一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

64 / 82
動き出す刻

  

 

 束様が帰還されて、アン様達の専用機を仕上げてからは研究室に籠もり切りで研究を続けている。理由は判らなくは無いが一夏様を助ける為だとは理解している。だけど、胸苦しそうにしながら独り苦しみ、悲壮感漂う束様は見ては居られないクロエですが、社長を任されてしまい会議会議と束様を見守る時間が無くなるのが現状だった。

 

 「束様…」

 

 束様は、帰還して直ぐにクロエにコアの製造方法を遂に教えて来ました。無論、嬉しさと寂しさがありますが、『コレを完成させなくちゃね』と言ってからはまともに寝ていないし、束様は気付いて居ないかも知れないけど、お腹に新しい命が宿っているのだから無茶をしないで欲しい。

 

 溜息ばかり吐いていると、学園から呼び戻して秘書にしたスコールさんが悲しそうにクロエを見る。

 

 「やっぱり、前社長が心配かしら?」

 

 「はい…束様は無茶ばかりで…」

 

 「でも、一夏くんへのタイムリミットが無いのは事実でしょ?」

 

 「確かに、無いのは事実です。クロエが以前に一度だけ一夏様の精神世界にダイブした時は何ともありませんでしたが、今の一夏様の精神世界は何時完全に崩壊してもおかしくは無いし、白星さんが精神世界を支えているのが大きいですね…」

 

 「タイムリミットは保っていつなの?」

 

 「はっきり言えませんが、一ヶ月位としか…」

 

 「余り時間が無いわね…」

 

 スコールは、『一夏救出作戦概要』と纏められた突入メンバーを見ながら溜息を吐くが、歴戦の戦士とも言えるアンとシャロの二人に鈴にカミーユにイリアの合わせた5人だけの少数精鋭での作戦に無謀だと思うのだった。

 

 

 

 同じ頃、作戦概要が鈴の下に届けられており、緊急妻会議では内容を読んだクリスが怒りを爆発してアンの胸倉を掴んでいた。

 

 「アン、ふざけんじゃないわよ!!」

 

 「クリス、あんたじゃ力不足なのよ!!」

 

 「何だと!!」

 

 「クリス、落ち着きなさいよ」

 

 「エマさん、アンに言ってやってよ!!」

 

 「少数精鋭で挑むんだから仕方無いじゃない!!」

 

 「鈴さん、詳しく説明を」

 

 「あたしだって力不足だけど、単に初期生産のコアを持つのがあたしとアンにシャロだけな理由よ。カミーユはニュータイプとして感受性があり、イリアはニュータイプとして高い危険予知があるからよ。クリスとエマさんも少数精鋭で無ければメンバーだったけど、娘達を抑えられるメンバーとなると必然的にクリスとエマになるのよ」

 

 「「確かに…」」

 

 確かに、彼女達に千秋達の相手は無理だと理解しながらも、クリスとエマはケイト達を見ながら溜息を吐く。

 

 無論、ケイト達が至ってトロい訳では無いのだが、娘達全員がニュータイプだから厄介なのだと鈴は暗に言う。特に夏希と千秋の二人のニュータイプ能力はイチカを既に超えており、最近だが家族で見学に行った第七格納庫で調整中の専用機のイリア機とフォウ機のブルーローズMK-Ⅱを乗り回したりして遊び、遊び相手にされたブラックラビット隊の面々はラウラを加えた全員が本気になっても敵わず、ファンネルを使われ落とされたらしい。

 

 妻会議も長引き、既にお昼が過ぎようとしていた事に気付いた鈴は棚から出したのはミネバから取り上げたガンダリウム合金製のフライパンを出して火を掛けながら温めている事にイリアが気付く。無論、人工ダイヤモンド製のフライパンはインテリアとしてキッチンに飾られ、他の取り上げたフライパンは鈴専用の調理用具化していたのだ。

 

 「さて、お昼にするわよ」

 

 「そのフライパンは…」

 

 「あっ、コレ?

 

 熱伝導率が、あたしの中華鍋より良いから使ってるわよ」

 

 「それ、ミネバから取り上げたガンダリウム合金製のフライパンよ」

 

 「そうなの?

 

 なら、ホワイトラビット社の商品にしたら売れそうね」

 

 「確かに、ガンダリウム合金はこの世界だと、束さんしか精製できなかったわね」

 

 「なんか、ホワイトラビット社があっちのアナハイムの様になりそうね…」

 

 シャロが懸念する様に、後にガンダリウム合金製のフライパンはホワイトラビット社が出す調理器具としてはガンダリウム合金製の包丁に次いでの人気商品になる。

 

 そんな事を三人で言いながらも、鈴は人数分の冷や飯を用意しながら刻んだ叉焼やネギを用意して行き、卵を溶きながらフライパンに油を敷くと卵を入れて固まらない内に少し温めた冷や飯や刻んだ具材を入れて炒めて行く。そして、同時進行で水を入れた鍋を火にかけて沸かして鶏ガラスープの素を入れて鶏ガラスープを作り、具材に火が入る頃には塩胡椒で味を整えながら粉末の鶏ガラスープの素を炒めている炒飯に振り掛けて一気に炒めて炒飯が完成し、鶏ガラスープには刻みネギと溶き卵をおとして卵スープにして妻達に出していたのだった。

 

 「鈴の手際の良さには脱帽ね…」

 

 「あたしは料理が作れないけどね…」

 

 鈴が、いつの間にか作り上げた炒飯定食に舌鼓する妻達は騒いでいたいざこざも収まり、シャロとアンは鈴に脱帽しながらも炒飯を食べながら話す。

 

