一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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記者会見と動き出す歯車

 

 学園入学まで後半年。

 

 束さんはマドカの専用機の高機動広範囲殲滅型として黒式がようやく完成した。

 

 主な武装は両手の指に装備された小型の5連装の荷電粒子砲に腕は肘から下を切り離してビットとして使用出来る。

 

 また、肩に装備された非固定浮遊部位の大出力のスラスターユニットには左右合わして16基のレーザービットが収納され、バックパックのウイングスラスターの基部には8基のリフレクタービットが収納さるている。

 

 そして、これらを装備していながらも俺達の専用機のサイズと同じ大きさまで抑えたのは、流石は束さんだろう。

 

 荷電粒子砲を内蔵した手でも普通に手持ち火器が使用出来るため、俺の士官用のレーザーガンを解析した束さんがレーザーショットライフルを開発して黒式の専用武器としていた。

 

 そして、今は完成した黒式を相手に俺とマドカで模擬戦の最中だった。

 

 ガッガガガ

 

 マシンガンの銃口がノズルフラッシュを輝かせながら、マドカのビットに追われ弾幕を張りながら背を地上に向けて地面スレスレに飛ぶ。

 

 「くっ、やり辛い!!」

 

 「お兄ちゃん、ビットを半分以上を落としておきなががら言うセリフじゃないよ!!」

 

 「そうかよ!!」

 

 マガジンを排出し、ラックから新しい予備マガジンをマシンガンに挿してコックし、マシンガンを乱射する。

 

 既に、マドカのビットはマシンガンの弾幕に撃ち落とされて、リフレクタービットは全て蹴られてミラーを割られて使い物にならない。

 

 「(くっ、これが戦争を生き抜いたジオン軍が誇るエースのお兄ちゃんの実力なの!?)」

 

 しかし、イチカも予備マガジンは残り二本で腕の30ミリ機関砲は弾切れだった。

 

 「避けるなら、もうヤケだ!!」

 

 下手な鉄砲を撃てば当たるだろうとの思惑から、黒式は模擬戦で二回目のフルバーストを白式に放つ。

 

 「んっ!?

 

 み、見える…」

 

 マニュアル操作をしながらスラスターの出力を微調整しながら、マドカのフルバーストで放ったレーザーと荷電粒子砲の網をまるで全てが見えている様に、マドカへと突撃しながら軽やかに躱して行く。

 

 「やっぱり、ソレまで躱すの!?」

 

 「貰った!!」 

 

 「あっ、ヤバ……」

 

 そして、懐に入られた黒式は白式が構えた斬艦刀により斬られてシールドエネルギーを根こそぎ奪われてマドカは敗北したのだ。

 

 「むっ、お兄ちゃんに負けた!!」

 

 「マドカまで負けたんじゃ、あたしだと歯が立たないわよ…」

 

 「鈴お姉ちゃんは猪戦法だからお兄ちゃんに負ける」

 

 「あっ、あんたねぇ!!

 

 誰が猪武者よ!!」

 

 「うん、流石に鈴を弁護出来ないわね」

 

 「うっがァァァ!!

 

 じゃあ、そこまで言うなら、アン勝負よ!!」

 

 女性陣に弄られ、アンに挑もうとするキレた鈴。しかし、一年戦争を生き抜いたアンは一夏の部隊でエース級の一夏の僚機を最終決戦まで努め上げていた事を、鈴はキレている事で頭の片隅から撃墜されるまで抜けていた。

 

 「よし、撃墜記録更新だね♪」

 

 そして、アンの一言に我に戻り、アンに撃墜数を聞こうと質問する。

 

 「アン、聞き難いけど、一年戦争での総撃墜数は幾つなのよ?」

 

 「正式記録は判らないけど、非公認だと235機だよ。イチカは300機を超えるかも?」

 

 「やっぱり、辞めておくわ…」

 

 「そう言わずにね♪」

 

 アンの余りの撃墜数の多さを知り、冷や汗を流す鈴だった。

 

 「いやァァァ!!」

 

