純狐とヘカTのヒーローアカデミア   作:SKT YKR

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こんばんは!

遅くなりました。
そろそろ終わりそうだと主自身安心してます。
まあ、細部の設定とか各人物の持ってる情報が変わり過ぎて考えてた流れは変わりまくってますが。

呪術0の映画楽しみ



神野前

 

 純狐の居場所、つまりヴィラン連合の基地がある場所の分かった日の翌日。大きなケガの無かったA組の皆は出久が起きたとの報告を受けお見舞いに向かっていた。皆が一通り声をかけお見舞いの品なども渡したところで、切島が爆豪たちを助けようと話題を切り出す。

 

「あいつが何の目的を持って俺たちに居場所を教えたのかは分からねぇ!だが、捕まってるあいつがここまでやってくれたのに何もしねぇなんて……俺はヒーローでも男でもなくなっちまう!」

 

 それに、と切島は一瞬静かになってから呟く。切島を止める者もいたが、悔しいのは皆も同じである。結局切島が話し終わるまでその言葉を遮るものは居なかった。

 

「今動かねぇと取り返しのつかないことになる気がするんだ。お前もあの森の中で感じただろ?うまく言えねぇが嫌な予感がする。確かに俺たちが行っても足手まといになるだけかもしれねぇ!だけど俺たちにしかできないこともあるはずだ!まだ手は届くんだよ‼」

 

 切島の言葉で死んでいた出久の目に光が戻る。その後、出久の診療時間がやってきたためその場で答えを出すことは無かったが、出久の心はすでに決まっていた。

 

(落月さんが何もできずに捕まるなんて考えられない。ヴィランの後を追跡するために捕まったと考える方が妥当だ。だけど僕たちにもその居場所を教えたことの真意は何だ?切島君が言っていたように、何か大きな意味があるはずだ)

 

 出久は歪な形の腕を動かしながら考える。正直なところ、出久は森の中で純狐の霊力の気配を強くは感じなかった。爆豪のことや痛みが強くそこまで気が回らなかったのだ。だが、職場体験中、グラントリノが純狐のことに付いて悩んでいるのは何度も見ていた。そこから薄々、純狐の行く末に付いて考えることはしていた。

 

(落月さんの力は目に見えて落ちている。詳しいことは分からないけど、もうUSJの時みたいな無茶はできないはずだ。だけど……何かあった時はそれを止めなくちゃならない)

 

 出久がワンフォーオールを制御できるようになったのは、間違いなく純狐の影響も大きい。そんな彼女の力の使い方は理性的に見えて、何をしでかすか全く分からないところもあった。そして今度はおそらく今までの中でも最大級の戦闘が起こるだろう。そんなとき、暴走する彼女が自分のように傷つくさまを黙って見ていたくは無かったのだ。

 

(そしてかっちゃんも……。僕はあのヘドロ事件の時も何もできなかった。今度こそ救って見せる!)

 

◇  ◇  ◇

 

「校長、本当にいいんですね?」

 

 ヴィラン連合基地襲撃作戦決行日の朝、オールマイトは校長室にいた。そこで聞かされたのは、昨日の夜、神に連絡を図ったものの成果が無かったこと、そして前々から用意していた対純狐用マニュアルの部分的な決行の決定だった。

 

「先程、警察と全国のヒーローたちに連絡したよ。急なことだからどれだけの人が協力してくれるかは未知数だ。けれど既にトップヒーローたちからは続々と参加の声が上がっている。ありがたいことさ。」

 

 根津はさすがに疲れているようで声に覇気がなかった。自分の生徒を信用してやれなかった、という罪悪感もあるのだろう。だが、神獄が神である可能性が高くなり、その神獄と純狐が親しかったという事を加味するとそうせざるを得なかったのだ。

 

「対ヴィラン連合にはエンデヴァー、ベストジーニスト、ギャングオルカ、シンリンカムイ、マウントレディ、エッジショット、その他も主にトップヒーローですね。そして対落月少女は全国からかき集めたヒーローたちですか……言い方は悪いですが消耗戦、ですが現時点でとれる最善でしょう。」

 

 オールマイトは手元のパソコンに届くメールに目を通していく。今回の作戦は最悪の場合オールフォーワンも出てくるため、主軸となっているのはそれに対応できるオールマイトである。それゆえに、彼の元にはいち早く情報が届くようになっているのだ。

