一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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学園に帰還しても大騒ぎでした

 

 

 生徒会長の楯無は海上で起きた戦闘に頭を抱え、新しく会計担当となったシャルロットに泣き付く。

 

 「シャルロットちゃぁぁん、ブラックラビット隊のみんなが落とされたよ!?」

 

 「へっ?」

 

 シャルロットは生徒会長の一言に固まりながらも、ラウラからの正確な情報が来ていた為に抜けた声だけで済んではいた。

 

 だが、戦艦から出撃した2機のISが行方不明となったアンとシャロの機体だと知り、生徒会長の真っ青になったり慌てたりと目まぐるしく変わりまくる表情が堪らなく面白く放置していたのだった。

 

 無論、オリムラ中隊副隊長のアンから思い出したかの様に隊長代理としての通信は来ており、港の埠頭には大量の人数が用意された医療班とクルーを乗せる為の100台近いバスの手配はホワイトラビット社を通じて要請してあり、シャルロットからしたらなんの問題すら無かったと言えたのだ。

 

 「簪さん、会長を放置して行きますか?」

 

 「駄姉だから放置…」

 

 「簪ちゃぁぁん!?」

 

 「うざい、駄姉」

  

 「グッハァ!?」

 

 そして、そんな生徒会長をソファーへと投げ飛ばしながらも副会長となった簪を連れて埠頭へと向かったのだった。簪からもうざいと言われて胸を押さえながら倒れてしまい、イチカ達が行方不明以降から更に扱いが酷くなった会長だとは敢えて語るまい。

 

 

 

 学園の港に入港したムサシは巨大な錨を降ろされて係留されると甲板作業員の女性クルーが縄を放ち、学園の埠頭作業員達が係留作業に勤しむ。

 

 「馬鹿でかい戦艦だな…」

 

 「でも、第二次世界大戦時の戦艦大和に似ているよな…」

 

 「大和型戦艦の二倍はあるから、紀伊型じゃねぇかな?」

 

 「それよりも、女性乗組員ばかりだな…」

 

 「しかも、美人ばかりだよな…」

 

 作業員達が言うのは正しく、ムサシのクルーは女性クルーだけでありシーマ艦隊の所属の兵士はむさ苦しい男性だけだと思われがちだと思われるが、実際は独立戦争時の地上戦線のラバウル方面の海兵隊はシーマ艦隊所属の女性兵士ばかりだったが、大戦末期に宇宙へと上がりムサイ改の艦長を経て、イチカ達がIS世界に帰還後はリリーマルレーンの艦長に抜擢された当時ツキノ・カグラザカ少佐と部下の女性クルー全員は歴戦の猛者ばかりだった。

 

 無論、クルー達全員は美人揃いだが、見た目と裏腹にラッセルをはじめとしたアカツキの男性クルーを縮こませるだけの海兵隊の兵士としては超一流の腕前があり、ソロモンの訓練場で模擬戦を申し込んだ軍隊式格闘術の使い手のアンですら、女性クルー相手に十人抜きが厳しかったと語る。

 

 そんな女性クルー達はツキノ中佐を姉の様に慕い、ツキノ中佐を除いてはイチカかアン達のオリムラ家のメンバー以外は従う気は無いらしい。

 

 無論、イチカ隊長はムサシの女性クルー達全員の憧れの的であり肉食女子特有の獰猛な笑みを出しながら隊長を狙うが、絶対的存在であり艦長以上に忠誠を誓う正妻の鈴に認めて貰えれば妻の仲間入り出来るかもしれないと切磋琢磨して女を磨く姿はある意味で恐ろしい集団とも言える。

 

 そんな女性クルー達は、ムサシの乗組員として乗艦してはいるが、ソロモンでムサシに乗り込んだ2400名の内、第二砲塔と対空レーザーの砲撃要員の合わせた350名が戦死しており、350名の内の120名の遺体は艦内の安置所に冷凍保存され、残りの内200名は吹き飛んだ主砲と共に消し飛んで蒸発して遺体すら無いし、メガ粒子砲が直撃して開いた外壁から宇宙へと投げ出された30名も遺体は無い。

 

 代わりに戦死した彼女達の私物が遺体袋に代わりに詰められて保存されていたのだった。

 

