ティターンズの3機の巨大モビルスーツを撃破した後、海兵隊と共同による住人への救助活動を行う。無論、モビルスーツは瓦礫の撤去作業の為に駆り出されてジュンコ少尉以下のヴァルキリー小隊は市街地の瓦礫の撤去の作業中だったりしている。
だが、リリーマルレーンのモビルスーツデッキでは、市街地で大破したブラックローズのコクピットから救助され担架によって運ばれて来ており、ぐったりとしながら気絶するアンと海兵隊の看護兵の処置により顔に包帯で巻かれて止血され気絶するシャロを尻目にしながら、俺にコクピットから降りた所を顔面を殴られたカミーユが宙を舞う。
バッキィ
「グッハァ!?」
「カミーユ、お前が殴られる意味を理解しているな?」
「くっ!!」
「止めて!!
私の助けて欲しいと想った波動を受けて助けてくれたカミーユは悪くない!!
だから、悪いのは私よ!!」
同じくコクピットから降りた、ティターンズのノーマルスーツを着る一人の少女が割って入り、殴られ壁を背にしながらぐったりするカミーユを背に隠して庇う。無論、カミーユをこれ以上殴るつもりは無い。寧ろ、一般人であるカミーユをモビルスーツ強奪した事実から軍法裁判から最悪、銃殺刑にならずに庇う為に現地徴収した志願兵として報告書を纏めて報告するつもりでもあった。
「君がフォウ少尉かな。大丈夫だ。
一応は、カミーユを現地徴収した志願兵として処理するさ」
「やっぱり、温かいニュータイプの波動は貴方だったのね。でも、カミーユは志願兵として処罰はされるの?」
「カミーユには甘いかも知れないけど、懲罰房に一週間ぐらい入れるのが妥当だろうし、フォウ少尉も軍属だったから判るだろ?」
「はい、カミーユが銃殺されるよりは良いですね。でも、捕虜である私を自由に艦内を歩かせても構わないですか?」
「いや、悪意を全く感じず、カミーユにほの字なら問題は無いと言い切れるさ」
「ほの字!?
そっ、そんなに私は判り易いの!?」
カミーユへの丸分かりな恋愛感情を俺に読まれて顔を真っ赤にするフォウ。何より、鈴達3人と結婚しているのだからこそ、カミーユへの想う心は非常に判り易いのは当然とも言える。
そして、艦内待機のマシュマーにカミーユを懲罰房へと運ぶ様に言い付けて運ばせ、キャラにはフォウを用意した自室へ案内させながら別れると、束さんが寝泊まりする自室へと向かったのだ。
箒ちゃんとは姉妹関係が終わっていたけど、実際に箒ちゃんが死んだ事を聞いて涙が止まらなかった。
「もっと、箒ちゃんとはお話ししたかったよ。
もっと、束さんは箒ちゃんに姉らしい事が出来たのかな?
死んじゃったら、もうお話しも出来ないじゃないか!!
ふざけて、箒ちゃんを抱きしめる事すら出来ないじゃないか!!
ウワァァァァァァァァァァ!!」
そして、自室に籠もりながら箒ちゃんの死を嘆き泣き叫びながらベッドの脇に座り込み泣き続けたのだ。そして、いっくんが戻って来ただろうと想う頃に束さんの自室の扉が開く。
「束さん…」
自室に来たのは、いっくんだった。
ただ、いっくんは哀しそうな表情をしながらも束さんを見つめる。
「いっくんなの?」
いっくんの名前を呟きながら、振り向くと優しく抱き締められていた。
「束さん、箒を殺してゴメン!!」
いっくん、束さんに謝らないでよ。
だって、あんな箒ちゃん。
見るに耐えられない様な、壊れた玩具になった箒ちゃん。
でも、大事な束さんの宝物だったのに…
いっくんが箒ちゃんを殺した事実は変わらない。
箒ちゃんをあんな風にしてしまったティターンズは許せないけど、箒ちゃんを殺したいっくんだって許せなくなるから、アヤマラナイデヨ…
そして、未だに泣きながら謝るいっくん。
「殺すしか、方法が無かった。
だから、束姉、ごめんなさい!!」
「だがら!!
