待っててくれた皆さん(いるのかな?)お待たせしましたぁ!
やっとそれなりにかけたので出せます。
クリスマスはバイト仲間と一緒でした。あったけぇな……。
「はい、じゃあ始めますか。エンデヴァーさん、試験で気付いたことについて改めてよろしくお願いします。」
もはやイベント後の恒例行事となりつつある純狐についての報告会がいつもの会議室で開かれる。今日、その場に呼ばれたエンデヴァーは、スライドを用意して手元の資料を確認しながら話し始めた。
まず話されたのは、純狐はヒーローたちが自分を疑っていることに気づいている可能性がかなり高いという事だ。これについては教員たちもなんとなく気付いていたことであり、今後、あまり純狐を試すようなことを控えるという事となった。
二つ目は、戦闘についてのことである。純狐の戦闘能力はヒーローたちが考えているもの以上であった。判断力、分析力、敵に罠を悟らせない立ち回り、どれをとっても一級品である。また、体力面においても予想を大きく超えており、それと同時に、例の爆発との体力の関係がほぼ確定となった。これは本人に直接聞いてみるしかないが、今までの様子を見ていると話してくれる可能性は低いし、そもそも彼女自身理解しているのかどうかも分からない。
エンデヴァーの話はここまでである。そして、この話を受けて13号が疑問を呈したのが、戦闘能力に対する救助能力の低さであった。救助の授業でも純狐が優秀なことに変わりはないが、戦闘力と比べるとかなり劣っている。
やはり、過去に何かあり、それが戦闘能力を鍛える要因になっているのではないか、と教員たちは予測する。最も可能性が高いのは、やはり両親を亡くしたという事やヴィランに襲われたという事からくるものだろうと推測された。
「確か、落月さんの両親は彼女の個性を隠蔽しようとしてたんですよね。」
十三号は丁寧に手を挙げて、相澤の方を見る。
「そうなると、ご両親が亡くなった後は、神獄さんが秘密のまま守っていたという事なのかしら?」
「……それが分からない。落月の両親が本当に亡くなっているかどうかも確かめようがないんだ。」
ミッドナイトの出した疑問に相澤が反応する。そもそも、純狐の両親が亡くなったのはかなり前だとされており、それが本当だとすれば疑うべきは両親よりも、やはり神獄の方となる。そして、ここにはもう一つ問題が内包されている。純狐の両親の死が本当だとするならば、人二人分の死をここまで隠し通せた者がいるという事になるのだ。そうなると、やはり怪しいのは落月神獄、という事になってくる。
「やはり一度家庭訪問でもしてみた方がいいんじゃないか?神獄さんが来るにしても来ないにしても、収穫はあると思うぜ。」
会議の長引きそうな雰囲気に嫌気がさしたプレゼントマイクは、背もたれに寄り掛かりながら一番手っ取り早そうな解決策を出す。家庭訪問はこの場にいる全員が思っていたことであったが、純狐への干渉を控えると決めた手前、積極的に取りたい手段ではない。だが、このまま会議室で悩んでいても答えが見つかる問題ではないことも確かだ。そこで、相澤とオールマイトが純狐に直接尋ねてみることとなった。
そして、会議は次のステインの取り調べの話題に移る。
「えー、ステインですが……、まあ、ある程度のことは話してくれるんですが、一線は超えませんね。ヴィラン連合については話してくれませんし、落月とのことについてもあまり詳しくは分かりません。」
ステインについて分かったのは、強すぎる正義感故に行動を過激な方向へ移してしまったという事だった。すでに警察などの組織に担当が移っているのでヒーローたちが積極的にステインの取り調べを行うことができないのがじれったい。
「私は面会に行っただけですが、心なしか依然の彼よりも表情は穏やかでした。落月のことについて聞いたとは何か遠くを見るような感じでしたが……。」
「ステインねぇ……、落月に何話したか聞いたら答えてくれはしたけど、特に気になる点は無かったからなぁ。」
「何か同調したところでもあったのでしょうか。もしあったとすれば、何でしょうね?怒りか、恨みか、正義感か……。」
様々な憶測が飛び交うが、証拠も無いので結論が出ることも無い。この同調したものが分かれば純狐のことをより理解できそうな予感がしていた教員たちは、情報が少なすぎることに落胆するが、この話題についてグダグダとしている時間は無いので最後の話題に移ることとなった。
