まだ朝も早い時間。西條クロディーヌはランニングをしていた。
毎日してるわけではない。レッスンは大事だが、休むことも大事。
なんてことはない。今日はただ、走りたかった気分なのだ。
「──はあっ」
ペースを一定に保ちながら走り続ける。
思い出すのはここ最近の不可思議な舞台。あのよくわからないオーディション。
別にあれはどうでもいい。舞台だというのなら、そこが演じる者にとって輝く場であるのなら自身の全力を持って取り組めば良い。問題はその相手。ぶつからなければいけないライバル達。
あのいけすかない天堂真矢には惨敗した。
本当に、本当に認めるのは釈だが、負けは自身の糧としなければ進むことなどはないと一応は理解している。
なので、それは良い。あの女には、いずれ勝つ。だから、今は置いておく。
気になるのは、昨日戦ったやつ。星夢誘。かつて同じクラスに在籍していた元クラスメイト。
そして、学年が変わる際に居なくなった少女。何故彼女があのレヴューに参加しているのか。
聖翔を辞めたということは、舞台の道からも去ったはずだ。そうでなければ、あの日本トップの学び舎から去ることはないだろう。
もしかしたら、何か事情があったのかも知れないがそれは私が知るところではないが。
問題はあきらめたはずの少女があのオーディションに参加していたか。詰まるところそれだけだ。
昨日のレヴューを振り返る。有利だったのはこっちだったと思う。
確かに、あの少女は優れた能力を持っていた。けれど、今もレッスンを辞めることなく続ける私がそう簡単に劣ることなどない。そう断言できる自信がある──そう言い切れなければあの嫌な女には勝てる気はしないが。
まあ余計なことは置いておこう。あの女の事を考え出すときりが無い。いまはいざなの方だ。
とにかく、私が負ける気はなかった。けれど、負けてしまった。どんなことがあってもその結果を覆すことはできない。
「──っ」
走るペースを上げる。朝にここまで全力に近い速度など出さなくても良いのだが、今は無性に走りたい。
レッスン前に気持ちをリセットさせておきたい。未だに脳裏に残るあの死人のような目を。
西條クロディーヌにとって星夢誘とは競い合いがいのあるライバルの一人である。いや、あったというべきか。
容姿、演技の実力、舞台の上で輝くセンス。どれをとっても優れていると認めていた少女。
それだけではない。天堂真矢に挑む同志でもあった。あの女から主役を奪おうと張り合う数少ない一人であった。
あのクラス。あの学年において、天堂真矢というのは絶対の頂点。要所において、誰かが抜くことがあってもすべてを含めてもっともスタァに近いとされるのはあの女だ。
故に、彼女に挑む人は少ないと言える。いや、少なくなったというべきか。簡単なことだ。
一年の初期に多くが挑み、魅せられ、あきらめてしまったからだ。トップになりたいとは思っていてもあの完璧には届かない。そんな風に思う人が大半である風に見える。見えてしまう。
もちろん、自身はあきらめるなど考える気はない。
けれど、あの頂点に挑む者はやはり多い方が良い。
星夢誘はその一人。あきらめることなくあの頂きに手を伸ばした一人。
そんな骨のある少女だったからこそ、居なくなってしまったのはとても残念。
そう思っていた。けれど、彼女は再び舞台に上がった。
それは、喜ばしいことだ。生きていればそのうち会うこともある。それが舞台であったのなら、舞台少女にとってこれ以上無い喜びだろう。
けれど、けれどもだ。ならば、あの少女のあの目は何だ。あの生きる希望を無くしたような死んだ目は何だというのだ。
あの舞台での激情。変わることのない技術とセンス。あの頃と変わらぬ彼女。
それでも、彼女は死んでいた。舞台の上で死にながら踊っていた。
何があったのか。どうしてそうなったのか。それがどうにも気になってしょうがない。 あの輝くような、鋭さの中に広がる情熱を感じさせる瞳の輝きはどうしたというのか。 それが気に入らない。あんな風に変わってしまった少女が、たまらなく気に入らなくてしょうがない。
(Pourquoi?)
ふと周りを見てみる。いつの間にか、寮のそばに戻ってしまっていた。こんな近くまで戻ってきていたのに気づかなかったなんて随分と考えてしまっていたようだ。
時間もあれだしそろそろ戻ろう。一旦汗を流し、そして学校に向かおう。あの女が始める前にはレッスン室には入りたいし。
頬を軽く叩き、気持ちを切り替えて部屋に戻る。
それでも、それでもなお。まったくもってあの茶髪の
短いですが。短いのに香子よりもクロの方が時間がかかりました。キャラを把握し切れてないのと実力不足です。申し訳ございません。
フランス語は、google翻訳を使いましたので違っていたらすいません。
見て下さっている方がもし居たらとても嬉しいです。次も上げられるのなら上げたいのでよろしくお願いします。