一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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ソロモンへの帰還

 

 

 

 「ふぅ〜」

 

 カチャリと飲んだコーヒーカップを机に置きながら、大気圏離脱後に尋問した捕虜となった不死身の第四小隊の隊長のバニング大尉の調書とシャロの元部下だったイヴ・フユキ中尉の調書を読みながら纏めていた。

 

 彼等と彼女は予想していた通り、マダガスカル島の連邦軍の部隊だったのだが、扱いが冷遇された部隊だった。

 

 ア・バオア・クー決戦で最終的に俺とアンの駆るゲルググを追い詰めたバニング大尉の部隊なら改良型のジム・クウェルかガルバルディβくらいは回されるだろうが、ティターンズに懐疑的な連邦軍の兵士だった為に一切の新型機は回されず、ウラキ中尉が参戦したガトー少佐が強奪したGP-02の奪還作戦際に使用した旧式のジム・カスタムとジム・キャノンⅡを現地改修を繰り返しながら使用していたらしい。

 

 無論、イヴ中尉も元ジオン兵だったが、シャロの破棄された大破したグフカスタムを回収し、戦時中に使用していた自機のグフカスタムのパーツを利用して改修と修理をして密林の洞窟内に隠していた最中に東南アジアの戦線崩壊により連邦軍に投降する。戦後に収容所から釈放されてからはグフカスタムを回収して傭兵稼業をしながら生計を立てていたが、マダガスカル島でバカンス中に緊急の徴兵で連邦兵としてバニング大尉達とホンコン襲撃に参加したらしい。

 

 もちろん、他の捕虜にも尋問中だが扱いが冷遇され食料すら酷かったらしくて鈴特製のカツ丼を捕虜へと出した時点でバクバクと食べながらベラベラといろんな情報を全て喋り、何処ぞの警察署の様に簡単に調書が纏まる結果となったのだった。

 

 「イチカ、ちょっと良いかな?」

 

 「どうした?」

 

 調書を纏めていると、シャロがイヴを引き連れて一緒に士官室へとやって来たのだ。

 

 「イヴの扱いだけど?」

 

 「アクシズの兵士として復帰する話か?」

 

 「シャーロット隊長、アクシズってアステロイドベルトの基地要塞ですよね?」

 

 「イヴ、私の今はイチカ大佐の隊長補佐ね。アクシズは、宇宙要塞アクシズを本拠地にミネバ様が総統を務め、ハマーン様とシャア閣下が摂政する旧ジオン派が多数を占める組織ね。今は、奪還したソロモンを拠点に活動中だけど」

 

 「あの敗戦は何だったんだろう…」

 

 イヴは敗戦に悔やみながらも中尉待遇で復帰したが、ソロモンに戻るまでは扱える機体が無い事などを説得した後にイヴだけが士官室から出て部屋に戻る。

 

 「イヴと行かなくて良いのか?」

 

 「イチカと二人きりで甘えたいから、別に良いじゃない」

 

 シャロは腕を回しながら、俺の太股に跨り抱き付き俺に甘える。シャロの特有の甘い香りに欲情してシャロの巨大な胸を鷲掴みにして揉みたくなるがアンや鈴に悪いと思い我慢する。

 

 無論、アンはシャロの代わりにカミーユとウラキ中尉のシミュレーターによる訓練を監視しているらしく、鈴は妊婦である為にドクターに検診を受けてから厨房で調理していた。

 

 

 大気圏離脱してからだがシーマ艦隊と合流した後、艦隊所属のムサイ改の二隻の護衛を引き連れてソロモンへと向かう。無論、ソロモンまでは3日ぐらいの航海となるが、その間にティターンズや連邦軍との遭遇戦は一切なく、ソロモンまでの航路の制宙権はアクシズが完全に掌握済である事からも伺えたのだった。

 

 もちろん、カミーユとウラキ中尉は更にバニング大尉が鍛え、不死身の第四小隊のメンバーはアクシズの下部組織化したエゥーゴ入りを決めたらしくて、ソロモンに戻るまではアンとシャロによる三人での地獄のシゴキを受けたのは言うまでもない。

 

 

 

 3日目の朝、リリーマルレーンはソロモンのドックへと入港を果たし、俺達の新しい母艦となるムサシへと横付けに固定される。ムサシとリリーマルレーンのモビルスーツハッチが開き、メカニック達がモビルスーツの移動と反対側では搬入ハッチが開きムサシへの物資の積み込み作業が始まり、リリーマルレーンのクルーも人員ハッチに通路が伸びてムサシの人員ハッチへと繋がり移動が始まる。

 

