フランクリン大尉のブルーローズ改の強奪未遂の果てに死亡してから次の日、アーガマとラーディッシュはアクシズ主体で行う地球降下作戦に参加すべくアンマンへと帰投する進路を取り、アーガマへと出向していたカミーユとフォウにファはムサシへと帰還してウラキ中尉とキース中尉は引き続きアーガマのモビルスーツ隊へと配属となる。
「イ〜チ〜カ〜」
ブルーローズのISコアである白星が擬人化してからは、今までの連続した戦闘により白星とは会話も含めて全く構って無かった反動からか、俺に抱き着いたままずっと甘えながらハートマークを浮かべた瞳のまま離れ無かった。時折、白星のブルーローズ譲りの馬力に抱き締められ、その豊満な胸の谷間に顔が埋められた事で何度か酸欠により気絶と背中に走る痛みによる覚醒を繰り返す俺とそんな状態の白星を睨む鈴やアンにシャロなどの妻達との漂う空気には、俺の飲みかけのホットコーヒーが瞬時に氷へと変わる程の冷たい空気が食堂には漂っていた。その光景を見守る様に、カミーユやフォウとファの三人がどうしたら良いのかとアタフタする姿に束さんですら匙を投げる状況の食堂の光景だった。
そんな空気の中でも、ムサシは次の任務地はグレミー・トトがエルピー計画の子供達を全て失った反動とソロモンの工廠とアナハイム製のモビルスーツが一切回されない不満から、本拠地のアクシズの工廠での大量生産が出来るモビルスーツの開発を無許可で推し進めた理由などから反乱の兆しありと監視を続けていた新総統のハマーンが判断して、アクシズの本拠地である宇宙要塞のアクシズへの強行偵察を行うべく、長期航海に備えて大量の補給を行う為に補給艦とのランデブーポイントへと向かっていたのだ。
アクシズへの偵察任務をオリムラ中隊へと任せたソロモンのハマーン様も、シャア閣下を支援する為に地上戦の経験が豊富であるシーマ艦隊を主力としてアクシズの主力によるバリュートシステムを装備したモビルスーツ隊によるジャブロー降下作戦に向けて準備中であり、ムサシ級の二番艦であるヤマシロと三番艦のフソウが就役して、ハマーン様が座乗するアクシズ艦隊の新旗艦であるフソウではベテランパイロットを中心にしたモビルスーツ隊の編成中だった。
グリーン・ノアから移動してから5日目の昼時にはソロモンから来た4隻のエゥーゴ所属の補給艦のコロンブス改とエゥーゴ所属の護衛の3隻のサラミス改が補給物資を積み込み、ランデブーポイントの暗礁宙域にて合流を果たす。
無論、1隻のコロンブス改にはエマ中尉とクリス大尉の機体として用意されたオリムラ中隊仕様の量産型のブラックローズ改の2機だけが積み込まれており、メカニックチーフの束さんはコロンブス改へと移りながら搬入作業の準備を始めたのだった。
そして、ムサシの両舷にはコロンブス改が横付けされて、搬入ゲートを繋ぐと大量の食料や弾薬などの補給物資が補給されたり、別のコロンブス改からはムサシへと給油用のホースが繋がれ推進剤の補給に追われる事になる。
そんな最中に、例のモビルスーツの襲撃が起こったのだ。
『ほう、こんな暗礁宙域で補給中だったか…
ならば、あの補給艦を沈めるか…』
最初の被害は、束さんが搬入作業で向かったコロンブス改で、二条のメガ粒子砲を放つモビルアーマー形態の例のモビルスーツ。
「げっ、不味いじゃん!?」
『余程、そのモビルスーツが大事だという事なら…』
「狙われた!?」
束さんは搬入口からメガ粒子砲が来るのが判り急ぎ、白椿を展開しながらブラックローズ改2機をガンダリウム合金製のメタルワイヤーで拘束して繋ぎ、牽引しながら離脱するが反転したモビルアーマーに白椿が狙われてメガ粒子砲を放たれ、白椿はメタルワイヤーを切り離して離脱する。
『小さい蚊蜻蛉が逃げ切ったか…』
メタルワイヤーを切り離した直後には、2機のブラックローズに吸い込まれる様にメガ粒子砲が直撃して無人のブラックローズは爆散する。
束さんは爆散したブラックローズを見ながら悔しそうに白椿でニ重瞬時加速で加速しながらムサシのモビルスーツハッチへと命からがら避難し、モビルスーツハッチを閉めさせると白椿を解除してからエアロックに向い、再びモビルスーツハッチを開けるように支持を出す。
