もうすぐ、臨海学校が近くなって来たが、第三アリーナでの青薔薇計画の各種実験が終わり、来週の臨海学校を前にして、妻達からは臨海学校で使う水着が欲しいからレゾナンスに行きたいと寮の部屋でアンの淹れた紅茶を皆で飲みながら話していた。
「「「イチカ、水着欲しい!!」」」
「となると、レゾナンスだな」
「イチカにブラジル水着を見せる、チャンスよ!!」
「「シャロ、アウト!!」」
「なっ、何でよ!?」
三人の水着談義を尻目に、メールの着信音に気付き内容を見たらブルーローズの最終工程に入ったから本社工場に来てくれと、秘書のクロエから連絡があったのだ。
ピロロロ
「ちょっと待ってくれ。ん?
本社からメールだな」
「一夏、本社からメール?」
「あぁ、どうやらブルーローズの最終調整に来て欲しい内容だな」
「イチカ、あたし達は三人で先にレゾナンスに行くから、先に調整を済まして来たら?」
「アン、良いのか?」
「あたしは、別に構わないわよ」
「そうね。私も構わないわね」
「あたしは当然、この二人の見張りね。
また、二人がゴミ箱に燃えないゴミ(ナンパ男)を捨てない様に見るないとね」
「「鈴、酷い!?」」
「事実、あんた達はやったわよね?
ゴミならゴミで分別しなさい」
「「全く言い返せない…」」
「いや、人はダメだろ!?」
「一夏、漢字で書いたら、生物(ナマモノ)だから無問題ね‼
でも、出すなら月水金のいずれかね」
「鈴、一番駄目な奴よ!?」
無論、送られて来たメールの内容には、サイコミュのチップ化が出来た為に内部のフレームを全て取り換えて、フレームにチップを埋め込んだサイコフレームと言うフレームに替えた事で、二基の予定だったスラスター型のファンネルが4基へと増えて機動力が計画より増大した事と、ブルーローズ本体の機体が完成したからサイコミュシステムの脳波調整をするから来て欲しいと言う内容だった。
(後に、一時的に宇宙世紀へ戻った際にサイコフレームの技術はシャア大佐に渡り、アクシズのニュータイプ専用の機体の性能の向上とアナハイムにサイコフレームの技術が流れる事になる)
そして、翌日にはモノレールに乗り、途中で電車に乗り換えて本社のある山梨のとある駅に降りた。
「久しぶりに本社に行くな…」
ホワイトラビット社は一度は倉持技研が在った神奈川県の横浜市内に在ったが、この前のドイツ軍の特殊部隊の襲撃により社員や研究員達は全員が無事だったが、防衛の際に近隣住民に被害が出て数名の重軽傷者を出した事から山梨の日本の陸上自衛隊の富士演習場をドイツから支払われた多額の賠償金を元手に買い取り、本社を演習場へと移転したのだ。
無論、演習場にも自衛隊が建てた管理用のビルをオフィスビルとし、大量のハンガーはIS製造用の工場となっていた。俺のブルーローズは第七格納庫にて製造されていたりする。
「一夏様、クロエでございます。お迎えに上がりました」
自衛隊から払い下げられた、装甲車から降りて来たのはクロエだった。
「クロエ、元気にしてたか?」
「はい、おかげさまで、元気にやっています。一つだけ、不満が有るとすれば妹のラウラと会えない事だけです」
ラウラを引き取ってからは、クロエのシスコン振りに拍車が掛かった様に思えるが肉親が姉妹だけとあり、俺達からはラウラの着せ替え人形による悲鳴を聞いたとしても黙認している。
車に乗り、数分後にはホワイトラビット社の広大な敷地が見え始め、空中には対外向けの第三世代型量産機で元デュノア社のラファール・リヴァイブを第三世代化したラファール・リヴァイブⅡが飛行訓練しながら空中から監視していた。そして、演習場では私兵部隊の一つで流星改を黒とシルバーのカラーリングに統一されたブラックラビット隊が猛訓練を課している光景だった。
「やってるな」
「はい、千冬様がドイツで鍛えられた黒兎隊の加入で、私兵部隊はかなり戦力が上がりました。それと、一夏様にもですが、第三アリーナはイベント以外は学園長様との取り引きで、卒業までは借用が出来ました」
「どんな取り引きしたんだ?」
「まだ、束様からは言わない様に言付けされてますので詳しくは言えませんが、簡単な話が護衛用の戦力提供だそうです」
「なんか、きな臭いな…」
クロエに社内の敷地を案内されながら、第七格納庫へと着いたのだった。
「やぁ、いっくん来たね」
「早く済ませますよ」
「おやおや?
