シンガポールに入港したリリーマルレーンは10度に渡る波状攻撃により小破するが、コムサイからの補給物資や潜水艦からのモビルスーツの補充だったりと艦内は非常に忙しかったりする。
無論、ゲルググ改とズゴックEは潜水艦へと移動となり、ズゴックEで海中を暴れ回ったジュンコ少尉は少し残念そうに見送るが、逆に数隻の潜水艦から納入された8機のモビルスーツに眼を輝かせる。
「ニナちゃん、完成させたんだね♪」
「束大尉、コレは?」
「この6機は、ヴァルキリー小隊用に送られて来たアクシズの可変型モビルスーツのガザDだよ。元の開発中だったガザCは可変用のフレームが空中分解しかねない程にフレームが軟弱過ぎたから、再設計した機体なんだよ」
無論、ガザDだけでは無く、マシュマーとキャラに予定していたブラックローズは1機はパーツ用となり解体。もう1機は近接戦闘に特化した機体に改修したのは、厨房で調理をしていた鈴がマシュマーとキャラよりも高い成績を出した為にパイロットへと転向し鈴の専用の機体となる為だった。
だが、ガザD以外にも送られて来た機体があり、マシュマーとキャラにはアクシズでごく少数だけが試作され製造されたギャン改が支給されたのだ。
純粋に見ても、ギャン改は明らかにブルーローズ系モビルスーツに次ぐ高性能な機体だと一目見ただけでも判る。
そして翌日の朝、隊長であるイチカ隊長は搬入されたモビルスーツを確認する予定だったが、モビルスーツデッキには居らず、部屋のベッド上にて気絶していると、ラフな裸Yシャツだけの姿で食堂の床に正座で座らされて、部下のケイトが持って来たコーヒーを飲むアン大佐は自白する。
「アン大佐、朝の早いイチカ大佐に何が在ったのですか?」
「イチカね……///」
「まさか…」
確保した時の部屋の状況とアン大佐が顔を赤らめた事から察するに、二人して大佐のアレを一滴も残さない様に絞り尽くしたらしい。
そして、確保した際にはイチカ大佐にシャーロット中佐が腰を振りながら跨がっていた事から、夜の攻めが激しいと噂されるシャーロット中佐が止めを刺したのだと、私は結論付ける。
「ジュンコ少尉、言わないでね?」
「いえ、言わせていだきます。
イチカ大佐が気絶する程、朝までお盛んだったんですね!!」
「いゃぁぁぁ!?」
「「「「「ブッホォ!?」」」」」
頭に来た私の叫び、尋問に聞き耳を立てていたクルーは、アンの自白に驚きながら一斉に朝食で出された飲み掛けたコーヒーを吹き出し咽る羽目になる。
無論、イチカとマシュマー以外は男性クルーの居ないリリーマルレーンだからこそ出来る、アン大佐への生々しい尋問に興味津々に聞き耳を立てているのは娯楽が少ない軍艦だからだろう。
ジュンコ少尉がキレた理由が、アンとシャロが物資搬入中の忙しい時にイチカを性的な意味で食べた事が、搬入作業をしていたジュンコ少尉にバレる事になるが、イチカ大佐が搬入物資の確認に来ない事に疑問を持ち、イチカ大佐の私室の士官室へと向かうと士官室のベッド上にて全裸で気絶するイチカ大佐と未だに腰を振りながら食事中のシャーロット中佐と全裸のアン大佐を発見して、二人が性的な意味で食べた事がバレてアンだけが捕まり、尋問されるとは全く思わずにタジタジに成りながら答えるしか無かった。
無論、それを知って抜け駆けをされた事にキレた鈴とヤキモチを焼いたイリアの二人にシャロは連行され、シンガポールの露店へと連れて行かれて、シャロの財布で買い物を奢らされている。
「だって、何時もは何回も気絶をさせられるし、戦いの後の気分が昂ぶり過ぎて、つい、シャロと二人で…」
「で、気絶するまで絞り尽くしたと?」
「あっ、はい…」
「「「「「マジ!?」」」」」
現在、気絶してゲッソリと窶れたイチカ大佐は、束大尉に医務室にて治療されながら寝かされ看病して貰っていたのだが、2日ほどは窶れ具合からベッド上にて寝かす事が確定となり、正妻の鈴音さんの判断により二人がギルティと相成ったのは言うまでも無かった。
同じ頃、鈴とイリアに連行されてシンガポールの露店を周るシャロの財布の中身は悲鳴を上げていた。無論、左官級だから給金は其れなりに貰っていたが、キレた正妻を宥める為には必要な犠牲だった。
「はうぅぅぅ…」
「アンタ達が、あたしに黙って一夏を食べたのが不味かったわね。それで、反省しなさい」
「とほほ…」
勝ち誇る様に、南方の香辛料と南方食材をたんまりと買い込み満足顔の鈴と絹製の奇麗な民族衣装を手に入れてホクホク顔のイリアの二人。そして、財布の中身が八割程失い軽くなった財布を見てガックリしながら涙目のシャロは、台湾攻略後に楽しみにしていた食べ歩きが出来なくなって、イチカを一晩中貪り食べた事を後悔するのだった。
そんな時、鈴は思い掛けない人物を発見する。
「シャロ、アレ、箒じゃない?」
「えっ?
