一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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天災の本気

 

 

 「はっはははは…」

 

 あの糞ニュータイプのせいでいっくんの魔改造したブルーローズ改とアンちゃんのブラックローズ改やジュンちゃんと一緒に量産型のブラックローズ改までも一気に失くしちゃったし、今のムサシの指揮が出来るのはシャロちゃんだけだ。また、あの糞ニュータイプが襲撃でもしたらムサシが沈むのは確実だよ。

 

 となれば、最高傑作だと言えたシャア閣下のナイチンゲールでも不十分だと言う事に成るんだね。

 

 あぁ、本当に笑いが止まらない。

 

 この、大天災を本気にさせたのだから…

 

 束さんは、自室の引き出しからとある図面が描かれたディスクを取り出してから、今日のいっくんの戦闘データを無機質な表情になりながら打ち込んで行く。

 

 「思い切って、原点回帰しながら16m辺りまで小さくするかな…」

 

 そのラボのスーパーコンピュータにディスクを差し込みながら十数台のモニターを一瞥し、新型のいっくんの達のモビルスーツを設計して行く。

 

 このモビルスーツの完成目標は、ジェネレーターの出力とスラスター関連の出力はそのままに小さく小型にする事。そして、装備は原点回帰して標準装備だけにしながらも、大出力のジェネレーターからの余剰エネルギーで使える装備の開発と高機動下での強力な近接兵装と近中距離で扱える射撃と近接戦闘の両方がこなせる武装の必要性から序に開発する。

 

 そんな事を考えながら、未だに目覚めないアンちゃんの治療に修理と設計を繰り返して、あの日から既に6日も眠っていない。無論、現在はあの宙域から命からがらソロモンに帰投しているけど、この束さん専用の研究室兼工廠ではムサシのモビルスーツが全て降ろされて、ムサシは修理ドックにて改装と修理を同時進行しながら進められている。

 

 そして、このモビルスーツに必要な装甲材は撃墜したパラス・アテネから回収したガンダリウム合金では硬度はあるけど重く、ならガンダリウム合金複合材以外には考えられない。

 

 何故なら、現時点での数世代も先の装甲材だと自負出来るからだ。

 

 無論、IS技術で培ったスラスター技術や装甲技術も全て盛り込み、遠慮は一切無しで開発してやる。

 

 ふと思い出して移動ラボの『吾輩は猫である』を起動させてモニターを開くと、向こうの世界でハッキングして手に入れた各国のISの専用機の一覧に目が行き笑ってしまう。

 

 「何だ、一番欲しいものがあるじゃん!!」

 

 目に映ったのは、ロシアが開発した三世代型のミステリアスレディとホワイトラビット社の試作機で、ビーム兵装を装備をした束さんの開発したゲルググの改良機だった。無論、その装備は開発したジェネレーターの出力不足でビームシールドだけは使えなかったが、こちらには解決出来るだけの小型で超高出力のジェネレーターがある。

 

 「この試作機で装備していたビームシールドの装備は標準装備に、この大出力の大型ビームライフルの構造は改良するけど、そのまま小さくしてジェネレーターに直結してと…」

 

 キーボードを打ちながら、計算と設計を同時進行で進めながらも、戦艦の大口径のメガ粒子砲並の超火力を実現する為にはジェネレーターに直結する以外に解決方法は無い。それと同時に最大出力となると高温になるジェネレーターの強制冷却機能の強化の必要性からGP計画のガンダム試作2号機である専用のシールドで使われた核弾頭の爆発から護る為の技術を採用しながらも、その巨大な冷却装置の機能はそのままにして限界まで小さく小型にして、ジェネレーターの強制冷却にはシミュレーション上は問題無しの結果となり安堵する。

 

 高い機動性なら、この装備も使える装備だと確信しながら高出力のジェネレーターから得られるエネルギーを電力に変換し、レールガンの技術を応用しながら回収したガンダリウム合金複合材以上の硬度だけがあるパラス・アテネとメッサーラの装甲材であるガンダリウム合金を複製可能かと分析し、複製が可能だと判るとそれをガンダリウム合金の装甲もいとも簡単に貫く鋭いランスの素材としながら、ショットランサーへと昇華させる。

 

 そのショットランサーには、ミステリアスレディと同じくガトリングガンといきたいが、遠慮がいらないから超硬度のあるISの装甲用の特殊合金を芯にした徹甲弾にしたヘヴィマシンガンを連装装備にしながらレイアウトを決めて行く。

