一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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帰還への序章 銀の福音暴走事件 後編

 

 

 鈴とイーリスがIS戦による激戦を繰り広げていた頃、俺は襲い掛かる数機のアメリカ軍のISを撃墜しながら銀の福音へと肉薄するが、銀の福音は一度はアメリカ軍に撃墜され海へ墜ちるが真新しい姿は二次移行だと気付く。

 

 「ちぃぃ!?」

 

 『LaLaLa!!』

 

 大天使の様に広がる機械仕掛けの翼から放たれた大量のレーザー砲は撃ち落としたアメリカ軍のISに無慈悲に浴びせて撃墜する。無論、近付こうとする俺にもレーザー砲が追尾し襲い掛かるが、ビームライフルを変形させてビームソードを展開すると、当たるレーザーのみをレーザーを斬り払う。

 

 だが、銀の福音から感じるのは大切な人を護りたいとする気持ちが強く感じられていたし、サイコミュを経て俺には感じて居たのだ。だからこそ、大切な人が居るからこそ共感し、銀の福音を助けてあげたいと思ってしまう。

 

 「白星、あの子を助けてあげられないか?」

 

 『う〜ん、正直言って無理だよ。

 

 コアネットワークをからも自身で拒絶しているし、私も説得しようとコアに侵入したけど拒絶された…』

 

 「なら、サイコミュの光なら?」

 

 『絶対、駄目!!

 

 イチカがイチカじゃなくなくなる!!』

 

 そうか、なら肉薄して接近するしか無いと思い、銀の福音へと肉薄する事を決めたのだ。

 

 

 「!?」

 

 だが、急な悪意を感じて振り向けば、ビームサーベルを抜き突貫する赤紫色と白の機体に乗るのは、ブラックローズを強奪した箒だった。

 

 「この機体なら!!」

 

 「ちぃ、殺らせはしない!!

 

 行け、ファンネル!!」

 

 「なっ!?

 

 何故、邪魔をする!!」

 

 咄嗟にファンネルを出して突撃する箒の進路にビーム降らせて妨害する。何故なら、銀の福音から感じるのは悪意ではなく大切な人を護りたい気持ちだからだ。

 

 「この機体には、全く悪意は無い!!

 

 ただ、大好きな人を護りたい気持ちが何故判らない!!」

 

 「ただの機械のコアなんかに人格がある訳が無い!!」

 

 箒が叫び、コアの人格を否定する。

 

 しかし、急にブルーローズが俺を通じてサイコミュの制御リミッターが外れてしまい、完全状態で起動したサイコミュは通常よりも強力な赤紫色のオーラを纏うと白星が叫んだのだ。

 

 逆に流れ込むのは、ブルーローズのサイコミュを経て俺が感じた白星の感情は、自分を否定された事による怒りの感情と俺に対する好きだと言う想いが、箒に全てが機械の思考だと否定された事への怒りの感情が全て織り混ざった様な感情と悲しみ。

 

 そう、白星の怒りの叫びだった。

 

 『私は私だ!!

 

 私はコアだけど機械なんかじゃない!!

 

 ちゃんと、人の心を持った人格なんだ!!

 

 お前に、お前なんかに否定されてたまるかぁぁぁ!!

 

 だから、お前なんか嫌いだ!!

 

 嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだぁぁぁぁ!!』

 

 「!?」

 

 白星が箒に叫び、完全に拒絶する。

 

 無論、白星自身も他人へと叫ぶのは初めての筈だが、逆にサイコミュを経て増幅された白星の意識は箒へと語ったのだと俺は思考する。

 

 無論、白星の叫びとサイコミュによって増幅された意思は俺をサイコミュへと通じて戦場全体へと拡散しつ拡がり、双方が戦闘中であっても機体が急停止し、戦場には静けさだけが支配したのだ。

 

 「い、今の声は?」

 

 「あぁ、お前が拒絶したコアの人格だ。

 

 そして、今の声は俺の専用機のブルーローズのコアにして、白式のコアだった白星の心の叫びだ」

 

 「そんな、馬鹿な事が!?」

 

 それでも、箒は白星の人格の否定を辞めなかった。

 

 

 

 俺を通じて、サイコミュにより白星の拡散された意識は戦場を巡っていた。無論、激戦を繰り広げる二人も例外では無かった。

 

 そう、白兵戦を繰り広げる鈴のブラックローズとイーリスのファング・クエイクの2機の激闘は、鈴の圧倒的に不利な状態だと言えた。

 

 「なんで、アメリカ国家代表のあんたが戦場にいるのよ!!」

 

 「あたしは、ナターシャを人質にされたんだ。

 

 だから、居ないと思って探したら、暴走した銀の福音のパイロットにされてるじゃねぇか!!