最後の話題は、職場体験中に純狐を襲った脳無のことについてである。まず、論点に上がったのは、何故純狐だけを執拗に狙ったのかという事だった。保須市で同時多発的に起こった脳無の出現になるべく純狐を関わらせたくなかったのか、ステインに合わせたくなかったのか、様々な意見が出るがやはりこれといった根拠がない。
保須市でヴィラン連合が暴れた理由としては、おそらく世間の注目を集めて仲間を増やすという事であったというのが分かっている。それなのに何故、他三体の脳無を合わせても余りある破壊力を持つ脳無を純狐にぶつけたのか。
これが、純狐がプロヒーローであったのなら納得はいく。プロヒーローは特に制約なくヴィランを捕まえるために全力を出せるからだ。しかし、純狐はあくまで学生であり、公共の場で個性を好きに使うことはできない。つまり、普通わざわざ足止めせずとも問題ないのである。
今一番有力視されているのは、ヒーローたちが行ったように、ヴィラン連合が純狐の実力を計ったという線だ。もしこれが当たっているとすると、ヴィラン連合はヒーローたちと同等、もしくはそれ以上の情報を握っている可能性が出てくるのであまり信じたくはない説だが、説得力は最も高い。
もう一つ気になる情報として、脳無の検査をした結果現在見つかっていない物質が血液から見つかったという情報もあったが、それは教員たちの管轄ではないのであまり注目はされなかった。
「報告は以上ですかね。それでは、今日は解散という事で。相澤先生とオールマイトは落月さんの家庭訪問の件よろしくお願いします。」
ミッドナイトがそう言うと、会議はお開きとなり、各々が仕事に戻って行く。その内の一人であるオールマイトは、残した仕事を片付ける前に仮眠を取ろうと仮眠室に向かった。仮眠室に着いたオールマイトはそのまま仮眠を取ろうとしたが、ある気がかりがあり、いつものようにすぐに寝付くことができない。
(脳無の性能、そして未知の物質……たとえオールフォーワンが関わっているとしてもあれだけのものが生み出せるのか?もし生み出すことができたとしても、落月少女だけのために使うだろうか)
いくらオールフォーワンとは言え、ここまで常識外れのことができるとは思えないのだ。それは、実際オールフォーワンの理不尽さを味わったオールマイトだからこそ抱けた感想であった。
(だが、奴でなければ一体誰が……奴以上の技術力を持つ協力者でもいるのだろうか。考えたくない可能性だな。あのレベルの脳無を量産できる体制にあるとしたら対抗手段が無い。せめて私が自由に力を使えたなら……いや、こんなところで理想を語っても無意味だな)
トゥルーフォームとなり、ただでさえ深いしわをさらに深くするオールマイト。おそらくこのことについて考えているのはオールマイトだけではないだろう。オールマイトは自分のことを頭がいいとは思っていないが、ことオールフォーワンに関しては自分以上に考察できる者がいるとは思えなかった。
(久しぶりに、サーに連絡でも取ってみるかな。正直、私だけでは身に余る課題だ)
優秀なサイドキックの顔を思い浮かべたオールマイトは、ソファーに深くもたれかかる。少しリラックスしたからだろうか、目を閉じたオールマイトの頭の中にある一つの考えが浮かんだ。
(そう言えば……前の会議でブラドキングが何か言っていたな。確か“神”だったか。不確定情報だがその神とやらが関わっている可能性はあるな。今回の資料にも最後の方に小さく載っていたっけ)
オールマイトは眠りかけていた頭を覚醒させて机の上に置いた資料に手を伸ばす。そして、最後のプリントの下部に書かれた小さな記事に目を向けた。
「えーと、ああ、今回はあの警察官からの情報提供なのか。何々……うん?神は三体いる可能性大だと?」
あまり強調されていない部分だったため読み飛ばしていたが、そこに書いてあったのは想像を超える内容であった。そもそも警察はこの情報をどこから手に入れたのだろうかという疑問も浮かんだが、それ以上に神という存在の再確認とそれが三人もいるという事がオールマイトを驚かせる。
「何を根拠に三人と言っているのだろうか。せめて写真でもあれば……。」
一度気持ちを落ち着かせたオールマイトは、様々な可能性を考えてみる。だが、今持つ情報では考察どころか妄想さえできない。
「ふぅ、やはり、サーに頼った方がいいか。」
そろそろ休まないと時間が無くなってしまう事に気づいたオールマイトは、再びソファーに寝転び目を閉じる。何か、大きなものが関わってきている、そんな予感が頭からは離れなかった。
◇ ◇ ◇
