一通りイチカをぶっ飛ばしてスッキリしたあたし達は、イチカとシャアがアンとシャロに廊下を引き摺られて連行される光景を見て顔を未だに引き攣らせたナナイ艦長に案内され、ソロモンの居住区のハマーンの住まう屋敷へと向かう。無論、何故シャア元帥がと疑問に思う一般兵だが、あたしがいい笑顔で居る様子とズタボロのイチカを見比べて一般兵は織斑夫妻の最大級の一方的な夫婦喧嘩の結果だと納得する。
「ハマーン様、来たわよ!!」
「何故、シャアが引き摺られている!?」
「ナナイさんから、事情を聞きなさい!!」
シャアをハマーン様の方へと投げ渡し、ナナイはびっくんと怯えながらシャアと浮気していた事をハマーン様へと白状する。
無論、ハマーンはこめかみに青筋を浮かべながらも、イリアが拡張領域から出した巨大な算盤をハマーンに渡すと間髪入れずにシャアを算盤の上に正座で座らせて、ニッコリ笑いながらシャアの膝上に椅子の様に座る。
「ウッグゥ!?」
「シャア、妻が二人もいながら浮気か?」
「イチカくん、私を売ったな!?」
「売ってないですよ…鈴がナナイを尋問したかと…」
「はい、申し訳ありません…」
「まぁ、イチカの浮気ついでだけどね…」
「ほぅ、イチカ准将も浮気か?」
「えぇ、ソロモンの技術最高顧問とですがね…」
「あぁ、束大尉だな…」
「まさか…束さんは…」
イチカの質問に鈴はニッコリ笑いながら答える。
「妊娠7ヶ月ね」
「なっ!?」
まさかの事実に驚愕するイチカと最高顧問の妊娠に喜んで良いのか微妙な反応のハマーン。しかし、ナナイはハマーンの眉間に皺が寄る様な表情に怯えてこっそりと謁見の間から踵を返して抜け出そうと画策するが、シャロに女性用の軍服の腰にしていたベルトを掴まれ逃げられず、裏の第一夫人とも言えるナタリーが来たらとシャア共々怯える始末だった。
無論、ハマーンは玉座にある通信機でナタリーを既に呼び出して後宮から召喚しており、二人の未来は決まったと過言では無かった。
何故なら…
ドッドドドド…バッァァァァァン
「シャア、あなたねぇ!!」
「なっ、ナタリー!?」
「ハマーン、逝くわよ!!
シャアに私達の魅力を徹底的に覚えさせながら、搾るだけ搾るわよ!!」
「「「「「……」」」」」
謁見の間の重厚な扉が急に砕け散り、現れたのは扉をヤクザキックしながら破壊し、凄まじい形相しながらキレたナタリー本人だった。そして、算盤の上に座らされていたシャアを蹴り飛ばしながら転がして行き、ハマーンの手を握りナナイのベルトを掴み、二人一緒に連行すると踵を返して後宮の自室へ嵐の様に消える。
カミーユはファとフォウの姿がナタリーと被り青褪めながらブルっと震え、イチカはこの後にどうなったかが予想出来た為に真っ青にするのだった。
「シャアの浮気者ォォォ!!」
バッチィィィィン
「ギャァァァァァァ!?」
「さあ、ハマーン!!
