イチカ専用のモビルスーツのブルーローズがアカツキ艦内で束さん達の手によって完成する。現在、ソロモンが見える航行中の宙域は、アクシズの艦隊からの監視網があり安全な宙域である為にブルーローズの評価試験をやろうと束さんが言うのだ。
無論、アンとシャロの専用のモビルスーツも、ブルーローズの制作の際にサイコフレームと交換したブルーローズに採用されていた元のムーバルブフレームの技術を使いサイコミュ非搭載型の重モビルスーツとして完成させた準同型機の重モビルスーツのブラックローズとして束さんとニナさんが完成させたのだ。
そして、ルナツーから大量に接収したガンダリウム合金アルファだが、三人のモビルスーツを作る為に接収した全てを使い切ってしまったが、幸いにも束さんが大量に使いながらも、ブルーローズの製造と同時進行でガンダリウム合金アルファの成分の分析をしてあり、製造方法まで解き明かした為にアクシズでも生成が可能となり、逆にアナハイムでは連邦から情報が流出した新合金のガンダリウム合金ガンマの生成を始めた為に、アナハイム経由での両方のガンダリウム合金が入手が可能なので問題にはならかった。
無論、束さんがシーマ閣下とニナさんにガンダリウム合金アルファの生成が可能だと報告すると、二人は口を揃えて『束博士は、やっぱり大天災だわ』と呆れられ、接収したガンダリウム合金アルファの成分分析していたアクシズの技術技士達が束さんの早い解析能力を知り、酷いショックを受けた為に呟きながら『おやっさん、俺は真っ白に燃え尽きちまったぜ…』と部屋の片隅のコーナーで丸椅子に座り、もたれ掛かる様に真っ白になるのだった
「アン、二年ぶりの操縦は大丈夫か?」
『イチカ、あたしを舐めてるの?
全く問題も無く大丈夫よ。
ただ、不満なのはコクピットだけね』
『私は3ヶ月ぶりだけど、全天周囲モニターの宇宙空間に座っている感覚が慣れないから嫌いね』
「でも、リゲルグのカタログスペックをシーマ閣下から見せて貰ったから判るが、本来のリゲルグのコクピットの仕様は全天周囲モニターだろ?」
『私の機体だけはリニアシートじゃなくて、慣れていたゲルググと同じタイプにして貰ってたのよ』
雑談しながら、モビルスーツの操縦が久しぶりな為に三人で操縦訓練と完熟訓練していて話に出るのは、やはり全天周囲モニターに対する三人の不評な意見だった。
もちろん、ブルーローズとブラックローズのコクピットは、リゲルグとゲルググ改などの全天周囲モニターの試験運用の結果から採用へとなっていたが、ジオンのモビルスーツのコクピット方式に慣れていたイチカとアンはモビルスーツの技術の進歩を目の当たりしたのだった。
「次は、ファンネルの試験だな」
『イチカ、ファンネルの的はあの連邦軍のモビルスーツの残骸よ、行ける?』
「あぁ、全く問題無いな」
『あたしとシャロは周囲警戒するね』
アンからの通信は切られ、俺はファンネルに集中する。
「行け、ファンネル!!」
やはり、ISコアと接続したサイコミュと連動したIS技術のインターフェイスによる補助の恩恵は大きいと俺は思う。そして、IS技術のインターフェイスにより思考した通りにサイコミュが反応し、サイコフレームからファンネルへの伝達が早い事に驚きながらも連邦のモビルスーツの残骸は無慈悲にもファンネルからのビームを浴びて爆発四散する。
「束博士、ISコアとサイコミュとの連動実験は成功ですね。これなから、サイコミュ搭載機も性能が向上します!!」
「ニナちゃん、あれはいっくんが使っていたISコアの白星ちゃんと接続した結果だから出来る芸当だよ。もしやるなら、女性のニュータイプのサイコミュ搭載機にISコアとの接続が出来るけど、ISコアはいっくんを除いた男性には絶対に反応しないんだよ」
「えっ!?」
「それに、いっくんのISコアは一番最初に作ったコアだし、あのコアの元となった生体データはね、いっくんの実の姉のちーちゃんの生体データなんだよ。それに、コアには人格があるから、逆に人を見てコアが人を選ぶ可能性だってあるんだよ」
「そっ、そんな!?」
「それに、ぶっちゃければ、この世界ではISコアは絶対に作れないし、今あるコアは専用機としてある5機分を除いて3つしか持ってないから無理に近いよ」
だが、逆にニナは安堵しながら思う。
どんな物にも欠陥や弱点がある事実と大天災と言っても、ISコアには最大の欠陥がある事に、やる事なす事が人外だと思っていた束博士は同じ人間だと再認識して、同じ技士としてニナは束博士とは友人になれると思ったのだった。
そして、モニターにはイチカ中佐機のブルーローズとアン中佐機とシャーロット少佐機のブラックローズとの宇宙空間による模擬戦が始まり、ペイント弾を装填したマシンガンを双方が撃ち合う光景に目を奪われ、IS操縦技術によるイグニッションブースト(瞬時加速)をやらかすイチカ中佐にやられた事に猛抗議するアン中佐のほのぼのした二人のやり取りには、オーストラリアの基地で別れたとある連邦の少尉を想うが、自分は恋人として寄りを戻したガトー少佐と歩む事を選んだ事に悔いはなかった。
「ニナちゃん。もしかして、ルナツーで待機しているガトー少佐の事かな?」
束博士の一言に胸がドッキンと跳ね上がる。
「ちっ、違います!!
