シャトルを救出後、アンとシャロが周囲警戒をしつつイリアがシャトルの被害状況を確認するが、メインスラスターが海賊により破壊されていて自力飛行が不可能とイリアは判断する。
しかし、俺達は合流段階とも言えたネェル・アーガマ撃沈並びに合流艦隊への襲撃となる為、なるべくなら一般人をムサカへとは収容は避けたい方向だった。
「イチカ、乗客と乗組員の合計人数は32人だけど、作戦の情報漏洩の観点から収容は避けたいわね」
「う〜ん、メインスラスターがやられてるから自力飛行は不可能なんだろ。なら、人道的に収容するしか無いし、最悪なら作戦終了までは会議室に監禁するしか無いな」
「それしか無いわね…」
やはり、隊長と副隊長とも言える二人の会話にイリアも納得しつつも、海賊に追われた上に通常航路から離れた宙域では他からの救援は不可能だし、もしこの戦闘がアクシズと連邦の戦闘のど真ん中だったらと思うと背筋にヒヤリと冷たい汗が流れる。
結局、シャトルの乗員全員が旗艦でムサカ級のミョウコウへと収容となる。ミョウコウを横付けし、伸縮式通路が乗組員の昇降口からシャトルのハッチへと伸びてドッキングするとノーマルスーツを着た作業員達が内部が安全かどうかと確認した後に乗員の移動が始まる。
「ほら、名簿への記入を済ましたら会議室へ向かいなさい!!」
昇降口から少し入った所で、アンが乗員名簿に記入する様に案内しながらも各通路に繋がる通路には拳銃装備のクルーが二人一組となり、会議室までの通路まで監視しながら立っていた。
無論、ミョウコウは軍艦なので機密だってあるし、モビルスーツデッキや機関室にブリッジなどには間違っても入れてはいけない。
だが、指示に従いながら会議室へと向かう乗員達に安堵しながらアンが居る場所で記入されただろう名簿を取りに向かった所で一人の少女に出会う。
「あっ、イチカ大佐だ!!」
「アッ、待ちなさい!!」
「えっ!?」
アンの静止を振り切り、少女は通路の奥から来た俺へと無重力状態の廊下を蹴り、浮遊する様に進みながら抱き付いたのだった。そして、耳打ちする様に少女は言う。
「やっと、会えたね。ここがイチカ大佐の精神世界なのは、ニュータイプの波動から知ってるから向こうで会ったら逃さないからね♪」
チュッ
「マジか……」
「私はクェス・パラヤだから!!」
少女は俺の頬にキスをして、そのまま離れて自分の名前を叫びながら会議室へと向かう。ただ、現場を目撃していたアンはこめかみに青筋をくっきりと浮かべ、腰に両手に宛てながら立っていたのだった。
「さて、イチカ?」
「ごめんなさい!!」
無論、アンにジャンピング土下座をして謝ったのは言うまでもなく、アンにも少女がニュータイプだと教えたのだが『夜は覚悟しなさい』と言い放ち、イチカは医務室に向かいながら、この世界と俺の世界では発売され男性の夜の味方だと謳われており、イチカも愛用している束さん謹製『夜はビンビン君』と言う強力な精力剤を貰いに行ったのは言うまでもない。
クェスと俺の出会いとの後、クェスを呼び出した鈴と自室にて話していた。
「へぇ、キミがイチカ大佐の奥さんなんだ…」
「一夏の妻で悪い? あたしの方が年上なんだから言葉遣いには気を付けなさい。で、アンタは一夏に何の用かしら?」
へぇ、これがイチカ大佐の奥さんなんだと思いながらも彼女から感じるのは、激情すら感じるニュータイプの波動と彼女を怒らせてはイケないと凄まじいプレッシャーを感じていたけど、逆に味方になら心強い味方になるだろ。無論、イチカから言われているだろうが、私は偶然にも自分の意識を飛ばしてしまい、この世界であるイチカの精神世界と未来の自分の精神へと飛ばしてしまった。
それに、幾らか時間軸がズレたと言えどもアクシズとネオ・ジオンとティターンズによる三つ巴の戦い直後のイチカなら、あの連邦軍のコロニーへの核攻撃での悲劇となった『血のバレンタイン』を回避してくれるだろうし、私の16歳での誕生日に両親が死ななくて済む未来が欲しかったのだ。
まだ、現実世界では15歳での小娘でしか無いが、未来の私の記憶にあった『血のバレンタイン』での最中にコロニー群からの食料輸入についてアクシズのマレーネ・カーン外務次官と外務次官だった父親との外務次官同士での話し合いの最中に両親の死は衝撃的だった事実に気が狂いそうにもなった。
その為なら私は、イチカを愛しても構わないと思ってしまったとは目の前の鈴さんには言えないのだ。
そんな打算的な想いなど、鈴さんが許す筈は無いのだから…
なら、実績を作って認めて貰うしか無い。
中身が15の小娘でも、やるしか無いのだ。
そんな風に考えていたら黙って居たらしく、鈴さんのこめかみには青筋が何本も浮き上がりかなりご立腹だと判る。無論、イチカ大佐に何かご用意と聞かれたら、現実世界へと戻る為に手伝うと言う。
「アンタ、まさか…」
「まだ、黙っていて下さい」
「はぁ、信じられないけど仕方ないわね。
あたしも大尉待遇だから、古めかしい手だけど志願兵としてあたしの側付きの側近として書類を一夏に出して置くわよ」
