鬼滅の雨   作:ほにゃー

53 / 54
暗月

「ここから逃げてください!」

 

「お、お前は……!」

 

「早く!できるだけ、他の人も一緒に!時間は俺達が稼ぎます!」

 

「あ、ああ……!」

 

助けた店主の男にそう言い、俺は屋根へと飛び上がる。

 

店主の男は言われた通り、自分の店の従業員や、他の店へと呼びかけ避難を始める。

 

屋根まで飛び、神明さんの隣に立つ。

 

「打鉄!お前、どういうつもりだ!」

 

「俺が言われたのは後方で待機して、上弦と遭遇したら柱の応援を呼ぶってことです。応援を呼んだ後のことまでは指定されてません。だから、本来の任務に復帰しに来たんです」

 

「………馬鹿野郎。……だが、正直有難い」

 

神明さんはそう言って嬉しそうに笑う。

 

「やれやれ、また増えたのか」

 

対して目の前の鬼は詰まらなさそうに溜息を吐いた。

 

「数が増えた所で、死人が増えるだけだってのによ。まぁいいぜ、お前もこの上弦の陸である俺、幻月が相手してやって「お前、上弦じゃないだろ」………なんだと?」

 

俺がそう言うと、鬼もとい幻月は驚いた表情をする。

 

「打鉄、どういうことだ?」

 

「俺は上弦の参と、上弦の零と戦いました。いくら、上弦の参と陸の差があると言っても、差があり過ぎます。かといって、下弦の鬼でもない。間違いなく、下弦の壱より強い。お前は何なんだ………」

 

俺がそう尋ねると、幻月は俯いたままだった。

 

「グハハハハハ!そうだ!その通りだよ!」

 

幻月は笑い出し、そして、閉じてあった右目を開いた。

 

そこには「暗」の文字が刻まれていた。

 

「正確には、元“上弦の陸”!入れ替わりの“決戦”で敗北し、上弦堕ちした鬼さ!」

 

「上弦堕ち……だと?」

 

「上弦堕ちした鬼は、“暗月”と呼ばれる。今の俺は暗月の陸。十二人いる暗月の中で六番目の序列に位置する!」

 

「なるほど、さっきから感じてた違和感はそれだったか」

 

神明さんは納得したように頷いた。

 

「神明さん、この辺一帯の人達の避難は粗方終わってます。この近隣の人たちの避難ももう少しかかるでしょうけど、これなら、人への被害はありません」

 

「よし、なら、全力で行くぞ!打鉄!」

 

「はい!」

 

俺と神明さんは同時に走り出し、技を出す。

 

(雨の呼吸 肆ノ型 通り雨!)

 

(葉の呼吸 壱ノ型 紅葉斬り!)

 

同時に放たれた斬撃を、暗月の陸・幻月は刺剣を巧みに使い、防ぐ。

 

「上弦堕ちだからと言って舐めないでもらおうか!これでも、下弦以上の力を持っているんだからな!」

 

幻月は笑いながら、刺突を放ってくる。

 

ソレを剣で受け流し、跳ね上げる。

 

「神明さん!」

 

(葉の呼吸 肆の型 樟打ち!)

 

がら空きとなった懐目掛け、神明さんが突きを放つ。

 

が、幻月はそれを肘と膝で挟み、受け止める。

 

「くっ!(伍ノ型 叢雨!)」

 

連続斬りを放ち、幻月の右側を切り裂く。

 

その瞬間、力が緩み、神明さんは刀を引き戻す。

 

「すまない!あのままだったら刀をへし折られてた!」

 

「いえ、大丈夫です!ですけど………」

 

やはり強い………

 

だが、もう避難は完了してる。

 

店や家屋はダメになるかもしれないけど、これで周りを気にせず戦える。

 

これならアレが使える………!

 

刀の握り方を変え、アレを使おうとした時だった。

 

「なぁ、良いこと教えてやろうか?」

 

「何?」

 

「ここ数日間、俺はお前たちを見続けていた。だから、お前たちに仲間がいることも知ってる。なのに、おかしくないか?どうして、そいつらはここに来ない?」

 

「………まさか!」

 

「そのまさかさ!他のお仲間は、今、別の鬼と戦ってるのさ!それも、現“上弦の陸”とな!しかも、柱はテメーの嫁だがを助けるために、別行動と来てる!残りの三人のうち、一人は捕まっていて、もう一人も別行動中!ただの餓鬼一人が戦ってるぜ!」

 

そんな!

 

鬼がもう一人いて、しかも、それが上弦の陸!

 

まずい、助けに行かないと!

 

だが、幻月も放っておけない、どうすれば………!

 

「本当に、お前らも災難だな。あんな間抜けな柱に付いて来たが為に、こんな所で死ぬんだからな」

 

幻月が馬鹿にしたように笑う。

 

そんな幻月に俺は切れそうになり、反論しようとした。

 

「黙れ!」

 

だが、俺よりも早く神明さんが反論した。

 

「天元を侮辱するな!お前のような鬼に、天元の大切な者を、想いを馬鹿にされる理由はない!」

 

神明さんは突貫し、刀を振るう。

 

(葉の呼吸 捌の型 ら――)

 

「突っ込んできたな。馬鹿め(血鬼術 深層の幻惑・妬み!)」

 

すると、幻月は口を膨らませ、そこから血霧を出し、神明さんに浴びせる。

 

「ぐあっ!?」

 

神明さんは溜まらず下がり、顔を擦る。

 

「神明さん!」

 

「くっ……!なんだこれは……!意識が……!ぐっ……うっ!」

 

そのまま神明さんは意識を失い、倒れた。

 

「神明さん!」

 

「安心しろよ。ちょっと眠っただけだ」

 

「眠った……だと?」

 

「ああ。俺の血鬼術、深層の幻惑・妬みって言ってな。これを浴びた奴は、一時的に眠って、ある夢を見る。そして、夢から覚めると、ある感情が増幅されてるんだ」

 

「妬みってまさか………!」

 

「そうさ。増幅する感情は、妬み!嫉妬って言った方が分かりやすいか?あの柱と、こいつはお友達なんだってな!柱にも慣れない剣士と柱になった元忍の剣士、こいつらがずっと仲良し小良しの中で居られると思うか?無理なんだよ!人間はどれだけ仲良くあろうと、心の底では互いを憎み・妬みあってる!目が覚めたら、コイツはあの柱への嫉妬心で溢れてるぜ!」

 




大正こそこそ噂話

血戦に敗れても、能力が強いと無惨が判断した鬼は上弦落ちとして確保してる。

上弦落ちした鬼たちは、暗月の鬼となり、十二暗月と呼ばれてる。

そして、序列順に階級を決められ、右目に「暗」、左目に「数字」が入れられる

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。