一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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青薔薇計画の始動

 

 

 無事、退院を果たして二週間振りの授業へ参加する。

 

 「おっ、オリムーだ!!」

 

 「本音、おはよう」

 

 本音が気付き挨拶して、俺は挨拶を返しながら席に着く。無論、今日から箒が囚人房から出て来る日でもあり不安さえあった。

 

 そして、大破した白式はホワイトラビット社の本社にあり、代用機として『青薔薇計画』に基づいた白式の先行量産型の流星にマグネットコーティングを関節に施された機体を渡され、マグネットコーティングの実用性を確認する為に使用している。

 

 無論、関節に施されたマグネットコーティングはノーマル仕様の関節でも、俺の反応速度に壊れる事なく反応し切れていた事を実証してくれた。

 

 ただ、別の件で一つだけ問題があって、ブルーローズ本体に組み込まれた白式のコアが使えない為に流星で試験していたのだが、白星がコアネットワークを通じて、この流星のコアに嫉妬中だった。

 

 今でも頭の中に響いているが、『イチカの浮気者!!』とか『人になったら、絶対に既成事実を作ってやる!!』とかならマシなのだが、白星の嫉妬の矛先がこの流星のコアになり、流星のコアに対しては、『イチカに色目を向けたら、アンタのコアにウイルスを流してやる!!』と先ほどから、絶賛絶叫中だった。

 

 だが、逆に流星のコアも負けていない様で、『ふん、白星のペチャパイ娘!!』『何だと!?牛乳娘!!』と二人して悪口で言い返して、俺の頭の中で二人の痴話喧嘩の真最中の声が響き頭痛の要因になっていた。

 

 「頭が痛い…」

 

 「イチカ、大丈夫?」

 

 「大丈夫に見えるか?」

 

 「見えないわね…」

 

 アンにも蒼式のコア(アンが蒼(ソラ)と命名)を通じて、二人の痴話喧嘩が聴こえているらしく、呆れる始末だったが、俺の頭痛の酷さから遂にアンがキレて、蒼を通じて『余りに痴話喧嘩が酷いと、強制停止のウイルスを流すわよ!!』とコアの二人に叫び、二人は『すっ、すみませんでした!?』と謝り大人しくなるのだった。

 

 そして、午後の授業は実技でシャルの駆る流星と同型機同士の模擬戦となったのだが、シャルはB型パックを装備し、俺は白式の換装パッケージのB-OC型パックで対戦する。

 

 無論、マグネットコーティングの試験運用だけで無く、ビーム兵器運用を前提に試作型ジェネレーターを外付けしたB-OC型パッケージとビームライフルと、ツインビームナギナタも武装としての試験用として競技用レベルまで出力を落してインストールされていた。

 

 「シャル、行くぞ!!」

 

 「ちょっと、まっ!?」

 

 ビームライフルを撃ち牽制しながら感触を確認し、ツインビームナギナタを展開して振り回しながらシャルの流星を斬り瞬殺する。しかし、エネルギーの減りの速さに驚きとビームライフルが6発しか撃てないエネルギーの消費量に不安が過る結果に終わった。

 

 「うっわぁ、エネルギー残量がヤバイ…」

 

 「イチカ、そんなになの?」

 

 「あぁ、レーザー兵器が可愛く見えるレベルだ」

 

 「あたしはレーザー兵器か実弾兵器にするわ」

 

 だが、流星の出力ではビームライフルは6発が限界だし、ツインビームナギナタもビームナギナタを出して展開するだけでエネルギーの消費が多く、問題が山積みだと報告書に記載して本社へと送ったのだ。

 

 

 

 

 

 ドイツとの停戦協定はかなり揉めたが、最終的にはヴェルサイユ条約並の多額の賠償金をドイツが支払う事で決着が着いたが、ドイツの実験施設を襲撃して制圧した際に、人体実験中の被験者だった100名近い少年少女を保護、その内の数十名は衰弱が酷くて救出して全員を保護して引き取り、ポケットマネーで建てた孤児院に収容している。

 

