束さんからの報告から翌日、コムサイがポートモレスビー海軍基地へと着水し、横付けした桟橋ではコンテナに積まれた大量の物資が宇宙船用ドックから浮上したリリーマルレーンへと積み込み作業が開始される。
「おっ、ニナちゃん!!」
「たっ、束さん!?」
アクシズの女性用の士官制服を着るニナさんに抱きつく束さんは、ニナさんが脇に抱える書類を奪い書類の中身を見ながら次々と荷卸されたコンテナを確認しながらサイン済ます。
そして、積み下ろし作業が終わりコムサイが大気圏離脱用ブースターを点火して大気圏外へと離脱する最中、ニナさんだけが残りリリーマルレーンのモビルスーツデッキへと向かい、更衣室で作業用のつなぎ服に着替えてブルーローズのコクピットへと入り、稼動データをコピーして抜き取りソロモンへと送る。
「束大尉、イチカ大佐のブルーローズの稼動データはお宝ですね。これだけのデータならシャア閣下の専用機もそう遠くない内に完成するかもしれません」
「うん、ソロモンのモビルスーツ製造プラントや軍需工廠も再稼働したからね。束さんも設計には参加したんだからシャア閣下の機体は大丈夫だよ。
あっ、そうだった。
ニナちゃん、これも帰る時のお土産ね」
ブルーローズの装甲を加工した際に出たガンダリウム合金複合材の切れ端をニナに渡す。ニナは怪奇そうに切れ端を見るが、装甲の切れ端が何たるかを理解して固まる。
「これって、まさか…」
「うん、ガンダリウム合金γとガンダリウム合金αから作ったガンダリウム合金複合材だよ。ガンダリウム合金γと比べたら重量は半分くらいしかないけど、耐久力は倍以上かな」
「束大尉、うちの技士達を過労死させる気ですか!!」
「だって、複合材の問題は金属同士の接着だけじゃん。全部解決済みの仕様書と作り方を纏めた本まで付けてるんだから、技士達は仕事しろよ…」
「それが、中々再現が出来ないから苦労するんです!!
ホイホイと新技術ばかりを開発する大天災は困ります!!」
「ニナちゃん、最高の褒め言葉だよ♪」
「褒めてません!!」
束さんが睨む目先には、コムサイからパーツとしておろされ、モビルスーツデッキの奥で2機のゲルググ改を組み立てる技士達だった。
そして、積み込み作業が終わるまでは比較的に暇な為に食堂にて二人でお茶をしながらブルーローズを改装した際の話だけはニナは聞きたかっただけに向かう。
「ニナ!!」
「う、ウラキ少尉!?」
「ウラキ元中尉、さっさと歩きなさい!!」
「はっ、離せ!!
ニナに話があるんだ!!」
「うるさいわね!!
さっさと歩け!!」
ゲッシィ
「グッ、捕虜に対する暴力だ!!
この、暴力女!!」
「暴力女ですって!?」
「金的は駄目だ!?」
「うっさい!!」
チーン
「グッエ!?」
食堂に向かう二人と二度目となる尋問を終えたウラキ元中尉を手錠で繋ぐ尋問官を努めたシャロが廊下で鉢合わせする。しかし、ニナの実情を知るシャロは手錠に繫がる紐を引き、ニナの方へ向かおうと暴れるウラキ元中尉をヤクザキックで蹴り倒して引き摺りながらでもニナから引き離して独房へと入れたのだった。無論、シャロに『暴力女』は禁句で、禁句を言われ脚を振り被り金的を蹴ろうするキレたシャロをウラキ元中尉は止めようと言うが逆効果で、もう一発を金的に蹴られたのは言うまでも無かった。
「ニナちゃん、大丈夫?」
「大丈夫よ。
どうして、ウラキ少尉が?」
「浜辺でいっくんを殴り飛ばして、いっくんの妻の鈴ちゃんに蹴られて逆襲して手を出したは良いんだけど、鈴ちゃんはああ見えてもISの競技者の企業代表だったから返り討ちに逢ったんだよ。それで、傷害で現行犯だね」
「コウも落ちる所まで堕ちたのね…」
金的を押えながら悶え引かれて行くウラキ元中尉を見ながらも、冷めた目で見るニナだった。そんな時に艦内の警報が鳴り響く。
「敵襲!?」
「あっもう!!