でも、髪は真っ白だけど組紐のリボンと背格好は一致するわね…」
確かに、鈴の見解は正しかった。
髪は真っ白になってはいたが、イチカから聞いた目印となるリボン代わりに組紐で結ぶポニーテールは箒だった。
だが、鈴達は知らないだろうが箒はルナツーから行方不明になって、イチカ達がポートモレスビーから強行突破をしていた一週間の間にア・バオア・クーからムラサメ研究所に搬送されており、記憶を抹消された上で強化人間にされていたのだ。そして、強化人間にした当初は四番目の強化人間のフォウ・ムラサメよりも精神状態はかなり不安定だったが、姉譲りの肉体面で細胞レベルでのオーバースペックが大量に投薬された薬物の副作用により開花する。
無論、肉体的なオーバースペックによる薬物の薬物の効きの悪さが要因で、更に強力な薬物によって強化されて精神状態は安定化はしたが、美しかった黒髪が投薬の副作用により脱色して真っ白になったのだ。
「ふふふ…あっ、ははは!!」
白いワンピース姿の箒は、笑いながら街を探索する。
それは、彼女に取っては束の間の自由であり、日々の訓練と投薬による重度のストレスから来る反発から自由気ままに露店で遊び周る姿だったのだ。無論、余りにも変わり過ぎた箒に唖然となるシャロと鈴の二人とどうして、二人がそんな驚いた顔をするのかわからないが、彼女がニュータイプに似た感覚を感じたイリアだった。
「鈴さん、彼女はもしかして?」
「一夏の一応、元幼馴染みよ」
「そうですか…ですが、彼女からは嫌な感覚を覚えますね」
「イリア、まさか箒は…」
「確実とは言えませんが、強化人間かと思います」
「「!?」」
イリアの落とした爆弾に驚愕しながら、二人は箒が強化人間にされた事と言う最悪なケースを予測して絶句する。
一応、鈴はこちらでの足りない知識は束さん経由で学び知識を得ていた。強化人間については、サイクロプス隊が新たにアクシズから救助したエルピー計画の四女と六女が娘として引き取った際に強化人間にされていた一件で知り、母親として必要な知識な為に勉強していたのだ。
無論、娘の名前は三春と六夏と名付けて、今はシーマ艦隊のシーマ閣下の下に預けられて、艦内のむさ苦しいクルーからアイドル化して可愛がられている。
話を戻すが、箒は人混みに紛れて見失ったので、追尾するのは辞めてシャロ達と買い物を楽しんだのだ。
翌日、束さん謹製の栄養剤を飲み復活したイチカだったが、モビルスーツデッキにて納入されたモビルスーツを確認しながら小隊編成に考え込む。
「やっぱり、正面から連邦軍とやり合うからなぁ…」
ガトー少佐の部隊と合わせた24機による台湾の宇宙港への襲撃。無論、俺達の部隊は海上をホバリングしながら滑走路側から侵入してモビルスーツ隊を排除しながら着陸用滑走路と大気圏離脱用施設の制圧とガトー少佐の部隊はターミナル側から強襲と制圧を既に振り分けは決まっていた。
無論、潜水艦による事前偵察では、連邦軍のモビルスーツ隊は最低でも20機近くが配備されていると報告を受けており、シャトルの大気圏離脱する為の加速用の施設は破壊しない様に制圧する事が大前提な作戦だった。
無論、突入するイチカ達の部隊とガトー少佐の部隊には、シャトルの大気圏離脱用の施設を破壊しない為にビームライフルの使用禁止が厳命されており、使用する装備は接近用のビームサーベルかジャイアントバズーカか補給で納入された大型のドラム式マガジンをバックパックのラックに装着してベルト給弾式で120ミリのヘビィマシンガンなどの実弾系装備だけだった。
俺のブルーローズは、バックパックには雪片弐式がラックに固定され、マガジン式ジャイアントバズーカと2つの予備マガジン、腰のアーマーのラックにはグレネードランチャー付き90ミリマシンガンと予備マガジンを装着してデッキに固定されている。その他は、アン達三人のブラックローズも近接戦闘仕様の鈴の専用機以外はジャイアントバズーカが装備され、予備マガジンは至る所にあるラックに固定されていたのだった。
現在は、ガザDを受領したヴァルキリー小隊の面々とギャン改を受領したマシュマーとキャラにブラックローズを乗る事を決めた鈴の9人は慣熟訓練に精を出しながら、新機種に対応をすべく訓練中だった。
そして、別の意味で問題だったガトー少佐とウラキ元中尉だが、キンバライト基地へと輸送が確定した元オリムラ中隊仕様のゲルググ改にてケリを着けて貰う為に模擬戦を実施し、二人の一時間半に渡る激闘の末にケリが着いたらしくて、ウラキ元中尉はニナさんをガトーとの関係を祝福しながら志願兵としてガトー少佐の部隊に入る事を決めたのだが、元連邦兵だったチャック・キース元中尉と元整備兵だったモーラ・キース元中尉と合流した後、俺達の中隊へと配属がシーマ閣下の采配により決まったのだった。
無論、キンバライト行きの予定だったゲルググ改はキャンセルしてウラキ中尉にはゲルググ改を渡し、チャック中尉にはキャノン仕様のゲルググ改を渡す事になるのだった。
だが、合流するのは台湾の宇宙港を制圧後であり、また、宇宙港へと逃げ込むシャトルには一人の名艦長と二人の少年少女が乗っているとはまだ知らなかったし、箒と俺が戦場で再会するとは、目撃して黙っていた鈴とシャロ以外は知らないのだった。