シャアが気絶している今の内に搾るだけ搾るわよ!!」
「あっ、はい…」
その後、後宮のナタリーの私室から聞こえたのはシャアの悲鳴だった。
「さて、あたし達もナタリー様の様にイチカを搾るだけ搾りましょうか?」
「そうね…」
「イチカ、今夜は寝かさないわよ」
「カピカピになるまでね♪」
「かっ、カミーユ助けてくれ!!」
「隊長、自業自得ですよ」
「そっ、そんなァァァァァ!?」
勿論、イチカもアンとシャロに首根っこを掴まれ再び引き摺られて自宅へと連行される最中にカミーユに助けを求めるが、カミーユに一瞬だけ振り向いた4人が一斉にニッコリと笑う姿に顔を真っ青にして自業自得だとバッサリと切り捨てたのだった。無論、カミーユに薄情者と叫ぶイチカだったが、カミーユは引き摺られて行くイチカに敬礼しながら見送ったのだった。
「カミーユの薄情者ぉぉぉ!!」
「隊長、ご武運を!!」
4人に搾るだけ絞られた翌日には、ベッド上にミイラの様に肌はカサカサになり顔は窶れてげっそりな姿となったイチカと鈴を始めとした妻達はツルテカの肌をしながら満足したのだった。
無論、シャアもイチカ同様にナタリーとハマーンにも徹底的に搾り尽くされ、傍らで見ていたナナイも二人に謝罪しながらも二人から妻の一員となれと言われてハマーン達のベッドへと混ざったらしく、翌日の会議に参加した時にはげっそりと窶れたシャアとイチカが現れたのは言うまでもない。
そんな最中、ロンド・ベル隊では中破したリ・ガズィを直していたアストナージはせめて、ソロモンで製造されたブルーローズシリーズがあれば戦力的にマシになるだろと思いながらも、アナハイムとの裏取り引きで製造中の機体が早く届く事を願っていた。しかし、連邦上層部は量産型のジェガンを元に改良された生産数の少ないスタークジェガンを使用させる気は一切ないらしい。
「アクシズが国として独立したんなら、手を出さきゃ良いのに…」
「憲兵に聞かれたら捕まるぞ、アストナージ」
「アムロ大尉!?」
「修理状況はどうだ?」
「吹き飛ばされた脚は修理のしようが無いですよ。まともな補給が在るなら別ですがね…」
「やはり、ソロモンに向かうのは無理か…」
「魔の巣窟に向かうなんて無茶ですよ!?」
アストナージは慌てるのは無理も無い。
ソロモンにはハマーンやエース級のパイロットもおり、防衛用のモビルスーツも未だに旧式にすらならない量産型のブラックローズⅡやアナハイム社製のギラ・ドーガ改が配備され、シャアの手加減によりブラックローズⅡより低性能のアナハイムの量産機ギラ・ドーガですらジェガンやジムⅢが苦戦を強いられた事実から慌てるのも無理は無い。
それに、イチカ准将が初戦の前線で暴れたせいもあり、ロンド・ベル隊のジェガンとジムⅢは既に過半数のモビルスーツを失った状態だった。
それでも、連邦上層部はソロモンを攻略しろと言う。
無茶にも程があるとアストナージとアムロは思う。
「いっその事、アクシズに投降するかアストナージ?」
「そうしたら、アムロ大尉の二人の奥さんが連邦に殺されますぜ?」
「アナハイムに居るチェーンはともかく、ベルトーチカなら自力でロンドンから脱出するだろうさ」
二人はそんな会話をしながらも、一向に直らないリ・ガズィを見ながら溜息を吐くのだった。
アクシズに舞台は戻り、シャアは次の目標であるロンド・ベル艦隊の別働艦隊であるネェル・アーガマの奇襲作戦を立案する。無論、鈴達が偶然にも見た艦隊だとシャアは付け加える。
「イチカ、戦力は判るの?」
「あぁ、レズン少尉、説明を頼む」
「監視した限りでは、別働艦隊の主力モビルスーツはジェガン改が4機と残りはジェガンですが、未確認の情報ですとZⅡが2機とゼータプラスが数機存在している可能性があります」
「寄りによって、ゼータ系列の機体か…」
カミーユは呟きながらも、まさか自分が設計した機体が使われた事にショックを受けながらも、カミーユの手で撃墜すると固く誓うのだった。
