一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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ポートモレスビーでの一幕

 

 

 俺達がオーストラリア近海の旧ジオン軍の放棄されたポートモレスビーの海軍基地に身を隠しているのは、地球へと降りる時に大気圏突入進路が変わってしまい、戦力差では相手にしたくない連邦軍のオーストラリアのトリントン基地を刺激しない為にザンジバルⅡ級でも隠せる施設は、近辺の海域では宇宙船用の地下ドックがある放棄されたポートモレスビー海軍基地だけだった。

 

 そして、捕虜達のジュンコ少尉を始めとした6名はアクシズへの志願兵として俺達の部隊に入る事となり、目下ポートモレスビーの基地でイリアやマシュマーにキャラを混ぜて織斑流フィジカルトレーニングで扱いていたのだ。

 

 「グッハァ…し、死ぬ…」

 

 「マシュマー、だらし無いわよ…ぐっへぇ…」

 

 「そう言う、キャラだってへばっているでは無いか…」

 

 「うるさい…」

 

 啀み合い、罵り合う二人とグラウンドの途中で屍の様に倒れ込み、見た目がエロいような扇状的に醸し出している志願兵の6名だった。

 

 「き、キツイ…」

 

 「隊長達、凄過ぎるわよ…」

 

 

 午前中の訓練が終わると、ソロモンから出港して以来の休息となる。無論、赤道直下な為にポートモレスビーの砂浜は常夏一色であり、女性隊員達ははしゃぎながら水着へと着替えて砂浜へと走って行くのだった。

 

 無論、愛娘達もそれぞれの水着に着替え、シャロやアンに鈴を加えた三人も連れて行き、リリーマルレーンの艦内は俺と待機要員のクルーとチーフメカニックの束さんしかいなかった。

 

 「いっくんは行かなかったの?」

 

 「行く気分じゃなかったかな」

 

 「やっぱり、大気圏突入前に戦った可変型モビルスーツかな?」

 

 「束姉には叶わないな…」

 

 束さんから、淹れたてのコーヒーを出され飲みがらも肯定する。

 

 寧ろ、俺は怖かった。

 

 鈴を失うのではと思いながらも、鈴の覚悟だけは否定はしたくない。それが、あの結果だった。

 

 「でも、いっくん。

 

 鈴ちゃんを責めちゃ駄目だぞ。

 

 鈴ちゃんは常にいっくんと歩みながら立ち並びたいから努力する。だから、束さんはあの時の篠ノ之神社で出合った時に力を貸そうと思ったんだからね。

 

 まぁ、努力せずに子供の様に嘆き散らす箒ちゃんじゃあ、貸さないけどね」

 

 「そうだったんだな鈴は…」

 

 「それと、小破したいっくんのブルーローズだけど、次の移動までには改装をする事を決めたし、束さんとニナちゃんの最高傑作を完全にコケにした、あの可変型モビルスーツのパイロットをギャフンと言わせたいから、アンマンのアナハイムから来た一枚の面白い図面を見付けて試しに作ったからね」

 

 そして、束さんから改装案の図面を見せ貰うと、スラスターユニットだったファンネルは取り外して、ブラックローズ用のマイクロミサイルポッド内蔵型のスラスターユニットに変更して固定。そして、バックパックをファンネルを4機を搭載するコンテナ2基を搭載した新しく作ったバックパック(サザビーの様な形状)へと変更する計画案だった。

 

 そして、ファンネルはスラスター型から変更して筒状の形をしており、IS版ブラックローズに使用し、作製した小型で高出力のジェネレーターをファンネルに搭載した事によりビームが使用可能であり、スラスターもコンテナに戻りエネルギーを補給する事を前提として二股に広がったり、筒状に戻ったり出来るらしい。(サザビーのファンネルを参照)

 

 無論、ファンネルの大きさもブルーローズ用のファンネルの10分の1以下の大きさであるが、ファンネルの機動力は激増している。

 

 そして、ブルーローズの装甲も変更するらしく、今頃はハマーン様がソロモンで『駄兎め!!』と叫ぶ風景が見える様が浮び、設計図と一緒にガンダリウム合金γのインゴットを持ち出したらしく、俺に取り出して見せる。

