「それでは早速ブリーフィングを開始しようか」
ロマニさんのこの声で始まったブリーフィング。ブリーフィングって普通は中々耳にしないですよね?分かりやすく言えば、ミーティング。作戦会議の事だよ。
ここにいるのは現在カルデアトップのロマニさん、英霊でもあり召喚例第三号のダヴィンチちゃん、人類最後のマスターである立香ちゃん、そのサーヴァントであるマシュ。
ここまでなら分かります。何せ、人類史を取り戻す為の最重要人物です。彼らがいなければ人類は滅んでしまします。
で・す・が・!!
なぜそんな場所に私もご一緒しているのでしょうか?私はただの雑用係ですよ?何故かしらスタッフの纏め役に適役されてまいましたが……。
普通なら管理室でキーボードを叩いたり、召喚部屋の整備でもしているべきちっぽけで、代えが幾らでもいるような存在ですよ??
そんな私がこんな重要な会議に出なければならないなんて……。世の中も落ちましたね。その世の中が焼却されてしまいましたが……。
当然「私はそんな立場の人間ではない」とロマニさんに直訴しましたよぉ!!でも何故か笑って誤魔化された挙句、ダヴィンチちゃんや立香ちゃん、マシュまでもが「ここにいるべき人だよ」と逃がしてくれませんでした。
はぁ………ここに来てから良い事がまるでないです。英霊には会えましたけど……。
そんな感じでここにいる経緯を思いだしている間に、ロマニさんが立香ちゃんにやってもらいたい事を説明しています。
特異点の修復。聖杯の調査。この二つが一番の目標です。これをどうにかしなければ、人類に未来はありません。
はぁ……聖杯って言うのもろくでもない結果しか招きませんね。
「じゃあ特異点へレイシフトしてもらいたいんだけど……その前に一つだけやる事がある」
「やること?ですか?」
「そう、フィリネ君準備は出来てるかい?」
聖杯。私にも縁のある概念で……
「あの、大丈夫ですか?」
「へ?あ、すみません。ちょっと考え事をしていまして……」
危ないです。まさか私に話が振られて来るとは思いませんでしたよ。
それで?下っ端である私に何の御用でしょうか?
「僕はこっちでレイシフトの最終調整に入るから、マシュと立香君を召喚部屋に案内よろしくね」
「わ、私がですか!!?」
「当然じゃないか。レフ教授が敵に回って居ないのだから、現状生き残っているスタッフの中であそこに詳しいのは君じゃないか!!?」
「……フィリネさんって実は凄い人?」
「私なんて全然すごくないですよ!!お姉ちゃんの方が何倍も知識も実力もありますし……」
ロマニさんのせいで、私が特別な人間だと思われたじゃないですか!!?
私なんて、ちょっと聖杯戦争に知識のあるただの魔術師ですよ。普通の魔術師よりは知識を持っていると、控えめに見ても思いますが、それは私の家が特殊なだけ。
時計塔にて、どうにかして根源に到達しようと考えている歴史ある魔術家系やロードには遠く及びません。
と言うか、極東のちっぽけな魔術儀式の知識がちょっとだけ知っているだけで、私は調子に乗ったりしませんとも。
「じゃあ、頼んだよフィリネ君」
「分かりました。そちらこそレイシフトの準備をお願いしますね。……立香ちゃん、マシュはこっちね」
「分かりました。先輩、行きましょう」
「うん!!英霊召喚……楽しみだなぁ」
と、ロマニさんにこの場を任せて、私と立香ちゃん、それにマシュは管理室をあとにした。
正直言って、私が出来る業務の中では得意分野なので気が楽です。
でも、召喚される英霊は必ずしもこちらに友好的であるとは限りませんので、気を引き締めなければなりません。
そうは言っても、英霊召喚は楽しみなのは間違いではないです。
「召喚部屋」ゲーム設定にはないですけど、話の都合上二次創作でよく使われる設定をお借りしました。
最近だと、RTA系でよく見かけますね!!