 しかし、結局はアンに引き摺られて模擬戦をする羽目となる鈴は、模擬戦を開始して数分後にはジャイアントバズーカを至近距離で食らいシールドエネルギーを無くして海へと落下する運命だったと悟りながら海へと落下し、アンに迂闊に模擬戦を仕掛けた自分に後悔したのだった。

 

 

 

 

 正月が過ぎ、日本政府と一夏についてOHANASHIを済ませて世界での国際指名手配を日本政府に解除させた束さんは、本来の自分の夢を叶えるべく日本のIS企業の倉持技研の社長にするなら技術提供すると言ったが、倉持技研の余りにも酷い経営状態から自社を立ち上げて倉持技研を買収して自社に吸収合併する。

 

 そして、束さん自身が社長として表に出る為に日本最大のIS企業となるホワイトラビット社を立ち上げたのだ。

 

 そして、束さんが表舞台に出た瞬間だった。

 

 倉持技研を吸収合併した後、表舞台に出た事を公表する為に記者会見を開き、とあるホテルの披露宴会場には多数のマスコミが集まっていた。

 

 「これから、ホワイトラビット社社長による記者会見を始めます」

 

 秘書のクロエが司会を務めて、アナウンス後に姿を現した束の格好に記者達にどよめきが起こる。

 

 無理もない。

 

 束さんは表舞台に出る為にピンク色だった髪を元の茶髪に戻し、服装はウサ耳を外し不思議の国のアリスだった格好の服装はレディースのスーツ姿なのだから。

 

 そして、束さん自身も何とか人見知りを改善してから記者会見に挑む為に日々努力して元倉持技研で、今はホワイトラビット社の女性社員達と交流していたのは俺達は知っている。

 

 束さんが壇上に上がりマイクを取ったのだ。

 

 「はじめましてかな。

 

 私はホワイトラビット社の社長にしてISの産みの親の篠ノ之束です。

 

 本日、ホワイトラビット社の記者会見に来て頂きありがとうございます。

 

 さて、記者会見の前に発表したい事があります。

 

 第二回モンドグロッソ優勝者の元国家代表選手の織斑千冬の弟である織斑一夏が生きていた事を、公表したいと思います」

 

 俺が生存していた事にざわめく会場。

 

 「彼は第二回モンドグロッソの会場にて誘拐され日本政府により死んだ事になっていましたが、私が人工衛星にて監視していて誘拐された事を知り、彼を救助しに来た時には拳銃で撃たれて既に瀕死の重傷でした。

 

 そして、彼を護る為に秘密裏に保護する事にしましたが、重傷により長い期間を掛けて治療する事を余儀なくせざるを得ませんでした。

 

 記者の皆さんも調べたと思いますので理由は判るかと思います。彼の親しい友人方を除き、彼に対しては彼を暴力に晒す者の他に女尊男卑に染まった女性からの迫害から守る為に誘拐現場に死んだ様に仕向けるように現場に血痕を残す事になりました。

 

 そして、保護する最大の理由は織斑一夏は男性で初めてISの操縦が出来る事を理由として、世界に公表すると共に今年の4月には私の会社の企業代表として、織斑一夏を含む四名をIS学園へと入学させます」

 

 そして、束さんの記者会見で俺は記者達の前で白式を展開する。

 

 男性である俺がISを使える事にどよめく会場。

 

 だが、ISを操縦出来る事を認めない者が居た。

 

 「男のアンタなんかに!!」

 

 一人の女性記者が鞄から拳銃を抜き、女尊男卑に染まり切った女性は俺を拳銃で撃とうとする。

 

 「イチカはやらせないわよ!!」

 

 「ギャァァ!?