 

 「束さん、それは?」

 

 「アンマンのアナハイムから来た、新素材のガンダリウム合金γだよ。コンテナに1機分があったから持って来ちゃったテッヘペロ♪」

 

 (あぁ、絶対にハマーン様のキュベレイ専用の装甲素材だ)

 

 ソロモンでは、ハマーン様のサイコフレームへの変更と機体の改装中のキュベレイに使う装甲材だと知り、束さんに内心ボヤきながらも、束さんの書いた図面には見慣れない言葉、『ガンダリウム合金複合材』とある。

 

 「ガンダリウム合金複合材?」

 

 「いっくん、ハニカム構造は判るかな?」

 

 「段ボールみたいなやつか?」

 

 「うん、分かり易い回答ありがとうね。

 

 薄い装甲では防御が疎かになる。でも、薄い装甲板と蜂の巣構造した装甲板を何層にも合わせる事で同じ厚さの装甲と同じ強度を持ちながらも軽量で硬い装甲が実現出来るんだよ」

 

 「そうなんだ…まさか、複合材までも?」

 

 「うん、バッチリ♪」

 

 どうやら、複合材装甲までも作ってあるらしい。

 

 束さんには、ブルーローズの改修を任せて浜辺へと向かう。途中、昼時だから鈴達がお昼だと思い浜辺の露店付近で探すと、酒瓶を片手にしながら連邦軍の制服を着て呟きながらふらふらて歩く黒髪で俺に近いくらいの年齢の男性とぶつかる。

 

 「ニナ、どうしてガトーに…」

 

 ドン

 

 「痛っ!?」

 

 俺は肩に当たった衝撃で砂浜に尻もちをつくが、男性は謝らずに歩き去る。

 

 「おい!!」

 

 「うるさい!!」

 

 「グッハァ!?」

 

 男性の肩を掴み止めさせるが、男性からいきなり顔面を殴られ露店へと吹き飛び、露店の中にある売り物だろう鍋のスープや茹でる前の麺が砂浜へと散乱する。

 

 しかし、露店に居たのは店員だけはなくひと泳ぎして、お腹を空かせながらフォーの麺を頬張る水着の上からパーカーを羽織るアンやフォーを食べながら新しいレシピを考えている鈴にナツキにご飯を食べさせているシャロ。そして、美味しそうに麺を食べる娘達だった。

 

 だが、俺が吹き飛びテーブルまでも倒した為に娘達のご飯は砂浜へと落ちる。だけど、幸いな事に娘達には怪我は無かった。

 

 「「「イチカ!?」」」

 

 「「「「パパ!?」」」」

  

 「イタタタ…」

 

 鈴がすかさず俺へと駆け寄り安否を確認する。アンとシャロも娘達を守る為に背後に隠しながらも側に来ていた。

 

 「一夏、あんた大丈夫?」

 

 「不意討ちだったけど大丈夫だ」

 

 「一夏、あんたは娘達を見てなさい。あの男を少し、ぶっ飛ばして来るから!!」

 

 「イチカ、鈴を止めなくて良いの?」

 

 「アン、キレた鈴を俺が止められるとでも?」

 

 「むっ、無理ね…」

 

 娘達のご飯までも台無しにされてキレた鈴は、凄まじい形相になり殴り飛ばした男性へと走って行き叫ぶ。

 

 「ちょっと、あんた待ちなさい!!」

 

 「…」

 

 「はぁ、あんたねぇ、娘のご飯を台無しにして置いてさ、ごめんなさいくらいはしなさいよ!!」

 

 「グッハァ!?

 

 貴様!!」

 

 鈴が叫び止めるが、男性は無視して酒を煽りながら行く。だが、そんな態度にブチ切れた鈴はその男性に飛び蹴りを背中から入れて転倒させたのだ。無論、黙ってやらられる男性では無く、立ち上がりふらつきながらも鈴に向かって殴り掛かったのだ。

 

 「はぁん、馬鹿じゃないの?