 正妻の鈴でしか出来ない芸当だと。

 

 昼食が済んだ頃に、鈴のスマートフォンがなる。

 

 「束さんからね…」

 

 「じゃあ、まさか?」

 

 「完成したのかも?」

 

 妻達がざわめき、希望観測的な話をするが束さんからの電話を出て話さければ意味は無い。

 

 「どうしたんです?」

 

 『うん、装置が完成したから突入メンバーは全員集合だよ』

 

 やっぱり、完成の電話だった。

 

 『で、突入メンバーは念の為にノーマルスーツ持参してね』

 

 「判りました。直ぐに伺います」

 

 電話を切り、妻達を見た鈴はアンに電気自動車を用意する様に言い、スマートフォンを片手にしながらフォウへと連絡を入れ、学園の入り口でカミーユを拾うから来る様にと言って切ると自室に向かい、ノーマルスーツを拡張領域へと仕舞いながら、メイドのユキノを呼んで一夏を車椅子に乗せて貰い、アンとシャロにイリアと一緒に駐車場へと向かったのだった。

 

 「カミーユ、待たせたわね」

 

 「別に構いませんよ。ただ、何故フォウの番号を知っているんです?」

 

 「悪い?

 

 フォウはあたしと同じクラスだからよ」

 

 「フォウ、そうなのか?」

 

 「えぇ、鈴とは同じ2組よ。私は鈴の推薦でクラス代表だけどね」 

 

 「まぁ、フォウがやる方が健全的だし、彩芽のミルクがあるからね」

 

 入り口で会話しながらカミーユを乗せ、アンは車を発進させて本社のある山梨の本社へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 同じ頃、イチカの精神世界ではブルーローズMK-Ⅱに乗るイチカはとあるニュータイプと戦っていた。

 

 「ちぃ、ファンネル!!」

 

 「チィぃぃ!?」

 

 飛行形態のモビルスーツは、5thルナの外壁部分を低空で飛びながらブルーローズMK-Ⅱから放たれたファンネルのビームを寸の所で全て躱して行く。無論、そのパイロットが逃げる先にはギュネイ中尉機のヤクトドーガが待ち伏せをしており、イチカは彼を逃がす積りは無い。

 

 「ギュネイ、決めろ!!」

 

 「イチカ准将、うるさい!!」

 

 「ちぃ、挟み撃ちか!?」

 

 「「落ちろ!!」」

 

 ギュネイは半分キレながらもヤクトドーガからファンネルを展開し、挟み撃ちで決める積りが飛行形態のモビルスーツは飛行パーツと分離しながらギュネイのヤクトドーガへと飛行パーツをぶつけて、ビームサーベルを抜きながらイチカへと切り掛かる。

 

 「これなら!!」

 

 「なっ!?」

 

 「悪いけど、貰った!!」

 

 「ゼータモドキで!!」

 

 イチカはビームライフルを変形させてハイパービームサーベルでゼータモドキのビームサーベルを受け止めながら、バックパックのハイパーメガビームランチャーを展開してゼータモドキへと放つ。

 

 「脚をられたくらいで!!」

 

 「チィ!?」

 

 ゼータモドキの左脚を吹き飛ばすが、グレネードランチャーを放ちイチカと距離を取る。

 

 『イチカくん、撤退だ』

 

 「了解、シャア閣下」

 

 ブルーローズMK-Ⅱを反転させながらも、コクピットで気絶するギュネイを回収してアクシズ艦隊の旗艦の改ムサシ級強襲揚陸戦艦シラネへと帰還する。

 

 そして、5thルナの熱核ブースターが点火して地球連邦の本拠地のチベットへと落下して行ったのだった。

 

 

 何故、アクシズと連邦が戦争になった理由は、ティターンズとの戦い後、アクシズはサイド3を本拠地に移して月の月面都市郡と共に連邦に独立を宣言する。しかし、戦力を大半を失った連邦は承諾するしか無くて独立を認める。しかし、一部の連邦の上層部が認めずにサイド2の12バンチコロニーへと核攻撃に踏み切り、12バンチコロニーはバレンタインデーの日に多数の死者を出しながらコロニーは消滅し、『血のバレンタイン事件』に対してアクシズは再び連邦との戦争となったのだった。

 

 そんな精神世界のイチカは准将に昇格しており、シャア元帥の指揮する部隊に居ながらも、核攻撃をした連邦を許す気は全く無く、ゼータモドキに乗るアムロと因縁の決着を着けようとしていた。

 

 

 

 そんな精神世界でイチカが戦っているとは知らない鈴達は、本社へと着いたのが夕食頃となり束さんの自宅にて夕食となるのだが、鈴は束さんが妊娠していた事実を知る事になるのは知らなかった。

 

 「やぁ、みんな来たね」

 

 「束さん、お腹出てますが?」

 

 「余り食べて無いのにおかしいなぁ?」

 

 「束さん、偶に気分が悪いとかありません?」

 

 「有ったかも…」

 

 その一言に鈴は、束さんがもしかしたら妊娠した事実を知り、車椅子で眠る一夏を睨みながらも拡張領域から出した検査薬を束さんに渡して検査する様にと言う。

 

 「はっ、マジぃぃぃぃぃ!?」

 

 トイレから束さん悲鳴が上がり向かうと、陽性反応を示した検査薬を凝視しながら固まる束さん。

 

 「イチカを助けたら、先ずはとっちめないとね…」

 

 「「「うん、イチカはギルティだね」」」

 

 妻達4人は結束を高めながら、イチカを助けた後にイチカをぶっ飛ばす事が真っ先に決まった瞬間だった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。