 

 アンちゃん達のモビルスーツもブラックローズを元の高さの22mから16m(正確には15.6m)まで小型化した基礎設計は終わり、いっくんやカミーユにフォウのNT専用機にはアナハイムをハッキングして得た試験段階のバイオセンサー技術を束さんが独自に完成させたバイオセンサーとこのサイコフレームを合わせた機体に仕上げるのだ。

 

 ただ、問題はファンネル専用に使用するジェネレーターだが、これ以上はこの高出力のジェネレーターを極小サイズまで小型化出来ない問題でもあり、超高出力のジェネレーターでは、このファンネルに組み込むには大き過ぎたのだ。

 

 だが、こちらには向こうで回収したリゲルグのビームサーベルのジェネレーターを元にIS用に開発した超小型化したジェネレーターがあり、それをファンネルに内蔵する事で問題は解決済みだった。

 

 なら、後はブルーローズとブラックローズを小型化した図面を元にしながら、超高出力のジェネレーターに変更しながら開発をして行くだけだった。

 

 更にモックアップが完成しながらも不眠の開発から3日後、いっくんのブルーローズ改の後継機とも言えるTMX-005ブルーローズMK-Ⅱの基礎設計と基本仕様が纏まり、ブルーローズ改との違いは殆ど無いのだが、敢えて装備が強化されており超高出力のジェネレーター直結にしてバックパックに装備され、戦艦の大型メガ粒子砲と同等以上の威力がある伸縮式のハイパーメガビームランチャーが追加となり、ファンネルの数が6基へと減ったが改良型のファンネルがナイチンゲールのファンネルと同じ性能でありながら機体に合わせたファンネルの大きさだが、ビームの出力はブルーローズMK-Ⅱのファンネルが上である。無論、ビームライフルも改良され、ビームソード付きビームライフルからハイパービームサーベルとして使えるビームライフルへと代わり、予備のビームサーベルは腰のアーマー内に内蔵されて扱い易くなった。

 

 そして、ブルーローズの量産型と位置付けられていたブラックローズも新設計のTMX-006ブラックローズⅡとして正式に登録され、武装はブルーローズMK-Ⅱとは基本装備は変わらないが、通常装備にはヘヴィマシンガンを内蔵したショットランサーを装備している位が僅かな違いである。

 

 その2機の最終の設計を終えた束さんは、直ぐにブラックローズの製造をソロモン工廠での管理者権限でブラックローズⅡへと変更をさせて、製造ラインに乗せながらブラックローズⅡの量産体制へと移行させ、別のラインではNT専用とするブルーローズMK-Ⅱの製造を開始させたのだった。

 

 そして、初期生産型をオリムラ中隊仕様に改装しながらも、この世界では作れないと言っていたISコアの製造を密かに始め、オリムラ中隊のみんなだけには行き渡るようにと部隊の人数分のコアを作り上げたのだった。

 

 「これで、ジュンちゃんの二の舞いは起らないよね……」

 

 ドッサァ

 

 「たっ、束大尉!?

 

 たっ、担架だ!!

 

 チーフが倒れた!!」

 

 「大丈夫だ。

 

 疲れて眠っただけだ」

 

 「ムッニャァァ…いっくん…だいしゅき…」

 

 束さんは呟きながら、完成した初期生産型の8機のブルーローズMK-Ⅱと20機のブラックローズⅡをモビルスーツデッキから眺め、キャットウォークで束さんは力尽き倒れると死んだように寝言を言いながらも深い眠りに着いたのだった。

 

 

 ソロモンの修理ドックでは大型の対艦ミサイルを食らい中破したムサシがドック入りしており、ムサシへの修理作業と改修工事が同時進行で行われ、副砲の三連装のビーム砲は両舷にある4基は主砲塔後部に搭載された副砲以外は全て降ろされ、代わりに三連装の対空レーザー砲座が取り付けられて副砲と交換しながらも、三連装の対空レーザー砲を大量に積まれた対空兵装強化型へと改装をしている状況だった。そして、破壊された主砲で大口径の三連装のメガ粒子砲は三基とも全て降ろされ、連装砲型の大口径のハイメガ粒子砲へと変更となる。

 

 