 

 そして、あたしも親友を人質にされた以上は機体強奪任務は大統領命令だから逆らえねぇんだよ!!」

 

 「なっ、何でよ!!」

 

 「スキだらけぜ!!」

 

 「カッハァ!?」

 

 瞬時加速から、あたしのブラックローズの懐へと入られ、お腹へと殴られ拳が刺さる。無論、口の中に鉄の味が込み上げて来て意識が飛びそうになるが唇を噛み耐える。

 

 EXAMで機体性能の向上と疑似ニュータイプであたしが強化されても、現役の国家代表では腕前の差には天と地の差がこうもはっきりするのだけは釈然としないし、無性にあたし自身にも腹が立つ。

 

 「オラ、オラ、オラァ!!」

 

 ズタボロになったブラックローズのEXAMのタイムリミットは残り1分しか無く、イーリスのパンチの乱打とも言えるラッシュに完全に意識が飛びそうなる。

 

 「ガッ!?

 

 だけど、あたしだって負けられないのよ!!

 

 EXAM、リミッター解除!!

 

 ゼッラァァァァァ!!」

 

 「なっ!?」

 

 EXAMの制御リミッターを完全に解除し、ファング・クエイクの拳を握り、逆に握り潰すと片手だけとなったビームサーベルで舞う様に斬りまくるが、EXAMも暴走状態へと移行しつつあり、鈴の今のズタボロなブラックローズでは暴走は目に見えていたのだ。

 

 「ガッハァ!?

 

 畜生、そっちまでも暴走かよ!!」

 

 あたし自身にも、制御リミッターを外したツケなのか、EXAMのタイムリミットの限界を越えようとした瞬間、見える全ての視界が真っ赤に染まる。

 

 「ガッ!?

 

 うわぁァァァァ!?」

 

 そう、EXAMのシステム暴走だった。

 

 『鈴!?』

 

 朱雀が緊急停止を掛けようとするが、既にコアの朱雀でも制御不能へとなったのだ。

 

 『EXAMシステム、オーバーフロー』

 

 無機質な脳内音声と共に、暴走状態による強制的な強化に耐えられる訳が無く、私自身の身体から悲鳴が上がり、ブラックローズの関節と言う関節の全てが悲鳴を上げ、壊れ始めたブラックローズのパーツをバラ撒きながらも攻撃は続き、イーリスの纏うファング・クエイクへの攻撃は止むことが無いように見えた瞬間だった。

 

 私達が戦う戦場に赤紫色のオーラが包み込み、機体が動かなくなったのだ。

 

 「なんで、ファング・クエイクが動かねぇ!?」

 

 イーリスの叫びと同じく、暴走状態のEXAMもあたしのブラックローズも急停止したのだ。だが、赤紫色のオーラは心に温かく感じ、逆に一人の女の子が否定された哀しみと怒りを感じたのだ。

 

 「なっ、何なんだよ。

 

 暖かな気持ち?

 

 いや、怒りと悲しみなのか?」

 

 「これは…一夏のブルーローズの光?」

 

 そして、サイコミュから放たれた赤紫色のオーラは戦場を支配して全ての機体を停止させ、白星の心の叫びを聞いた銀の福音も俺に寄り添う様に来ると、急に解除して待機状態になりパイロットを開放したのだ。

 

 『ナーちゃんをお願い』

 

 「銀の福音なのか?」

 

 『うん、私が銀の福音のコアの人格だよ』

 

 「そうか…人とコアの人格は分かり合えるのだな…」

 

 『違う。あなただから分かり合えた。だけど、白星は完全に私達コアの■■■■として覚醒している。だからだと思う』

 

