緒戦のトリントン基地からのMS隊による奇襲は退ける事が出来たが、こちらも迎撃当初の6機在ったモビルスーツは2機が損傷して修理中で使用出来なくなり、稼動出来るモビルスーツが4機まで減り迎撃は難しくなる一方だった。
だが、今の所は連邦軍からの襲撃部隊はトリントン基地のモビルスーツ隊による第一波が最大数での襲撃だったと俺は思う。
そして、今はリリーマルレーンの進路はポートモレスビーから脱出して、強行突破を繰り返しながら北上してフィリピン方面へと飛びながら向うが、オーストラリアのトリントン基地の部隊から、グアムとフィリピンのレイテ島を基地とする連邦軍極東方面大隊へと誘われ、空からはベースジャバーに載るハイザックやジムキャノンなどを主力とした部隊と海からはガンダイバーやアクアジムを主力としたモビルスーツ隊による包囲網を敷き始めた事を俺達は知らない。
「いきなり、3分の1以下か…」
「あれだけ、落としたんだから流石にネタ切れでしょう?」
「アン、それはフラグだから言わないでよ」
『隊長、先頭の機体に狙撃しますか?』
「イリアの判断に任せる。
アン、シャロ。また襲撃だ」
本日、三度目となる連邦軍からのベースジャバーに乗りながらマシンガンを放つハイザック数機からの嫌がらせなのかと思いたくなる様な波状攻撃。
「もう、いい加減に落ちなさいよ!!」
『馬鹿な、モビルスーツが飛んでいるだと!?
グッワァ!?』
アンが叫び、ハイザックに最近やっと出来る様になった瞬時加速を用いて接近してビームサーベルで上半身と下半身を2つに斬り裂き撃破する。
「本当、連邦軍は物量戦が好きよね!!」
『ギャア!?』
シャロも連戦の疲れから愚痴りながらも、ハイザックへとビームライフルを放ち撃破するがエネルギーパックのエネルギー使い切り、シールドにマウントされている新しいエネルギーパックをビームライフルに装着する。
「全くだな!!」
『コクピットがつ、潰れる!?
ギャァァァァ!?』
イチカもビームサーベルさえ抜くのが億劫になったのか、独立戦争以来に久しぶりに使う斬艦刀をリリーマルレーンのウェポンラックから持ち出したが、斬艦刀が独立戦争時に製造された品だったようで、なまくらで斬れなかったらしくてコクピットをぶっ叩いてコクピットのパイロットごと叩き潰す荒技に出ていたのだった。
『一体、隊長との台湾でのお買い物デートが何時になるのかしら?』
『あっ、あんな距離から!?』
イリアも傷だらけのゲルググ改に乗り、連邦軍の物量戦にはウンザリしていた様で、スキを見せたハイザックのコクピットへとスナイパーライフルにて狙撃しハイザックを四散させる。
壊滅の危機となった連邦軍のハイザックが撤退して戦闘の終了を確認してからリリーマルレーンへと戻り、各機体の燃料や弾薬を補給しながらメカニック達が機体へと群がり損傷箇所が無いかチェックして行き、罅割れた斬艦刀はウェポンハンガーへと戻され、次の迎撃からは組み上げ中のゲルググ改の2機からパーツを取って修理したゲルググ改の2機と改修が終えたブルーローズ二号機が参戦出来ると報告を受けて内心安堵する。
だが、マシュマーとキャラの修理の終えたゲルググ改のカラーは損傷箇所が判る程にチグハグな色になっていたのだ。
「やっと、私の出番だ!!」
「マシュマー、組み立て途中の機体からパーツを取って修理しかたから、もう予備機が無いから機体を壊すなよな?」
「うっぐぅ!?」
「やい、マシュマーのバーカ」
「キャラ、貴様!!」
「キャラ、お前もな?」
「うっなぁ!?」
何時の通り、二人して罵り罵倒し合うブレない二人だった。
此方のブルーローズとアンとシャロのブラックローズの補給は終えたが、マイクロミサイルの予備の弾薬は先程の戦闘にて底がついたと報告が来る。そして、ビームライフルのエネルギーパックはエネルギーを補給すれば何度でも使用が出来るのだが、補給する割合よりも使用する頻度が多くて間に合いそうには無い。
それだけ、迎撃に出撃して弾薬の消費が激しくなる程、連邦軍の執拗な攻撃が激しかったのだ。
報告を受けたアンも、補給されたビームライフル用のエネルギーパックが3個だけでは戦にならないと、ビームソード付きビームライフルから台湾の宇宙港で使用予定だった、予備の弾薬が大量にあるマガジン式のジャイアントバズーカへと変更し、腰のアーマーのマウントラックにマガジンをマウントしまくったり、拡張領域にマガジンを積めるだけ詰め込むと言う暴挙に出たりしていたのだった。
「アン、マガジンを積み過ぎじゃない?」
「別に良いじゃん」
「全く、良くないわよ。積むなら、マシンガンを積みなさいよ」
「だって、90ミリマシンガンじゃあ、ハイザックに効果が無いわよ…」
「確かに、弾かれてるわね…」
二人して、ビームライフルのエネルギー切れで代わりに放った90ミリマシンガンの弾丸がハイザックに弾かれた苦い経験を思い出したのか、二人の間に微妙な空気が漂う。
「でしょ?」
「なら、私も180ミリ対艦ライフルにしようかな…」
結局、二人してビームライフルを降ろして実弾系に切り替えたのだった。
無論、イチカもだった。
「えっ?
