こんにちは!
なんとなく書いた閑話です。物語の進行とはあまり関係ないです。
うーん、時間が取れないなぁ。
純狐は放課後の教室で悩んでいた。
(同級生と話すのってどうすればいいのかしら。)
そう、純狐は同級生との話し方が分からないのだ!人間をやめて3000年以上過ぎ、人間だったころの記憶なんて嫌な思い出しか残っていない。
幻想郷では霊夢や魔理沙などの人間と話すこともあるが、霊夢はほとんど相手にしてくれず、相手をしてくれても、お茶飲む?と聞かれる程度なので仲良く話すのとはかけ離れている。魔理沙は仙術のことなんかをしきりに聞いてきた後に、練習を始めて純狐がそれにアドバイスするという、師弟の関係になっているので、同級生と話すのはこれも少し違う。
友達といえば、と純狐はヘカーティアを思い出す。しかし、ヘカーティアは完全に人間と感覚がずれてしまっているので、ヘカーティアと話すように同級生と話すことは無理だろう。なんせ、月をぶん投げてくる女神様である。それに、純狐もだが基本的に人間を下に見ているため、ヘカーティアと話すように話せば、素で人間を見下したようなことを言ってしまうかもしれない。そうなれば、痛い子扱いされ距離を置かれてしまうだろう。
(どうしよう…。誰とも話さないのもつまらないわね)
ここで純狐は、出久と個性のことについて話す約束をしていたことを思い出した。思い立ったら即行動、と純狐は立ち上がり、切島と仲良く話している出久に近づく。
「ねえ、出久君。この前の個性の話なんだけど、今いいかしら。」
「ああ、ちょうどよかったよ。今落月さんの個性について話してたんだ。」
聞きなれてきた純狐の声に振り向いた出久は、椅子を少しずらして純狐の座る場所を空けた。出久の横にいた切島も軽く純狐に声をかけ、そこにあった椅子に座るよう促す。
「落月の個性って【純化】だっけ?なんかオールマイトみたいですげえかっこいいよな!あんな超パワーで思いっきり殴ったら気持ちいいだろうなぁ。しかも、他にもいろいろできることがあるんだろ?教えてくれよ。」
純狐は何か新鮮な気分になる。こんな風に話しかけてきてくれたのはクラウンピースくらいだったか。若者特有の好奇心に満ち溢れた話し方に純狐は軽く感動していた。
「私の個性の話だったわね。いいわ、話しましょう。」
そう言って一息置いた純狐は、個性のことについての説明を始めた。
「…という事よ。まあ、私自身、分かってないことも多いから難しいと思うけどね。」
話を聞き終わった出久と切島は唖然としていた。出久は純狐の受験の時の映像をオールマイトから見せてもらっていたが、そこまで詳しく見ていたわけではなかった。そのため、純化は自分の体を強化したり、ある対象を無機物にすることができるという個性だと思っていた。
勿論それだけでも相当な強個性であり、前に会った時もそう言っていたのだが、パワーにはさらに上があり、概念のようなものにも純化させることができる。さらに、力を他の人に分け与えたり、思考をも純化できるときた。本当に笑うことしかできないような強個性だ。
場を静寂が支配する中、切島がやっと話し出す。
「はは…、すげえな。でも、制御とかが難しいんだろ?だから、まだ張り合いようがあるが、その性能で制御が自由にできるようになったら俺たちの出番無くなるんじゃねえか?」
「そんなことは無いわ。私も一人の人間だし、同時多発的に何か起こったら全部には対処できないわよ。」
純狐は諦めたように話す切島を励ます。まあ、ある程度時間が過ぎればいなくなる予定なのでプロになった時のことなど言われても知ったことではないが。
「ねえ、落月さん。他の人に力を分け与えるってどうするの?」
「そうね…、これもしたことはあまり無いから詳しくは説明できないけど、私がその辺の空間を何かに純化して、それを強化したい人に取り込ませて強化するのが一つで、もう一つは、その人自身を何かに純化することね。その人自身を純化するのはとてつもなく強化することができるんだけど、その人が相当頑丈でなければ力を使った瞬間に体が崩壊してしまうから、多分使うことは無いわ。」