 一部の言葉が砂嵐の様にかき消されて聞き取れなかったが、銀の福音も覚醒しているのではと思うが深くは追及はしなかった。

 

 「なっ!?」

 

 同じくして、箒の驚きと共にブラックローズが急に光り出すと、箒の纏うブラックローズは強制的に解除されて待機状態となって、箒から離れて浮遊する様に俺の手の平に来た所を待機状態のピアスを回収する。

 

 そして、手の平に収まる待機状態のブラックローズのコアからも声が聞こえたのだ。そして、白星を別の名前で呼ぶが銀の福音のコアの人格と同様に砂嵐の様にかき消されて聞こえなかったのだ。

 

 『■■■■が言うなら、私もこいつが大嫌い!!』

 

 「うわァァァァァ!?」

 

 まさかのブラックローズのコアによる箒への拒絶、ブラックローズのコアの意思により自ら展開を解除したのだ。海へと落下する箒を尻目に気絶しているナターシャさんをお姫様抱っこして運んだのだ。

 

 

 そして、激戦を繰り広げた鈴とイーリスさんは、両機の専用機の急停止を機に、残存戦力を壊滅させたアンとシャロにビームライフルを突き付けられ、イーリスもビームライフルの威力を知っていたのとナターシャの無事を確認した後、武装を解除して降伏したのだが問題も起きていた。

 

 「ナターシャも無事だったし、こんなに強い奴が沢山居るなら、あたしも一緒に行くぜ!!

 

 どうせアメリカに戻ったら、降伏の責任を取らされて銃殺刑が目に見えているしな」

 

 とアメリカ軍を抜ける気満々なイーリスさんに三人はどうしたら良いのか途方に暮れたらしい。

 

 

 その後、海上封鎖中にアメリカ軍のイージス艦数隻で編成された艦隊からの襲撃を受けて逆に壊滅させて撃沈して来たブラックラビット隊も合流して救助活動に入り、専用機を強奪した箒や生き残ったアメリカ軍の兵士達は全員が身柄を拘束し捕虜としたのだ。

 

 無論、箒はホワイトラビット社の最新鋭の量産機を強奪した容疑で救助したクラリッサの手により逮捕され拘束したのだ。

 

 この戦闘では、ホワイトラビット側の被害は鈴のブラックローズの中破とブラックラビット隊の流星改3機の損傷のみで、逆に襲撃したアメリカ軍のISのコアの大半がパイロットと一緒に海の藻屑となり、アメリカが所有するコアの全体の六割に当たる20個ものコアを一気に失ったのだ。

 

 そして、アメリカ側の戦死者は撃沈したイージス艦7隻と潜水艦だけでも三千人以上が戦死し、パイロットもベテランパイロットが14名が戦死し、降伏し亡命ついでに司法取引に応じたイーリス・コーリングを除き、捕虜の5名もイーリスと同様に司法取引に応じて亡命を果たしたのだった。

 

 無論、臨海学校はアメリカによる第二次攻撃が予測された為に旅館に帰還してから学園関係者達に報告し協議した結果は中止となり、学園へとオスプレイを使い帰ることになった。

 

 救出したナターシャさんと降伏したイーリスさんの二人はホワイトラビット社にて保護となるが、残りの5名もホワイトラビット社に命の危険性から保護を求める事態となったが、女尊男卑を許さなかったイーリスとナターシャの二人の指導のお陰か女尊男卑ではない事が分かり保護となって、テストパイロットとして再就職する。

 

 学園に戻ると箒はあまりにも重い罪から退学処分となった。そして、身柄はホワイトラビット社に引き渡され、私兵部隊による軍事裁判にも掛けられる事が決まり実刑の銃殺刑は確実だと思われ、何重にも拘束された箒はオリムラ中隊の幹部級の四名により、24時間体制で禁固に入れられて裁判までは監視となった。

 

 そして、この事件でアメリカとの本格的な戦闘となり、多数の戦死者を出したアメリカは激怒したがイーリス・コーリングとナターシャ・ファイルスの両名によるIS委員会で開かれた裁判の証言により、戦犯として裁かれたアメリカは、所持する残りのコアの没収とホワイトラビット社と学園に多額の賠償の支払いを命じられ、アメリカ支部のIS委員会への強制調査により大量の女性権利団体の会員が逮捕されて、責任を取らされたアメリカの大統領も罷免処分となり委員会により逮捕となった。