いっくんのお嫁さん、貧乳、美乳、巨乳が勢揃いだから水着選び放題だね♪
ついでに、更衣室で『バッキィ』はっう!?」
「また、見てたので、いい加減に殴りますよ?」
確かに、鈴は貧乳でアンは美乳。そして、シャロは巨乳だが、特に鈴とアンには胸の話は御法度であり、言えば命が幾つ在っても足りない。
だから、束さんが言い切る前に拳骨を落として置いたが、効いている様子は全く無かった。瘤を作った頭を撫でながらも奥のハンガーへと案内されたのだった。
「ゔぅぅ、いっくんが言い切る前に殴った!?」
「これが……」
ハンガーに鎮座するのは胸部装甲は蒼に染められ、腕や脚は白く染められた、蒼白の美しい機体。そして、両肩の非固定部位にある筈の大型スラスター兼ファンネルは、まだ取り付ける前で装備はされてないが、蒼に染められたスラスター内蔵された大型の肩のアーマーにはジオンのマークが入っていたのだ。
無論、脚部も腿は白く、脛からが蒼く染められずんぐりとして武骨だった。
「いっくん、これがシャア大佐からの贈り物のブルーローズだよ」
「やっぱり、シャア大佐でしたか。
元となったモビルスーツで何となく、シャア大佐じゃないかと思ってましたよ。グラナダに伝があるのはシャア大佐ぐらいでしたから」
「やっぱり、いっくんにはバレてた様だね。
でも、束さんもシャア大佐を驚かせたいから。
だから、いっくんにはこれを持ってて欲しいかな」
束さんから渡されたのはT字型の金属だった。
「束さん、これは?」
「サイコミュをチップ化して、金属に内蔵させたのがサイコフレーム。いっくんに渡したのはサイコフレームのサンプルだよ」
「有り難く、貰いますね」
「じゃあ、フィッティング作業に入ろうかな」
ブルーローズのフィッティング作業になると、身体に馴染む様な感覚と『イチカ!!』と叫ぶ白星の声に白式が戻って来たのかと錯覚してしまう。
「うっうぇ、マジで有り得ないよ!?
いっくんと白星のコアの同調率が……99%!?」
キーボードを叩きながら、俺と白星の同調率に絶叫する束さん。
『愛がなせる技よ!!』
と、白星が叫びながら無い胸を張りながらドヤ顔しているだろうと想像する俺は思わず苦笑してしまうが、白星も心を読み叫ぶ。まるで、姿は見えないが鈴を連想する様に思えたのだ。
『誰が貧乳よ!!
鈴よりはあるわよ!!』
「それ、鈴に言っとくからな?」
『色んな意味で、死んじゃうから止めて!?』
フィッティング作業をして白星と二人で話している間は、白星がご機嫌だったのは言っておこう。
同じ頃、学園の駅からモノレールに乗り、レゾナンスへ向かいながら三人で談笑していた。
「一夏も本社から呼び出しで災難よね。まぁ、早く終わればレゾナンスでデートよ」
「鈴の言いたい事は判るけど、あたしだって一夏にベッタリしていたいわよ。でも、アレの調整はララァ大尉のシステム調整を見ていたから、先に済ませろってイチカに言っただけよ」
「私は地上からのソロモンへの転属組だから、難しい事は知らないけど、亡命してからアクシズのハマーン様の専用機も調整には難航していたって、整備兵の愚痴を聞いたわよ」
「やっぱり、一夏のアレって難しいのね…」
「繊細なシステムだからね…」
そんな、妻達三人の様子を伺う、四人の影は右からセシリア、シャル、ラウラに簪だった。無論、簪に限っては前者の三人に拉致られた被害者である。
「一夏さん、居ませんわね?」
「セシリア、本社からの呼び出しだと思うな」
「ふむ、私はブラックラビット隊の訓練に参加すれば良かったな」
「ラウラ、まさかのサボりかな?」
「隊長からは、臨海学校の準備をする様に言われただけだ。それに、訓練に参加したくても、私の流星改は馬鹿箒が乗って壊したせいで、未だに修理中だ」
「一夏さん、容赦なくファンネルからビームを放ってましたわ…」
「どう観ても、篠ノ之さんが悪い。
あれで、退学に成らないのがおかしい」
「簪さん、僕的には少年院に行かない方かな?」
結局、箒は退学には成らずに三日間の謹慎処分だった。無論、卒業まではISへの搭乗は一切禁止となった。
二組のホワイトラビット社所属の生徒達の雑談が盛り上がるが、他の生徒も臨海学校に気持ちを盛り上げる最中、モノレールの1両目の車両からの爆発と乗客の悲鳴が響き急停車する。
ズッガァァァァァン
無論、モノレールが緊急停止した煽りで車内では前へと乗客達が投げ飛ばされる様に転倒して怪我を負ったり、乗客が先頭車両側へと飛ばされて乗客同士がぶつかり怪我をしたりとモノレールの車両の中は地獄の光景だったのだ。
『キャァァァ!?』
「イタタタ…なっ、何ですの!?」
「セシリア、アレ見て!!」
「アレは!?」
セシリアは見て驚愕する。
1両目の車両の操縦室にマシンガンを放ったと思われる、女性利権団体仕様のラファール・リヴァイブが8機と打鉄が6機の14機が襲撃していたのだった。無論、先頭車両に乗っていただろう生徒や乗客は車両が破損した煽りで破口から海へと投げ出される光景だった。
「セシリア達は、無事に居たのね」
頭を軽くぶつけて額を切ったのか、血を流している頭にスカートの裾を切り裂いて頭に巻く鈴と、頭を打ち気絶したシャロを担ぎながらセシリア達の所に来たアン達だった。
「鈴さん、頭から血が!?
