一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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Hi-νガンダムの完成

 

 

 ロンド・ベル隊本隊のラー・カイラムからアンマンのアナハイムへと出向したアムロは小型のシャトルに乗り向かっていた。

 

 三つ巴の戦いでは、アクシズとエゥーゴへのモビルスーツの生産と供給をソロモンの工廠に次いで多くを手掛けて来た実績があるのがアンマンのアナハイムの製造工場だった。

  

 今現在でも、アクシズ所属のモビルスーツ全体の4割と主力艦船はアナハイムが製造しているが、残りの6割は奪還したア・バオア・クー工廠とソロモン工廠が担い、特にソロモン工廠で製造されるブルーローズ系列のモビルスーツでブラックローズⅡとブルーローズMK-Ⅱは、アナハイムが超小型で高出力のジェネレーターが未だに開発と製造が出来ない理由からソロモンのみの製造である。

 

 たが、アナハイムも一枚岩ではなく、三つ巴の戦いの最中に旧連邦派閥のオサリバン常務の独断により連邦に裏取り引きを持ちかけて行い、グラナダとフォン・ブラウンへ連邦が攻撃をしない代わりにゼータ系列とメタス系列のモビルスーツの設計図やデータを連邦へと横流しされた事から、ハマーンは束大尉がもたらした最新技術のサイコフレーム技術がアナハイムへと流れない様に警戒していたが、ティターンズとの戦いでの序盤にアンマンに入港した際、リリーマルレーンの搭載機だったブルーローズ改の稼働データとサイコフレーム技術が流出したらしいと戦後処理中のハマーンの屋敷に訪れた産休中だった技術最高副顧問のニナ・ガトー大尉は、コウ・ウラキ中尉の奥さんでありフォン・ブラウンのアナハイムでは設計技士の彼女を通じて入手したアナハイムの内部調査の結果をハマーンへと報告していた。

 

 無論、アクシズでは既に旧式のゼータ系列とメタス系列の漏洩ぐらいならと上層部は問題視はしていないが、束大尉がもたらしたサイコフレーム技術と超小型で高出力のジェネレーターの製造技術だけは別の問題だとなり、ハマーンの命令により派遣されたアクシズの特殊部隊のサイクロプス隊は身辺調査を行い漏洩した事実を掴んだ上で、フォン・ブラウンのレストランから帰宅中のオサリバン常務を拉致した後に度数の高い酒を大量に飲ませて泥酔状態にした後、オサリバン常務を自家用車に乗せた上で車を発進させて飲酒運転での事故を装い暗殺したのだった。

 

 漏洩した事実に、まさかだと思いながらも念には念を入れたハマーンは、アンマンのアナハイムへの監査を自ら赴き行ったが、サイコフレーム技術を用いての開発中のモビルスーツの発見には至らず、サイコフレーム技術で開発中のモビルスーツはグラナダのアナハイムの工場に移された上に幾重にも隠蔽される様に開発が続けられた後にνガンダムが三つ巴の大戦末期の終戦を直前に完成しロールアウトする。

 

 自ら設計し完成の知らせを受け、ヒッコリーから宇宙に上がりグラナダへと向かったアムロ大尉が自らテストパイロットを行い開発と改良が続き、大量のデータを持参しながらアンマンに再び戻ったアムロは、νガンダムを改良発展させて開発されたHi-νガンダムが完成したのだった。

 

 「これが、Hi-νガンダムか?」

 

 「はい、アムロ大尉」

 

 Hi-νガンダムの完成に嬉しそうにしながら答える女性は、アムロ大尉の妻の一人でもありグラナダのアナハイムの技士だったが、アムロとの出来婚を機に連邦の技士となったチェーン・レイ中尉だった。だが、アムロはイチカのブルーローズMK-Ⅱとリ・ガズィで戦い惨敗しており、ブルーローズMK-Ⅱの出鱈目な高性能ぶりを目の当たりしており表情を曇らせる。

 

 この機体でブルーローズMK-Ⅱに本当に勝てるのだろうかと…

 

 「アムロ大尉なら大丈夫ですよ」

 

 「チェーン…」

 

 チェーンの一言に救われた気がする。だからこそ、あの機体には負けてはいけない気がしたのだった。

 

 「直ぐに行けるか?」

 

 「はい、調整済ですので何時でも大丈夫ですよ」

 