 そんなムサシの修理状況と改装状況を纏めた書類を抱えて艦長のツキノ中佐はソロモン内のオリムラ邸へと私服姿の和服の着物に着替えて向かう。

 

 「私、この服装だと浮いちゃうかな?」

 

 カグラザカ家に代々伝わる一輪の菖蒲が描かれた白い西陣織の着物と加賀の漆で染められた下駄を履いた姿のツキノ中佐は別の見方をすれば、お見合いに行くお嬢様にしか見えないのは気のせいだと思いながらも、このご時世に着物は無いだろうとオリムラ邸の近所の士官級の奥様方はツキノ中佐を見て密かに思う。

 

 元はミネバ様の邸宅だったが、洋式の左右対称の屋敷を前にツキノ中佐の着物はやはり浮いて見えてしまう事に気付かない。だが、ツキノ中佐の目に飛び込んだのは、木製のアンティーク調の玄関のドアが壊れながらイチカ大佐がシーマ閣下に蹴られて吹き飛ぶ姿だった。

 

 「なに、何時までイチカは落ち込んでいるんだい!!」

 

 「グッハァ!?」

 

 「いっ、イチカ大佐!?」

 

 「ツキノは手を出すんじゃないよ!!

 

 今、この馬鹿を修正の真最中さね。

 

 こんな姿をジュンコ少尉が見たらがっかりだろうさね!!」

 

 「!!!?」

 

 イチカ大佐の胸倉を掴み往復ビンタを入れるシーマ閣下と玄関の奥から走りながら来るブラウスにホットパンツの私服姿のシャーロット中佐に妊婦に大人気のゆったりとしたワンピースだが、色が赤いワンピース姿の正妻の鈴さんは鋭い目付きでイチカ大佐を睨む。

 

 「シーマ閣下の言う通りよ。

 

 何時までも腑抜けてんじゃないわよ一夏!!」

 

 「鈴、妊婦なんだから興奮しないでよ!?」

 

 「うっさい、シャロ!!

 

 腑抜けた一夏をあたしもぶっ飛ばさなきゃ、気が済まないわよ!!」

 

 玄関先での出来にイチカの妻達が集まりイチカを囲む。妻達の人数だけでも近所の奥様方は自分の不甲斐無い夫と比べて羨ましそうに見るが、イチカの妻達は現役軍人だけに下手な事は言えないのが正直な感想だと言える。

 

 そんな中、クリス大尉に肩を借りて歩いて来るのは、パジャマ姿の重傷から目覚めたばかりのアン大佐だった。

 

 「イチカ、先に謝って置くね」

 

 「アン、目覚めたのか!?」

 

 イチカが一瞬、嬉しそうな表情となるがアンの硬い表情に顔を真っ青に変える。

 

 「クリス、多分この後にあたしは激痛で気絶すると思うから後よろしくね」

 

 「ちょっと、アン!?」

 

 「あたしの惚れたイチカは、こんな腑抜けじゃ無いわよ!!」

 

 バッキィィィ

 

 「グッアァ!?」

 

 アン大佐がクリス大尉に言うと、イチカ大佐の顔面を思いっきり蹴り飛ばし、アン大佐も腹部の激痛から気絶する。クリス大尉は慌てながらもアンを支えるが、腹部の傷口が開きパジャマが赤く染まる。

 

 「馬鹿アン!!

 

 傷口が開いちゃったじゃない!?

 

 白星ちゃん、ヘルプ!!」

 

 「アンが馬鹿なのは元からだよ?」

 

 「いや、白星ちゃんちょっと、アンに辛口だからね?」

 

 「う〜ん、似た者夫婦?」

  

 白星ちゃんがボケをかましながらも、アン大佐の腹部に手を宛てながら人体再生を行い、再生が終わるとアン大佐をお姫様抱っこして寝室へと運ぶ。

 

 そんな姿を見たイチカ大佐は呟きながら立ち上がり、何時のイチカ大佐に戻っていたのだった。

 

 「みんな、ゴメン。

 

 俺が間違ってた」

 

 「一夏、割り切れとは言わない。

 

 でも、これが戦争中だと忘れないで。

 

 じゃないと、一夏が死ぬのは、あたし達が辛くなるから」

 

 鈴さんに言われて、イチカ大佐は鈴の肩を抱き寄せながら自宅へと入るが、私が空気になり書類をイチカ大佐に渡すのを忘れ去られたのは言うまでも無かった。

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