 

「落月純狐……彼女は神と同じく我々の想像も及ばないような存在なのだろう。そんな彼女が私たちに好意的なのは幸運だった。今回も敵の居場所を割り出してくれているし、敵意は無いと私は予想しているよ。その真意は分からないが、今は目の前の作戦に集中しよう。相澤君も言っていたように、神もそれがお望みなのだろう。」

 

 ヴィラン連合基地襲撃は根津をもってしても予測不能の作戦である。想定通りのヴィランだけであればまだ楽なのだが、オールフォーワンを始め脳無など不確定要素があまり多い。さらに、神が不介入を約束したのは明日以降、電話がかかってきたのは0時過ぎであるため、今日介入する可能性はある。

 

「神はおそらく愉快犯だ。今までの行動からするに落月君を妨害するのが目的らしいが、正確には分からない。それに彼女の雰囲気から多くの生徒も感じているように、何か歪み……トラウマのようなものがあるのは本当だろう。それを誰かが何らかの拍子で踏み抜くことはあり得る。そうなったときは……」

 

「大丈夫です。その為に私たちが居ます。」

 

 根津の言葉を遮り、オールマイトが力のこもった声を出す。そこには、ヒーローとしてだけではなく、教師としての覚悟も入っていた。

 

「……頼もしいな。繰り返しになるが、落月君が積極的にこちらを害することは考えにくいよ。ヴィランが神経を逆撫でしても、冷静に対応する可能性の方が高いだろう。」

 

 根津はそう言うと、記者会見会場へ行く準備を始める。オールマイトは校長室を出て、神野の作戦本部に向かった。

 

◇  ◇  ◇

 

「早速だが、爆豪勝己くん。俺の仲間にならないか?」

 

「寝言は寝て死ね。」

 

 ダメ元の勧誘は断られ、死柄木はこの後どうするか考える。オールフォーワンに頼めば、洗脳や薬漬けなどどうとでも出来る。しかし、純狐との会話を終えた後、純狐の前ではあまり非人道的なことをするなとの指示が来ていた。

 

(落月の野郎何しやがったんだ?それともヘカーティアさん辺りから何か言われたのか?)

 

 候補はいくつか思いつくが、それを相談できそうな者もここにはいない。食器の回収に行こうかと立ち上がる死柄木に、今度は爆豪が話しかけた。

 

「お前ら、女狐はどこにやりやがった。」

 

「女狐……?ああ、落月のことか。体育祭でそんな呼び方してたな。」

 

 教えてやる義理もの無いので無視して純狐の元に向かう死柄木。だが、ここで食器を運んでくれば怪しまれると考え、ため息をつきながら元居た席に座る。

 

 正直、今ここに爆豪を置いておくメリットはほとんどない。爆豪が何らかの手段でこの場所をばらすかもしれないし、暴れられると人通りの少ない場所だとはいえ通報される可能性もあるからだ。

 

「メディアは敗北者の雄英を応援するどころか責め立てている。それに影響された一般市民の皆さんもだ。これがヒーローの守るべきものか?正義なのか?ここにいる奴らは大なり小なりヒーローや社会、ルールに縛られ、苦しんだ。他にもそんな奴は山ほどいる。」

 

 死柄木は身振り手振りを大きくして、さながら演説のように話し出す。メンバーたちも死柄木を邪魔しないよう、一歩退いた距離でそれを見ていた。

 

「お前も薄々気づいているだろ。落月もその内の一人だ。」

 

 爆豪の表情が明確に変わる。このまま攻め切れるかと言葉を続ける死柄木だったが、冷静に考えると、爆豪の視点からでは純狐が裏切ったと考える要素が薄いことに気づく。純狐が裏切っていれば被害がこの程度で済むことは無いだろうし、爆豪の前に姿を現さない理由も無いからだ。

 

「まあ、とにかくだ。お前はそんな被害者の前で、正義だののたまうヒーローに疑問を持たないのかって話さ。俺らじゃなくてもいいぜ。その辺で過ごしている小さな不幸を抱える人間の前で、ご自慢のヒーローたちの話をしてみろよ。声高らかに、その業績を謳って見せろよ。俺はそんな酷いことはできないね。」