大丈夫ですの!?」
「あたしなら、これ位は大丈夫よ」
「セシリア達も緊急時だから、あたしの指揮下に入って貰うわよ」
獰猛な目付きのアンさんに恐怖しながらも、戦意すら衰えない姿の百戦練磨の雄姿の姿は、まるでヴァルキリー(戦乙女)の様に気高く美しいとセシリアはアンの姿に息を飲む。
「アン、襲撃か?」
「ラウラ、多分だけど女権の日本支部の残党よ。無事なセシリアとラウラは1両目の海に転落した乗客の救出を任せたわ。
鈴は頭を打っているから出るのは駄目だからね。その代わり、シャルと一緒に簪やシャロ達の負傷者の手当を任せるわよ」
「悔しいけど、それが妥当そうね。あたしは、本社と学園に襲撃された事を知らせて救援を求めるわ」
「任せたわよ、鈴。
尚、ISの展開は、あたしが責任を取るから専用機を展開し、その任に当たれ‼」
「「了解!!」」
ホワイトラビット社の生徒達や乗客に有無すら言わせない、オリムラ中隊の副隊長だったアンの軍人としての気迫にセシリアとラウラは頷くしか無かった。
そして、アンは蒼式を展開して外に出ると、ジャイアントバズーカを構えながら、女性権利団体の襲撃者達へとスラスターを全開に単機突入して行ったのだ。
「落ちなさい!!」
「キャァァ!?」
「なんで、専用機持ちが居るのよ!?」
ジャイアントバズーカを放ち直撃した打鉄を葬り、ラファール・リヴァイブに乗る女性は驚愕していた。
「学園からのモノレールだから当たり前じゃない!!
罪の無い人達を!!
あんた達を、あたしは許さない!!」
「貴女は!?
織斑一夏の妻の一人の織斑アン!?
この、男風情に尻を振る売女がぁぁぁ!!」
「やっぱり!?」
アンは叫び瞬時加速しながら『売女』と叫ぶ女権の女に向かって加速し、ツインレーザーナギナタを振り回してラファール・リヴァイブを切り裂き海へと落とす。
無論、停止したモノレールを一瞥しながら、其方に行かせない様にと牽制は勿論忘れない。
「たかが、一機よ!!
囲いなさい!!」
「この、素人が!!」
素人で、連携すら取れない女権のISをジャイアントバズーカを至近距離で当てて落としたり、ツインレーザーナギナタで斬り刻み海へと落として行く。
無論、海面近くではブルーイェーガーを展開して救助活動するセシリアや周辺警戒をしながらセシリアを護衛するラウラ。やはり、海に浮かぶ人達は1両目に乗車していた複数の学園の生徒や一般客だろう人達を救出する。
ただ、幸いなのは多少の負傷が有るものの、命に別状が無かった事にはセシリアは救助しながら安堵していた。
だが、単機で空中戦をするアンは別で、一対多数で有ることには変わり無く、苦戦する事だけはアンでも分かっていた事だった。
ズッドォォン
「ギャア!?」
カチカチ
「ちぃ、弾切れ」
「今だ!!」
「な〜んてね!!」
ガッガガガガガ…
「まっ、マシンガン!?」
「食らえ!!」
ジャイアントバズーカの弾を使い切ったので放棄して新たにコールしたマシンガンを乱射しながら牽制する。
だが、実際の所アンの機体の装甲は多数を相手にした事で被弾箇所が多くてズタボロで、残りの弾薬は乏しく数回のマシンガンを斉射をすれば弾薬が無くなるのは明白だった。
最悪な事にアンの性格が災いして、小型ジェネレーター付きのB型のパッケージは、アン自身が実弾形装備を希望した為に受け取って無かったのだ。
「あたしも難儀なものね。
武器は残弾は無しで残すのは、これだけなんてね」
ズタボロのまま、展開したツインレーザーナギナタを握り、日本支部の女権のISの集団にア・バオア・クー決戦の時と同じく特攻を仕掛けるべく斬り掛かる。
無論、セシリアやラウラには救助した人達やモノレール内に残る乗客達を護衛しなければならない為にアンに支援攻撃すら出来なかった。
「ぜりゃァァァ!!」
「ギャア!?」
「相手は一機よ!!」
ガッガガガガガ
ガッガガガガガ
「グッハァ!?