ひっくぅ……いっくん、束さんに謝らないでよ!!」
いつの間にか、虚ろな目になりながらいっくんの胸倉を掴み殴り飛ばす。そうしなきゃ、いっくんを箒ちゃんの仇だからって殺してしまうから…
バッキィ
「あっぐぅ!?」
「いっくん、少しだけ甘えても良いよね…」
鈴ちゃん達からヤケを起こしたって、言われても否定はしない。
殴られ、気絶したいっくんは束さんには愛し過ぎるから、仇だからって殺せない。
ハラッ…ハラッ…
「愛し過ぎる、いっくんがいけないんだよ?」
生まれたばかりの姿になった束さんは、優しくいっくんをベッドに寝かせるといっくんの士官服を脱がして裸にする。
そして……
いっくんを殴り飛ばした後の束さんの記憶は全く無いけど、ただ覚えているのは着ていたブラウスのボタンを外して束さん自慢の豊満な胸を曝け出すと気絶したいっくんを抱き締めながらいっくんを脱がしてから束さんは生まれたばかりの姿になって、箒ちゃんを無くしたポッカリと空いた心を埋めるためだけに、いっくんに甘える様に心の傷を舐め合う様に慰めて貰った記憶しかなかった。
翌日、ベッドで束さんを抱きながら甘えて眠るいっくんをお姫様抱っこして、いっくんの士官室へと運び寝かせる。無論、眠っているいっくんや鈴ちゃん達にはバレない様に束さん特製の睡眠薬を二人に注射をしてあるから暫くは目覚めないだろうし、士官室で目覚めてもいっくんは、あの出来事が夢だと勘違いするだろう。
「さて、いっくんから元気を分けて貰ったし、束さんもアンちゃん達の機体でも直しますか」
艦内指定のつなぎ服に着替えると、束さんは市街地から回収されて運び込まれたアンちゃんとシャロちゃんの大破したブラックローズを見ながら修理を始めたのだった。
「これ、直せるかな?」
ただ、思った以上に酷く大破した2機のブラックローズの酷さから、心が折れかけた束さんだった。
翌日、束さんとの出来事が夢だったかの様に、自室のベッドに寝かされていた。無論、隣に眠っているのは可愛い寝顔を晒す鈴であり、鈴のお腹には俺の子供が宿っていると思うと愛しく感じる。
「朝か…」
「ふっにぁぁぁ?
いちか…?」
髪を降ろした姿で寝ぼけて覚めた鈴も可愛らしくて、指でツンツンと頬を軽く突くと猫の様に鈴は甘える。そして、ベッドから出て士官服に着替えると着替え中の鈴を尻目に部屋を出て、ブリッジへと向かう。
「ツキノ少佐、おはよう」
「イチカ大佐、おはようございます。
シーマ閣下より通信で次の指令はホンコンシティへと向い補給を済ませ次第、ホンコンシティのマスドライバーによりソロモンへと帰還せよとの事です」
「東南アジア方面は良いのか?」
「入れ替わりにシーマ閣下の部隊がレイテとグアムに降下作戦を実施して制圧した後にガトー少佐の部隊と入れ替わりに入る予定です」
「ガトー少佐も遅れて宇宙に上がるのか?」
「はい、ガトー少佐の部隊もムラサメ研究所の一件を片付けて台湾に戻り、シーマ閣下の部隊が台湾防衛に入り次第にホンコンから宇宙に上がりますが、ガトー少佐にはアクシズからのモビルアーマーの運用試験に参加する予定です」
「ノイエ・ジールが完成したんだったな」
「で、俺達がソロモンに戻る理由は何だ?」
「言い難いのですが、老朽化の激しいリリーマルレーンの代わりとなるアナハイム社製の新型の母艦に私達クルーを含めて移動となる様です。
一応、艦名は強襲揚陸戦闘母艦『ムサシ』らしいです」
ツキノ少佐から渡されたムサシのスペックは凄い高性能な強襲揚陸艦と戦艦の良いとこ取りした良い艦だと判る。モビルスーツの搭載数は20機が収容が可能であり、主砲は高出力の大口径三連装のメガ粒子砲が三基九門の高い攻撃力を有しておりながら、ミサイルランチャーなど多彩な武装と両舷にあるカタパルトなど、グワジン級並の攻撃力と艦載能力に大気圏突入能力と離脱能力を合わせた様な化物みたいな性能の艦が新しい母艦になるらしい。
無論、ムサシの設計担当者は束さんにニナさんとアナハイムのドレッサ設計主任による基礎設計と旧日本海軍の戦艦大和の図面と武装配置図を元に建造されたムサシだった。
そして、アナハイムで就航したムサシはハマーン様が処女航海として乗艦し、月面のアナハイムからソロモンへ移送中にティターンズの新型艦のアレクサンドリア級二隻と護衛のサラミス改4隻による、6隻対単艦による遭遇戦による艦隊戦へと突入したが、大口径の三連装のメガ粒子砲と副砲の三連装の小口径のビーム砲を放ち、二隻のアレクサンドリア級と4隻のサラミス改を無傷で轟沈させているらしい。
そして、ハマーン様はムサシの戦闘をブリッジからみて『もう、強襲揚陸戦闘艦の性能じゃないよね、もう戦艦でいいよね!?』と素の少女化して泣きながら叫んだとか叫ばないとかあったらしい。
「よし、ツキノ少佐」
「はい?」
「防空指揮所での咥えタバコとサンダルを履く事を奨めるよ」
このネタが判る人は凄いと思うが…
「はぁぁぁ!?
