休日。それは多くの学生にとって心安まる休息の日。それは星見純那にとっても例外ではない。
最近体を動かしてばかりな気がするので今日は机に向かい、この前借りた本を読んでいる。以前から読もうと思っていたその本。
最近は、あの訳のわからないキリンや不思議現象について一応調べたりもしていて時間が無かったので今日は休息のつもりでゆっくり読もう――今日はルームメイトのななもいないし。
「…………」
無言で本を読みふける。途中ベッドに横になって読んだりして、半分くらい読み終わってきた。これなら今日中には読み終わるだろう。
「……あっ」
ページをめくり文章に目を通していると、思わず声が出てしまう。
つり目の女の子が親友と全力で語らい、意志をぶつけ合う場面。
小説としてはよくある構図でなんともないのだが、その光景が先日のキリンのレヴューを思い出させるような場面だったのだ。
(……星夢さん)
ふと一人の少女について思い出す。星夢誘。その日にぶつかり合った少女。かつて自身も在籍している聖翔音楽学園で共に学び、お互いを高め合った少女。ななとは別に目を離しにくかった誤解されやすかった女の子。
星夢誘について知っていることは意外にも少ない。仲は良かったと思う。けれど、連絡先も知らない。ライバルであり、同時に友達だったとこっちは思っている。
実際彼女と私、そしてななの三人でグループを組むことが多かった気がするし――思い返すと彼女は花柳さんと組むことも多かった気もするけど。
ともかく仲は良かったと思う。その目の鋭さのせいで誤解されるところも多かったが、実際は彼女は真面目で舞台に真剣に向き合う人であった。
だからこそ、彼女が学校を去ったと聞いたときはななと二人で理由を聞きに行ったのだし――さすがに教えてもらえはしなかったけど。
(……何があってあんな風に?)
だからこそ、だからこそ余計に疑問だった、あの強い少女があそこまで変わってしまっていたことに。
あの舞台で再会した彼女は別人のような雰囲気を醸し出していた。
あの鋭くも情熱を感じさせる瞳は、恐ろしいほど濁った死人のような目に。
舞台に掛ける思いの強さは、今の神楽ひかりといるときの華恋と同レベルに隠しきれない感情は、ただ周囲に当たるだけの暴力に等しく。
そのすべてが痛々しく思えるほどに、暴れていた彼女が。何故か、大事な物を無くした子供のように見えてしまった。
それが、あまりにも悔しくて。あの見習うべき所の多かった強い少女。その彼女がどうしようもなく、そんな風になるまで気づいてあげられなかった自分が何よりも悔しくて。せめて学校を去る前に何か聞いてあげられなかったかと。
だからこそ、だからこそ。強く声を掛けた。貴女は一体誰なんだと。何のために舞台に立っていたのだと。
彼女がまた立てるように。ななと違ってもう遠くにいる彼女に。
結果として、彼女はまた立ち上がってくれた。本当に良かったと思う。私は心理系についてあまり詳しいとは言えない。
人の心に寄り添うならななのように優しく接したりするのが正しいのだろうとは思う。 人にはつい厳しく言ってしまう自分が。もし余計なことを言ってしまったらどうしようって。
「……駄目ね私。つい悪い方向に」
華恋やななはそれを優しさだと言ってくれたけど。とっても不安だった。
けれど、あの日の最後。彼女はありがとうと言ってくれた。
無駄じゃなかった。学校の時は踏み込めなかったけど。それでも、また笑い合えた。
気づけばページはほんの少ししか残っていなかった。どうやら、考えながら読んでいたらもう読み終わってしまったようだ。
「……また会えるかな」
ふと不安が漏れる。彼女とはもう会えないのかもと。
連絡先も知らない。あの日会えたのは奇跡。
もう会うことはなく、彼女とまた話せる機会は訪れないのではないのかと。
一度考えてしまうと止まらない。どうしようもない不安。
ああ、けれども。それでも。
「……会えるよね」
そうだ。約束をした。また会ったら話をしようと。今度こそ友達として。二人でも良い。ななと三人でも良い。なんなら、彼女を知っている人達と一緒でも。新しくこっちに来た神楽さんを紹介しなきゃ。
話すことはたくさんある。聞くこともたくさんある。
ならば、それならば。きっと会えるだろう。いつものことだ。
諦めずにいることが私の強み。なら、私がそんな風に思っていてはだめだ。
「――よし! コーヒーでも入れてこよう!」
本を置き、リビングに向かう。私にとっての大事な
読んで下さっている方。ありがとうございます。短いですが書けました。
そろそろ連休も終わり、書ける時間も減ってきてしまいます。それでも、この作品は書き上げるために努力しますので最後までお付き合いしていただければ嬉しいです。