一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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君の名は

 

 

 束さんの所に居候を始めてから約3週間が過ぎたのだが、右にはアンが椅子に座り左には鈴が椅子に座っていた。

 

 「イチカ、はいあーん」

 

 「ぬっぐぐ、一夏、はいあーん」

 

 朝食を食べてはいるのだが、どうしてだかアンと鈴のあーん合戦が繰り広げられているのだ。

 

 そして、二人の背後に現れているのは虎と龍が睨み合っているのでは無く、何とも可愛らしい子狐と子猫が睨み合う何ともほのぼのしているものだが、可愛い顔して交互にご飯を俺の口にあーんしながら押し込もうとしているのだ。

 

 もう一つ言い忘れたが、俺の前には何皿もの食べ終えた皿が重なり、関取の様に俺のお腹が膨れている事だけは言っておこう。

 

 「イチカ、卵焼きね。あーん」

 

 「ムッグゥ!?」

 

 お腹が一杯だが、アンがニコニコしながら卵焼きを口に押し込む。

 

 「一夏、味噌汁よ!!あーんして飲みなさい!!」

 

 鈴も負けじとあーんをしようとするが、残すは卵焼きのみでアンに確保されてあーん出来ず、仕方なく鍋の味噌汁をお玉で掬い、鍋を抱えながらニコニコして俺に飲まそうとしていた。

 

 「ゴッフゥ……鈴、それはあーんする物じゃないぞ!?」

 

 「黙って、飲みなさい!!」

 

 「アッチィィ!?」

 

 「全く、一夏の料理は美味いがよ、朝から砂糖を吐きそうだぜ」

 

 「オータム、私達も大人のアレを三人に見せ付けて見るかしら?」

 

 「スコール、オレはレズじゃねぇ!!」

 

 「あらあら、照れちゃって」

 

 「むっ、お兄ちゃんにあーん出来ない…」

 

 「うんうん、束さん的に楽しい朝食はカモンだね」

 

 オータムさんは何故かウンザリしたように俺達三人をジト目で睨み、スコールさんは獲物を狩るような目付きでオータムさんを見て、普段からの欲求不満から俺達に見せ付けようとそしてオータムさんを誘うが断られ、あーんが出来なかったマドカは二人に嫉妬しながら睨むのだった。

 

 

 話が変わるが今度、束さんが俺が生存していて束さんにより保護されて治療していた事の公表と、ISが扱える事を新しく立ち上げた会社の発表に合わせて発表するらしい。

 

 そして、俺達四人はIS学園に入学する事は決まっていた。

 

 会社名はホワイトラビット社で企業代表として、四人は来年の4月のIS学園入学に向けて様々な訓練やISにまつわる勉強をしていたのだ。

 

 ただ、オータムさんとスコールさんには護衛兼教師として派遣する事を急遽決めていたらしくて、俺達が来た日に辞令を出したが、あの日の様にオータムさんが急過ぎだとキレたらしい。

 

 そして、今は俺達三人の専用機を開発すべく、訓練しながらデータ取りをしている最中だった。

 

 特にISでの模擬戦はアンと鈴は性格的には同じだが戦闘スタイルは別だった。

 

 アンは訓練用のテンペスタの高機動性を自在に駆りながらもオールラウンドに戦い、重火器による一撃を入れて離脱する一撃離脱戦法を好む傾向だった。

 

 逆に鈴は打鉄を駆りながら葵でパワーを活かして斬りかかる、パワーファイターさながらの戦い方を好む傾向だった。

 

 これには束さんも二人の模擬戦を見ながら専用機開発に頭を抱える始末だった。

 

 俺もアンと同じく高機動仕様のテンペスタを駆り、お手製の斬艦刀モドキで一撃離脱戦法でフル加速しながら鈴のライフルの射撃を躱して反転し、すれ違いざまに鈴の訓練用の打鉄を斬り刻んだのだ。

 

 斬り刻まれた鈴が駆る訓練用の打鉄はシールドエネルギーを削り切られて真っ逆さまに海へと落下したのだ。

 

 「くぅ〜う!!

 

 ま〜け〜たぁ!!

 

 何よアレ!!