「メカニックはモビルスーツが出せるようにして!!」
「「「「了解!!」」」」
支持を出した間にノーマルスーツに着替えて直ぐにノーマルスーツ姿のアンとシャロがヘルメットを抱えてモビルスーツデッキに到着し、自機のモビルスーツへと乗り込む。
「アン、ブラックローズ改出るわよ!!」
「シャーロット、ブラックローズ改出るわ!!」
「イチカ隊長は?」
「メガ粒子砲で搬入通路がやられた影響で遅れるそうです!!」
「「!?」」
そう、アンは叫びながらもカタパルトへと固定せずにスラスターを軽く吹かしながらモビルスーツハッチから出るが、反転して来た例のモビルスーツに出た所を狙われてメガ粒子砲を放たれ、スラスターを吹かして機体を捻る様に躱すが、躱した先には補給作業で繋がるコロンブス改がおり、メガ粒子砲がブリッジへと刺さりコロンブス改は弾薬が誘爆して大爆発を起こして食料などのコンテナを巻き込み轟沈する。
「あっ、あたし達の食料が!?」
「食べ物の恨み!!」
『花より団子とはな…』
補給艦をやられた怒りにアンは、ヘヴィマシンガンを銃身が真っ赤になるまで乱射をするが、モビルアーマーの高い推力により加速され、モビルアーマーには一切当たらずに離脱される。
「イチカが苦戦するのも頷けるわね…」
「アン、パターンBで行きましょ!!」
「シャロ、了解!!」
イチカに次ぐ高い技量のアンとシャロがペアを組み、アンが囮となりながらシャロがモビルアーマーへと牽制を仕掛ける。
『チィ、一年戦争の生き残りは伊達では無いか…
だが、落ちろ蚊蜻蛉!!』
二人でも読み難い機動を描き、マシンガンやビームを躱す例のモビルスーツはモビルアーマー形態からモビルスーツ形態へと変形して、ヘヴィマシンガンを乱射するアンのブラックローズへとビームサーベルを展開して斬り掛かり、アンのブラックローズ改を胴から真っ二つに斬り裂く。
「アン、嘘でしょ!?」
「ゴッフゥ……イチカ、シャロ、ゴメ…」
ズッガァァァァン
アンは砕けたモニターの破片がお腹へと刺さり口から吐血し、ショートするコクピットの中でアンは腹部からの激痛により気絶しながらも、ISコアの蒼が懸命にアンの生命維持をしながら、コクピットブロックの脱出ポッドをブラックローズから射出してアンは脱出し、シャロがコクピットの球体を掴み回収する。だが、脱出した直後にアンのブラックローズは四散したのだった。
そして、シャロと入れ替わる様にイチカも出撃する。
「シャロ、アンは無事か!!」
「うん、束さんがナノマシンを注射したから大丈夫よ!!」
だが、イチカには無事だと言いながらも実際は、アンはコクピットのモニターの破片が腹部に刺さり内臓を酷く損傷して重傷で白星が人体再生をしてくれ無かったら、アンが死んで居たかも知れない。
イチカも白星を通じてアンが重傷なのは知っていたし、心配させまいとするシャロの気遣いだと判るが、妻を傷付けた代償はあのパイロットに支払って貰うとイチカはキレていたのだった。
「よくもアンを!!」
『ほう、大分成長した様だな』
キレたイチカは、サイコミューの制御リミッターを切るとサイコフレームと共振させながらブルーローズ改を操り、ファンネルを展開しながら例のモビルスーツの回避コースを全て潰しながら瞬時加速で一気に懐に入り、シールドの先端で例のモビルスーツのモノアイへと突き刺してモノアイを破壊する。
『なっ、モニターが!?』
「ウラァァァァ!!」
『不味い!?』
シールドを突き刺したまま、例のモビルスーツへと腹部周りを蹴り飛ばして変形機構が歪み変形が不可能となるが、そのパイロットもビームサーベルでシールドがある左腕を斬り裂き、イチカのブルーローズの左腕を破壊する。しかし、完全にキレているイチカはお構い無しにスラスターを全開に吹かし、例のモビルスーツのメガ粒子砲があるバックパックへとサーマソルトキックを食らわせて破壊して掴むとコクピットがあるだろう辺りを膝蹴りしながら装甲を歪ませる。
「大事な妻を傷付けやがって!!」
『舐めるな!