ニナちゃんとのお茶会が楽しみだったのに!!」
警報により、第一種戦闘配備になり走り回る兵士やクルー。そして、束さんも襲撃して来た敵にキレながらもチーフメカニックとして来た通路を戻り、モビルスーツデッキへと急ぐのだった。
そして、リリーマルレーンへと迫る18機のMSが2機が載せられる大型のベースジャバーに載るのは、アクシズの地球降下部隊の殲滅の命令を受けたトリントン基地所属の36機のモビルスーツ隊の一陣だった。
そして、モビルスーツ隊の構成はジムⅡが10機にジムキャノンが8機、ハイザックが10機と旧式のジム改4機に連邦軍仕様のザクF2型4機の混成部隊だった。
無論、イチカ達のレーダーには映っており、オーストラリアから少し離れたポートモレスビーへと逃げた理由でもあった。
「ちぃ、毎度お馴染みの物量戦かよ…」
「イチカ、要らない紙なら部屋には無いわよ?」
「アン、それはちり紙交換な」
「そうよ。アレは、粗大ゴミにでも出せば良いのよ」
「いやいや、粗大ゴミでも回収業者はモビルスーツなんか回収しないぞ!?
出すなら、専門の廃品回収な」
「「流石、主夫ね」」
夫婦三人による夫婦漫才はさて置き、カタパルトからの射出を諦めてモビルスーツハッチから直接出撃したのは、イチカのブルーローズ改とアンとシャロのブラックローズの3機が先行して出撃し、空中に浮きながら待ち構えていた。
無論、イリアのブルーローズはISコアが使用出来る様に改装中で出撃が出来ず、元の機体だったゲルググ改に乗りリリーマルレーンの最上部に陣取りロングレンジスナイパーライフルを持ち狙撃体制を取っていた。そして、お馬鹿二人のマシュマーは右舷カタパルトにて迎撃体制を、キャラは左舷のカタパルトにて待機し、3機は空中戦が不可能な為に迎撃体制を取る陣形だった。
何故、ブルーローズ改とブラックローズが空中に浮いているのかは、束さんによるIS技術を応用してイチカ達の専用機と接続しており、その3機が専用機としてコアに認識させているのでISの専用機同様に浮いているのだ。
「アン、シャロ。
マイクロミサイルポッド、スタンバイ!!」
「「了解!!」」
イチカの号令の下、1機辺り2基の大型スラスターに内蔵された合計40発の3機分の合計120発のマイクロミサイルを敵モビルスーツ隊へとターゲットをロックして、マイクロミサイルポッドを発射する為に大型スラスターの先端部のカバーが一斉に開く。
「「ロック、完了!!」」
「よし、全弾発射!!」
白煙を上げて、マイクロミサイルは一斉に飛び立ち、先制攻撃を仕掛けるべく敵モビルスーツ隊へとマイクロミサイルが殺到する。
「ミサイルの一斉発射だと!?
各機散開し、回避行動に移せ!!」
無論、ベースジャバーからミサイルから退避しようとチャフやフレアをばら撒き回避行動に入る。だが、マイクロミサイルには内蔵された赤外線とレーダーに画像処理を複合させた兎印の極悪な、ブルーローズ系モビルスーツ専用の追尾式マイクロミサイルである。
「チャフもフレアも効かない!?
ギャァ!?」
ミサイルから逃げ回っていたザクF2型の2機が10発近いミサイルを浴びて空中に花火を描いてベースジャバーと一緒に四散し、ベースジャバーを破壊されて海へと落下する2機のジム改は海から浮上した際にイリアのゲルググ改から頭部へと狙撃されて頭部を破壊され、パイロットはコクピットハッチを開けて海へとダイブしていたのだった。
無論、マシュマーやキャラもビームライフルを放ち、ベースジャバーを狙い撃ちながら撃墜し、スラスターを吹かしながら降下するハイザックやジムⅡを撃破したのだ。
だが、此方も被害無しとは行かず、最初の被害はマシュマーだった。
「えぇい、落ちろ!!」
「マシュマー!!
