一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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帰還への序章 一時の休息と鈴の正妻としての意地

 

 

 水着へと着替えた一行は浜辺へと辿り着く。プライベートビーチという事もあり、浜辺に居るのは学園の生徒だけであり年相応に遊ぶ姿が目に入る。

 

 「あっ、おりむ〜達が来たのだ〜」

 

 「これで、一組が勝ったのも同然!!」

 

 「参加は待ってくんないか?」

 

 「企業の会議に参加して疲れたから休みたいけど良い?」

 

 「織斑君とアンさんが言うなら仕方ないかな」

 

 「どんな、会議なのだ?」

 

 「本音さんでも言えないわよ?

 

 別に言っても構わないけど、会社からの監視が2年ほど付くわよ?」

 

 「ほぇ!?」

 

 数名のクラスメイトがしているのは、ビーチバレーだった。無論、クラス対抗戦であり圧倒的有利なのは二組と三組だった。

 

 「あっ、マドカちゃん!!

 

 ヘルプ!!」

 

 「うっなぁ!?」

 

 三組のクラスメイトはマドカを見つけると、試合中のバレーコートへと拉致られたのだ。そしてマドカだけでは無かった。

 

 「鈴ちゃん、私達にもヘルプ!!」

 

 「うっなぁ!?

 

 あたしまで!?」

 

 二組だった鈴も、同じ様にバレーコートへと連行されて行ったのだった。

 

 身体能力だけならマドカに分があるが、スポーツなら天才的才能を遺憾なく発揮するのは鈴だった。

 

 試合結果は言わずとも、鈴の二組の圧勝だったと言っておく。

 

 何故なら、入学当初での出来事で二組は鈴を中心に団結しており、鈴の姉御肌が発揮されているのもあるが、鈴がレシーバー専門のリベロをしていた事が大きくてボールが繋がる事になり、逆に三組はスキあらば愛でようとするケモダノ化した猛獣がマドカを狙い、既に愛玩動物化いやマスコット化したマドカは後までも狙う猛獣に警戒せざるを得ない状況だったので二組の猛攻を凌げなかったのだ。

 

 そして、四組の簪は参加せずに水色のワンピース型の水着を着て、パラソルの下で渡された広辞苑並に厚いブラックローズの取り扱い説明書を読書をしていた。

 

 俺達一組だが、シャロとアンが休むついでにビーチに着くなりパラソルのエアマットに寝転がると、シャロが水着の紐を外して俺を呼ぶ。

 

 「イチカ、少し寝たいから、私に寝る前に日焼け止めクリームを塗ってくれない?」

 

 「構わないが?」

 

 腹這いに寝ている事で、グニャリと潰れるシャロの巨大な胸に息を飲むが、隣で横になっているアンがギロりと睨む目先はシャロの巨大な胸だった。

 

 「イチカ、シャロのはあたしが塗ってあげるわ」

 

 「アン、頼んだのはイチカで…」

 

 「大丈夫。

 

 隅々まで塗ってあげるわ!!」

 

 「ヒッャ!?

 

 アン、何処揉んでいるのよ!?」

 

 「シャロ、煩いわね!!

 

 揉んで、揉みまくって、垂れ乳にしてやるわよ!!」

 

 「ゆっ、百合は趣味じゃない!?」

 

 「あたしだって、ノーマルよ!!」

 

 俺から日焼け止めクリームをひったくる様に奪うと手の平に大量の日焼け止めクリームを出して、シャロを襲う様にクリームを塗りたくる光景。

 

 シャロの胸は、揉みくちゃにされやがて息が絶え絶えになるシャロだった。そして、二人が日焼け止めクリームでヌルヌルになり絡み合う光景はお互いの水着がズレて、色々と丸見えな為にアダルト過ぎて周りのクラスメイトには刺激が強すぎたのか顔を真っ赤にしてみんな手で顔を覆い隠すが、指の隙間からマジマジと見ていたのだった。

 

 「貴様ら、公衆の面前で何してる!!」

 

 ズッゴォォォン

 

 「「ギャン!?」」

 

 二人の百合百合しい光景は、黒いビキニ姿の千冬姉が来たことにより物理的に沈黙させられ、エアマットの上ではタンコブを作り気絶したアンとシャロが仲良く眠る事になったのだった。

