復学の手続きと試験が終わり、結果は直ぐにでも出た。無論、三人は復学が決定したのだが、嘗ての寮部屋は元に戻した上で新一年生の寮の部屋へとなっており、一夏と過ごした部屋は無い。しかし、社長に復帰した束さんが学園へと多額の寄付と借り受けていた寮をあたし達の家族寮として借りて三十数名が一緒に住んでも問題ない家族寮へと改装中だった。
「ここは、対面キッチンでお願いするわよ」
「へい」
束さんから推薦された大工が鈴と図面を睨みっこしながら話し合い間取りを決めて行き、三階の十八部屋の寮は壁を全て壊して、寝泊まり出来るレベルまでは改装が終わるが、ダイニングキッチンにお風呂場だけは改装が終わらない。
暫くは、学園の食堂と大浴場にはお世話になるだろうが、一夏の身の回りの世話は今の寮へと移った為に看護師から妻達に代わり順番で身の回りのお世話をしていたが、、今日は軍での指揮官経験を買われて私兵部隊の総司令官となったシーマと妊娠中で産婦人科での検診で娘だと確定したマウアーがベッドに眠る一夏の世話をしていた。
無論、婚約者のミネバと娘達は、毎朝学園へと迎えに来るスクールバスに乗り、小学校へと入学して通っていはいるが、アンが昨日の出来事からミネバから取り上げた鞄を持ちながら見送りから戻って来る。
「ミネバも落ち着けば良いんだけどね…」
「昨日の事が有ったから暫くは無理だと思うけど…」
「全く、鞄の中に一体フライパンが幾つ入っていたと思う?」
イリアがミネバの性格から無理だと答えながらも、鞄の中身を出したアンがげっそりしながらシャロに聞くが、シャロは一つだけだと思いながらアンに聞き返す。
「一体、幾つなのよ?」
「一番柔らかい軟鉄製のフッ素コートのフライパンが3つと束さんが向こうで作ったガンダリウム合金γ製のフライパンが一つとハマーン様が誕生日祝いで送った人工ダイヤモンド製のフライパンよ…」
「えっ…そんなに…」
アンは絶句する二人を他所にしながらも、アンを加えたシャロにイリア達三人はミネバのフライパンをどう処理したら良いのか見当すら立たない。だが、マドカはフライパンを見るたびに怯えて震えたりしていたらしく、ダイヤモンド製のフライパンで殴られなくて良かったと思う三人でもあった。
ミネバ&織斑家の姉妹達の場合…
昨日のクラスで起きた事件から、少し前に時間を遡る…
「は〜い、今日からみんなのお友達になるミネバ・ザビちゃんね」
「ミネバだよ。よろしくね!!」
『は〜い!!』
ミネバは学校に初めて通いながら、新しく出来るお友達にわくわくして自己紹介を済ませるが、一人だけ嫌な感覚を感じた一人の女子生徒をニュータイプとしての勘なのか、元総統だった経験からか警戒をする。
無論、このクラスには千秋と夏希に千春などのソロモンから仲の良かったイチカの娘達も一緒に在席するクラスだけに余り不安は無いと想いたかった。
しかし、休み時間で事が起こる。
「へぇ、千秋ちゃん達のパパって、あの世界初のISの操縦者なんだ!?」
「うん、凄く優しいパパだったよ」
「だった?」
千秋と夏希がクラスメイトの女子生徒と話ており、千秋が過去系で話している事から疑問にすら思う生徒。しかし、このクラスは一般人からはお嬢様と言われる政界人や業界人などのご令嬢が集まる特別学級であり、父親であるイチカが帰還して来て直ぐにホワイトラビット社の病棟に入院中だと言う話は、ご令嬢達の間では取り分け有名な話だったりしていた。
無論、鈴は元一般人だった事から普通の学校へと行かせたかったのもあるが、ユキノを始めとしたシーマの部下数名を護衛兼メイドとして住み込みで雇っている今の織斑家は果たして一般人の枠に収まるかと言えば微妙な位置であり、イチカの妻達の中には私兵部隊の総司令官だったり、部隊長やムサシの艦長にホワイトラビット社の幹部だったりと一般人と質問したら違うだろうとツッコミが帰って来るだろ。
そして、娘達への教育ママ化したシーマの意見により、特別学級へ入れる事に反対する鈴とアンを除いた妻達の満場一致での妻会議で、この特別学級へミネバと娘達が入るに至る。
そんな会話の最中、ミネバが警戒していた女子生徒が口を開く。
「あら、そう言えば、貴女達の父親が入院中ですのね。精神が壊れるまで何をしてたか知りませんが、どうせ碌でも無い事が原因なのでしょ?