 

 アンも一夏もISに乗ってから一週間しか無いのに、自在に空中戦をするなんて元代表候補生としてのプライドがズタボロよ!!」

 

 アンと俺に惨敗した鈴は浜で手足をバタバタしながら、かなり悔しがっていた。

 

 宇宙での姿勢制御方法はやはりISでの空中戦でも役に立つ。

 

 その代わりに、全てのスラスター制御がマニュアル操作になるのだが、別にジョニー少佐の部隊に配属した時の通商破壊作戦の時に乗ったMS-06R-1高機動ザクのマニュアル操作と比べたら楽とも言えた。

 

 それに、アンも俺も高機動型のテンペスタとはかなり相性が良かった。まぁ、アンの場合はバズーカやロケットランチャーなどの重火器を好む癖は一年戦争の時から全く変わらない。

 

 「いっくんの専用機が完成したのだ!!」

 

 「束さん、白式のスペックを見てもいいですか?」

 

 「持ちのロンなのだ」

 

 束さんから白式のスペックを確認すると玄人向けのピーキーな機体で酷すぎると言える性能だった。ただ、白式の加速性能はテンペスタよりも早い機体だとわかるが…

 

 「束さん、これは流石に無いな。玄人向けなピーキーな機体だし、紙装甲だし、牽制用の銃火器も無くて剣のみって…」

 

 「駄目だったかないっくん?」

 

 「せめて、これぐらいは欲しいですよ!!」

 

 ア・バオア・クー決戦時の俺とアンが駆っていた、高機動型ゲルググカスタムの武装一覧と大まかな性能を見せたのだ。

 

 「コレは、流石にマジ?…いっくん、厳し過ぎだよ…」

 

 一度、束さんが俺の専用機の『白式』を完成させて俺に持って来たのだが、牽制用の火器も無い剣一本のピーキーな紙装甲では話にならないと一蹴した。

 

 無論、一蹴しても束さんには仮提案として両腕には内装型の30ミリ機関砲の装備とテンペスタで使っている斬艦刀を頑丈に尚かつ切れ味が鋭い斬艦刀の装備。

 

 更に、使用する手持ち火器にはマシンガンと腰のスラスターユニットにはスライド式のマガジンラックを追加する提案をしたのだ。 

 

 無論、機体の仕様は元の白式の高機動性を活かした高機動強襲型だ。

 

 そして、駄目出しを食らい作り直しとなった俺の専用機は束さんが一週間殆ど徹夜して完成させて、名前はそのまま『白式』となった。

 

 アンの専用機は完成した白式をベースにした専用機だが武装が少しだけ違う。

 

 両腕の内装型30ミリ機関砲と手持ち火器のマシンガンは一緒だが、腰にマウントした近接用のレーザーブレードの他にウイングスラスターの付根には重火器用のラックが付いていて、71口径56ミリ折畳式対物ライフルと120ミリジャイアントバズーカを背負っている。

 

 そして、腰のスラスターユニットにはスライド式のマガジンラックと柄付きハンドグレネード、別名ポテトマッシャーを装備して白式よりも重装備だ。

 

 アンの専用機の機体仕様は白式と同型の機体の為に高機動強襲型で名前は『蒼式』となった。

 

 完成した俺とアンの専用機は、一次移行でア・バオア・クー決戦で駆ったMS-14B-OCイチカ・オリムラ専用高機動型ゲルググカスタムに似た装備とカラーリングの白と蒼に成っていたのは言うまでもない。

 

 そして、両方のISコアの悪戯は終わらずに肩のアーマーが高性能のスラスター付きのゲルググの肩のアーマーに代わり、肩と胸のアーマーにはジオン軍のマークと俺達二人が所属していたジオン軍ソロモン方面防衛師団343突撃宇宙大隊のロゴマークに所属機体番号の343-105と343-106の番号まで入っていると言う芸の細かさだった。

 

 「なあ、コアが絶対に俺達の記憶を読んだよな?」

 

 「イチカ、あたしにISの事が詳しく解らないのに聞かないでよ…」

 

 一次移行後に原因究明でハンガーに展開した俺とアンの専用機を観ながら呆れたのだった。

 

 そして、鈴の専用機はMS-08TXイフリートカスタムを理想として束さんと俺がジオン軍での記憶にあるイフリートカスタムを話しながら、一緒に議論して設計したのが重装甲高機動強襲型『紅式』だった。