 アムロは全装備をさせたHi-νガンダムのコクピットへと乗り込み、ラー・カイラムとの合流地点である宙域へとベースジャバーに乗りアンマンのアナハイムから出撃したのだった。無論、専任技士であり妻のチェーンは、待機させてあるクラップ級にHi-νガンダム専用のフルアーマーパーツであるH・W・S(ヘヴィーウェポンシステム)やリ・カズィの修理用パーツに加え、宇宙要塞アクシズから戦後にアクシズが回収してアナハイムに解析を依頼されて格納庫に保存されていたガンダムMK-Ⅴをケーラ専用に搭載してアムロを追ったのだった。

 

 

 

 

 一方、ネェル・アーガマは大破させたが逃した代わりにソロモン攻略艦隊を壊滅させた後、イチカ達の乗せたムサカ級のミョウコウ率いるアクシズ艦隊はレズン少尉からの緊急通信によりラー・カイラムの発見の知らせを受け急行する。

 

 「まさか、本隊まで見付けるとはな…」

 

 「全く、幸運なのか不幸なの分らないレズンよね…」

 

 レズンからの報告にシャロはレズンの不幸体質を呪いながらもラー・カイラムの艦長の正体を知り、台湾の宇宙港で殴っとけば良かったと後悔している最中にカミーユが現れる。

 

 「イチカ隊長、ラー・カイラムの艦長はブライトさんなんですか?」

 

 「カミーユは助けられた義理があるからやり辛いか?」

 

 「いえ、大丈夫ですよ。

 

 ただ、俺はコロニーに核攻撃した連邦に与するのが怒りすら感じますよ」

 

 「カミーユ、イチカの精神世界だからって遠慮は要らないわよ」

 

 「アンさん、それくらい理解してますよ」

 

 カミーユは、何故アクシズに残らずに連邦に戻ったブライトに怒りを感じながらも大丈夫だと答えてはいるが、イチカとアンからしたら悩んでいるにしか見えない。

 

 「一応、シャロがレズンに先走るなと釘は刺したけど大丈夫かな?」

 

 「まぁ、レズンの性格からやるだろうな…」

 

 「一夏、あたしとカミーユで先行してレズンの部隊に向かう?」

 

 「スペリオルとゼータか…なら、鈴はブースターユニットで向かうのか?」

 

 「ブースターユニットが妥当だけど、今回だけはEXユニット用の胸部の追加装甲のIフィールド発生装置だけは着けるわ」

 

 「カミーユも行けるか?」

 

 「イチカ隊長、行きますよ」

 

 「じゃあ、鈴とカミーユはレズン隊へ救援に向かってくれ」 

 

 イチカの命令により、鈴のスペリオルガンダムブースターユニットとゼータガンダムがミョウコウから射出されて一路レズン隊へと向かったのだ。

 

 

 ラー・カイラムを発見したレズンは、教官だったシャロから釘を刺されて手出し出来ない事にイライラしていたが、ギラ・ドーガ改とギラ・ドーガだけではラー・カイラムを撃沈するだけの火力が無いのは理解していた。

 

 無論、ロンド・ベル隊本隊だけにラー・カイラム以外にクラップ級も数隻居るのも見えており、初戦でイチカ准将がかなりの数のジェガンとジムⅢを撃墜したとは言え、油断出来ないジェガンの数があるだろうと推測していた。

 

 「ちぃ、手出しが出来ないなんてね…」

 

 「待機ですか隊長?」

 

 「あぁ、増援で2機が急行しているらしい」

 

 「まさか、機動力のあるゼータガンダムとスペリオルガンダムですか?」

 

 「あの距離から来るんじゃ、その2機だろうね」

 

 3機で一個小隊の4個小隊12機のギラ・ドーガ隊が岩礁から覗きながら待機するが、対艦攻撃を実施するならブラックローズⅡくらいの機動力と火力がある機体が欲しいが、ギラ・ドーガ隊のパイロット達では量産型のブラックローズⅡを扱うには専用試験を突破する必要があり、レズンを除いた隊員達は専用試験に落ちていたのもあり、実戦経験の乏しい若手に対艦攻撃を求めるのも酷だと言えた。

 

 勿論、独立戦争と三つ巴の戦いを生き残りソロモン防衛部隊やアクシズ艦隊の本隊に所属した連中ならとレズンは思う。

 

 

 そんな最中、ロンド・ベル隊本隊からモビルスーツ隊が緊急出撃している事に気付いたが、二条のビームが出撃準備でカタパルトに接続された2機のジェガンへと直撃して四散する。