 

 うっ、腕がァァァ!?」

 

 しかし、俺の隣に居たアンが躊躇なく腰のホルダーからレーザーガンを速攻で抜き、女性の拳銃を持つ右腕を撃ち抜く。撃たれた女性は右腕がレーザーにより焼き切れて痛みから床に倒れてのた打ち回るが、俺も顔面を蹴り飛ばして女性の意識を刈り取る。

 

 気絶した 女性はそのまま警備員に連行され、記者会見はこの女性記者の襲撃により記者会見参加者の身の安全を考慮して終了となった。

 

 

 場所が変わり、IS学園では覇気が無く授業をする一人の女性は織斑一夏の姉の織斑千冬だった。

 

 友人のクラリッサに頼み弟を探したが見つからず、日本政府により捜索を打ち切られて行方不明となった一夏は死亡とされた。

 

 日本で一夏の葬儀が開かれたが、遺体がない葬儀には一切興味が無く一夏が絶対に生きていると信じて参加すらしなかったのだ。

 

 気を紛らわせる為に友人のクラリッサからの頼みでドイツに渡り、クラリッサが隊長を務めていた黒兎隊に指導を一年半ほど行い、鍛え上げて日本へと戻ったのだ。

 

 しかし、誰も居ない自宅には『おかえり千冬姉』と言って迎えてくれる一夏が居ない。

 

 自分では当然で当たり前だと思っていた事が一夏が居ない事で、こんなにも何でも無い普通の事が大切だったと気付かされ打ちのめされる様に思い知るとは知らなかった。

 

 あの誘拐事件で一夏と最も親しく壊れてしまった大親友の束は犯人を全て捕まえた上で全てを調べ上げ、誘拐事件で裏から糸を引いていた女尊男卑が最も酷かった日本の女性権利団体の日本支部ごと報復して文字通りに叩き潰した。

 

 これには世界の女性権利団体は驚き、篠ノ之束を完全に敵にした事を認識する事となり、壊滅した日本支部へ救援に向かったデュノア社の社長夫人は束が日本支部へと報復を済ませた後に日本国内で起こした女性権利団体への会員狩りの被害に遭ったらしい。

 

 そして、昨日の記者会見。

 

 「あぁ、一夏が生きていてくれた。

 

 だが、束は何故、黙っていたんだ!!」

 

 黙っていた事に対して、こみ上げる怒り。

 

 その、大親友とも今は連絡すら取れない。

 

 4月になれば、この学園に入学して来る一夏に会える喜びに私は再び立ち直ったとも言えたのだ。

 

 だが、私は気付かない。

 

 一夏との溝が余りにも深くなっている事実を、この時にはまだ知らなかったのだ。

 

 

 

 同じく、IS学園の生徒会室。

 

 大量の書類に埋もれながら、篠ノ之束による記者会見により4月に入学予定の四人に付いて報告を受けていた。

 

 「……以上が、報告になります」

 

 「やっぱり、誘拐されてからの一年が全く判らないか…虚ちゃん、ホワイトラビット社については?」

 

 「お嬢様、ホワイトラビット社は私が入りたい位に本当に羨ましい程に健全なIS企業でしたよ。ですが、簪お嬢様の専用機はホワイトラビット社が引き継いだ様で滞り無く開発中でした。あともう一つ気になる事ですが、ヨーロッパでのイグニッションプランに参入する為にフランスのデュノア社を買収する動きがある様です」

 

 「あの事件を引き起こした篠ノ之博士の考えが全く判らないわね」

 

 色々と考える私は4月に入学する四人の部屋割りについても、多額の寄付金と共に同室にする様にと指定されていた。

 

 確かに、企業代表の四人。

 

 実力も折り紙付きならば、情報漏洩の観点から仕方がないが、こうも更識の情報網でも掴めないホワイトラビット社の防諜能力の高さに舌を巻くしかない。

 

 なら

 

 「ふふふ…お姉さん、良いこと思いついちゃった♪」

 

 「まさか、お嬢様?」

 

 「それならいっその事、やってやるわよ。虚ちゃん、悪いけど四人の寮の部屋番を調べて置いてね♪」

 

 

 その判断と仕出かした事が、私の人生の最大の過ちになるとは全く思わなかったとは知らず、彼の逆鱗に触れてしまい今の生徒会長の座を失うきっかけになるとはこの時には知らなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

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