 ムサシの係留作業が終わり、埠頭からラッタルがムサシに繋がると、いつの間にかアクシズの女性用の式典用の軍服に着替えた彼女達は甲板上に並び、軍楽隊による演奏が流れ出すと敬礼しながら見送られるのは、アクシズの軍旗に身を包まれた350名の戦死者の遺体が運び出されながらラッタルから降ろされる光景だった。

 

 「筒構え!!」

 

 ガッシャ

 

 「放て!!」

 

 パッパパン

 

 女性用の式典用艦長服に身を包んだツキノ中佐の指揮の下、軍楽隊の演奏とは別に戦死した戦友達を見送る為にアサルトライフルが天に向かって放たれ、埠頭の作業員達も降ろされる戦死者の遺体に黙祷を捧げたのだった。

 

 無論、戦死者達の遺体は焼却されて、ホワイトラビット社が用意した土地に350名の墓地が立てられ埋葬された。

 

 クルー達が戦死者達を見送った後、担架によって運び出されるのは敵味方関係なく救助された負傷兵のパイロット達やムサシやアカツキの負傷したクルーなどが慎重に埠頭に待機する医療班へと運び出され、搬出作業だけで半日を要してはいたが、医療班は余りの負傷した人数の多さに悲鳴を上げながらも負傷の度合いを区別する色別にしたリボンで負傷者が結ばれ、赤いリボンで結ばれた重傷者からホワイトラビット社の医療施設へと緊急搬送されて行き、最後にラッタルから降りて来たのは大量の勲章を身に着け式典用の軍服を纏う大佐の階級章を身に着けたアンや中佐の階級章を身に着けたシャロの他は千秋達と手を繋ぎながら降りて来たイチカの妻達だった。

 

 「アン、お帰り!!」

 

 「ただいま、みんな」

 

 出迎えたシャルロットがアンを抱き締めて再会を喜ぶが、簪は一夏が居ない事に気付く。

 

 「ねぇ、一夏君が居ないんだけど?」

 

 「イチカなら、ほら降りて来たのがそうだよ…」

 

 アンが指を指しながら、簪が向いた先はムサシのクルーでも力自慢の女性クルーが車椅子の前と後ろを持ちながらゆっくりと降ろし、車椅子に乗せられ空を見上げている一夏の変わり果てた姿だった。

 

 そして、埠頭に降ろされた一夏の車椅子は背中に産まれたばかりの彩芽をおんぶ紐で背負い降りて来た鈴が押し、エマとクリスが一夏の両脇を固めて護衛しながらアン達の前にくる。

 

 「えっ、嘘…」

 

 「簪、久しぶりね」

 

 「何で、鈴ちゃんは一夏くんがあの状態なのに冷静に居られるの!!」

 

 「確かに、一夏は戦争で戦い抜いて精神崩壊になって、今は一夏のこの姿だからって泣くのは嫌なのよ。産まれたばかりの彩芽や泣くのを我慢する娘の千秋達のためにもね…」

 

 「えっ…娘?」

 

 簪は鈴が娘と言う言葉に首を傾げるが、鈴の背中にすやすやと眠る赤ちゃんを背負っている事に気付く。確かに、目付きは一夏君そっくりの鋭い目付きだが、鈴ちゃんにそっくりな茶髪のサラサラな髪と丸みがある顔付きは鈴ちゃんそのものだった。

 

 まさか、若干17歳で母親になった鈴ちゃんが物凄く母親の貫禄が出てて私には眩しく見えたが、他の妻達だろう女性達が手を繋ぐ顔がそっくりな12人の少女達の他には、織斑先生よりも年上の女性が手を繋ぐのは黒髪で目付きが鋭い少女は一夏君を小さな少女にした様にも見えたし、シャロさんが手を繋ぐ箒さんにそっくりな少女も娘らしい事に気付く。

 

 「まさか…」

 

 「あたし達の自慢の娘達よ」

 

 「あっうぅぅ…」

 

 まさかの、一夏君の娘達が15姉妹だった事実は知りたくも無かった。私はあまりにも認めたくない事実に付いて行けずに意識を手放したのだった。

 