たっ、ただ、早くイチカ中佐機のブルーローズのデータを集めて、ソロモンでの休暇を楽しみにしているだけです!!」
自分自身が恥ずかしくて束博士に隠そうとしても、顔が真っ赤なのは理解している。そして、大いに束博士に自爆した事も…
「おやおや?
ニナちゃんはソロモンでの休息で、ガトー少佐とデートするんだね♪」
「つっ/////」
図星を言われ、遂には頭から湯気がキノコ雲の様に吹き出た私は、余りの恥ずかしさから手で顔を覆いながら蹲ったのだった。
「ありゃあ、ニナちゃんをからかい過ぎたかな?」
「もう、束博士の事なんか知りません!!」
ニナちゃんをからかいながら、モニターに映るレーダーはソロモンから来る一つの光点はモビルスーツ反応だと気付く。そして、味方の識別信号が出ている観点から味方だと思い見逃していたのだった。
ミネバ様の後見人として、シャアの推薦もあり摂政にはなったがミネバ様が彼を慕ったり、夫であるシャアはニュータイプの素質があるからと彼を救い、シャアとドズル閣下の推薦の下で士官学校に入れた。
そして、ニュータイプには覚醒はしなかったが一年戦争では記録に残る様な戦績を打ち立てた後、ア・バオア・クーの戦いでは彼が行方不明になったと聞いて、シャアが落ち込む姿に私は、行方不明となった彼とシャアを慰める姿のナタリーに怒りを覚えたのだ。
無論、シャアとの関係もナタリーが妊娠した事とミネバ様の教育方針でかなり揉めてシャアとは破局しそうになるが、ここでも彼を慕い影響を受けたミネバ様により仲裁されながらフライパンで殴られて叱られ、極秘扱いにはしたがナタリーを第二夫人する事とミネバ様には住民から慕われる様な優しい総統として教育する事で話が纏まる。
そして、思い起こせば、全てに関係する人達は、彼の影響を受けた人ばかりだった。
だから、彼には酷く嫉妬をしたし、シーマが連れて来た一介のメイドに過ぎないと思っていたシャーロットと出会い、アクシズへと亡命後にシーマの愛娘のナツキがミネバ様の遊び相手をしていた際もメイド兼護衛として居た記憶があった。
無論、彼女から軍に復帰する話を聞いた時は、ジオン軍の認識票からは階級は大尉で、ア・バオア・クーで壊滅した筈の元オリムラ中隊の隊員だった事に驚かされたが、ジオン軍時代からの戦績を踏まえて少佐として昇格させた後、教導大隊へと編入となった。
私は、彼女の実力を如何ほどかと知る為に問題児ばかりが集まる部隊の教官にワザとしたが、結果は目覚ましいばかりに問題児達への教育を果たした矢先のティターンズによるアクシズへの襲撃。
連邦とティターンズのモビルスーツを相手に彼女は生産数が少なかった最新鋭のリゲルグを駆り、一緒の部隊の他のパイロットが苦戦する中で25機のモビルスーツを撃墜している姿に彼は彼女をそこまで鍛えたのか恐ろしさも有り、知りたくなった時には彼女のリゲルグが3機のティターンズのモビルスーツに囲まれて一緒に消えたのだった。
そして時が進み、ルナツー戦では彼と彼女達の帰還をシーマから聞いた時のミネバ様の異様に喜ぶ姿を見た私の女の勘には警鐘が鳴るが、既に遅くてミネバ様の勅命で三人のソロモンへの召還となったのだ。
だから、ミネバ様と再会する前に私は彼の人柄を知りたかったのだ。
同時に、私は彼のパイロットとしての実力も知りたかった。
だから、私の思いが止まらなくなりシーマ艦隊の旗艦アカツキをソロモンの管制室から捉えると、ソロモンの港湾部に係留されたグワダンへと向かい、モビルスーツデッキに固定された私の純白の試作型のモビルスーツのキュベレイのコクピットに滑り込み、動力に火を入れる。
無論、私が急に現れ、出撃に驚くメカニックとデッキクルー達。
「私だ!!
