一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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大気圏突入とティターンズの襲撃 前編

 

 

 ソロモンから出港した、シーマ艦隊所属の独立機動中隊の別名、オリムラ中隊を乗せたリリー・マルレーンは一路、地球に向けて出撃する。

 

 そして、同じ頃のグリーン・ノア1ではティターンズによる基地化が進み、先のルナツーの攻防戦とコンペイトウ攻防戦での敗北に上層部は殺気立っていたのだった。

 

 無論、コンペイトウへの奪還に向けた作戦が練られてはいるが、コンペイトウにはアクシズの主力艦隊が陣取り、月面にはアンマンを拠点にエゥーゴの艦隊に陣取られている為に監視網からは抜け出せずに偵察部隊を送るが、全てが未帰還であり情報すら得られなかったのだ。

 

 そして、ティターンズと連邦軍にとっては最悪な事に小惑星要塞のアクシズも地球圏の宇宙要塞ソロモンに向けて移動中との情報があり、コンペイトウと合わせた大要塞になる事は確実視されていたのだった。

 

 「ルナツーで保護した小娘はどうした?」

 

 長身で丸いゴーグルをする男は、ちょび髭の男性に質問する。

 

 「バスク、あんな得体の知れない狂暴な小娘など、殺処分すれば良いのだ!!」

 

 「後々、使えるかも知れんからな、抵抗はされたが小娘の記憶だけを消去してムラサメ研究所の実験素体に送ってやったわ」

 

 「そうか、なら成功すれば大量の強化人間が入るか…ふふふ…アクシズの連中に一泡吹かせそうだな…ふふふ…」

 

 二人は静かに笑い合うのだった。

 

 

 

 地球まで後3日に差し迫る頃、イチカ達は、イチカ対隊員全員を相手に模擬訓練を施していた。

 

 「甘い!!」

 

 『なっぬぅ!?

 

 イチカ大佐はそれを躱すか!?』

 

 「フェイントを混ぜて放て!!

 

 射撃が馬鹿正直過ぎた!!」

 

 マシュマーの駆るゲルググ改から放つ、ペイント弾仕様のマシンガンからの弾丸を軽く機体をひねる様に躱し、イチカはマシュマーを怒鳴り叱りながら注意する。そして、頭に稲妻が走る感覚を感じ取り、バディである岩礁に隠れてスキを伺うキャラの駆るゲルググ改からのマシンガンを構えた殺気に対して、浮遊する宇宙船の装甲板を感じる方へと蹴り飛ばす。

 

 「見える!!

 

 キャラ、そう言う時には身を隠すんだ!!」

 

 『うっげぇ!?』

 

 見事に装甲板はキャラのゲルググ改へと向かい、飛翔して来る装甲板に慌てたキャラが撃ち落とそうとマシンガンを乱射するが、フラッシュノズルの光はイチカには位置が丸見えで、逆にマシンガンを直撃させられてゲルググ改はシャア閣下の元専用機のゲルググの様にペイント弾によりピンク色へと染まり、キャラは撃墜扱いにされて離脱する。

 

 『フフフ、今日こそはイチカを撃墜してやるんだから!!』

 

 『アン、イチカを落とすのは私よ』

 

 『『なら、二人同時に!!』』

 

 無論、ベテランであるアンとシャロの二人の駆るブラックローズに装備したペイント弾仕様の180ミリ対艦ライフルでイチカを狙い、二人同時に狙撃する。

 

 ズッドン ズッドン

 

 「チィ!?」

 

 『『うっそ〜ん、弾丸を斬り払った!?』』

 

 「マシュマー、馬鹿正直だと注意したばかりろうが!!」

 

 『ぬっわァァァ!?』

 

 イチカは咄嗟にビームサーベルを抜き、二発同時に放たれた弾丸の一発だけを斬り払い、背後から襲おうとしてビームサーベルを抜き襲い掛かるマシュマーのゲルググ改のビームサーベルを躱しながら肩を掴み、弾丸が飛んで来る方へと投げ飛ばす。

 

 無論、マシュマーはイチカから投げ飛ばされた方向がシャロから放たれた弾丸の射線上であり、マシュマーはシャロにフレンドリーファイヤされる形でコクピットハッチに直撃し、コクピットハッチはピンク色に染まり、マシュマーは撃墜扱いにされて離脱する。