 

 傷口にしみ込むような死柄木の言葉だが、爆豪に届いている様子は無い。期待はしていないので諦めはつくが、自分の言葉に全く反応してくれないのは単純に不快だった。

 

「俺たちはこの問題を見て見ぬふりしている奴ら、一人一人に考えてほしいのさ。そして俺たちは勝つつもりだ。君も勝つのは好きだろ。」

 

 死柄木はそう締めくくると、荼毘に爆豪の拘束を解くように言う。だが、確実に暴れるだろう爆豪にわざわざ近づきたくないため、代わりにトゥワイスを指名して拘束を解かせた。

 

 案の定トゥワイスの顔に向けて爆発を放つ爆豪。しかし、その爆豪の手は拘束具の裏に仕込まれていた半透明の糸によって止められていた。因みにこの糸は、爆豪が暴れることを見越してオールフォーワンに用意してもらったものである。

 

「……満足したか?話くらいは聞いてくれると嬉しかったんだがな。」

 

 再び拘束された爆豪を見て死柄木は呟く。爆豪は奇襲が失敗したことに焦りながらも、自暴自棄になることなく状況を分析していた。

 

(俺の心にとり入ろうとする以上、本気で殺しの来ることはねぇ。だが、状況の打開策が無くなったのも確かだ。何とかこいつの隙を作らねぇと……)

 

 しかし、死柄木のことを全く知らない爆豪は何を話せばいいのか思いつかない。爆豪が悩んでいると、死柄木はその場を部下たちに任せ奥の方へ行ってしまった。

 

(どっか行きやがったか。にしても、予想以上に用意周到な奴だったな)

 

 爆豪は死柄木の評価を改める。USJ襲撃の件などを見て、勢い任せで行動するタイプだと断定していたのは明確な失敗であった。

 

(だとしても、オールマイトもいたあの場をこの程度の損害で切り抜けられるとは思えねぇ。他の協力者がいたのか?)

 

 純狐のことも候補に入れて考えるが、純狐がヴィラン連合に付く理由が全く思いつかない。確かに、日ごろから何を考えているか分からない奴ではあったし、オールマイトもいた場を何とかできる可能性のある存在であるが、裏切るような気配は全く感じられなかった。

 

(あのクソ手野郎はわざわざ女狐の話をしてやがったな。帰ってきたらそこから切り込むか)

 

 爆豪の考えがまとまるのとほぼ同時に、死柄木が食器を持って帰ってくる。やはり、VIP的な存在がいると確信すると同時に、爆豪は死柄木に話しかけた。

 

「オイ、お前。女狐が裏切ったって言ってたな。それじゃあ、その証拠でも出してみろよ。まさか、あんだけ自信満々に語っといてはったりでした、とでも言うつもりじゃねぇだろうなぁ。」

 

 なるべく死柄木の感情を煽るように話す爆豪。だが死柄木は冷静そのもので、その言葉に耳を傾けることもしていないようだった。そして手元のお茶を飲み終えると、黒霧に爆豪を奥の小部屋に飛ばすよう指示する。

 

「死柄木弔。よろしいのですか?」

 

「あいつからもOKもらったし別にいいだろ。」

 

 黒霧は死柄木の指示通り爆豪を座っている椅子ごと部屋に送る。そして送られた先の部屋で爆豪が目にしたのは……

 

「久しぶり、ってほどでもないわね。元気にしてた?」

 

「女狐……!お前まさか本当に裏切りやがったのか!?」

 

 爆豪の怒号にビビることなく、純狐は首を横に振る。そして爆豪の耳元に顔を近づけ、この基地の場所をヒーローたちに伝えてあること、救出作戦はおそらく今日中に行われることを伝えた。

 

「ちッ、そういう事かよ。」

 

「あら、信用してくれるのね、てっきり嘘と思われるかと。」

 

 勿論完全に純狐の言葉を信用したわけでは無いが、この状況になって洗脳などを行わないところを見るに完全に裏切ったわけでは無いのだろうと爆豪は判断する。だが、今この基地にいるヴィランくらいならば不意打ちしなくとも拘束できるはずなのにそれをしていないことは疑問だった。

 

「そう言えば、あなたとゆっくり話したこと無かったわね。何か聞かせてもらってもいいかしら。一人だと暇なのよ。」

 