 「これが、ムサシかよ…」

 

 「デカイ艦よね…」

 

 「なんか、デジャヴ…」

 

 俺とアンにシャロは、ミネバ様への帰還の報告にランチに乗り居住区へと向い、リリーマルレーンからの引っ越し作業とムサシへの補給作業する光景を見ながら移動していた。無論、工廠からモビルスーツハッチへと搬入され8機の量産化に成功したブラックローズと指揮機仕様の2機のブラックローズ改の他にリリーマルレーンからは2機のギャン改が移され、艦内に残るヴァルキリー小隊仕様の白いガザDとアクト・ザクは降ろされていたのだった。

 

 

 居住区のミネバ様の邸宅は、純白の外壁とオレンジ色の西洋瓦の似合う左右対称の大きな4階建ての木造とレンガによる美しい屋敷だった。無論、ミネバ様の宣言の煽りを諸に喰らい数日は徹夜だっただろう、新たに総統にされ窶れ目の下に隈を作ったハーマン様が言うには俺達の屋敷でもあるらしく、総統の座を恋と愛に生きると宣言して総統を放棄したミネバ様の『イチカのお嫁さんになる!!』は本気だったと背筋に冷たい汗が流れる様な感覚だった。

 

 「これって、あたしは認めないとイケない?」

  

 「いや、成人したらって、鈴は認めたわよね?」

 

 「イチカには苦労して貰うしか無いわね…」

 

 「まさか、ハマーン様が総統になるなんて予想すらできなかったぞ?」

 

 「だから、ミネバ様はツヤツヤでハマーン様はかなり疲れた様子で窶れていたのね…」

 

 何だかんだで、玄関前に着くとメイド達が出迎えており、屋敷内へと案内されてミネバの私室へと通される。

 

 「イチカ!!」

 

 ミネバはイチカが戻って来たのを見るなり抱き着き、顔を真っ赤にしながら俺の唇へとキスをする。それには、三人の妻が驚くがキス位ならと見逃す。

 

 だが、内心は『お巡りさんを呼ばれないか?』と一瞬は思うが、結婚年齢になる16歳までの後六年はミネバは正妻の鈴の真の怖さを知っている為に一緒に入浴とかベッドに忍び込むのは我慢するらしい。

 

 

 ミネバと妻達による3日間の休暇を過ごし、ハマーン様から呼び出しが掛かり司令部へと向かう。無論、ミネバも今回から着いて行くらしく、ムサシがオリムラ中隊の母艦として回された真の理由ではと思ってしまう。 

 

 「来たようだな」

 

 「イチカ・オリムラ以下、参りました!!」

 

 「まぁ、固くならんでも構わんよ。

 

 イチカ大佐、オリムラ中隊はアンマンへと向いエゥーゴの艦隊と合流した後、グリーン・ノアにて試作中のガンダムMK-Ⅱ強奪の支援と並行してドックで建造中のティターンズの新造艦の破壊の任務を受けて貰いたいとシャアからの増援要請が来ている。

 

 無論、住民が居なければ、MK-Ⅱの強奪後にムサシによる艦砲射撃によりグリーン・ノアの破壊でも構わん。ティターンズの新造艦は必ず破壊せよ」

 

 「まさか、コロニーの破壊ですか?」

 

 「いや、ティターンズの新造艦の破壊がオリムラ中隊の標的だ。それと、支援部隊にはシャーロット中佐の父君のサイクロプス小隊が突入の支援を請け負う事が決まっている」

 

 「うっげぇ、クソ親父!?」

 

 「今、来たようだな。シュタイナー大佐」

 

 シャロが振り向くと、親父さんが来ていた事に驚く。

 

 「はっ!!

 

 イチカ大佐、馬鹿娘を妻として引き取ってくれた事に感謝する。シャーロット、例の写真はあるのか?」

 

 「はい、コレね」

 

 「そんなに冷たいと、パパ泣いちゃうぞ?」

 

 「泣け!!喚け!!そして、さっさとくたばれクソ親父!!」

 

 「イチカ大佐、シャーロットか冷たい!!」

 

 親馬鹿全開のシュタイナー大佐はシャロから結婚式での写真を受け取り満面な笑みを零しながら懐に写真を仕舞う。

 

 「さて、二人の親子漫才は無視して構わんだろうか?」

 

 「ハマーン様、流す方が賢明かと?」

 

 「イチカ大佐もそう思うか…」

 

 未だに続く、シャロ親子の親子漫才。

 

 ハマーン様と俺はため息を吐きながら、グリーン・ノア襲撃作戦の詳細を話し合ったのだった。

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