 

 その後は、姉弟でバレー対決をして千冬姉のチームに入ったラウラが、気絶から覚めて参加したシャロが放ったスパイクの餌食となり顔面レシーブをしてコート外に吹き飛ばされたり、千冬姉がスパイクで放ったボールが弾けたりと楽しいビーチバレーを楽しんだのだった。

 

 『何処が楽しいのよ!?』

 

 

 クラスメイトからのツッコミをさて置き、大広間で食事を済ましたイチカが露天風呂で温泉を楽しんでいた頃の話、あたし達は千冬義姉さんに呼ばれて本館の千冬義姉さん達の職員が寝泊まりする部屋へと来ていた。

 

 無論、千冬義姉さんへの手土産はスルメイカの天日干しを軽く炙り細切りにしたつまみと黒い星のマークが入るビール数本と、他の女子生徒が来るだろうと予想した人数分より少し多目に清涼飲料を買っておいたのだった。

 

 「義姉さん、来たわよ」

 

 「お邪魔します」

 

 「入りますね」

 

 「鈴にアン、シャロだな。

 

 入れ」

 

 千冬義姉さんに入る様に言われ部屋に入る。

 

 「コレ、お土産よ。

 

 一応、別館でやってた会社の親睦会で出たおつまみを千冬義姉さん用に取っといただけだけどね」

  

 「そうか、済まないな」

 

 ビールの入った袋とつまみの入った皿を受けると、部屋に食事会をした時の様に普段の千冬義姉さんになる。その意味は『今は、プライベートだ』と言う合図だった。

 

 「で、何であたし達を呼んだの千冬義姉さん?」

 

 「大した話じゃないさ。

 

 なに、鈴の一夏との馴れ初めは知っているが、アンとシャロの馴れ初めは知らないからな。単なる、女子会と言うやつだ」

 

 「「えっ!?

 

 鈴さんの馴れ初め!?」」

 

 「アンは知ってるでしょうが!!」

 

 確かに、イチカからは聞いていた。

 

 鈴さんが、亡くなった母親が広州の老舗の料理店を継ぐことになったが、鈴さんの父親が反対して離婚。鈴さんを連れて広州に帰る時に空港でイチカに逆プロポーズした話だった。

 

 だから、あたしはイチカの一番に成るのを諦めたのだ。だって、詳しい話はイチカから聞いたけど、何も知らないあたしの居た宇宙世紀の世界に飛ばされ、唯一の心の支えだったのは鈴の存在だと言えるし、何よりも帰って、その想いを成就したいとイチカの思う心。そして、両想いの二人の関係はあたしは嫌でも理解させられた。

 

 だから、あたしはズルい女だと思いたかった。

 

 「アン!!

 

 アン、あんたの馴れ初めはどうなのよ?」

 

 「あっ、あたし!?」

 

 「うむ、私も可愛い妹の話を聞きたい所だが?」

 

 「「「「だが、その前に!!」」」」

 

 襖絵から耳をダンボにしているだろう5人には、入って貰おうと襖絵を勢い良く開ける。

 

 「「「「「きゃあ!?」」」」」

 

 案の定、襖絵の向こう側には簪を下敷きにシャル、ラウラ、セシリアに何故か箒とお重の様に重なる5人にあたし達は、ある意味で鈴の予想が当たったと呆れ返るのだ。

 

 だが、聞き耳を立てていた5人は脱兎の様に逃げるが、ラウラと箒は千冬義姉さんに瞬時に捕まり、セシリアはシャロが軍隊式格闘技で組み伏せて捕獲。

 

 逃げる簪とシャルは、あたしと鈴で浴衣の裾を踏みつけて転倒させ、あたしがシャルに44マグナムを後頭部に突き付けて拘束し、鈴は青龍刀を簪の首元に当てて簪は降伏したのだ。

 

 

 

 「で、盗み聞きしてたと?」

 

 「「「「「はい…」」」」」

 