 

 

 

 そして、束さんが運転し、俺とアンや鈴にシャロの5人は箒を監視しながら、本社で行われる軍事裁判へと箒を護送中だった。

 

 これは、箒への最後の別れだと思いながらも、悲しいや寂しいなどと言った感情は全く浮かび上がる事は無く、無言のまま車内は静かだった。

 

 そんな時だった。

 

 『パパ、ママを助けて!!』

 

 「!?」

 

 「どうしたのよ?」

 

 鈴が驚く俺に不思議そうに顔を覗かせるが、聞こえたのは一人の少女の助けを求める声だったのだ。

 

 「なぁ、皆。

 

 今、女の子の声が聞こえなかったか?」

 

 「気のせいじゃない?」

 

 アンは気のせいだと言う。

 

 「だけど、パパ助けてって聞こえたんだが…」

 

 「ツッ!?」

 

 パパの言葉を聞いたシャロがびっくんと反応して、一瞬だが驚いた反応をする。無論、それを見逃す鈴では無く、シャロに質問する。

 

 「シャロ、あんた、何か隠してるでしょ?」

 

 「いっ、いえ、何も!?」

 

 「やっぱり、隠してる!!」

 

 アンに取り押さえられたシャロは自爆する。

 

 「ちょっと、シーマ閣下からアンには言わない様に厳命をって、はっ!?」

 

 「アンじゃ無ければ良いのね?

 

 なら、あたしには言いなさい!!」

 

 「イチカとシーマ閣下の間に出来た、ナツキちゃんと言う娘が…」

 

 「「「なっ、何だってぇぇぇ!?」」」

 

 そして、二人に落とされた爆弾。

 

 「イチカ!!何時、何処でシーマ大佐とヤッたの?」

 

 「アンがシャア大佐の護衛でグラナダに向かった時だよ。ただ、俺はシーマ大佐に食われただけだ!!」

 

 「となると、ナツキは今年で三歳ぐらいか…」

 

 「シャロちゃん、ナツキちゃんの写真ある?」

 

 「あっ、はい…」

 

 「いっくんの小さい頃にそっくりだね…」

 

 「「イチカ、後でギルティ!!」」

 

 そして、束さんが運転しながら、ナツキが居た事実に驚く始末で、俺も二人からは『ギルティ』と言われて睨まれる事態となるが、急に車内に浮遊感に襲われる。

 

 「なぁ、アン?」

 

 「何よ?」

 

 「この展開は、お約束過ぎないか?」

 

 「あたしに言われても、反応に困るわよ…」

 

 「まぁ、良いわよ!!

 

 このまま、シーマって女に問い詰めてやるわよ!!」

 

 「鈴、それは死亡フラグだから辞めた方が良いわよ?」

 

 「シャロの裏切り者ぉぉぉ!?」

 

 こうして、叫びながら黒い穴へと護送車ごと黒い穴へと吸い込まれ、その浮遊感は無重力だと悟る。

 

 「皆、専用機を展開して!!」

 

 束さんの叫びに専用機を展開する。

 

 無論、拘束中の箒は束さん特製のカプセルへと入れたが、漏れ出した空気の流れにカプセルが流されてしまう。

 

 「しまった!? 

 

 箒が流された!!」

 

 「それよりも、ジムⅡよ!!」

 

 「なっ!? こんな所に小型ロボットだと!?」

 

 そして、俺達の前に現れた要塞内だろう通路にRGM-179が現れた事にシャロが叫び、咄嗟に展開した大型ビームライフルをコクピットへと放ちジムⅡを撃破する。パイロットが何かを叫んでいたが、ビームライフルの直撃でパイロットはコクピットを撃ち抜かれて即死していた。

 

 「シャロ、アンまさか…」

 

 「うん、あたし達の世界だね…」

 

 「これが、いっくんが来た世界…」

 

 「あたし達、無事に帰れる?」

 

 そして、俺達は再び、宇宙世紀の世界に帰還をしたのだ。

 

 

 

 

 

 

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