは無い。それに、純狐の主な目標はステインに会って原作での要素を回収した上で原作に無かった戦闘や会話を楽しむことであるため、どこに行こうがさほど問題ではないのだ。

 

 勿論、事務所での活動や、プロヒーローの手伝いなどを楽しむという目標も掲げているが、それはあくまでも最低限の仕事を済ませた後のことであるため、現時点ではあまり考えていない。

 

「んで、これを踏まえ…指名の有無関係なく職場体験に行ってもらう。プロの活動を体験して実りある訓練をしようってわけだ。」

 

 相澤は何かを考えている純狐の方を気にしながら話を続ける。先日の会議で様子見と決まりはしたが、常に予想を超えていく純狐から目を離すわけにはいかなかった。

 

「…そこで、仮ではあるがヒーロー名を決めてもらう。ここからはミッドナイトさん、お願いします。」

 

「任されたわ!この時付けたヒーロー名をそのまま使う人も多いから変なの付けたら地獄を見るよ!」

 

 相澤が寝袋を取り出すのとほぼ同じタイミングで教室にミッドナイトが入ってくる。多分、このタイミングを狙って廊下でスタンバっていたのだろう。入室したミッドナイトは、列の先頭の生徒に縁取りしてある厚紙の発表用紙を配り、15分後に発表とだけ言って教壇に立った。

 

~少年、少女思考中…~

 

「じゃあ、そろそろ発表してもらいましょうか!」

 

 ミッドナイトの声が教室に響き、生徒たちは顔を上げる。まだ決まっていない生徒も多いため、名簿順ではなく出来上がった人から発表するようだ。

 

(まあ、私は純狐のままでいいわね。元の世界の方でも二つ名とか無かったし、私には似合わないもの。それより…)

 

 純狐は他の人の発表を聞きながら、出久、そして飯田の方をちらりと見る。

 

(彼らの名前…というか名前を決める時の考えはこれからの物語に干渉するかもしれないから注意しなきゃ。まあ、注意するだけで出来ることは無いんだけど)

 

 そんなことを考えていた純狐だが、二人の様子を見て原作とずれる可能性は低いと判断し、自分の発表を終えて席に戻った。

 

 その後、無事発表を終えた生徒たちは、各自どの事務所に行くか考えることとなり、自由に話を始める。

 

「ねえねえ、落月さんはどこ行くの?」「上位二人に比べれば少ないが、お前も十分多いからな。選び放題だろ。」「落月。良かったら俺と一緒のとこ行かないか?」

 

純狐のところにも数人の生徒たちが寄ってきて、どこに行くのかなど聞いてくる。しかし、今後の展開をある程度予想できている純狐は、どこに行くのかという会話が意味をなさないことを知っていた。

 

「落月少女。緑谷少年。ちょっと特殊な指名が来ている。付いて来てくれ…。」

 

(ほら来た)

 

 震えながら話すオールマイトを見て純狐は少し笑うと、グラントリノについて説明を始めたオールマイトに付いて行くのだった。

 

 




読んでくださりありがとうございました。

あまり考えず話を書いた回のせいで、誰がどこまで情報を持っているのかなどが自分でも分からなくなってきた…。
その辺も今後どうにかして回収できればな、と思っています。

次回、インターンシップ?
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