イチカ大佐!!
誰が、伝説の戦艦ヤマトの艦長のモリシタ艦長をやれと言うんですか!!
私の操艦技術じゃ、モリシタ艦長に失礼ですよ!!」
「だって、ムサシの艦長はツキノ少佐だろ?」
「グッスン…そうですけど、そうですけど、新型艦の艦長なんて胃がマッハに逝きそうですよ!!
それに、アカツキの艦長なんか、自前の胃薬を持参ですよ!!」
「うん、まぁ、束さんに兎さん印の特製の胃薬を作る様に言っとくな…」
確かにキャラの濃いクルーや問題児の3人など俺でも胃が痛くなる。まぁ、ツキノ少佐に任せれば構わないか…
ブリッジで艦長弄りをしている内にホンコンシティのマスドライバー施設のドックに入り、鈴と目覚めたアンがルオ商会へと出向いて食料の買い出しに向かう。そして、コムサイからパーツとして運び込まれた大気圏離脱用ブースターの組み立て作業の監督をツキノ少佐に任せ、空港にて合流したウラキ中尉とチャック中尉にニーナ中尉の3人を迎えにマシュマーが向い、シャロが眠る艦内の病室に向かう。
「シャロ、目覚めたか」
「あっ、イチカ…」
入ると同じく目覚め、額に切り傷を残すシャロだが、束さんが少しだけ作ったナノマシン治療薬を打って貰ったから傷は消えるだろう。
「ソロモンに撤退が決まったよ」
「ムラサメ研究所の襲撃は?」
「既に、ガトー少佐が破棄されたムラサメ研究所を押さえたし、地下からは少年少女達がかなりの数が救助されたよ」
「その子達は?」
「別の便でソロモンに送って保護するらしい」
「そう…
でも、アンも私も今回はイチカに助けられた…」
「二人が無事なら構わんさ。
それに、二人が箒を押えて居たから危険な1号機の機体を撃破出来たからな」
「イチカ、結果論だよ」
そう、否定して落ち込むシャロを優しく抱き締める。
「ソロモンに戻ったら休息だからな、家族で出掛けるか」
「うん!!」
一先ず、シャロは満面な笑みを浮かべて笑い抱き返す。そして、シャロは疲れたのか再び眠りに着いたのだった。
同じ頃、ホンコンシティのルオ商会に着いたが、鈴がアンを怪奇な目で見るのは、アンのお嬢様の様な服装が原因だった。
「で、何でアンタはそんな格好な訳?」
「しっ、仕方が無いじゃない‼
没落した貴族だけど、ルオ会長と会う為にフリークス家の名前を使ったんだから!!」
確かに、アンと一夏から聞いた話では元は欧州連合の貴族だったらしい。
「アン・フリークスよ。ルオ会長に取り次ぎを願いますわ」
「はい、確かにフリークス家ですね。
奥へどうぞ」
そして、セシリアみたいなお嬢様口調で話しながら、受付嬢にアンはいつも首に掛けているフリークス家の家紋入りの懐中時計を見せて、フリーパスで奥へと通されるのだった。
そして、会長室へと案内され中に入ると一人の男性が座っていたのだった。
「おやおや、フリークス家のお転婆娘は生きて居たんですね」
「あら、私が生きて居ては何か不都合でも?」
「いやいや、うちの商会に預けっぱなしのフリークス家の数兆ドルを越すお金の処分に困っていただけですよ」
「あら、そうでしたの?」
最早、あたしの出る幕は無い。
アンは、貴族の令嬢としてにこやかに笑いながらも、目は全く笑って居らず淡々と商談を纏めて行く。
「ほう、ジオン系のモビルスーツのパーツと大量の食料の買い出しですか…」
「えぇ、そうですわ。ルオ商会に預けっぱなしの金額なら十分にお釣りが来ますわね?」
「確かに、十分過ぎますね。
資産の処分を序にお考えでしたら、新品同様のモビルスーツを数体付けますよ?」
「あら、どんな機体かしら?」
パッァァと明るい笑みをしながら機体を聞き出している。
「フリークス嬢様、MS-11に聞き覚えは?」
「あら、ア・バオア・クーでも見ましたアクト・ザクかしら」
「偶然、こちらでも入手しまして格安にお付けしますよ」
「では、よしなに」
こうして、アンとルオ会長との商談が纏まり、二人は握手して契約書にサインをする。無論、ルオ商会を出たアンは帰りのタクシーではぐったりとしながら
「あぁ、マジ疲れたわよ」
といつもの口調に戻り疲れたと叫ぶ。
そして、夕方にはリリーマルレーンのドックにはアクト・ザクを乗せた4台のモビルスーツ用のトレーラと大量の食料が入ったコンテナを積んだトラックが入り、補給作業に追われたのだった。