 

 そんな、酔っ払った拳で、あたしをやれると思ってんの?」

 

 だが、忘れてはいけない。

 

 鈴は、こう見えてもISの操縦者で事件が無ければ、中国の国家代表候補生だった事実を…

 

 男性のパンチを軽くあしらい、肘を引いて気功を錬ると男性の懐に潜り込み両手の手を広げて腹部に一気に放ったのだ。

 

 「八掛掌!!」

 

 ドッン

 

 「グッ、ハァ!?」

 

 胃液を吐き出しながらも、くの字に折り曲がりながら男性は吹き飛びヤシの木へと激突して男性は気絶したのだった。無論、艦に残る部下の兵士を呼び、男性を拘束して艦の独房へと収容する。

 

 リリーマルレーンへと戻り、私服から着替えたあとに収容した男性が気が付いたと連絡があり尋問室へと向かう。途中、男性の荷物を調べたシャロが一枚の認識標を俺に渡す。

 

 「イチカ、荷物を調べたら彼は連邦の元兵士よ」

 

 「へぇ、元連邦軍のトリントン基地所属、コウ・ウラキ中尉か…」

 

 トリントン基地の単語に引っ掛って彼が気になり、アクシズでの報告書を纏めたデータを見る為に久しぶりにブルーローズを部分展開して、コンソールを開き、検索をすれば『該当者あり』と出る。

 

 「やっぱりだな。

 

 シャロ、彼はガトー少佐の関係者だな」

 

 「えっ、ガトー少佐の?」

 

 「ほら、0083年の末にガトー少佐が地球へと向かって、実行したガンダム強奪作戦だよ」

 

 「あぁ、報告書に有ったアレね」

 

 コンソールを弄り、シャロと肩を合わせながら報告書を読む。

 

 「あぁ、トリントン基地で評価実験を行う予定だった2機のガンダムの内、核弾頭バズーカを搭載したRX-78-GP-02をガトー少佐が強奪。

 

 当時、ウラキ少尉は現場に居合わせていたらしく、同じく汎用型のRX-78-GP-01に乗り込みガトー少佐を追撃するが、海岸に待機していた潜水艦によりアフリカへと撤退するが、追撃部隊を編成され追撃を受ける。

 

 キンバライトのジオンの基地からHLVにて大気圏を離脱しアクシズへと帰投し、以後は核弾頭バズーカを外し改造を開始する。

 

 ガンダムタイプを改めた、重モビルスーツのAGX-02サイサリスとしてガトー少佐専用機となる。その際、トリントン基地にアナハイムの現地スタッフとして居た、ニナ・パープルントン設計技士が共に来ておりアクシズへと亡命するか…」

 

 報告書を読み終わるのを待って居たのはジュンコ少尉だった。

 

 「隊長、これが連邦軍側の報告書です」

 

 「ありがとうな、ジュンコ少尉」

 

 「はい/////(大佐、そんな眩しい笑顔を見せないでよ!!惚れちゃ駄目よ、ジュンコ。大佐は妻子持ちなのよ!!)」

 

 ジュンコ少尉から連邦軍側の報告書を貰うが、心の中で叫びながら顔を真っ赤にして走って行くジュンコ少尉だったが、シャロは軽くジュンコ少尉を睨みながら『後に拉致って妻会議に強制参加ね…』と何か物騒な事を呟いていたのだった。

 

 無論、ジュンコ少尉が持って来た、束さんのハッキングの元に連邦軍から引き出した連邦軍側の報告書もアクシズ側の報告書と大した差は無い。ただ、コウ・ウラキ中尉に至ってはアフリカのキンバライト基地までガトー少佐への追撃後にガンダムの無断使用とガトー少佐を取り逃した事により、懲戒免職となっていたのだ。

 

 「まぁ、理不尽な扱いね」

 

 「同情はするがな」

 

 「でも、尋問はするんでしょ?」

 

 「まぁ、白昼堂々と傷害沙汰だもんな。住民には、破棄された基地を使わせて貰っているからな…」

 

 ボヤきながらも尋問室へと入る。

 

 無論、壁に成っているのはマジックミラーになっており、副隊長のアンが監視を理由に見ている。

 

 「入るぞ」

 

 「貴様は!?」

 

 「大人しく座って、答えてくれたら開放はする。だが、その前に、俺はこの部隊の隊長のイチカ・オリムラ大佐だ。連邦軍、トリントン基地所属のコウ・ウラキ元中尉?」

 

 「イチカ・オリムラ!?

