鬼滅の雨   作:ほにゃー

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超える

下弦の弐は、強い。

 

例え俺が十人居ようが勝つことは出来ないだろう。

 

そもそも、茅屋の雨からの鬼雨が効かない時点で、勝つ確率は極めて低い。

 

俺的には、下弦の弐に勝てる確率が高い、数少ない方法だった。

 

それでも、俺は煉獄さんに任されたんだ。

 

必ず勝たないと!………って思うが。

 

(くそっ!考えれば考える程、勝てる道筋が見えない!)

 

下弦の弐の攻撃を躱しつつ、俺が持てる力で、コイツに勝つ方法を模索するが、何一つ見えてこない。

 

「おいおい、さっきまでの威勢はどうしたんだよ!大見得切って、あんな啖呵切ったんだ!少しは楽しませろよ!」

 

「うるせぇ!その頸、すぐに斬り落としてやる!」

 

とにかく気持ちで負けるわけにはいかないので、大声で自身を鼓舞し、刀を握りしめ、足を根を張る様に、しっかり屋根に固定する。

 

「そうかい!そりゃ楽しみだな!」

 

そう叫び、下弦の弐が接近してくる。

 

(身体を触らせたらダメだ!)

 

俺は体に触れられることを恐れ、刀を振る。

 

(弐ノ型 飛雨!)

 

真空の刃を放ち、下弦の弐の接近を止める。

 

「おいおい、そよ風で俺の肌を撫でてどうすんだよ!」

 

だが、下弦の弐の体には傷一つ付かず、俺の正面に立たれた。

 

「しまっ!?」

 

「ほらよ!」

 

下弦の弐が腕を伸ばしてくる。

 

刀を壊されるのは避けたいので、俺は鞘を手に取り、鞘で腕を弾く。

 

すると、俺の背後から物凄い衝撃が走った。

 

「がっ!?」

 

「刀を壊されないように、鞘で防いだのはいいが、ちょっと見通しが甘かったな」

 

そう言って、下弦の弐は、ぐにゃぐにゃになってる腕を見せてくる。

 

「骨の硬度を操って………死角からの攻撃か………!」

 

鬼の持つ岩の様に固い肌、そして鞭のように振るわれる腕。

 

厄介にも程がある…………

 

叩かれた部分が痛い……

 

熱を帯びたように、痛みが引かない………

 

それどころか、じわっとした感触が背中に走る。

 

服が肌に張り付く。

 

きっと背中の皮膚が破けて血が出てるんだろう。

 

裂けた傷は呼吸で止血できるのか………!

 

いや、止血より痛みを和らげるのが先か………!

 

「もう動くことすら出来ねぇか。これで終わりだな。あばよ」

 

下弦の弐が俺の首を狙って、手刀を放つ。

 

まだだ………!俺は、まだ…………

 

「終われるか!」

 

刀を握り、そのまま頸を狙う。

 

下弦の弐は後ろに下がるが、刀の切っ先が頸を浅く斬る。

 

「なっ!?何故だ!?何で動ける!?」

 

「俺はお前と違って弱いからな。だから、人の助けでそれを補うんだよ」

 

そう言って、俺は懐の袋を見る。

 

胡蝶さんからもらった、即効性の痛み止めの薬。

 

本当に即効性だな。

 

飲んだ瞬間に、痛みが消えた。

 

使用用途は間違っているが、今は仕方ない。

 

後で、胡蝶さんに謝らないとな。

 

「はっ!やっぱり力のない人間の考えだな!そんなんだから、お前らは弱いんだよ!」

 

下弦の弐が接近してくる。

 

俺はもう一度、刀を構える。

 

(全集中 雨の呼吸 壱ノ型 鬼雨!)

 

鬼雨を放ち、下弦の弐の頸を捕らえる。

 

刃が、下弦の弐の頸に際込まれるように入る。

 

だが、やはり刃は、頸を斬ることはなかった。

 

「何度やっても無駄だ!お前じゃ、俺を斬れない!」

 

まだだ!

 

まだ行ける!

 

超えるんだ!

 

今の自分を超えろ!

 

俺にはそれができる!

 

昨日の俺よりも、一秒前の俺よりも、今の俺は強い!

 

だから、未来の俺はもっと強い!

 

限界を、俺自身を、超えるんだ!

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!?」

 

その瞬間、刃が頸に切れ込みを入れ、血が僅かに出る。

 

「くっ!?死ね、クソガキ!」

 

下弦の弐が、そのことに焦りだし、俺を殺そうと頸を掴む。

 

もう逃げられない。

 

生きるには、ここで勝つ!

 

「お前が…死ね!」

 

雨の呼吸!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

拾ノ型!鬼刃斬雨(きじんざんう)


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