無論、ゼータ系列のモビルスーツを使うのは、鈴のスペリオルガンダムと自身のゼータガンダムだった。
そして、ハマーンからの命令によりアン達もムサカが一隻与えられ、イチカを隊長にアンとシャロに鈴とカミーユにイリアの6人を一つの部隊とし、クィン・マンサはムサカの格納庫には収容出来ない大きさの理由からクロエのFAZZへと変更し、クロエはムサカにてイチカ達のサポートへと回ったのだ。
イチカ達を載せたムサカ級ミョウコウは、同級のナチとハグロにアシガラを引き連れソロモンから出撃したのだった。
「イチカ閣下、この先の進路でシャトルが襲撃されているようです」
「機種と数は判るか?」
「機種は旧ティターンズのハイザックが4機とジム・コマンドが2機ですな」
「残党か海賊だな…」
イチカの読みは正しく、ティターンズ兵が宇宙海賊となった者達だった。ハイザックは辛うじて現役に使うのは厳しいが、ジム・コマンドは流石に骨董品だろうとイチカは思う。しかし、ジム・コマンドが装備するバズーカの威力はシャトルを撃墜し兼ねないとイチカは考える。
「シャロ、狙撃出来るか?」
「イチカ愚問ね」
「鈴、狙撃後にスペリオルガンダムのブースターユニットなら先行して叩けるか?」
「当然、行けるわよ。スペリオルガンダムの機動力ならね」
「アンは鈴のスペリオルガンダムに掴まり移動、カミーユはウェイブライダーモードで向かってくれ。現地到着次第、モビルスーツの排除とシャトルの護衛に当たってくれ」
「「「「「了解!!」」」」」
作戦が決まり、ロングレンジスナイパーライフルを装備したシャロのブラックローズⅡが射出され展開すると、アンとカミーユに鈴のブラックローズⅡとスペリオルガンダムブースターユニットとウェイブライダーモードのゼータガンダムが続いて射出される。そして、最後にイリアのFAZZがシャロの直庵として射出され出撃したのだった。無論、俺もブルーローズMK-Ⅱを駆り出撃するが、カミーユ機のゼータガンダムのウェイブライダーの背中へと乗り移動したのだった。
先行したシャロとイリアは狙撃ポイントに到着し、ロングレンジスナイパーライフルを構えながらハイパーバズーカを装備するジム・コマンドへと狙い定める。
「先ずは、シャトルの真上の機体から…」
「周囲敵影なしよ」
「了解…今だ!」
シャロはシャトルの真上のジム・コマンドへと狙撃をし、ジム・コマンドはコクピットへと狙撃され四散する。無論、もう1機のジム・コマンドにも狙撃しながら撃破する。
「あたしの出番ね!!」
「行くわよ!!」
「カミーユ、右のハイザックは任せた!!」
「了解!!」
鈴のスペリオルガンダムブースターユニットから離れたアンのブラックローズⅡの2機はハイザックへと向かい、鈴はメガビームスマートガンを放ちハイザックをビームで貫き撃破し、アンはスラスターを全開にハイザックの懐へと入りながらショットランサーを放ちコクピットへと突き刺し撃破する。無論、イチカのブルーローズMK-Ⅱとカミーユのゼータガンダムはそれぞれのハイザックを撃破し、シャトルを保護に成功したのだった。
「あれが、イチカ大佐の…」
シャトルの乗客の水色でツインテールの髪型一人の少女は、蒼と白で染められたブルーローズMK-Ⅱと三つ巴の戦いの時に撮られたロールアウトして間もない頃のブルーローズMK-Ⅱのスナップ写真を握り締めながら頬を赤く染め、見詰めていたのだった。
無論、イチカは昇格して現在は准将だが、少女は三つ巴の戦いの時の大佐の階級しか知らない。
「運命の出会いになると良いなぁ…」
だが、彼女は知らない。
イチカの妻子の存在は意外と有名な話なのだが、インドで籠もって修行してたが為に憧れのイチカ准将には妻子の存在がある事に。
そして、正妻の鈴は知らない。
一目惚れした少女の暴走に頭を抱える事になり、妻達であるアンやシャロにイリアと一緒に胃が痛くなるとは誰が予想しただろうかと。
正妻の鈴とその少女の生涯に懸けて凄まじい攻防が始まるとは誰も予想はして居なかった。