 

 メイン武装は中国の青龍刀をモチーフにして、斬艦刀並の切れ味と頑丈さを兼ね備えたヒートソードが二本と両腕には内装型のグレネードランチャー、両足のスラスターユニットには展開装甲の応用技術で造った展開式のマイクロミサイルポッドが内装された他には武装という武装が無い。

 

 その代わりに最大の武器とも言えるのがマシンガンの弾丸を弾く厚い重装甲と機動力。

 

 そして、スラスターユニットを装甲に挟む事で実現し、スラスター推力は白式より加速が早く、トップスピードを活かしたまま相手に縦横無尽に撹乱しながら飛び回り、接近戦では重装甲を活かして一対多数を想定した専用機に完成したのだ。

 

 完成した紅式を見て、設計に参加した俺と意見を聞きながら開発した束さんの二人は思った。

 

 少し、やり過ぎたと。

 

 そして、鈴が専用機を得てからの模擬戦は水を得た魚の様に鈴のパワーファイトは凄まじかったと言っておく。

 

 「紅式、行くわよ!!」

 

 「餓鬼が図に乗るんじゃねぇ!!」

 

 順手逆手に持つヒートソードを構えながら、瞬時加速を加えて加速する。

 

 その加速力は世界でトライアル中の3世代機を凌駕した加速力であり、白式をも超える機体だとは思わなかった。

 

 アラクネはレーザーで紅式の進路を潰しに掛かるが、当たるどころか、バレルロールを描きながら躱し速過ぎて紅式が通った後に虚しくレーザーが着弾する。

 

 「畜生!!

 

 全く捉え切れねぇぞ!?」

 

 「せやァァァァァ!!」

 

 模擬戦で相手になったオータムさんの駆るアラクネが、夕飯に蟹鍋をよろしくと言わんばかりに、瞬時加速で猛スピードで駆る鈴の紅式のヒートソードでアラクネの脚がパワー任せに斬り刻まれたアラクネは、シールドエネルギーを失ったらしい。

 

 「ちくしょぉぉぉ!!」

 

 「あたしの勝ぃ!!」

 

 そうとは知らない俺は、海で採れた旬のタラバ蟹を具材にした蟹鍋を夕飯に出したらオータムさんがキレて叫ぶ。

 

 「一夏、てめぇ!!鈴に負けたオレに対する嫌味か!!」

 

 「えっ、オータムさん!?」

 

 「なんだよ、一夏は夕飯作ってて知らなかったのかよ。ラガービールを出しな!!それで、蟹鍋の件は忘れてやる」

 

 とオータムさんがキレたのだった。

 

 そうとは知らなかったので、オータムさんにはキリンラガービールを出して機嫌を直して貰ったのは言うまでもない。

 

 夕飯も食べた後、妹のマドカ専用に簡易設計をしていた。

 

 マドカからの要望通りに射撃特化の全距離対応型でBT兵器搭載機になる予定だ。

 

 BT兵器の稼働データは束さんがイギリスをハッキングした際に入手していたのを最近知り、マドカの高いBT適正(マドカのBT適正はSSだった)を生かせるからだ。

 

 「少し、通常のISより少しだけデカくなるが構わないよな」

 

 「どれどれ、いっくん。コレは、マジで束さんに作らす気かな?」

 

 背後から現れて図面を覗き込むのは束さんだった。

 

 「マドカの専用機にって考えたんですがね…」

 

 「BT兵器と荷電粒子砲による射撃主体の機体だね。ねぇ、まさかだと思うけど腕もBT兵器なのかな?」

 

 「開発が困難になるな…」

 

 確かに、シャア大佐のジオングからヒントに腕にも、小型で手の指を砲身にした5連装の荷電粒子砲を搭載したBT兵器であり、ララァ大尉専用のサイコミュ試験型高機動ザクに試験的に搭載された大量のビットを両肩にスラスターユニット兼ビットの母体と考えたのだ。

 

 そして、アンの蒼式の装備のレーザーブレードを大型化したハイパーレーザーブレードも近接武器として搭載しようと考えていた。

 

 俺達の専用機のサイズには収まらずマドカの専用機は予想通りに難航したのだ。

 