 

 『隊長、貰った!!』

 

 岩礁の影から現れたのは、マシンガンを構え肉薄するイリア中尉の真っ赤に染められたブルーローズ二号機だった。

 

 何故、ブルーローズ2機も在るのかと言えば、イリア中尉も能力の高いニュータイプの持ち主であり、束さんが3機分のブルーローズとブラックローズの合わせた6機分のパーツをソロモンでの滞在中にアンマンのアナハイムから来た、エゥーゴの輸送艦隊によって運び込まれたガンダリウム合金アルファをハマーン様から許可を貰って使い、パーツを全て作り上げて組み立てられる様に母艦に搬入していたのだ。

 

 現在は順次、機体を組み立て作業中だったが、教官だったシャロがイリア中尉に合格を出してゲルググ改から最優先で組み立てられたブルーローズ二号機への機種変更を認めたからだった。

 

 そして、新たにリリーマルレーンのチーフメカニックになった束さんの手により、ブルーローズ二号機は組み立てられてイリア中尉専用機として使用していたのだ。

 

 無論、マシュマーとキャラにもシャロからの合格が出れば、ブラックローズへの機種変更を予定している。 

 

 

 「チィ!?」

 

 『ハッ!?

 

 躱された!?』

 

 『よし、あたし達もイリア中尉を援護射撃するわよ!!』

 

 『アン、了解!!』

 

 そして、岩礁から隠れながら狙撃していた二人もイリア中尉を援護するように飛び出し、マシンガンを撃ちながらイリア中尉がビームサーベルで俺に斬り込むのを支援する。

 

 だが、簡単にやられる俺ではない。

 

 「ほら、イリア中尉喜べ。俺からのプレゼントだ」

 

 『へっ、プレゼント?』

 

 ポイッ

 

 『あっ、不味い!?

  

 眩ッ!?』

 

 「貰った!!」

 

 『あっ、もう!!

 

 イチカ隊長の鬼畜!!』

 

 一瞬、俺からのプレゼントと聞き嬉しそうな顔をモニターから覗かせるが、投げた筒状の物体がヤバイ奴だと気付いて背筋を凍らせながら顔を真っ青にさせる。

 

 「セッイ!!」

 

 『ぐっ、やっぱり、瞬時加速はてっ、キャア!?』

 

 『ちょっと、アン。

 

 私とぶつからないでよね!?

 

 あっ……ヤバァ!?』

 

 「残念賞だな」

 

 ガッガガガガガ

 

 『『キャァァ!?』』

 

 そう、先程イリアに投げ付けたのは、拡張領域から出したIS用のフラッシュグレネードだった。無論、モノアイ付近で爆発してイリアの視界を奪い、マシンガンをコクピットへと放ちペイント塗れにして離脱。

 

 そして、二人してイリアを支援していた二人には瞬時加速をして急接近して、アンのブラックローズをシャロのブラックローズへと蹴り飛ばし、お互いがぶつかり合った所でマシンガンを乱射して二人をペイント塗れにして訓練が終了となる。

 

 「むっ、イチカ大佐」

 

 「どうした、イリア中尉?」

 

 「乙女心をもて遊びながら、フラッシュグレネードはずるいですよ!!

 

 乙女はプレゼントには弱いんです。だから、台湾での買い物は隊長の奢りで!!」

 

 「そうか?

 

 機体に積まれている物なら何でも使用する物だぞ?」

 

 「イチカ、確かにプレゼントと言いながらのフラッシュグレードは酷いから、イリアと台湾での買い物は付きやってやんないさい」

 

 「アン、学園で良く使った手だろ?」

 

 「うっぐぅ、それを言われたら何も言えないわ」

 

 「なっ、だろ」

 

 イリアはフラッシュグレードを使われた事に抗議しながらも、アンは学園での模擬戦ではイチカに散々フラッシュグレードを使われた事を言われ押し黙る。

 

 そして、訓練も終わり食堂で昼食だったのだ。 

 

 無論、厨房を仕切るのは鈴だった。

 

 何故、鈴が仕切っているのかは、ご飯を作る厨房の人達があまりも料理が不味くて食べれる料理では無く、娘達が食べたり士気に係る事なだけに鈴がキレてしまい、拡張領域から大量の調味料や香辛料などを取り出して、厨房の料理人と料理対決をして全員を下し、厨房の責任者となり食堂の味が向上したのだ。

