一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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入学試験と盛大な姉弟喧嘩

  

 

 2月となり、俺達四人は学園へと入学試験の為に来ていた。

 

 思い出せば、入学試験に向けたISに纏わる勉強はジオン軍の士官学校に比べたらかなりマシだったが、実技に関してはスコールさん直々に扱かれた。

 

 飛行技術並びに戦闘技術では全く問題は無くスコールさんには勝てたが、逆にISに纏わる技術は加速系の技術は徹底的に叩き込まれたり、ラピッドスイッチなどの技術まで覚えさせられたのだ。

 

 一言で言えば、この訓練は俺とアンの二人には地獄だった。

 

 そして、モノレールの窓から見える学園。

 

 「あれが、IS学園だね。

 

 イチカ、あたしは写真でしか見た事がないけど、オデッサ基地に見えるよね」

 

 「あぁ、マ・クベ大佐が指揮したオデッサ基地だな」

 

 「一夏、オデッサ基地って何よ?」

 

 鈴に携帯に入れた写真データの、陥落前のオデッサ基地を見せる。機能美に優れた基地としてはカルフォルニア基地に次いで人気が在った。

 

 しかし、俺とアンは士官候補生として配属されたのは戦況の悪化の一途を辿る地上戦線ではなく、ジオン軍が制宙権を握る宇宙だった。

 

 そして、パイロット育成にはもってこいの通商破壊作戦へ配属だったのは言うまでもない。無論、俺達二人の高機動戦闘の師匠とも言えるジョニー・ライデン少佐から指導された事が大きかった。

 

 だが、ジョニー・ライデン少佐の暗礁宙域での変態的機動は物に出来なかった。

 

 「確かに似てるわね」

 

 「だろ?」

 

 鈴がオデッサ基地の写真を見ながらIS学園が似ている事に納得していた。

 

 

 駅に着くと、二人の女性が出迎えたのだ。

 

 一人は判る。

 

 千冬姉だった。

 

 「お前たちが、ホワイトラビット社からの入学希望者だな。試験官を務める織斑千冬だ」

 

 「同じく、山田真耶です」

 

 二人に案内され、先ずは筆記試験だった。

 

 束さんから直に教わっただけに非常に簡単だった事は言って置く。そして、鈴とマドカだがISに関しては問題は無かったが、通常科目に関しては不得手だった様だった。

 

 俺とアンに関しては大卒資格がある為、通常科目も中卒レベルだったので全ての回答用紙は全てが問題無しだった。

 

 テストが終わり、待機室にて筆記試験について談義していた。

 

 「一夏、どうだった?」

 

 「簡単だったな」

 

 「お兄ちゃん、マジ?」

 

 「一夏とアンにはやっぱり、簡単だったのね…」

 

 「鈴、もしかして?」

 

 「八割は大丈夫な筈よ。代表候補生を受ける時に猛勉強したから」

 

 そして、次は実技試験だが、スコールさんからの課題が出ていた。

 

 先ずは俺だが、斬艦刀の使用禁止と追加武装であるレーザーライフルとツインレーザーナギナタの使用に加えて、高機動パックを外して白式A型装備で行う事だった。

 

 無論、白式と蒼式が一次移行して模擬戦を繰り返した際にコアが再び悪戯心が再燃して、コアの白星と蒼式のコアがソロモンでゲルググを受領した時の記憶を読み、ゲルググと同じオプション武装が追加となり換装が出来る様になっていた。

 

 A型装備はシャア大佐専用ゲルググと同じく、レーザーライフルとレーザーサーベルとして使用可能なツインレーザーナギナタに楕円型のシールドを装備したタイプだ。

 

 そして、B型装備は高機動パックで装備はA型と変わらないがジャイアントバズーカとロケットランチャーが追加している。

 

 最も使い難いC型のキャノンタイプ。高機動パックに高出力のレーザーキャノンが追加となり、腕にはシールド付きの三連ロケットランチャーと基本装備のレーザーライフルとレーザーナギナタがあるのみ。

 

 そして、最後はB-OC型で白式にはM型の高機動パックに武装は斬艦刀とマシンガン、腕には30ミリ機関砲を装備している。無論、レーザーライフルとレーザーナギナタも追加武装として装備している。

 