 

 そして、開発は束さんに丸投げして部屋に戻り、自室にて寝ている時だった。

 

 

 再び、水面が広がる風景に呼ばれた俺は、あの白いワンピースを着た少女に出会った。

 

 「あっ、また来てくれたんだね♪」

 

 二人の彼女が居るにも関わらずに少女は俺に抱き付いたのだ。

 

 だが、何故とは言えないが嫌とは言えなかった。

 

 しっくりと来る感覚。

 

 「「あっ、ズルい!!」」

 

 そして、もう二人の赤いワンピースを着た少女と蒼いワンピースを着た少女が現れて、二人も抱き着く。

 

 決して、俺はロリコンではない。 

 

 「むっ、ナンバー001ばかり、パパに抱き付いてズルい!!」

 

 「うるさい!!

 

 パパは私のご主人さまなの!!

 

 ナンバー223は離れなさいよ!!」

 

 「何だとぉ!!」

 

 「チャンス!!」

 

 「「あっ、ナンバー004!?」」

 

 俺は三人の少女の取り合いに巻き込まれながら、少女達がISコアだと気付く。

 

 「もしかして、お前たちは白式(001)と蒼式(223)に紅式(004)か?」

 

 「「「そうだよ〜」」」

 

 やっぱり、三人の少女は俺達の専用機のコアだった。

 

 「あっ、でも本当の目的は名前が欲しいな」

 

 白式のコアの少女が上目遣いしながら俺を見る。

 

 「「良いなぁ」」

 

 まだ、主人に気付いて貰えない二人は羨ましそうに俺達二人を見ていた。

 

 彼女を見て、思い付く名前は…

 

 「君の名は……白星なんてどうだ?」

 

 「うん!!

 

 今日から私は白星だね!!」

 

 白星は嬉しくて俺に抱き着いたのだ。

 

 「「あっ、マジでズルい!!」」

 

 そして、白星は嬉しさの余りに……俺の唇に柔らかい感触がしたのだった。

 

 白星は顔を真っ赤にしていたが満更でもない様子だった。

 

 「えっへへへ。

 

 初めてを上げちゃった♪♪」

 

 「「絶対に私のご主人様に言い付けてやるから!!

 

 うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」」

 

 たが、白星がそうでも二人には見せ付けていた様で、二人の少女は泣きながら走り二人はいつの間にか消えていたのだった。

 

 そして、俺もいつの間にか自室のベッドの上だった。

 

 バタバタバタ

 

 「「イチカ!!」」

 

 廊下を走って自室に向かって来るのは、アンと鈴だろう。

 

 ズッガァァァァン

 

 アンのぶっ放したロケットランチャーにより吹き飛ぶ防弾仕様の自室の扉。そして、シーマ大佐の海兵隊も真っ青な、ロケットランチャーなどの重火器とアサルトライフルを装備して俺の部屋に突入して来た迷彩服姿のアンと鈴の二人。

 

 そして、二人が手に握り潰して握るプリントアウトした写真。

 

 この状況に、俺は非常に嫌な予感しかしない。

 

 「「イチカ、あんたねぇ!!

 

 この、イチカの唇にキスしている少女は誰よ!!」」

 

 二人から目の前に突き付けられた写真は、白星が俺にキスしている写真だった。

 

 まさか、本気で蒼式と紅式のコアが目の前のご主人に言い付けたのかと、二人に一時間程問い詰めたい気持ちだ。

 

 「一夏!!素直に話してくれたらアンタを殺して、その少女も地獄に送るだけで許してあげる!!」

 

 「いやいや、俺は死んでるだろ!?」

 

 「イチカ、浮気したアンタと少女に死ねって、言っているのよ!!」

 

 「アンまで!?」

 

 「「イチカ、覚悟!!」」

 

 「くっ、逃げるしかない!!」

 

 「「イチカ、待ちなさい!!」」

 

 俺は窓を突き破り、二人から逃げ出したのだが、二人はアサルトライフルを乱射しながら追いかけて来る。

 

 「「に〜げ〜る〜な〜あ!!」」

 

 そして、デスマーチと言う名前の追いかけっことなり、二人に一晩中追いかけ回され島の中を逃げ回ったのだった。

 

 

 

 

 

  

 

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