エネルギーパックの充填が間に合わないだって!?」
「いっくん、エネルギーの充填が間に合わないから、ごめん。だから、代わりに良い物を作ったから使ってね」
「束さん、これって…」
ウェポンハンガーに掛かる一振りの片刃の片手直剣には見覚えが在った。かつて、実の姉の千冬姉がたった一振りのこの剣で世界を制した暮桜の愛刀の『雪片』に似た剣だった。
「無論、モビルスーツ用に造り変えた一品物だよ。
素材も勿論、ガンダリウム合金γ製の実体剣で、そのまま斬るも良し、ビームを展開して斬り裂くも良しの雪片の後継剣の雪片弐式だよ。
本来なら、いっくんの専用機だった白式に積む予定だった剣だけど、弾薬が欠乏気味だけど材料が在るならって作ったんだよ」
束さんから説明を受けて、雪片弐式をウェポンハンガーから取り装備する。そして、装備すると同時に白星の叫ぶ声とは別の声が聞こえたのだ。
『やっと、私が目覚められた』
『白騎士、貴女の出る幕は無いわよ!!』
『眠らされた時は小娘だったが、小娘はクィーンに目覚めたか…』
『邪魔だった『零落白夜』が復活してる!?』
『私からの餞別だ』
『要らないわよ!!』
そう、二人のコアの人格が言い合うが『白騎士』には聞き覚えがあった。まさか、白騎士事件の時に使用されたコアはまさか…
だが、考えるよりも先に艦内の襲撃を知らせる警報が鳴り響く。無論、ビームソード付きビームライフルはラックから外し、代わりのグレネードランチャー付き90ミリマシンガンと予備マガジンの束を腰のウェポンラックに固定して雪片弐式を右手に持ち出撃したのだ。
「ちぃ、連邦軍は懲りねぇな!!
イチカ・オリムラ、ブルーローズ改出る!!」
カタパルトで射出され、上空に舞う。無論、第二カタパルトからシャロとイリアが続き、第一カタパルトからはアンが立て続けに射出されて楔型の隊形を取り待機する。
「各機へ、コレで襲撃は8度目だが気を抜かずに挑め!!
そして、全機生きて帰還しろ」
『『『『『了解!!』』』』』
レイテ沖上空での、ポートモレスビーから続く8度目の連邦軍の襲撃は連邦軍が最初から猛攻を仕掛け、単機用のベースジャバーに乗り攻撃を仕掛ける18機のハイザックとジムキャノンの部隊。
『イチカ!!
海中からもモビルスーツ反応よ!!』
『アレは…ガンダイバーにアクアジム!?』
「シャロ、判るか?」
『連邦軍の水中用モビルスーツよ!!』
「不味い、母艦に向かった!?」
『はっははは!!
私の出番が来たようだな!!』
『『「マシュマー!?」』』
『あっ、身体が熱くなるのは嫌だけど、私も居るわよ』
『『「キャラもか!?」』』
シャロの叫びに、アクアジムは水中から飛び出して母艦であるリリーマルレーンをロケットランチャーで狙うが、艦の護衛に出撃しているキャラとマシュマーのゲルググ改がスラスターを吹かして軽く空中へと飛び、180ミリ対艦ライフルで海中から飛び出したアクアジムを撃ち抜く。
『隊長!!
処罰は後で受けます!!』
「ジュンコ少尉!?」
ジュンコ少尉が乗る機体は、ポートモレスビー基地のモビルスーツデッキに放棄されていたのを偶然にも発見した4機のズゴックEだった。無論、かなり機体の状態が良かった為にリリーマルレーンに回収して、束さんがイキイキしながら小改造している現場を目撃していた記憶があった。
『オリムラ中隊所属、ヴァルキリー小隊ジュンコ、ズゴックE出るわよ!!』
ジュンコ少尉が叫びながらズゴックEが海へと飛び込みながらアクアジムへとクローアームのビームを放ち、ケイト少尉やサラ少尉にマリナ少尉と続き飛び込んで行ったのだ。
『不味い!!