成り損ないのニュータイプが!!』
「大人しく、俺に殴られやがれ!!」
その、例のモビルスーツもビームサーベルで斬り掛かるが、ビームサーベルを握る腕を蹴られビームサーベルを手放すが、グレネードランチャーでブルーローズの脚部へと放ち、グレネードが直撃した左脚が膝下から吹き飛ぶ。
「これで、トドメだァァァァ!!」
『パプテマス様!!』
『サラか!?』
双方の機体が満身創痍になりながらも接近戦が続き、予備のビームサーベルを抜いたイチカが例のモビルスーツに斬り掛かろうとした瞬間、対艦ミサイルを大量に装備する重装備のモビルスーツが割り込み、例のモビルスーツを突き飛ばして身代わりとなって、イチカはそのモビルスーツをビームサーベルで斬り裂く。
『パプテマス様…』
ズッガァァァァン
サラと名乗る女性パイロットは、呟きながらコクピット内に入った炎と共に焼かれて即死し、切り裂かれたモビルスーツは対艦ミサイルの誘爆と共に大爆発を起こして四散したのだった。
『貴様、許さんぞ!!』
「くっ、なんてプレッシャーなんだよ!?」
シロッコもサラを殺された事に完全にキレ、蹴られた影響で歪みながらも腕を変形させてクローを展開する。
『やはり、あの時に貴様を落して置くべきだった。
落ちろ!!』
「やらせるかよ!!」
クローを躱しながら、ビームサーベルでカウンターを狙うが、破壊された左脚の影響で制御が甘くなってしまい、ビームサーベルを抜いた右腕を振り下ろされた瞬間だった。
「大事な夫はやらせないわよ!!」
「ジュンコ!?」
純白のブラックローズが間に割って入りブルーローズを突き放し、ブルーローズの代わりにジュンコのブラックローズがシロッコのモビルスーツのビームサーベルでコクピット付近を切り裂かれる。
「ゴッフゥ…イチカ…愛してるわ…」
ヘルメットのバイザーが吐血した血液で真っ赤に染まりながら、俺に愛していると言うとジュンコは力無くグッタリと前屈みになり、コクピットに火が回るとジュンコは炎に焼かれながら純白のブラックローズ改は炎に包まれ爆発すると四散したのだった。
そして、この爆発を利用して離脱したシロッコの乗るモビルスーツのメッサーラの姿は無く、純白のブラックローズの残骸が虚しく漂うだけだったのだ。
「くそぉぉぉぉ!!」
大破したブルーローズのコクピットではイチカが涙を流しながら叫びながらパネルを叩くと、回収に来たシャロがコクピットへと入り俺を優しく抱き締めたのだった。
「イチカ、私は大丈夫だからね…」
「シャロ…うわァァァァァァ!!」
抱き返したイチカは力強く、私を抱き締めて声を上げてジュンコの死を悲しみ泣き叫んだのだった。
そして、補給艦隊の壊滅とサラの乗っていたパラス・アテナから放った対艦ミサイルにより主砲のメガ粒子砲が破壊されたムサシの中破に加え、オリムラ中隊の主要戦力のアンの重傷とジュンコの戦死によるショックからイチカの戦意喪失で戦えない以上は、宇宙要塞アクシズへの強行偵察は無理と私が判断を下してソロモンへの撤退を決めると、一路ソロモンへと戻るのだった。