 これが白式と蒼式の普段の装備だが、蒼式には特別オプションがある。

 

 蒼式にはJ型装備がある事に気付いた。

 

 J型装備は狙撃型の装備で狙撃型のレーザーライフルにB-OC型の蒼式用の武装の71口径56ミリ対物ライフルが付くがバックパックは高機動パックとなっている。

 

 そして、その中のA型で俺とアンはやる事になったのだ。

 

 他にもマドカには、腕のビットとリフレクタービットの使用禁止と鈴には単一仕様の使用禁止が言われていたのだ。

 

 

 

 そして、最初の実技試験を受けたのは鈴だ。

 

 「じゃあ、試験官の打鉄をスクラップにしてやるわ」

 

 鈴は言いながらピットから出て試験が始まると試験官の打鉄に瞬時加速して接近すると腕部のグレネードランチャーを至近距離で放って打鉄に当てて、打鉄が落下する瞬間をリボルバーで急接近してすれ違いざまにヒートソードで斬り刻み圧勝したのだった。

 

 そして、宣言通りに打鉄をスクラップにしたのだった。

 

 そして、マドカの場合はえげつなかった。

 

 試験開始早々に全24基のレーザービットを展開して、試験官を追い回しながらもマドカは一切動かず両手の五連荷電粒子砲やビットからの射撃に加えて偏向射撃やレーザーが3つに裂けるブリット射撃で逃げ道を塞ぎながら自分の前に誘導してから瞬時加速でハイパーレーザーソードで一閃して勝ったのだった。

 

 アンの実技試験の番となり、相手は山田先生だった。

 

 「何か、聞いていたスペックと違うのですが?」

 

 「A型に換装したからね」

 

 アンが山田先生を相手に実技試験が始まり、山田先生は両手にマシンガンを撃ちながら牽制するが、その程度の牽制射撃では連邦軍のサラミス級巡洋艦の濃密な対空射撃の中をジャイアントバズーカを構えながら普通に突っ込んでいたアンには通用しない。

 

 「ヌルイわよ!!」

 

 「くっ、予測射撃が上手い!?」

 

 レーザーライフルで山田先生の回避方向を完全に読みながら三点射撃をして山田先生のマシンガンを撃ち抜き破壊すると、ツインレーザーナギナタの両刃を展開させてナギナタを回転させながら、瞬時加速して遠心力を利用して斬り掛かる。

  

 「まだ、あの時の連邦の白い悪魔の方が強かったわよ!!」

 

 「えっ、スラスターが!?」

 

 ナギナタを振り回し遠心力でラファール・リヴァイブのスラスターユニットを斬り刻み破壊して機動力を奪う。そして、ナギナタをラピッドスイッチで量子変換で収納し拡張領域のジャイアントバズーカと交換して展開したのだ。

 

 「落ちなさい!!」

 

 「キャァァァァ!?」

 

 ジャイアントバズーカをラファールの真上から放ち、スラスターを破壊されて機動力が落ちたラファールは回避がまともに出来ずに直撃したが、真上から撃たれ直撃したラファールはジャイアントバズーカの威力に地面に向けて吹き飛ばされて山田先生は地面に激突したのだった。

 

 地面に激突した衝撃で山田先生は気絶してしまいアンの勝利で試験が終わったのだ。

 

 ピットに戻ったアンに俺は突っ込んだ。

 

 「アン、アムロの方が強いのはニュータイプだから当たり前だ!!」

 

 「だって、アレには全く敵わなかったんだもん!!」

 

 「でも、シャア大佐はアムロを相手に大丈夫だったのかな?」

 

 「シャア大佐だし大丈夫だよ。きっと、生きてるよ」

 

 「だと良いな」

 

 「もしかしたら、アムロと共闘してたりして?」

 

 「まさか、有り得なく無いな…」

 

 まさか、アンの一言が本当の事になるとは予想して無かったし、現実になるとはまだ知らなかった。

 

 同じ頃、管制室で観ていた私はホワイトラビット社の先に実技試験を受けた三人の実力に驚愕の表情をしていた。

 

 無論、学園では教師と学生を含めて3番目の実力者だった山田先生を赤子の手をを捻る様に簡単に勝ち、試験官に無傷で勝ったアン達に最大の警戒を抱いたのは言うまでも無かった。

 