私も海中に向かうぞ!!
キャラ、付いて来い!!』
『了解!!』
『ちょっと、マシュマー!?
キャラまでもなの!?
あっ、もう!!
って、邪魔よ!!
行け、ファンネル!!』
そして、水中ではジュンコ少尉のヴァルキリー小隊がアクアジムを頭部の魚雷で撃破したりクローで貫きながら撃破し、マシュマーとキャラがヴァルキリー小隊にガンダイバーを行かせまいとビームサーベルを抜きながら海中へと向かい、海に飛び込んだ二人にブチ切れながらも艦へと戻りながらファンネルを展開してリリーマルレーンを守るイリア。
「落ちろ!!」
『グッエ!?』
『コレを落とせば!!』
「甘い!!」
『なっ!?』
イチカのブルーローズ改もハイザックの頭部を掴みながら片刃の剣でコクピットを突き刺し蹴り飛ばしながら反動を利用して刺した剣を抜き去り、ヒートホークで接近したハイザックにグレネードランチャー付きマシンガンのグレネードランチャーをお見舞いする。
「貰ったわよ!!」
『グッワァァ!?』
そして、あたしもスラスターを全開にしながら飛び回り、ハイザックへとジャイアントバズーカをお見舞いする。
『アン、危ないわよ!!』
「サンキュー、シャロ!!」
アンのブラックローズをハイザックがハイパーバズーカで狙った所をシャロが180ミリ対艦ライフルでハイザックのどって腹に穴を開けて撃破する。そして、アンとシャロは背中合わせにお互いを守りながら、空中での乱戦となった空を戦い抜いていたのだ。
だが、戦場がレイテ沖だと言う事は、連邦軍基地のすぐ側にあり、第十波目となるモビルスーツ隊が接近していたのだ。
「チィ!!
また、増援かよ!!」
『イチカ、数は?』
「アン、レーダーの光点だと数は約15機だ!!」
『うっげぇ、私はもう弾薬は無いわよ!?』
『あたしのジャイアントバズーカの予備マガジンは3個ね…』
『イチカ隊長、私達も迎撃に出られます!!』
残弾確認をしている最中にモビルスーツデッキからの通信相手はジュンコ少尉達の仲間のサクラ少尉とカエデ少尉の二人だった。無論、二人が乗る新品だが何かおかしいモビルスーツがモビルスーツデッキから出て来た時に、モニター越し見えた時には、口から飲み物を吹き出しドリンクホルダーから取り出したボトルを唖然としながら落としてしまう。
「ブッホォ!?
ザ、ザクヘッドのゲルググ!?」
『『『『ま、マジ…』』』』
そう、モビルスーツデッキで組み立て作業中のゲルググ改はマシュマーとキャラのゲルググ改を直すのにパーツ取りしてしまい組み立て作業が止まっていたと思っていたが、サクラ少尉の乗るゲルググ改は頭部が無かった筈だが、誰かが撃墜したザクF2型の頭部を回収してゲルググ改に乗せたのだと推測していた。
無論、それならマシだがカエデ少尉のブラックローズには、鈴が乗った修理中のブラックローズの吹き飛ばされた右腕の代わりにゲルググ改の右腕を使っていたのだ。普通なら懲罰ものだが、左側だけになったマイクロミサイルポッドを内蔵した大型スラスターを外す事でバランスを取る現地改修型と言っても過言ではないモビルスーツだった。
だが、迎撃しようとした際には、10波目となるモビルスーツ隊の半数が空中でいきなり爆発して四散したのだ。
肩の大型のバインダーを開き、スラスターを全開にしながら、ハイザックに大型ビームライフルのビームを放つ、胴体部以外をブルー系の色で染められた機体はあの人以外にはアンだけだった。
『連邦の犬が、沈めぇぇ!!』
『グッァァァ!?』
『ガトー少佐に続け!!』
『カリウス大尉、迎撃の指揮は任せる』
『ハッ、ガトー少佐!!』
『イチカ大佐、久しいな。
そして、間に合って何よりだ』
「ガトー少佐!?』
ガトー少佐の予定よりも早い増援に驚きながらも上空を見上げるとバリュートシステムを装備し、着地用のスラスターを噴かしながら降下するのは大気圏を突入して来たガトー少佐率いるペズンドワッジ隊のモビルスーツ部隊だったのだ。
無論、ガトー少佐の配下のカリウス大尉の指揮により、敵モビルスーツ隊を駆逐してフィリピン海域を強行突破により抜けて合流予定だったシンガポールへと向う事に成功すると、シンガポールの港には大量の補給物資を積んだコムサイが6隻が待機しており、アフリカ経由でモビルスーツを運んで来た潜水艦も待機していて補給を受けると同時に台湾へと向かう準備を始めたのだった。