だがら、男なんて皆死ねば良いのに」
それを聞いた娘達三人は怒りに震えながら耐え、その女子生徒を無視を決め込み他の生徒達との会話を楽しむ。
しかし、次の一言にミネバがキレたのだ。
「パパが話していた、IS学園に入港した戦艦の被害状況から、戦場でのショックから精神疾患にでもなったのかしらね。そのまま、貴女方の父親なんて戦場で死ねば良いのに」
「「「「「!?」」」」」
近くにいた千秋達、姉妹の顔付きが瞬時に怒りに変わり、ミネバに至っては母親から聞いた話では、父親のドズルと叔母であるキシリアや叔父のギレンとの仲違いをイチカが作ったディナーを食べて貰いながら、兄妹達が争うべきじゃないと話してくれたから、二人へと懐けて寂しい思いもしなかったし、防衛戦になるまでイチカがおやつに美味しいケーキを焼いてくれたから優しい自分があるのだとミネバは思うし、イチカに出会ってなければ初恋なんてしなかった。後6年は我慢はしないといけないけど、大好きなイチカに対して死ねば良いのにと言われて、我慢が出来るミネバじゃなかった。
「私の大切なイチカを!」
「ヘッグゥ!?」
ミネバは父親の得意だった格闘技を見様見真似で教室の床を踏み込みながら拳を握ると女子生徒の懐へと入り込み、右のアッパーカットを女子生徒の顎下に全力で入れる。女子生徒の顎下へと入ったアッパーは女子生徒の歯を砕きがら浮き上がる。
「侮辱しないで!!」
「かっ、顔は止めっ…ヘッブゥ!?」
浮き上がりながらも顔は止めてと言う女子生徒に、ミネバは左のストレートを顔面に入れて教室の電子黒板へと殴り飛ばす。無論、周りの生徒達が見ていた為に悲鳴が上がるが、父親を侮辱され目尻に涙を溜めたイチカの娘である千秋と千春に夏希からの怒りのニュータイプの波動を同じニュータイプである姉妹達が受けてしまい、床へと倒れノックダウンする女子生徒の周りに学校へと通う姉妹達が全員が集まり出して、女子生徒の首根っこを千秋と千春が二人掛かりで掴み引き摺りながら何処かへと連行して行き、『助けてくれたの?』と言いミネバに怯えながら歯を無くした女子生徒だが、姉妹達はニッコリと物凄くいい笑顔で笑いながら『パパを侮辱するな!!』と叫びながら姉妹全員でぶっ飛ばしたのだった。
「と言う話なのよ…」
と学校に呼び出されたアンは、フライパンを調理棚へと仕舞いながら二人に話しながら、暴言を吐いた女子生徒には一切叱らずに娘達とミネバの暴力に対してだけに文句を言っていた女尊男卑の酷かった女性教師は夫のイチカへの暴言を吐いた為に、アンが終いにはブチ切れてぶっ飛ばしたらしい。
無論、ミネバ達に殴られた女子生徒は顎骨の骨折と歯を全て失い重症で、アンがぶっ飛ばした女性教師は肋骨数本の骨折と黒檀製のテーブルに投げられた為に腰骨を折る重症だった。
それを聞いたイリアは呆れ顔を浮かべ、女尊男卑がこうも酷かったのかと思いながらも、宇宙世紀組の妻達やカミーユ達には身の安全の為に警告して置こうと内心思うのだった。
しかし、イリアの不安は的中する事になるのは、別の話となるが宇宙世紀組の妻達がカミーユ達を連れてレゾナンスの子供服売り場へ買い物へと再び行った時になる。
カミーユ達の場合。
ミネバの隠していた全てのフライパンの片付けが終わり、イリアはエマとクリス達の着替えや娘姉妹やミネバ達の洋服を買いに行く為に宇宙世紀組の妻になった全員を呼びレゾナンスへと向かう。無論、カミーユとファとフォウにロザミアも連れて向かうのだった。
レゾナンスでの案内役はシャロで、来れなかったマウアーや鈴とアンの分の下着や普段着を買いながらも、他の妻達はそれぞれの下着や普段着を選び購入して行く。
無論、カミーユはファとフォウに両脇に腕を組まれて逃げるのは不可能だと理解して諦めながらも、妹として引き取ったが恋心に目覚めつつあるロザミアからは積極的にカミーユに腕を組む二人を羨ましいそうに見ていた。
「ファにフォウ、そんなに腕を組まれたら歩き難い」
「腕を放したらカミーユは逃げるでしょ?」
「私もファに同意見だ」
「お兄ちゃんは逃げないよね?」
そんな四人はファミレスに入り、ファはカルボナーラをフォウはサンドイッチをロザミアとカミーユは同じオムライスを注文しながら談笑にはいる。
「そう言えばカミーユは、束さんから機械工学を学び始めたって聞いたけど?」
「ファ、悪いかよ?」
「違うの。カミーユがやりたい事が見付かったのが嬉しいなって」
「俺だって、やりたい事ぐらいあるさ。イチカ隊長がしていたISの専用機の基礎設計をやって見ないかって束さんから誘われたのが始まりだしさ」
「でも、医者に成りたかったでしょカミーユは?」
「医者にも成りたいけど、イチカ隊長に恩が返せるなら設計技士になって隊長の専用機を設計したいなって思っただけだ」
「「カミーユらしいわね」」
そんな会話の最中、一人の女性がカミーユが座るテーブルに伝票を置いて行く。無論、カミーユには見覚えの無い伝票であり、カミーユは女性を引き止める。
「忘れ物ですよ」
「忘れたんじゃないわ。ここの支払い、男の貴方が支払いなさい!!」
「「「「はっ?」」」」
意味も分からず、全員ハモりながらはてなマークを浮かべる。
「良いから、支払いなさい!!」
「ねえ、私達の食事の邪魔するな!」
「ふん、売女が…えっ、貴方達まさか…」
意味が判らないまま、癇癪を起こす女性にフォウが立ち上がり、ホワイトラビット社の身分証を見せる。女性は顔を急に真っ青にして逃げようとするのだが、カミーユが足を引掛けて転倒させ、ロザミアが馬乗りになり関節技を決めてからスカート内の内股に隠す投げナイフを首筋に当てて拘束したのだった。
女性は無銭飲食で逮捕されたが、カミーユはイチカ隊長がどれだけ辛い思いをしながら暮して居たのかを理解するきっかけとなったのは言うまでもなく、こんな世界よりも宇宙世紀で暮らす方が隊長の幸せだと感じるのだった。