キュベレイ、ハマーン出る!!」
そう叫んでモビルスーツハッチを開けさせるとグワダンから飛び出し、私のニュータイプによる波動が彼を捉える。そして、捉えた数は3機のモビルスーツ。
「んっ!?
この優しく感じるサイコミュの波動は!?」
それは、蒼と白で染められたあの重モビルスーツから感じる波動だった。そうか、そうなのかと3機のモビルスーツのパイロットが判ってしまう。
一人は彼、イチカ・オリムラ中佐。
そして、報告に聞いたアン・オリムラ中佐とアクシズ防衛で行方不明となったシャーロット・オリムラ少佐の三人だと判る。そして、彼から感じるニュータイプの波動は彼がニュータイプへと覚醒していた証。
「なら、試してみようではないか!!」
キュベレイのスロットを全開に加速しながら、ファンネルを飛ばす。
「行け、ファンネル!!」
そして、彼の機体に私のファンネルが襲い掛かるが、あの重モビルスーツから4機のスラスターユニットらしき物が離れ、私のファンネルと同等以上にビームを撃ち合う。
「まさか!?
あの重モビルスーツもサイコミュ搭載機か!?」
そう、スラスターユニットだと思っていたのが、実はファンネルだと気付くには遅過ぎたのだ。
そして、試作型のキュベレイよりも重モビルスーツの方が高性能機だとも…
急なファンネルからの襲撃には、アンとシャロは驚くがインターフェイスとサイコミュの連動が敏感だったのか、ファンネルが起動してブルーローズから離れて相手のファンネルと撃ち合う。
「ちぃ!?」
『イチカ!!』
「アンもシャロも俺から離れろ!!
相手はニュータイプだ!!」
『つっ!?了解』
無論、簡単にはやられる俺じゃない。
ビームソード付きビームライフルをビームショットライフルへと切り替えて拡散する様にビームを放ち、ファンネルを迎撃しながら回避行動に入る。
『ほう、それを躱すか』
「まさか!? 写真で見た、ハマーン様か!?」
『イチカ中佐、貴様の力を試させて貰う!!』
まさかの相手がハマーン様だと気付くが、攻撃を辞めるつもりは無いらしい。ならと思い、ビームライフルをビームソードへと変形させて展開し、ニュータイプの波動を感じる方へと瞬時加速をやりながら肉薄する。
「チィぃぃ!?
ニュータイプ同士だと、やり難い!!」
『むっ、消えただと!?』
やはり、其処に居た。
岩礁に隠れる純白の機体。
「俺はここだぁ!!」
『ちぃ、ニュータイプだけで、こうもやり難いとはな!!』
ビームライフルを隠れる岩礁に放ち、キュベレイの機体へ砕いた岩を飛ばすが、ローリングを描きながらビームサーベルを抜き躱す。
そして、ビームサーベルを構えたままブルーローズに迫るキュベレイ。
無論、ビームソードで受け止めながらも、インターフェイスによる剣術の思考は止めない。
「くっ」
『ちぃ、性能の差に助けられたな』
「しゃらぁぁぁ!!!」
『なっ!?』
イグニッションブーストが出来るなら、イグニッションターンブーストだって出来る筈だと思い、イグニッションターンブーストを掛けて、キュベレイの側面へと回り蹴り飛ばす。無論、追撃ついでにシールドのミサイルポッドのミサイルをお土産に発射する。
『私を舐めるな!!』
だが、ミサイルはビームサーベルで斬り払わられ、ミサイルが爆散する。そして、キュベレイも加速し、ファンネルで援護射撃させながら斬り込むが、予備のビームサーベルを抜いてビームサーベルを受け止め、ビームライフルを乱射しながらファンネルを撃ち落とす。
「やはり、イチカ中佐はニュータイプなのだな」
「何故、攻撃を?」
「ミネバ様に相応しい男か、見定めたまでよ」
「ミネバ様、元気にしてたんだな…」
そして、ハマーンは攻撃を辞めてブルーローズに接触する形で接触回線で会話する。
「ふん、何を言っている。
アクシズに来てからずっとだが、貴様のお嫁さんになると言っては、私とシャアを困らせたのだぞ?
しっかりと責任を取るのだな」
そう、ハマーン様が言い残すと反転して、キュベレイはソロモンへと戻って行ったのだ。
「やべぇ、鈴にどう説明したら…」
そして、鈴の怒りをどう回避し、どう説明するかをコクピットの中で悩むイチカだったのだ。