純狐はクラウンピースを“生命力”に純化した時のことを思い出す。妖精は元々生命力の具現化みたいなものであるため、直接純化しても問題なかったが、多分普通の人間に使うと純狐が人間並みの体になって最初に純化を使ったときのようになってしまうだろう。しかも、自分を純化するように細かく純化する部位を選ぶことができないので、全身があんな風に消し飛んでしまうかもしれない。
「でも、頑丈なら耐えられるんだよな?俺なら耐えれるんじゃないか?」
「オールマイトの本気のパンチを10回くらい耐えることができるのなら、うまく使えるんじゃないかしら?」
そう純狐が言うと、切島は顔を青くして黙ってしまった。オールマイトのパンチ10回はさすがに言いすぎだが、相当な耐久力が求められるのは確かだ。
「まだ疑問があるとは思うけどごめんね。今日はここまでよ。」
純狐は自分の席に戻りながら言う。いつの間にかかなり時間がたってしまっていたようだ。出久たちも時間に気づいたようで、荷物を急いで片付け始める。
「えっ、ああ、もうこんな時間か。じゃあね、落月さん。個性について話してくれてありがとう。」
「ありがとな。」
「ふふっ。じゃあね。明日は初めてのヒーロー基礎学があるから、頑張りましょう。」
「そうだね、頑張ろう!じゃあね、落月さん。」
「おう、じゃあまた明日な。」
◇ ◇ ◇
「なあ、緑谷。落月ってめっちゃ可愛いよな。緑谷はどこで知り合ったんだ?」
出久と切島は純狐が教室を出た後、そんなことを話していた。
「えっ、そっそうだね。最初に会ったのは入試の時かな。あっちから話しかけてきてくれたんだよ。」
出久は急に振られた話題に顔を赤くしながら答え、純狐と最初に会った時のことを思い出す。
「ああ、それとなんか、落月さんの目を見た時に気絶しそうになったかな。…なんか、落月さんって、不思議な空気がない?」
「ああー、確かにそうだな。年上って感じで。あとこれは気のせいだと思うが、何かを抑え込んでいるような感じだったかな。個性が思いっきり使えなくてストレスが溜まってんのか?」
切島も何か不思議な空気を感じていたようだ。そしてそれと同時に、あれは触れてはいけないものだとも強く感じていた。あれに触れてしまったら自分は消し飛んでしまうかもしれない。そんなことを思えてしまうほど、あの瞳は黒く、深かった。
「じゃあね、切島君!今日はたくさん話せて楽しかったよ。じゃあ、また明日ね。」
いつの間にか校門の前まで来ていた二人。純狐のことについて考え込んでしまっていた切島は、出久の声で気を取り戻し、出久の方を見た。
「ああ、また明日な。」
そして二人は手を振りながらそれぞれ帰っていった。
◇ ◇ ◇
「はぁ、今の感じでいいのかしら。」
純狐はうつむきながら呟く。
純狐自身、自分が何か他人を寄せ付けないようなオーラを出していることは分かっていた。まあ、年の差が3000年くらいあるし、仕方ないといえばそうなのだが、それでも、友達…というか話し相手が欲しい。
出久は話し相手と言えばそうなのだが、基本的に自分の個性の話ばかりで出久がお得意のプロのヒーローなんかの話になると全く分からない。なので、そこで会話が止まってしまい、長く話すことができないのだ。女子なんかも壁を感じているのか話しかけてきてくれない。
まあいいや、今度出久に頼んで飯田や麗日を紹介してもらおう、と純狐は思うのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
なんだかんだ言いながら4話まで続いてしまいましたね。
これから、投稿ペースは落ちると思いますが、失踪はまだしないと思いたいのでよろしくお願いします。