ジオンの蒼き悪魔を舐めるなぁぁ!!」
口から血を吐き、ラファールや打鉄からのマシンガンの斉射に被弾し耐えながらも斬り掛かり、装甲がズタズタになる蒼式。
「鈴、イチカを任せたわよ」
「あんた、まさか!?」
「いけませんわ!?」
「織斑アン、参る!!
だァァァァァァァァ!!」
「貴女、正気なの!?」
「あたしと一緒に落ちろぉぉぉ!!」
無論、打鉄に肉薄して肩を握ると顔面にレーザーナギナタの刃を突き刺しシールドエネルギーを根こそぎ奪う。だが、さらなる集中攻撃に曝され、脚は関節を撃ち抜かれて破壊され膝から下が脱落し、肩のアーマーは形すら無く肩の白い肌を晒していたのだ。
鈴にイチカを任せると言うと、一機のラファールにリミッターを解除したツインレーザーナギナタをレーザーサーベルにして突きの構えで、アンはラファールに特攻したのだった。
30分ほど遡る事、本社には鈴からの緊急通信により、学園からのモノレールが女性権利団体日本支部の残党から襲撃されたと連絡が入り、ブラックラビット隊に出撃命令が束さんにより下る。
「束さん、俺も出ます!!」
「いっくん、ファンネルの調整がまだだよ!?」
「ファンネル無しで構いません!!」
「一次移行も終わって無いのに!!」
「いえ、既に!!」
『一次移行をしますか?』の質問に『はい』と押し、一次移行を済ませる。
「うっそぉぉん!?」
「ハンガーをぶち破って出ますので下がって束さん!!」
俺はブルーローズが固定されているハンガーをぶち破り、ハンガーに掛かっていた専用のビームソード付きビームライフルを握り、ミサイルランチャー内蔵型のシールドを左腕に固定すると天井をビームソードで斬り刻み空中に上がる。
「行くぞ!!」
ブルーローズのウイングスラスターと脚部の展開装甲を展開すると、学園の方へと一気に加速して向かったのだ。
『クラリッサ隊長!!』
『どうした?』
『蒼い機体に物凄い速さで抜かれました!?』
『速過ぎる!?』
緊急出撃したブラックラビット隊を追い抜き、学園方面へとひたすら加速し飛ぶ。
そして、本社から飛ぶ事10分。
ハイパーセンサーの望遠映像で捉えたのは、大破したアンの蒼式がレーザーサーベルを突きの構えでラファールに特攻を仕掛ける姿だった。
「アン…くっ、少し遠いがやれるか?」
自問しながらも、ビームライフルを構えてアンが突き掛ろうとするラファールに狙いを定める。
「当たれっ!!」
ビュュュン
ブルーローズ専用のビームライフルからビームを放ったのだ。
あたしは、最後の武装のレーザーサーベルでラファールに突きを入れようとした瞬間、目の前のラファールに何処からか来たビームが直撃する。
「ギャア!?」
「へっ?
ラファールが勝手に落ちたの?」
とアンが呟くのも束の間、蒼と白に染められた機体はビームライフルを変形させてビームソードを展開し、凄まじいスピードで残ったラファールと打鉄の併せた6機を斬り刻み海へと落としたのだ。
そして、目の前には愛しい最愛のイチカだったのだ。
「アン、全く無茶しやがって」
「ゴメン、イチカ」
イチカに優しく抱き締められ、あたしは身体の傷口から感じた激痛により気絶したのだった。無論、蒼式は強制解除されて、お姫様抱っこされていた事は気絶していた為に堪能する事は出来ないままだった事が心残りなのは言うまでも無かった。
その後、追いついたブラックラビット隊により、女性権利団体の日本支部の残党は全員が拘束され、警察には殺人罪として捕まったらしい。
そして、モノレールの運転手は運転室を撃ち抜かれた為に死亡し、破口から弾き出されて海に落ちた複数の生徒は軽傷で済んだらしく無事だった。