私は最大の協力者の鈴さんと手を組んだ瞬間だった。
書類は通り、私は少尉待遇で鈴音大尉の側付きの側近として迎えられ、シャーロット中佐機の予備機であるブラックローズⅡを急遽組み立てられて受領するが、パイロットになる為の訓練をシャーロット中佐から受ける事になる。彼女が教官だったのもあり厳しくもあったのだが、鈴さんの協力により第一段階とも言えた基本的操縦は覚えられたりしていた。
「クェスは艦内待機よ」
「えっ?」
ネェル・アーガマの発見の後に鈴さんから言われたのは艦内待機だった。イチカ大佐の部隊は少数精鋭で襲撃をするらしく、シャーロット中佐の教練での合格がギリギリな結果ではモビルスーツ戦闘での最中で対艦攻撃には出せないとの判断だった。
そして、艦内待機となってモビルスーツデッキを散策中に銀髪で黄金色の瞳をする同世代の少女と出会う。
「貴女は…」
「はじめましてクェス様。私はクロエでございます」
ただ、彼女から感じたのは表情は乏しいけど、何か機械的な波動を感じるのは何故と想いながらも、組み立てられた私のブラックローズⅡを丁寧に整備する姿は美しい少女そのものだった。
無論、クロエさんも私の正体を知っているらしく、束大尉と言う大天災といわれる人物にはISコアを通じて連絡して確認したらしく例の黒い穴の発生条件まで解析が終えているらしい。
「はい、イチカ様の救出が完了次第、ムサシに搭載した縮退式次元湾曲装置による宇宙世紀への帰還を予定しているとの事です」
つまり、私の両親の死が回避される意味となるのだった。
同じ頃、ネェル・アーガマのレーダーにはアクシズからのモビルスーツ隊を捉え、レーダー担当の女性士官が叫びながら報告していた。無論、ネェル・アーガマの他にはクラップ級8隻とサラミス改級6隻が集結していたが、ロンド・ベル隊本隊への補給用モビルスーツのジェガンとパイロットをセットに積んだコロンブス改も3隻が待機していた。
「モビルスーツの熱源感知!!
機種は…ブルーローズシリーズの機体だと思われます!!」
「くっ、艦隊が集まっている最中に!!」
ネェル・アーガマの艦長である男性は、各サイドから集めたソロモン攻略艦隊の集結の最中でのアクシズからのモビルスーツ隊の発見に驚きが隠せない。だが、クラップ級数隻からはアクシズのモビルスーツ隊発見の報告に慌てたらしく、ジェガンとジムⅢが次々とクラップとサラミス改から吐き出される。
「艦長!!
機種はブルーローズMK-ⅡとブラックローズⅡが2機で、ブラックローズⅡの仕様はオリムラ中隊仕様です!!」
最悪とも言える報告に艦長は帽子を深く被り、何かを悟った様に艦長席を深く座る。そして、クラップとサラミス改から出撃した迎撃のモビルスーツ隊は、イチカのブルーローズMK-Ⅱにビームサーベルで斬り裂かれたり、アンとシャロのブラックローズⅡの機動力に翻弄されながらショットランサーのランスに串刺しにされ数を減らして行き、カミーユ機のゼータガンダムから放たれたハイパーメガランチャーとイリアのFAZZから放たれたハイメガビームキャノンにExユニット装備のEx-Sガンダムから放たれたメガビームスマートガンにより、クラップ2隻とサラミス改がブリッジを直撃して四散する。
そして、ネェル・アーガマからもZⅡやゼータプラスが率いるジェガン隊も出撃するが被害が増えるだけだった。
「デカいだけなの!!」
「消えた⁉
何処だ!!」
「さっさと落ちろ!!」
母艦を護衛するジェガンの視界の死角から懐へと入り、アンのブラックローズⅡはショットランサーを構えコクピットを突き刺しながら、ハイパーメガビームランチャーを展開して、弾幕を張るクラップのブリッジへと狙いを定めて放ち、ブリッジを吹き飛ばしながらクラップを撃沈する。
「全く、温い弾幕ね!!」
「敵機、ブリッジ上におりt…ギャァァァァ!?」
無論、艦隊へと突入したシャロのブラックローズⅡもヘヴィマシンガンを放ちジムⅢを蜂の巣にしながら弾幕を張るサラミス改へと襲撃し、弾幕を躱して行きながらブリッジの前上に降り立つとヘヴィマシンガンをブリッジへ放ち、中のクルー達をズタズタにしながらブリッジを破壊するが、穴だらけとなったブリッジからは大量の血液や人だった物が宇宙空間へと吸い出され、破壊したシャロ本人ですらブリッジ内部の惨状に顔を顰めるがトドメに腰のラックから装備したビームライフルをブリッジに放ち完全に破壊したのだった。
ロンド・ベル隊別働艦隊への襲撃は続き、ネェル・アーガマはモビルスーツ隊を全て失くし大破しながらも戦線から離脱には成功するが、集結中だった艦隊は作戦参加が不可能な程に撃沈または撃破されてしまい、イチカ達が撤退した後には全滅して破壊されたモビルスーツ隊の残骸が漂いながら、航行不能となったクラップ級2隻は艦を放棄して脱出する以外は道が無かったのだった。
集結艦隊の壊滅の報告を聞いたロンド・ベル本隊は、完成したと報告にあった新型のニュータイプ専用のモビルスーツを受領をさせにアムロをアンマンのアナハイムへと派遣したのだった。