 そんな簪が、一夏の精神崩壊していた事実より、娘の数の事実で気絶するとは全く思わなかったが、マドカがあたし達が帰って来た喜びに走って来たが、イチカの姿を見たマドカに対して懸念していた事が起こるとは思わなかった。

 

 「ママァ、疲れたから抱っこ」

 

 「仕方ないわね」

 

 手を繋ぎながらでも、ビル5階相当の高さのラッタルを降りて歩き疲れたホウキがシャロに抱っこを要求して抱き上げたところで、マドカが娘のホウキを見て叫ぶ。

 

 「何故、糞モップがぁぁ!!」

 

 「ちょっと!?

 

 死んだ箒とは、この娘は違うわよ!?」

 

 「ママァ、この人、どす黒い感覚で怖い!?」

 

 「うるさい!!

 

 モップは、お兄ちゃんの未来を奪ったんだからこの場で殺す!!」

 

 ナイフを抜き、幼いホウキへと斬り掛かるマドカと娘を護ろうとホウキを抱っこしたままでマドカが握るナイフの柄を蹴り上げるシャロ。ホウキはニュータイプの感受性が高かったのかマドカから見えたどす黒い感情を見て酷く怯える。

 

 「言って無かったのは謝るけど、既に箒は死んだって言ってるでしょうが!!」

 

 「グッハァ!?」

 

 咄嗟の出来事に反応したアンが、マドカに回し蹴りを腹部に入れて軍楽隊の演奏する方へと吹き飛ばし、フルートを演奏していた軍楽隊のムサシクルーが腕を肩に回して関節技を決めながら拘束しながら、アンは埠頭の地面に抑え込まれているマドカに箒が死んだ事を話す。

 

 そして、ホウキは箒のクローン人間だが、今はシャロに保護されてイチカとシャロの間の養女としている事まで説明してマドカを納得させる。

 

 「モップが死んだだと…」 

 

 「そうよ。ホウキは私の娘にしてイチカの娘なのよ」

 

 「何故、奴と似ている!!」

 

 「マドカ、弁えなさい。一応、娘の前で話せる内容じゃないわよ」

 

 アンの冷めた口調から言われた一言に納得は出来たかと言えば微妙だが、マドカは他のホウキの姉妹達から冷たい目付きで睨まれながらも、もしも、再びホウキへと斬り掛かろうとするならば姉妹隊が黙っては居ないぞと暗に発するニュータイプともいえるプレッシャーにマドカはナイフを仕舞い黙るしか無かった。

 

 もう一人、娘に手を出されてキレていた千秋と同い年位の少女がフッ素コート仕様のフライパンを片手にマドカへと歩み寄る。

 

 「よくも、お友達で娘のホウキちゃんを泣かしたな!!」

 

 バッゴン

 

 「グッェ!?」

 

 マドカがムサシのクルーから開放されて立ち上がったところで繰り出されたフライパンをゴルフクラブの様にフルスイングする光景にマドカはとっさの出来事に躱せる訳も無く顔面に食らい、フライパンの底はマドカの顔型を作り上げていたのだった。

 

 「「「「あっ、ミネバ…」」」」

 

 妻達一同はミネバ必殺のフライパンのフルスイングに唖然となるが、顔型を作る程の威力を食らったマドカへと歩みよって確認したら気絶しているのが判り医療班を呼び治療を受けさせたのだった。

 

 ムサシの入港は、避難指示が解除された生徒達の目にも留まる結果となり、あまりの巨大な戦艦を初めて見る結果となり、戦死者達を葬送する為の軍楽隊の演奏も祭りか何かと勘違いして埠頭へと来てしまい、新聞部の薫子がムサシに無断で忍び込み写真を撮ろうとしたが、モビルスーツデッキに入り込んだところで、モビルスーツを動けなくする為の動力部の凍結作業中の束さんの手に捕まり御用となったぐらいしか問題は起こらなかった。

 

 そんな最中、自室に閉じ籠っていた千冬だが、鈴が先頭を歩いて学園を案内しながら彼女の部屋へと向かう妻達と娘の合わせた約20名は憔悴した千冬の姿を見て、鈴がキレるのは別の話だったりするのだった。

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