 畳に正座をさせられ座る5人は、アンによるジオン式尋問中だった。無論、あたしが売店で買って置いた5人が好むペットボトルのジュースがある辺りは何とも絞まらない光景であるけど、世界最強のブリュンヒルデとオータムから海兵隊式格闘術を仕込まれたあたしにジオンの軍隊式格闘術をマスターするアンとシャロから逃げるのは不可能だと5人は悟っていたし、素直に話す5人にあたしは許していた。

 

 「アン、そこまでにしておけ」

 

 「「「「「ほっ…」」」」」

 

 「義姉さん、わかりました」

 

 「さて、鈴は最初からこうなる事を予想していたな?」

 

 「千冬義姉さん、当然、予想してたわよ。

 

 この際だから、箒にも言えると思ったから」

 

 「そうか。なら、私は止めん」

 

 「「「「「??」」」」」

 

 「さて、覚悟は良いわね?」

 

 「「「「「?」」」」」

 

 一瞬で鈴から漂う空気が変わり姿勢を正すと5人に向かい合う。その雰囲気は正妻としての威厳が満ち溢れ、あたしやシャロでも怯えざるを得ない空気を5人にぶつけて居るのだ。無論、その空気を知るセシリアとラウラに簪は慣れてはいるが慣れたくないのが正直な感想だろう。

 

 「先ずは、セシリアから行くわよ。

 

 高いプライドを圧し折られて、一夏に一目惚れしたセシリアに『なっ、何故、それを!?』タッグトーナメントでは、ヒーローの様に助けられて一目惚れしたけど、あたし達の関係と事実を知って諦めた簪『はぁうぅぅ///』一夏に絡んで、『認めない』と言っときながらお兄ちゃんと慕うラウラ『当然だな』シャルは、入社してから格好いい上司の一夏に一目惚れ『ぼっ、僕は!?』最後の箒は、小学生の頃の話は全て一夏から聞いたわ」

 

 「なっ!?」

 

 「確かに、一夏の事が好きなのはわかるわよ?

 

 でも、好きだからって遠回しに『好きな子を虐める』様な小学生だから許される様な暴力は、あたしはあんたを許さないし、一切認めないわよ!!」

 

 「きっ、貴様に何が!!」

 

 「あんたには判らないだろうけど、一夫多妻で一夏と結婚して、常に正妻として一番で居なければ成らないあたしの苦労は箒には判る?

 

 絶対に判らないわね。

 

 アンやシャロとの妻としての仲を取り持ちながらも、あたし自身の二人の妻に対する嫉妬を抑えて度量と余裕を二人に見せなければ成らない苦労を。

 

 それに、一夏は夜間に度々魘され、戦争で大量に人を殺した事を悔いている事を知ってんの?

 

 あんたは、一夏の罪を一生一緒に抱えて行く勇気は有る?」

 

 「そっ、そんなの男だから…」

 

 「男だから女だからって、そんなもん一人で抱えるのなんて無理に決まってるしょ!!

 

 良い、聞きなさい!!

 

 だから、簪は一夏の事が好きだったけど、余りにも背負う物が重過ぎて一緒に抱えるのが無理だと理解したから友人として諦めた。『うん、私には背負えないから諦めた』千冬義姉さんもあたしやアンにシャロが時々、1限目の授業に遅れる理由は知って居るわね?」

 

 あたしも経験したから、鈴からの質問の意味が判る。

 

 「あぁ、一夏から職員室で謝罪された時に聞いたから、その事は知っている。最近、敏感になり過ぎた感受性のせいだろ?」

 

 「そうね。

 

 だから、その時の一夏はその夜に限っては怯えた様にあたし達に酷く甘える。特に酷かったのは気絶しても一晩中抱かれ続けられた事だったわね…」

 

 あたしでも気付いたけど、ニュータイプに覚醒しただろう一夏の感受性は、あのシャロが持ち込んだ30バンチ事件の動画を見た後の部屋での事が酷かった。

 

 毒ガスにより亡くなった人々の残留思念を動画越しで諸に受けてしまい、イチカの気が狂いそうになった事だった。

 

 真っ先に優しく抱き締めて宥めようとした鈴は、イチカによって鈴が着ていた衣服を破り捨てて裸にした後は激しく抱きながら鈴に甘えていた。鈴が涙を流しながらも、イチカを受け入れて母性溢れる様な雰囲気で鈴が優しく宥めていた事はあたしは忘れないし鈴に悔しいと思った。