 

 「一夏、酢豚定食よ」

 

 「サンキュ、鈴」

 

 「イリアには、デザートのアイスクリーム付きのフレンチトーストセットよ」

 

 「ウッフ♡鈴さん、判ってる♪」

 

 とそれぞれの昼ご飯を貰い昼食を食べる。そして、別のテーブルでは娘達が座り、仲良く四人で美味しそうに食べる光景と長女の千秋と三女の千夏が末女のナツキの面倒を見ているが次女の千春は、姉の千秋を見ながらナツキに姉を取られた様な表情をしていたのだった。

 

 「隊長の娘さん達を見てると、ほのぼのしますね」

 

 「だろ?」

 

 「イチカ、私達妻もいつかは欲しいからね?」

 

 「それは、鈴と要相談だな…」

 

 イリアも娘達を見ながらほのぼのしており、シャロからは子供が欲しいと強請られるが、鈴と相談しろと俺は逃げる。

 

 そんな時、艦長のツキノ・カグラザカ少佐から呼び出しが入る。

 

 『イチカ大佐、イチカ大佐、至急、ブリッジへ急行されたし』

 

 「呼び出しだな?」

 

 食堂から出て、ブリッジへと急ぐと艦長のツキノ少佐が出迎えるが、レーダーに映る地球軌道上に展開する3つの光点に気付く。

 

 「ツキノ少佐、襲撃の可能性は?」

 

 「高いと思われます。

 

 無論、味方のエゥーゴでも我が陣営側の艦艇の可能性は限り無く低いかと?」

 

 「となると、連邦軍かティターンズの艦艇だな?」

 

 「艦長、監視していた艦艇からモビルスーツ反応!!

 

 機種が判明、数は6機で連邦のハイザックとガルバルディ!!」

 

 「チィ、連邦軍だと!?

 

 モビルスーツ隊を出すぞ!!

 

 メンバーはアン中佐、シャーロット中佐、イリア中尉を招集!!

 

 俺は、先に出る!!」

 

 そう叫ぶ間にも、連邦からのモビルスーツが迫り来る。

 

 「ちぃ、近過ぎてカタパルトは使用できないか!?」

 

 『なっ、アクシズの最新鋭モビルスーツなの!?』

 

 「ちぃ、捕縛する!!」

 

 『きゃあ!?

 

 メインカメラが!?』

 

 モビルスーツデッキに急ぎ走り、ブルーローズへと乗り込むが、既にモビルスーツが近過ぎる為にカタパルトでの射出は無理だと判断し、モビルスーツハッチから出撃する。地球までは、下手な戦闘を避けるべく拿捕したのだ。

 

 新型だと叫ぶ声が女性だったが、マシンガンを放つハイザックに向けてビームライフルを放ちハイザックの頭部を吹き飛ばして、スラスターを吹かして接近してビームライフルをビームソードへと変形させて手足を斬り裂く。

 

 無論、手足を無くしたハイザックは出撃準備中のイリアへと蹴り飛ばし、パイロットを捕縛すべくイリアがワイヤーを射出して機体をワイヤーで固定してノーマルスーツを着た乗組員達がコクピットを抉じ開けてパイロットを捕縛していた。

 

 『あたしの部下をよくも!!』

 

 「遅い!!」

 

 部下を捕縛された事に叫び、ビームライフルを放ちながら突っ込んで来るガルバルディβには、初めて使用するリボルバーイグニッションブーストで加速して背後へと周り部下と同じ道を辿らせる。

 

 『きゃあ、手足が!?』

 

 「さぁ、投降させろ!!

 

 降伏させなければ、ビームライフルでコクピットに撃つ!!」

 

 『くっ、降伏するわ…』

 

 そして、隊長機が降伏した事により部下も次々と投降する。無論、連邦軍の三隻の艦艇はモビルスーツ隊を無くした事と、アンとシャロが旗艦のブリッジを制圧して降伏している。

 

 モビルスーツデッキに戻ると降伏した6人の女性パイロットが一斉に俺を睨む。だが、一思いに撃墜しても構わなかったが、モビルスーツの爆発は意外と目立ち、新たな敵を呼び兼ねないと判断した結果だった。

 