 無論、協定後に非人道的実験をしていたドイツの実態をイギリスや日本を始めとした各国に公表した際にドイツが協定違反だと反論し、残存戦力でホワイトラビット社に全面戦争を仕掛けたが、前回の戦力の約三倍の150機の流星改でドイツに反撃してドイツを占領したのだった。(この事件により、ドイツはコアを全て失う事になる)

 

 ただ、占領下での政策はイギリスとイギリスの女王で束さんの悪友のエリザベス三世に丸投げしたのは言うまでもない。

 

 しかし、ホワイトラビット社本社のラボでは青薔薇計画に基づきブルーローズの開発と製作が会社を上げて急ピッチで製作が進むが、いっくんからのビーム兵器使用に関する報告書に頭を抱える。理由は察しているけど、ビーム兵器搭載型ならではのエネルギーの消費量の問題だった。

 

 「試作型ジェネレーター付きの流星でも、ビームライフルは6発が限界か…なら、エネルギーパックを開発すれば、機体からのエネルギー消費問題は無くすことが出来るけど、ファンネルだけは無理だよね…」

 

 無論、ビームライフルに関してはエネルギーパック式のカートリッジが採用されて解決するが、ファンネルのエネルギー供給をISコアから供給されるエネルギーだけでは、ブルーローズ本体と共に消費するエネルギーを賄い切れないのは明白だった。

 

 無論、代替案としてファンネル自体にもコアを内蔵させても構わないが、ファンネル二基と本体を合わせたトリプルコア化による、エネルギー供給の不安定化だけは避けたいが、採用に至っては正気の沙汰ではないし、レーザー兵器にした所ではブルーローズの性能を活かせずに試作機に留まるのが関の山だと束さん的に気に食わなかった。

 

 本体となる機体は、極秘に開発して本社に呼び出したスコールさんに稼動試験をさせた四世代型の紅椿(用済みだがら武装を変えてスコールの専用機になっている)の稼動データを元に再設計をして、重装甲な脚部にとバックパックの四枚の稼動式ウイングスラスターに展開装甲を内蔵したのを合わせれば、八割方が組み立てが終わり完成しているが、本体へのサイコミュの脳波増幅装置の組み込みが上手く行かずに難航していた。

 

 ただ、ファンネルのエネルギー供給問題を残して武装は完成していた。

 

 「紅椿でも開発に三ヶ月も掛かったのに、ブルーローズの開発は臨海学校までに間に合うかな?」

 

 カレンダーを見ながら、ラボの床に屍の様に倒れて眠り、一緒に魔の十徹をした『青薔薇計画』の研究チームの篝火ヒカルノ博士や製造整備担当のアルベール・デュノアを一瞥して、一抹の不安を感じながらも開発は難航するのだった。

 

 

 報告書を上げてから、3日後に束さんから試験用の増加パーツがコンテナに入れられて送られてきた。

 

 「スラスターユニットか?」

 

 「でも、ビーム砲が付いているわよ?」

 

 「こっちには、ケーブルや変な箱まであるわよ?」

 

 コンテナの中身には、ビーム砲付きのスラスターユニットとレーザー砲付きのスラスターユニットを合わせた4基のスラスターユニットとケーブルに繋がれた変な箱まで入っていた。俺や鈴、アンまでもが不思議に思っていると、目の下に隈を作った壮年の男性がやって来るが、男性を見たシャルが驚いた表情をしていた。

 

 「えっ……お父さん、なんで?」

 

 「シャルロット、妻の件では済まなかった。私は今はホワイトラビット社のフランス支社の社長ではないが、整備士として一夏の専用機の製造のチームに入ったのだよ」

 

 「僕は気にしてなんか無いよ。だって、ママの大好きだったパパがいるし、お父さんのお陰でフランスでは、代表候補生を辞めてからは普通の女の子として女子高に入れてくれたから逆にありがとうだよ。それに、この学園に来て友達も出来たからね」

 

 デュノア親子の和解も済み、アルベールさんからコンテナの中身に付いて説明された。

 

 「じゃあ、ファンネルはビーム兵器にするかレーザー兵器にするかは稼動試験で決まるんですね?」

 

 「そうだ。

 

 ビーム砲搭載型には小型ジェネレーターとISコアが積まれているが、博士が君の白式のコアの白星くんに選ばせたコアを積んでいる。無論、三基同時のコアの連動は絶対にしないようにと、社長からの伝言だ。