 「千冬、久しぶりね。ホワイトラビット社の企業代表のあの子達はどうかしら?」

 

 「何故、ミューゼルが居る!?」

 

 「あらあら、今日から学園の同僚なのに酷い反応ね?」

 

 私の後ろに現れたのは元アメリカ国家代表で、アメリカでの新型機のトライアルの事故で死んだ筈のスコール・ミューゼルだったのだ。

 

 「貴様は確か、トライアル中の事故で!!」

 

 「あら、私は生きているわよ。

 

 あの事故では重傷だったわ。

 

 でも、今はホワイトラビットの社員で社長辞令で実技担当の教師として学園に赴任したのよ。

 

 赴任早々に学園長からの依頼で教師部隊の隊長を任されたのよ」

 

 「まさか、束の差し金か!?」

 

 「さぁ、私には判らないわ。

 

 でも、一夏達に危害を加えるなら、千冬なら判るわよね?」

 

 「まさか、束が貴様を送った目的は一夏達の護衛目的か!?」

 

 「うふふふ…概ね正解ね」

 

 「私は一夏に危害を加える気は無い」

 

 「なら、今日から同僚ね」

 

 ミューゼルが管制室から出ようとするが、次の受験生であるセシリア・オルコットの試験官が山田先生が気絶して代わりの試験官が居ない事に気付く。

 

 「ミューゼル先生、済まないが山田先生の代わりに試験官を頼めるか?」

 

 「あら、別に良いわよ。

 

 最近は一夏に落とされているばかりだったから、欲求不満なのよ」

 

 「第一回モンドグロッソの決勝戦で私と戦ったミューゼルが一夏に!?

 

 一夏はISの初心者じゃ無いのか!?」

 

 「少なくとも、彼はISを使用した戦闘なら初心者よ。

 

 でも、この先の話は教えるつもりは無いわ。

 

 知りたいなら、彼に聞くのね」

 

 謎だけを私に残し、ミューゼルはピットへと向かったのだ。

 

 「一夏は誘拐されてから、一体何を経験したのだ?」

 

 私の呟きを聞き、応えてくれる者は誰も居なかった。

 

 

 

 その後、実技試験を受けた受験生だったセシリア・オルコットの試験官だった山田先生がアンとの実技試験で気絶した為に代役として、ホワイトラビット社から教師として派遣されたスコールさんが代わりに試験官を務める事になったのだ。

 

 だが、元アメリカ国家代表で亡国機業の幹部だったスコールさんの姿を見たセシリア・オルコットは、第一回モンドグロッソの時のスコールさんの実年齢を言ってしまった為に盛大に地雷(禁句)を踏み抜いたのだ。

 

 そして、彼女の為に内容は伏せるが年齢を言われ、キレたスコールさんは教育的指導と言うには生温い蹂躙をしたのは言うまでもない。

 

 そして、アリーナから担架で運ばれたセシリアを観ながら、俺はアン達三人がスコールさんに一度は踏み抜いているのを知っている。だから、暗黙の了解で言わない様にしていたのに、盛大に踏み抜いたセシリアに俺達四人は勇者と称えたのだった。

 

 

 そして、俺が実技試験を受ける番となった。

 

 試験官は千冬姉だった。

 

 そして、プライベートチャンネルから千冬姉から通信が入る。

 

 「一夏、久しぶりだな」

 

 「あぁ、久しぶりだ。

 

 だが、千冬姉と寄りを戻す気は全く無い」

 

 「どうしてだ!!」

 

 「答えは出ているんじゃないか?」

 

 「!?」

 

 俺はそう言うと通信を切る。

 

 ツインレーザーナギナタをレーザーサーベルにして構える。

 

 千冬姉も打鉄の葵を構えて身構えたのだ。

 

 スタートと同時にお互いに瞬時加速で加速し斬り掛かる。

 

 「「はァァァァ!!」」

 

 やっぱり、腕は落ちていない。

 

 楕円形のシールドを前面に出してシールドバッシュで叩き、千冬姉から距離をとりレーザーライフルをラピッドスイッチでレーザーサーベルと交換する。

 

 「ちぃ!?」

 

 レーザーライフルを三点バーストして牽制するが、千冬姉はレーザーを葵で斬りながらリボルバーと瞬時加速を織り交ぜて躱し、接近戦に持ち込もうと接近する。

 

 「一夏、お前はやはり実戦経験があるな!!」

 

 何回か繰り返した事で千冬姉に戦争での実戦経験がバレた。だが、俺には関係ない。

 

 「だから、何だ!!