 

 無論、鈴は数分後に激しくイッたのか気絶し、イチカに甘えられ抱かれ続けられたが、あたしもシャロもイチカの餌食になったのは言うまでも無かった。

 

 そう、あたし達がイチカの心が壊れない為に“文字通り体を張っている”事を…

 

  イチカが翌日、全裸でベッドに眠るあたし達とシーツに付着した血の染みから状況を理解してあたし達に謝るが、結婚してるのだから構わないとイチカを許した。

 

 だって、あたし達はイチカを失いたくは無かったから。

 鈴は家族を失った悲しみをイチカと一緒に歩む為に努力し続ける事で心を保ち、あたしはイチカを支え甘える続ける事で心を保っていた。

 

 シャロはイチカを深く愛しながらも、二度とイチカとあたしから離れまいと自分が出来る事に努力して平然を保っていた。

 

 お互いに依存し合うから、深く深く愛せるのだ。

 

 だが、鈴が箒へと話をするが、箒が一切聞く耳すら無いのは知っていたし、矛先があたしとシャロに向かうのすら予想が出来た。

 

 「一夏も戦争で人を殺したならならば、そこの二人だって同じ人殺しだろ!!」

 

 「箒さん、あなたアンさんとシャロさんに何を言ってますの!!」

 

 「貴様!!

 

 姉御に!!」

 

 やはり、あたし達は箒から見たら人殺しかも知れない。だが、ガトー少佐からソロモンで言われた事までも否定はされたく無い。

 

 そう…

 

 『貴様がイチカ大尉だな?』

 

 『がっ、ガトー少佐!?』

 

 『貴様は人を殺した事に悔んで居るのか?』

 

 ソロモンへと転属して来た時に、ソロモンに回された5機の先行量産機ゲルググを受領の為に工廠へと呼ばれた時だった。

 

 それぞれ、シャア大佐用にS型のゲルググがガトー少佐にはA型で試作型の大型ビームライフルを装備したゲルググ。

 

 あたしとイチカにマツナガ大尉の三人にはB型仕様のゲルググが支給された時に、悩むイチカとガトー少佐と会ったのだ。

 

 『はい…』

 

 『なら、理念と理想の自身の意味を見付け持つ事だ』

 

 『理念と理想…』

 

 ガトー少佐の一言のお陰で、イチカが理念と理想を見付け出した結果が、最終決戦だったア・バオア・クーまで生き残れたのが大きかった。

 

 だから、箒を許したく無かった。

 

 イチカが見付けた理念と理想を否定された様に思えたから…

 

 バッシィィィィィン

 

 「グッハァ!?」

 

 あたしがぶん殴ろうと動くよりも先に、鈴が箒に平手打ちをしていた。無論、鈴の全力の平手打ちを受けた箒は、襖絵を突き破りながら、外の石で出来た灯籠まで吹き飛び激突する。

 

 「あんた、あたしの話を聴いてた?

 

 良い機会だから聞きなさい!!

 

 これは、あたしが正妻である意地でもあるし、イチカの妻である二人を侮辱するって事は、あたしに喧嘩を売るのと同義だと思いなさい!!」

 

 「きっ、貴様!!」

 

 木刀を何処からか取り出し鈴に襲い掛かるが、振り下ろした木刀に鈴は箒に呆れながら片手で受け止める。

 

 「全く、子供の癇癪ね…」

 

 「なっ、片手で受け止めただと!?」

 

 「少し、頭を冷やしなさい!!」

 

 バッキィ

 

 「ガッハァ!?」

 

 ガラガラ…

 

 鈴が灯籠に打ち付ける様に蹴り飛ばし、再び吹き飛ばされた箒が灯籠へと激突するが、至近距離から灯籠へと激突させられた為に灯籠が崩れて箒は崩れた灯籠の石材の下敷きとなり生き埋めとなるが生きており、流石は束さんの妹だと思う一同だった。

 

 「これが、あたしの正妻の意地よ。

 

 覚えて置きなさい」

 

 「……」

 

 「てっ、気絶してるから聞いてないか」

 

 そして、女子会が続き、あたしとシャロの馴れ初めをみんなに話すハメになったのは言うまでも無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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