 

 もう一つの、レーザー砲仕様はマドカくんの黒式のBT兵器の稼動データを元に製作した、AI制御によるファンネルで言わばBT兵器の強化版だと思って貰って構わない」

 

 サイコミュの脳波増幅装置に取り付けられた、ケーブルからヘッドフォンを頭に被り、ファンネルを起動させた所で、あの馬鹿(箒)がピットからアリーナへ、新たにスカウトした生徒の企業のテストパイロット用に調整整備中の筈の流星改を纏い乱入する。

 

 無論、装備しているのは流星改用の装備はしてなく打鉄用の葵一本だけだった。

 

 そして、流星改は第三世代の量産機だが企業専用の私兵部隊への配備機か、学園に居る企業の生徒でテストパイロット専用しか無い。

 

 さらに言えば、ここは企業名義で貸切中の第三アリーナ。

 

 一般生徒はもちろんの事、試作装備の試験中で企業関係者しか入れないのは明白で、入口には防諜対策で警備員が監視をしていた筈だった。

 

 「あれ、黒とシルバーのカラーリングからラウラの流星改!?」

 

 「「「「えっ、マジ!?」」」」

 

 「確かに、エンブレムがブラックラビット隊の物ね」

 

 整備室で箒に奪われたのは、ラウラ用にとビーム兵器に変えて調整中の黒とシルバーのカラーリングがされた流星改だったのだ。

 

 無論、ラウラ専用に装備されていた筈のC型パッケージは無く、葵一本から推測すると外したと断言出来たのだ。

 

 「あぁ、やっぱり来たわ…」

 

 「鈴、懲りないと言うか、清々しく思うわね…」

 

 「アン、鈴さん、私がチェーンマインで殺っても?」

 

 「「イチカに聞かないとねぇ…」」

 

 「やっぱり?」

 

 「いや、俺が殺る。

 

 サイコミュと連動させたファンネルの試験台(的)になって貰う」

 

 最初はシャロことシャーロットが、乱入した箒に対してチェーンマインで爆殺しようかと聞くが、俺が却下してファンネルの的として使用する事にしたのだ。

 

 「貴様の腐った根性を叩き直してやる!!」

 

 「企業の機体まで持ち出して、犯罪者になった箒には言われたくない!!

 

 行け、ファンネル!!」

 

 サイコミュの脳波増幅装置の影響か俺に赤紫色のオーラが包み、4基のファンネルまでオーラを纏うと同時に動き出す。

 

 「飛び道具なんか卑怯だぞ!!」

 

 「これが、ララァ大尉が観えてた世界なんだな…」

 

 ISのインターフェイスとサイコミュによる、調和の取れた輪舞曲の様にファンネルが俺の思考と完全にマッチして箒が纏う流星改に襲い掛かり、流星改をスクラップに変えていく。俺自身も何故か宇宙空間に居る感覚でファンネルが思い通りに動くのだった。

 

 「ギャァァァァァ!?」

 

 箒の絶叫ともに流星改が大破して強制解除されてアリーナのグラウンドに落ちると、ファンネルは規則正しく元のコンテナへと戻ったのだ。

 

 「ファンネル、思った以上に操作がキツイな…」

 

 「一夏さん、もし、宜しければ私も?」

 

 「ニュータイプ用だから、ノーマルのセシリアだと脳が焼き切れるか廃人になるぞ?」

 

 「やっぱり、辞めておきますわ!?」

 

 実用試験だが、ファンネル自体にコアを使わなくても、大容量のエネルギーパックを内蔵すればビーム兵器でも大丈夫だと、束さんがうっかりミスをしてファンネルの完成が見えたのだった。

 

 無論、ブルーローズに搭載予定のサイコミュシステムにも、偶然の産物によるサイコミュのチップ化をヒカルノ博士と束さんがお酒に酔った勢いでやってしまい、序に『増幅装置も出来んじゃねぇ?』と何処かのイタリアをモデルにした学園艦の生徒の様な勢いとノリでやってしまったらしく、ISに搭載可能レベルまで小さく作り上げて搭載し、ブルーローズは完成したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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