「ん?家庭訪問ですか?……別に構いませんけど、どうかしましたか?」
期末試験も終わり、夏休みまであと少しとなった頃。相澤はオールマイトと共に純狐を仮眠室に呼び出し、家庭訪問の相談をしていた。
「いや、まあ、お前の家庭環境があまり分かってないからな。今後のためにも、一度知っておきたかったんだ。他にも、今回の期末試験のようにお前だけ別待遇になることがあることも伝えておきたい。」
(うおッ、予想以上に直球ね。まあ、ヘカーティアも暇だろうし、多分大丈夫でしょう。別にヘカーティアを見られたところで何か分かるわけでもないだろうし)
ヘカーティアが今回も一枚かんでいる可能性も大いにあるが、何度も言う通り今の純狐ではヘカーティアの所業を止める手段が無いため考えないことにしている。そんなことよりも、純狐が心配なのは家庭訪問の日付である。
純狐がこの世界からの退場を考えている神野の悪夢に直接つながる林間合宿での立ち回り、そして、起こるであろうイレギュラーへの対処方法など、することが山済みなのだ。
「えーと、いつ頃になりそうですか?大体の日付教えてもらえればできそうな日探しますので。」
「ああ、それは落月少女の都合に合わせさせてもらうよ。まあ、できれば夏休みに入る前がいいかな。」
ハハハと笑うオールマイトの提案は純狐にとって願っても無いことだ。林間合宿直前は、ショッピングモールでのイベントもあるので、できるだけ自由な時間を作っていたかったのだ。
「了解です。では、明後日くらいまでには予定も分かりそうなのでお伝えします。」
「急だったのにすまないな。」
相澤はそれだけ言うと、仮眠室のドアを開けて純狐に出るよう促す。純狐の退出した後、二人きりとなった相澤とオールマイトは、早速家庭訪問の内容について話していた。
◇ ◇ ◇
「おーい、ヘカーティアー?聞いてたと思うけど今度相澤先生たち家に来るから。適当に答え考えといて。」
家に帰った純狐は鍵穴に向かってそう言うと、部屋着に着替えて、準備のしてある食材を冷蔵庫から取り出して温める。
「OK、分かったわ。だけど、話す内容はあなたが考えなくていいの?」
夕食の準備も一段落終わり、リビングの椅子に腰かけた純狐の目の前に現れたヘカーティアは二人分の紅茶を出して一つを純狐に渡す。ポーカーフェイスを決め込んで何を考えているか正確には分からないが、どうせろくでもないことを考えているのだろう。
「あなたも何かやりたいことがあるんでしょ?なら、私はそれの邪魔はしないわ。面倒だし。ほらこんなことより目先の話題について話しましょ。」
純狐はジト目でそう言うと、今までの教師、ヒーローそしてヴィランの行動から推測したことを書いたノートを取り出す。ヘカーティアはそのノートを受け取るとパラパラとページをめくって内容に目を通した。
「ふーん、今のあなたの状況については分かったわ。まあ、今回私はあなたに合わせて無難に終わらせる予定よ。親族設定だから、月の私を向かわせるわ。」
「ありがと。じゃあ、今度の土曜日にでも頼もうと思うからよろしく。」
教師たちの入念な計画とは逆に、二人は適当な言葉を交わすだけで家庭訪問についての話を終える。その後二人は、一緒に夕食を食べ、お互いの近況報告などをすると、いつもの生活に戻って行った。
◇ ◇ ◇
「ようこそいらっしゃいました。さ、どうぞこちらへ。」
「「お邪魔します。」」
家庭訪問当日。スーツ姿の相澤とオールマイトは、部屋の前で待っていた純狐に案内されてリビングへと上がる。シンプルな内装に整頓された本棚など、一見どこにでもある普通の部屋である。そんなリビングには、すでに月のヘカーティアがお茶を用意して座っていた。
(普通……だな)
今、雄英の教員たちを含むヒーローたち全員にとって最大の不確定要素ともいえる存在の登場に二人は一瞬表情を強張らせる。だが、その様子があまりにも普通であるため出鼻を挫かれたような気分であった。
「ようこそいらっしゃいました。お座りになってください。」
「失礼します。」
椅子に座った二人は、適当に世間話を挟んで軽く揺さぶりをかけるが、やはりヘカーティアに変わったところは見られない。世間話をしている間、ヘカーティアの隣にいる純狐が何度か心配そうな表情をしていたのが少し気になりはしたが。
「えーっと、では早速純狐さんのことに付いて話していきたいと思います。」
「クスクス、この子昔から変なところで感情的になるから心配なんですよ。トラウマですかねぇ。」
(トラウマ……?)