 「さて、俺はオリムラ中隊のモビルスーツ隊隊長のイチカ・オリムラ大佐だ。君たちの所属と階級、名前を言って貰う」

 

 俺の名前を聞くと、女性パイロット達は一斉に俺の事を幽霊でも見ているかの様な表情を一瞬したが、全員がノーマルスーツのポケットからプロマイド写真だろうか、一枚の写真を取り出して写真と俺を交互に見て、違う意味での悲鳴を上げる。

 

 「イチカ・オリムラ」

 

 「大佐ですって!?」

 

 「あの、ア・バオア・クーでは追撃艦隊を追撃不能に落とし入れた、有名なジオンのエースパイロットの!?」

  

 「しかも、本物で本人!?」

 

 「こんなに若くて、格好いい男性だなんて!?」

 

 「めっちゃ、あたしの好み!?」

 

 「「「「「「キャァァァァァ!!」」」」」」

 

 何か、一組のクラスメイトの様なノリを思い出す。そして静かにさせようとアンが叫ぶが逆効果だった。

 

 「あんた達、捕虜なんだから静かにしなさい!!」

 

 「まさか、ジオンのエースパイロットの一人のジオンの蒼い悪魔のアン・フリークス大尉!?」

 

 「誰が、悪魔よ!!

 

 あたしはアン・オリムラ中佐、モビルスーツ隊副隊長よ!!」

 

 「キャァァァ!!

 

 やっぱり、本物で本人よ!!」

 

 「可愛くて、お持ち帰りしたい!!」

 

 「ケイト、喜ぶのは早いわよ。

 

 今、アン・フリークス大尉がアン・オリムラ中佐と言わなかった?」

 

 「ジュンコ、確かに言っていたわ…」

 

 「まさか!?」

 

 「「「結婚してた!?」」」

 

 「で、でも確か、私が一年戦争の最中に買った雑誌にはベストカップルとして、二人が特集されてたわよ!?」

 

 「いやいや、噂だけど元ジオン兵の間では、結婚したくない女性ランキングでトップ10入りしてって聞いたわよ!?」

 

 「「「「「マジ!?」」」」」

 

 「あんた達ねぇぇぇ!!」

 

 捕虜達の女子高生の様な、ノリノリ会話にアンが苛つきながらも、整備科へ出す報告書を抱えたシャロが拡張領域に書類と入れ替えに出した特大ハリセンで6人を一斉に叩いていたのだ。

 

 「捕虜なんだから、少しは黙りなさい!!」

 

 スッバァァァァァァン

 

 「「「「「「キャウン!?」」」」」」

 

 シャロのハリセンに叩かれた事により、捕虜への尋問はスムーズに終わり、先程に出た名前のジュンコ少尉を隊長にしているが、元々は女性だけのパイロットを中心に連邦軍が編成した部隊が、ヴァルキリー中隊だったらしいが先のルナツー防衛戦では防衛任務で駐屯していたが、24名いたパイロットは隊長や副隊長までもが相次いでの戦死をしたりしてベテランパイロット達が戦死してしまい、新人だった6名だけが母艦を守る事を任務にしていた事で生き残りルナツーから撤退したらしい。 

 

 補充を受け取る為に地球軌道上へと向かい、ガルバルディβとハイザックを地球軌道上で連邦軍のコロンブスから補充してサイド4に向かう途中で、単艦にて地球に向かう俺達と遭遇したらしい。

 

 そして、彼女達はティターンズの30バンチ事件を知っており、副隊長代理をするケイト少尉はそのコロニーの出身だったらしくてティターンズには良い思いは無いらしい。

 

 無論、彼女達からの詳しい話を聞くとルナツー攻防戦前には、エゥーゴのエージェントからエゥーゴへの誘いが在ったらしいが家族をティターンズに人質にされた為に連邦側で参戦したが、ほぼ壊滅状態となったのだ。

 

 そして、尋問が終わろうとした時にアンマンへと向かわせようとした三隻のサラミス改の内の1隻が火球へと変わり爆発する。

 

 「あっ、私達の母艦のボスニアが!?」

 

 「この、感覚は!?」

 

 『大佐、敵のモビルアーマーによる襲撃です!!』

 

 「ちぃ、全く千客万来だな!!」

 

 この時、二度目となるニュータイプとの戦いになるとは知っていた。だが、俺よりも遥かに強いとは、まだ知らないのだった。

 

 

 

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