「はぁ?」

 

 何を言っているんだ、という顔をする爆豪。流石の爆豪も敵地の中で無駄話をする余裕は無いらしい。そもそも爆豪と純狐は何か話すという事は少ない。完璧を目指す爆豪と成績だけを見ればいつもその上にいる純狐は相性が悪いのだ。アドバイスをするにしても、爆豪は中々素直に聞き入れてはくれないし、欠点に自分で気づき試行錯誤する能力が高いため外野から話しかける必要性も薄い。そんな爆豪に最近の流行りにも疎い純狐は共通の話題を見つけられなかった。

 

「あなたからの私の印象ってどんなものなの?」

 

「……うさんくせぇ、気に入らねぇ奴だ。」

 

 爆豪は怪訝な顔をしながら答える。純狐が裏切っていないと言い切れない以上、下手に情報を話すのは悪手である。それに、純狐が拘束されていないのも気がかりだ。裏切っていないのだとすれば、純狐でもどうしようもないヴィランが控えている可能性もある為、気を抜くことはできなかった。

 

「そんなに緊張しなくてもいいわ。私が自由にしているのは後ろ盾があるからだし、少なくとも私が居る間はあなたにも手出しはしないはずよ。それに、あなたが懸念していることを私が考えていないとでも?」

 

「そうかよ。後ろ盾は……尋ねても答えなぇよな。まあいい。」

 

 そう言うと、爆豪はやっと肩の力を抜き椅子の背にもたれかかった。まる一日以上食事もろくに取っていないのだ、疲れもするだろう。そんな状態でも冷静な判断ができるタフネスはその辺のプロヒーローと比べても頭抜けている。

 

「そうだ。爆豪君ってオールマイトに憧れてるでしょ?ファンサービスとかは彼を真似ないの?」

 

「柄じゃねぇよ。」

 

 できない、と言わないあたり彼らしいと思う純狐。彼自身、プロヒーローとしてやっていくうえで考えてはいるのだろうが、優先順位は低めなのだろう。そんな感じでしばらく当たり障りのない話をしていると、さすがの爆豪も集中力が切れたのか本音が漏れ始めた。

 

「なぁ、女狐。お前、デクやオールマイトとよくつるんでるよな。あの二人の関係は何だ?俺の知る限り、デクは無個性だった。あいつに聞いてもはぐらかされる。それにあの個性……癪だがオールマイトに似てやがる。あの個性が譲り物だとすれば、それは誰からだ?」

 

 個性のことを爆豪が知るのは、確か全寮制になる前の喧嘩の時だったか、と純狐は回想する。考えてみれば、ここでワンフォーオールについて話してしまってもそれほど損害は無い。純狐はこの後すぐにいなくなるし、答えを伝えても秘密だと言えば口の堅い爆豪はしかるべき時まで誰にも話さないだろうという安心感はある。

 

 しかし、折角爆豪の本音が漏れたのだ。ここで答えを伝え、会話を終わらせるのはあまり面白くない。

 

「あなたはどう思ってるの?何だかんだクラスの中で出久君に詳しいのはあなただし。」

 

「ちッ、はぐらかしやがって。そもそも俺は個性の譲渡なんて眉唾物信じてねぇよ。あいつが気付いてなかった個性が今更覚醒したんだろ。オールマイトが気にかけてるのも自分の個性と似ているから、とか理由は考えられる。」

 

 結構真面目に答えてくれたことに純狐は驚く。よほど気になっていたのだろうか。確かに中学時代にやっていたことを考えれば、気になる爆豪の気持ちも分からなくもない。今まで無個性という事で散々差別していた奴が、実は特別な個性を持っていました、などプライドの高い爆豪には今はまだ認めがたい事だろう。

 

「でも、もしかしたらってこともあるでしょ。」

 

 勢いで口に出してしまったが、もしこれで爆豪の疑惑が確信に変わり、神野事件の最中にコンプレックスを暴発させてしまう可能性を考えれば失敗だったかもしれない。純狐は後悔しながらも、まあいいかと開き直った。

 

「もしそんなことがあったとしても、関係ねぇよ。俺は強くなる。あいつがもらった個性が何だろうと、誰からだろうとだ。」

 