 

 地球と宇宙で戦争の真っ只中の異世界に飛ばされて、シャア大佐に拾われてから生きて食べて行く為に軍に入った!!

 

 努力しても一切、褒めてくれなかった千冬姉に言える事かよ!!」

 

 瞬時加速して千冬姉の打鉄の懐に一気に入り、拾われてからソロモンに向かう途中の戦闘でシャア大佐専用ザクが連邦軍のモビルスーツに見せてくれた加速したままの蹴りを千冬姉の腹に入れる。

 

 「ぐっ!?」

 

 「だから!!」

 

 蹴り飛ばしてかなり距離を稼ぐと、スコールさんには怒られるがA型からB-OC型へと空中で換装する。

 

 そして、高速機動を描き、構えた斬艦刀で千冬姉に切り掛かったのだ。

 

 「舐めるな!!

 

 私は一夏を護ると決めたのに、あの時は一夏を守れなかった!!

 

 だから、私は!!」

 

 「巫山戯るな!!」

 

 キレた事で、俺の頭がクリアになって行く。

 

 千冬姉が斬りかかるが、全て視えていた。

 

 裏拳で葵を弾き葵が吹き飛び、俺も斬艦刀を投げ捨てて千冬姉を殴る。

 

 「グッハァ!?」

 

 「もう一つ、オマケだ!!」

 

 ダッダダダダダ

 

 「なっ、そんな所に機関砲!?

 

 グッァァァ!?」

 

 腕部の30ミリ機関砲を殴ると同時に顔面に向けて乱射する。打鉄の絶対防御を発動させてシールドエネルギーを削る。

 

 

 

 ピットから観ていたあたしは実技試験から姉弟喧嘩へと発展した事に気付いた。

 

 「あれがイチカのお義姉さんか…」

 

 「あんた、字が違うわよ!!」

 

 「鈴だって、あたしと同じくオリムラにしたじゃん?」

 

 確かに、あたしがアン・オリムラと名乗っている事が気に食わなかったのか、鈴まで織斑鈴音としていた。

 

 無論、現在はイチカは無国籍だから早く言えば二人して、イチカとOHANASHIした上で納得させてイチカと入籍していた。つまり、あたしはイチカの第二夫人である。

 

 だから、あたしの正確な名前は織斑アンになる。

 

 

 「アン、何時まで一夏と千冬さんの姉弟喧嘩が続くのよ…」

 

 「イチカは、ある意味では頑固だからね…」

 

 「全く、観ている方が疲れるわよ」

 

 「イチカには言わない方が良いわよ?

 

 彼、意外と気にするから」

 

 「そうね…」

 

 二人は呆れながら、実技試験を見守ったのだった。

 

 二人の姉弟喧嘩は佳境を迎えた。

 

 泥試合も甚だしくIS同士で殴り合う二人。

 

 打鉄の装甲は罅割れ、白式もスラスター関係に異常をきたしながらも両者は殴り合う。

 

 そして、管制室で観ていたスコールさんはお腹を抱えて笑い転げ、気絶から目覚めた山田先生は二人が何故こう成ったのかオドオドしていた。

 

 そして、制限時間がギリギリとなった所で事態が動いた。

 

 「いい加減に判れよ!!」

 

 「一夏!?」

 

 イチカが千冬姉さんの顔面を手で掴むと、残り少なくなったエネルギーを使い瞬時加速して地面に向かう。

 

 「うぉぉぉぉ!!」

 

 「おい、一夏!!やっ、やめ!?」

 

 そして、千冬姉さんの頭を握り打鉄を頭から地面に叩き付けたのだ。

 

 ズッガァァァァン

 

 アリーナ中央で舞う砂塵が晴れるとグラウンドにはクレーターが出来て、頭から叩き付けられた千冬姉さんはクレーターの中央で気絶していたのだ。

 

 『打鉄、織斑千冬戦闘不能により、勝者白式、織斑一夏』

 

 そして、無機質なアナウンスによりイチカが勝った事が判る形で盛大な姉弟喧嘩は幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

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