 

 まさか、ジオンの白い流星のイチカ・オリムラ大尉だと!?

 

 ア・バオア・クーで戦死した筈だ!!」

 

 「ほれ、脚ならあるが?」

 

 「生きていたのかよ!?」

 

 「そして、今はシーマ艦隊所属の独立機動中隊隊長のイチカ・オリムラ大佐だ」

 

 「はっ!?

 

 シーマ艦隊だと!?

 

 貴様はアクシズなのか!?

 

 なら、ガトーを知っているな!!」

 

 「あぁ、知っている」

 

 「答えろ!!

 

 ガトーは何処だ!!」

 

 「黙れ、俺の質問中に答える義理は無い」

 

 バッキィ

 

 「グッハァ!?」

 

 胸倉を掴み、俺に問い質そうとするコウに苛ついた俺は、コウを殴り黙らせる。無論、尋問をする上では危害を逆に受ける可能性から手錠を嵌めたのだ。

 

 「さて、質問だ。

 

 何故、コウ・ウラキ元中尉はポートモレスビーに居た?」

 

 「ニナを探すためだ!!」

 

 「ニナ・パープルントン設計技士は現在はアクシズの設計主任としてソロモンに居るから探すのは無意味だ」

 

 「ジオンが奪取したコンペイトウだと!?」

 

 叫ぶ、コウに対して、シャロが口を開く。

 

 「本当、聞いてて女々しくて情けないわね。ニナさんはね、ガトー少佐とはラブラブ中で、アンタみたいなチェリーボーイには出る幕はないのよ。だから、諦めなさい」

 

 「貴様、言わせて置けば!!」

 

 年下のシャロから度キツイ一言にコウは顔を真っ赤にして怒りシャロを睨む。だが、涼しい顔をしながらパソコンに調書を打ち込んで行くのだった。

 

 無論、再び暴れようとしたコウをシャロが顔面へと殴り、気絶させると独房へと投げ込んだのだった。そして、束さんによるコウへの軽い診察の結果は軽いアルコール中毒者だった為に治療する事が決まったのだ。

 

 そして、数日後にはブルーローズの改装も終わった頃に旗艦のアカツキから入電により、ソロモン諸島を抜けて台湾を急襲し襲撃せよと指示が出たのだ。

 

 無論、増援部隊が軌道上から降下するらしく、期日までに向えとの事だった。

 

 「まさか、増援はガトー少佐の部隊かよ…」

  

 「イチカ、災難ね…」

 

 「それよりも、ソロモン諸島から抜ける手立てを考えないとね…」

 

 「あぁ、連邦軍の空軍と海軍の勢力圏内への強行突破だな…」

 

 三人でゲッソリしながら、強行突破作戦を練っている最中にチーフメカニックの束さんが来る。

 

 「いっくん、追加報告だけど良いかな?」

 

 束さんの一言に嫌な予感しか感じ得なかった。

 

 「束さん、何かな?」

 

 「ニナちゃんが、ブルーローズとブラックローズ用の追加パーツを積んだコムサイで来るって、ソロモンから連絡があったよ。って、どうしたのみんなは?」

 

 「うっわぁ、絶対に修羅場だよ…」

 

 「アンちゃん?」

 

 「イチカ、ア・バオア・クーの時みたいに寝込んでも構わないかな?」

 

 「へっ、シャロちゃん?」

 

 「束さん、特製の胃薬をくれるか?」

 

 「いっくんまで!?」

 

 束さんから落とされた、特大の爆弾に胃が痛くなる感覚に目眩を覚えながらも、二人が合流したら確実に修羅場は確定だと思ったのだった。

 

 

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