トラウマという言葉に引っ掛かりを覚えた相澤は頭のノートに記録しておく。オールマイトも同じところに違和感を覚えたらしく、意外そうな顔をしていた。今までの純狐の行動を見る限り、トラウマというものは感じられないのだ。そもそも、そんなに分かりやすいサインがあれば、教師やヒーローたちはこんな悩み方はしていない。
「あまり気にすることありませんよ。この人が勝手に言ってるだけです。」
あきれた様子でため息をつく純狐からは、やはりそのようなことがあるようには見えない。かつてヒーローに助けられて事があるとは言っていたため、そこで何かしらのトラウマが生まれた可能性は否定できない。しかし飯田たちの話を聞く限りこの思い出はヒーローへの憧れという形で消化されていたはずである。
(もし、そのヒーローへの憧れがその武力への憧れだったとすればどうなる?自分から話題に出すくらいだからあまり負の感情は抱いていないと思っていたが……。話題に出すことで気を紛らわせているとも考えられるか?)
専門家ではない相澤は知識のない自分に苛立ちを覚える。純狐が言うようにただの思い過ごしであることを今は願うしかない。
「そう言えば、落月さんは昔【純化】が使えたそうですね。我々としても前例のない個性でどう導いてゆけばいいのか悩みどころなのですが……何かコツとかあるのでしょうか。」
苦い顔をしている相澤を心配したのか、続きの質問をオールマイトが始める。オールマイトの質問に対し、ヘカーティアは純狐の方をちらりと見ると、変わらぬ笑顔で話し始めた。
「私も幼かったのでコツについては分かりません。まあ、つまるところこの子を見る限りでは、という事になるのですけれど、思考、というものに左右されるような気はします。どんな個性にでも言えることですけどね、気持ちの持ちようっていうのは。」
「気の持ちよう、思考、ですか……」
オールマイトは、自身のワンフォーオールについても同じようなことが言えるな、と考えながらヘカーティアの話を聞く。
「ほら、純化と一言で言っても、パッとしませんよね?だから、基準となるような純粋なもの。自分自身の確たる意志・本質とでも言いましょうか、そんなのが必要だと思うのです。特に、思考の純化みたいなことに関しては。」
「「………。」」
相澤たちはヘカーティアの話に聞き入っていた。ヘカーティアの話す内容はどれも科学的な根拠は薄いが、なんとなく腑に落ちるところがあるのだ。そして、それと同時に疑問も沸いてくる。
何故、彼女はここまで純狐について詳しいのだろうか、と。
勿論、長年純狐と共に生活して来た、というのはあるだろう。しかし、それでも教育者としては一流である雄英の教員たち以上に純狐の能力について知っているというのは、何か引っかかるところがある。
「落月少女。君自身は今の話についてどう思う?」
沈黙が長引き、話し出すことが難しくなる前に、オールマイトはさっきから話していない純狐の方を見る。話の内容故か、その口調故か、ヘカーティアの雰囲気が変わってきたように感じたのも、純狐に話を振った理由かもしれない。
「私は……そこまで基準とやらを意識してはいませんよ。気にしていると言えば、ヒーローの本質である人助けです。」
(それと、楽しんで勝つことだな)
相澤は脳内で純狐の言葉に補足を入れる。
その後、純狐の個性の今後という話に移る。しかし、これについては相澤たちは特に進展を得ることはできなかった。ヘカーティアが具体的な話をしなかったからだ。勿論、純狐はグラントリノに対してしたような話を真面目にしていた。だが、普段純狐が立てている戦闘の作戦などからすると若干ではあるが粗が目立つ。
相澤たちがその理由として考えたのは、あの光弾の存在であった。確かにあの光弾、そして爆発を起こす能力があれば、純化を失ったとしても無個性として扱われることは無いだろう。だがすでに、純化という個性を持っている生徒、という事で有名になっている純狐にとって純化という個性が無くなることはかなりのマイナス要素となる。このマイナス要素を埋めるような説明を純狐がしないことが二人は不思議だった。
(純化をそれほど特別なものとして考えていないのか?確かに神獄さんという個性を失った人物もいるから心構えもしやすいのかもしれないが……それでも相当な不安があるだろうに)