 爆豪は間を置かず、はっきりと答える。爆豪は雄英に入学してから度重なる敗北を経験し、今までよりもさらに強さを求めていたのだ。そのことが、出久へのコンプレックスを薄め、今のような答えが出すに至ったのだろう。

 

「かっこいいわね。まあ、今の状況を打破しないと何ともならないけれど。」

 

 純狐としては少年漫画っぽいセリフを聞けたので満足であったが、今、自分が強くなればいいという心持ちで動かれるのは困る。最悪、切島の手を取らないという選択もあり得るからだ。その為今の状況のことを思い出してもらったのだが、爆豪は半分眠っているような状態なのであまり効果は無かったかもしれない。

 

「ありがとう、話し相手になってくれて。あいつらに頼んで食事は用意させるわ。毒が入っているかどうかは、まあ今更でしょ。今はゆっくりしておきなさい。」

 

 起きた頃には、すべてが始まる直前だから。純狐の最後の言葉は爆豪には届いていないようだった。

 

◇  ◇  ◇

 

ついに雄英の謝罪会見が始まる。そんな中、神野の一角ではプロヒーローたちが大勢集まっていた。

 

「今回の事件はヒーロー社会崩壊のきっかけにもなり得る。総力を持って解決に当たらねば。」

 

 塚内がヒーローたちに呼びかける。それを受け、この作戦に特別な思いがあるヒーローたちが各々の意気込みを話し始めた。

 

「我々の調べで拉致被害者の今いる位置は分かっている。主戦力をそちらへ投入し被害者の奪還を最優先とする。そして、捜査の途中で見つかった別のアジトも制圧だ。完全に退路を断ち一網打尽にする!」

 

 そして、と塚内は無線を少し離れた場所にある作戦基地に向かってつなげる。そこには、全国から集まった、対純狐用のヒーローたちが控えていた。

 

「君たちが現場に出るタイミングはこちらからの指示を待ってくれ。決して早とちりはしてはいけない。もし自分が疑われ武力を向けられていると知られれば、その後の彼女の成長にも大きく影響するだろう。もしそうなれば、我々に出る被害は計り知れない。だが、もしその時になれば、決して手加減はするな。以上!」

 

 オールマイトは塚内の話を聞きながら決意を固めるとともに、何か漠然とした不安も抱えていた。それはオールフォーワンのことだけではない。神、そして純狐というイレギュラーがあまりにも不穏に思われた。同じく、エンデヴァーも何か嫌な予感がしていた。今まで頭の中にいた何かが、急に抜けてしまったように感じたのだ。

 

「今回はスピード勝負だ!ヴィランに何もさせるな!」

 

 二人の不安を他所に、作戦の開始は刻々と迫る。

 

「意趣返ししてやれ、さあ反撃の時だ!」

 

「流れを覆せ‼ヒーロー‼」

 

― ヘカーティアside ―

 

「そろそろ行くんですよね!楽しみです!」

 

 いつもの星条旗柄の服に着替え、クラウンピースは上機嫌にくるくる回る。ヘカーティアはそんなクラウンピースを落ち着かせながら、紫色のゲートを開いた。

 

「私たちは基本的に観察するだけよ。変に干渉したら純狐に怒られちゃうわ。」

 

「そう言えば、友人様の弱体化は解除するんですか?さすがの友人様もあの状態でオールフォー……なんとか?とまともに対峙するのはきつそうですよ。」

 

 クラウンピースは手に松明を持ち、いつものように留守番をする脳無に近づける。ここ半年ほど、ヘカーティアと純狐が楽しんでいる裏で仕事に明け暮れていたクラウンピースは、皆が狂ってしまうような爽快な展開を求めていた。

 

「それは、おいおいね。さすがに虐殺のようなことはさせないわよ。箱庭とはいえ勝手に世界作ってその世界の人間を勝手に殺して仕事を増やしたなんてばれたら、上から怒られるわ。」

 

「了解です。では行きましょう!さあ行きましょう!」

 

「ねぇ、クラピちゃん。あなた映姫の説教受けてから狂気度が増しているような……。」

 

― side out ―

 





読んでくださりありがとうございます!

誤字脱字あれば教えて頂けると有難いです。
純狐さんの小説増えませんねぇ……

次回、神野編
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