ジムキャノンに狙われてるわよ!!」
「ぐっわぁ!?
おのれ、仕方ない。
脱出する」
マシュマーのゲルググ改から放ったビームはジム改を撃ち抜き撃破する。しかし、気付いたイリアの叫びも虚しく、ジム改と一緒にベースジャバーに乗っていたジムキャノンのキャノン砲の砲弾がマシュマーのゲルググ改の頭部を吹き飛ばし、カタパルトに頭部を失ったゲルググ改が倒れる。
無論、コクピットハッチを開けてマシュマーは脱出。ジムキャノンはイリアのゲルググ改が放ったビームライフルにより撃破されたのだ。
それでも激戦は続き、キャラのゲルググ改の右の脚部を失い離脱し、第一陣だろうトリントン基地所属のモビルスーツ隊が壊滅した頃に動ける俺達のモビルスーツは4機まで減っていたのだった。
そして、同じ頃の艦内の厨房でも戦場化しており、鈴を始めとした人達も大量のご飯を炊きながらおにぎりを作っていたのだ。
「おにぎりは最低でも2000個は握るわよ!!」
『了解!!』
中華包丁片手に厨房の人達に激を飛ばす鈴は大量の鶏の腿肉を一口大に切り分けて、生姜や醤油に酒を入れて揉みながら大量の片栗粉を振り掛け、熱した油に下処理した鶏肉を揚げていく。
そう、鈴達の厨房の人達は戦う兵士達におにぎり弁当を作っていたのだ。
無論、最初はハンバーガーを厨房の人達が用意しようとしたが、鈴に一蹴される。
「そんな、消化が悪いの食わしてどうすんのよ!!
消化も力になるのが早い、おにぎりよ!!」
と叫び、拡張領域から出したのは、ポートモレスビーで大量買いした米や塩におにぎりの具になる極東地域の元日本で漬けられた紀州梅の梅干しなどが立ち並び、厨房の人達の度肝を抜く。
無論、同じ元日本の有明産の焼き海苔まで出すこだわり様に一瞬呆れたが、腹ごしらえにと鈴が握ったおにぎりを食べて虜に成ったのは言うまでも無かった。
そして、ポートモレスビーで大量に買い込んだ物の中には、竹で編まれたお弁当サイズの籠が大量にあり、におにぎりや唐揚げなどを詰めて軽く麻紐で縛りお弁当が完成する。
それらを、各科の人数分をカバンに大切に詰めて行き、厨房の人達はその鞄を抱えて艦内を走り回りながら水筒と一緒に配っていったのだ。
第一波を退けたイチカ達、パイロットの場所には鈴が自ら行き弁当を配る。
「一夏、お弁当よ」
「サンキュー、鈴。
おっ、おにぎりじゃん」
一夏は慣れた手付きでおにぎりを頬張り、アンやシャロにも弁当を配り食べて行く。
「ぬっおぉ!?
す、酸っぱい!?」
マシュマーは梅干しに馴れないのか顔を顰めるが、お腹を減らして居たのかがむしゃらに頬張り食べて行く。
「イリア、弁当よ」
「携行食で済まそうと…」
「あんたねぇ、ラウラと同じ事を言ってんじゃないわよ。良い、キチン食べられる時にはキチンと食いなさい。じゃないと…」
「じゃないと?」
「アンタの夕飯のデザートのバニラアイスを抜きにするわよ?」
鈴に言われ、弁当を受け取ったイリアはおにぎりを食べたり、唐揚げを摘んで食べてデザートに入れたバナナを美味しそうに食べたのだった。
そして、束さん達のメカニックにも弁当を配り、厨房に戻ると、次の戦時食を作るべく鈴達厨房の人達も料理を始めたのだ。
「アンタ達、これがあたし達の戦場よ!!
頑張りなさい!!」
「「「「へい、姉御!!」」」」
「誰が姉御よ!!」
鈴が激を飛ばしたが、年上の厨房の人達から『姉御』と慕われるとは思われ無かったが、現場から軽い物をとリクエストが入り、大量の食パンを出して茹で卵を作りサンドイッチのタマゴサンドとレタスとハムにチーズを挟んだレタスサンドを作るべく料理を始めたのだった。