何度も考えた問いを思い出すオールマイト。オールマイトも、ワンフォーオールを失うことをそこまで恐れてはいない。しかし、もしも生まれながらに個性を持っていれば、人生これからという時にそれを失う事に対し、純狐程割り切って考えることのできる自信はなかった。
二人はこのことに付いてこの場でもう少し考えたいと思ったが、時間の余裕も無くなっているため、今回の家庭訪問の本題に移ることにした。すなわち、何故、そしてどのように純狐の情報とその両親の情報を隠蔽したかである。
「すまないが、落月はいったん席を外してくれ。三人で話したいんだ。」
純狐に聞かれては不味い話もあるかもしれないと、相澤は純狐に席を外すよう求める。純狐は特にこれを断る理由も無いので、素直に従って部屋を出た。
純狐が部屋を出たことを確認すると、早速二人は質問を始める。
「個性を隠すのは彼女のご両親の意向だと思いますが、落月さん自身はどのように考えられてますか?」
「私が何か決めようとは考えなかったわね。あの子の両親がそう言ったから、私はそれを継いだだけよ。大変だったけどね。」
あくまでそこに自分の意思は無かった、と言うヘカーティア。だが、相澤たちはそんな大変なことを自分の意思も無しに行うのかという疑問を覚える。
「では……これは答えられるならでいいのですが、どのように彼女の個性とその両親のことを隠したのですか?」
背中に汗が流れているのを感じながら相澤は質問を行う。一方、ヘカーティアは特に動揺を見せることは無い。
「純狐の個性を隠すのは簡単よ。あの子は元から聞きわけが良かったから、わざと個性を見せないように振舞えと言えばそれで事足りたわ。両親の方は……どこにいるのか、生きているのかそうでないのかさえ分からないわね。」
いささかフワフワした説明で分かりにくいが、今までの妄想まがいの予想合戦よりは建設的である。調べることについて筋道が立ったというだけでも大きな成果だ。
「ではなぜ彼女が高校に入る時、急に個性を使い始めたのですか?それに、彼女は戦闘に関して抜群のセンスを持っています。どこかで訓練でもされていたのですか?」
「個性を使いだしたのは、あの子がヒーローになりたいと言ったからね。彼女の両親と連絡も付かないし、彼女も大人になったから彼女の意思を尊重しようと思ったのよ。戦闘に関することについては知らないわ。あの子が独学で何とかしたんじゃない?」
勢いで二つの質問をしてしまったことに後悔する相澤だったが、やはり変わらない口調でヘカーティアそれに答える。ここまでくると、何の意味もない質問をしているようで、二人は気がめいっていた。
(そんなに重要なことではないのか?それとも演技……)
「すみません、これは失礼な質問になってしまうかもしれないですが……職業の方は何をしていらっしゃいますか?」
「イレイザーヘッド、それは……」
ルール違反の質問をする相澤にオールマイトは驚くが、その表情が切羽詰まったものであるためそれを止めることができない。ほぼ賭けのような気持であったのだろう。
「普通に都内の会社勤めですよ。主に事務ですね。」
そんな相澤たちの質問に対しても、ヘカーティアは表情を変えることは無い。少し待っていてくださいと言って席を立ったヘカーティアは、名刺を持って来て相澤たちに渡す。そこに書かれていたのは、有名な大手企業の名前であった。電話番号なども間違っていたりすることは無い。
その後も相澤たちはいくつか切り込んだ質問をしたが、返ってきたのは疑いを持つことが難しいほどの、普通の返答であった。ここまでくると、なぜ今まで情報が手に入らなかったのかという疑問が調査を担当した警察に対して出てくる。
そのまま何事も無く家庭訪問は終了した。新情報が多く、帰ってから精査しなければいけないこともあるが、それ以上に相澤たちは脱力感に襲われていた。
読みにくい文を読んでくださりありがとうございます!
言い訳をさせてもらうと、いい加減話を終わらせねばならないと焦った結果です。
純狐orヘカTさんにポンをさせればいいんですが、それをしたくないという変な意地が働いてしまってですね……。どうしようもなかったらポンさせるかもしれません。
次回、そろそろ打ち切りかもしれないけど、もし出るとすればショッピングモール