 

 「来たみたいだね」

 

 レズンがレーダーを確認すると、2つの光点からカミーユと鈴の機体が来た事に気付き、二条のビームを放ったのは鈴のスペリオルガンダムブースターユニットのビームカノンだった。

 

 『レズン隊は、あたしに着いて来なさい!!』

 

 『鈴音大尉、了解!!』

 

 スペリオルガンダムブースターユニットが加速しながらロンド・ベル本隊の輪陣形を組み対空射撃を行いながらも迎撃のモビルスーツ隊が出撃する。その最中にカミーユのゼータガンダムがウェーブライダー形態でクラップ級ラー・チャターのカタパルトに繋がれたジェガンへと肉迫しながらビームガンを放ち、ラー・チャターのブリッジの真上へと離脱するが、放ったビームガンはジェガンのビームコート仕様のシールドで防がれたのだ。

 

 「ビームの威力が足りないなら、これなら!!」

 

 しかし、ゼータガンダムは離脱しながら可変してモビルスーツ形態になると反転してハイパーメガランチャーを構え、ラー・チャターのカタパルトで対空射撃を行うジェガンへと放ち、ビームはジェガンを呑み込みながらカタパルトを貫きながら艦底を抜けて行きラー・チャターは大破するが対空射撃を継続する。

 

 「くっ、一度離脱するしか無い」

 

 カミーユも凄まじい弾幕から逃れる為にゼータは可変して一度離脱する。だが、鈴のEX用の胸部パーツを着けたスペリオルガンダムブースターユニットはIフィールドを展開してジェガンや対空レーザーのビームを弾きながら輪陣形内へと入り、ALICEと朱雀に火器管制を任せながらビームカノンやメガビームスマートガンを乱射して暴れ回りジェガンを火球へと変える。

 

 「全く、そこの対空射撃がうざいわよ!!」

 

 鈴が叫びながら放ったメガビームスマートガンはクラップ級の大破しながらも対空射撃を行うラー・チャターのブリッジを破壊して撃沈する。

 

 「ちぃ、アムロ大尉が居ない時に!!」

 

 「ビームなんて、無駄!!」

 

 「Iフィールドだと!?」

 

 ビームライフルを放ちながら鈴のスペリオルガンダムブースターユニットへと肉迫するジェガンはロンド・ベル隊のジェガン隊隊長のケーラ・スーだった。

 

 「このジェガン、やるわね!?」

 

 「なら、ミサイルランチャーなら!!」

 

 「じっ、実弾兵器!?」

 

  ケーラが乗るジェガンのシールドに装備された四連のミサイルランチャーを放つが、鈴はビームサーベルを抜きミサイルを斬り払う。しかし、ミサイルは囮でビームサーベルを抜いたジェガンがスペリオルガンダムブースターユニットへと肉迫するが、鈴はフットペダルを踏み込み脚部の熱核ロケットで加速し離脱する。

 

 「ジェガンだとキツイ!?」

 

 「コイツ、ベテランなの!?」

 

 離脱しながらもジェガンで食い付かれた事に鈴はジェガンのパイロットがベテランだと気付き、四連メガビームカノンを放ち躱した隙を狙い再度、ジェガンから距離を取る。

 

 「機動性はガンダムが有利か!?」

 

 「スペリオルガンダムじゃ無かったら殺られてたわよ!?」

 

 鈴はギリギリのラインで援護射撃してくるロンド・ベル隊の艦隊からの対空レーザーを弾くか躱すかしながら一度輪陣形から離脱した瞬間、遠方から放たれたビームがスペリオルガンダムブースターユニットへと直撃するが展開していたIフィールドのお陰でビームを弾く。

 

 「えっ、何処から!?」

 

 『ちぃ、ビームを弾いたのか!?』

 

 「まさか、この威力って!?」

 

 だが、脳内に稲妻が走る感覚から第二波のビームに気付いた鈴はスラスターを全力で吹かして躱すと自分が居た場合にはブラックローズⅡのハイパーメガビームランチャーと同等の威力のビームが横切る。しかし、射線上に居た数機の味方のギラ・ドーガは呑み込まれた後にバラバラになりながら四散したのだ。

 

 そして、ハイパーメガビームランチャーを装備し構えたHi-νガンダムが現れ、鈴は初めて感じるアムロのニュータイプの波動を感じ取り勝てないと瞬時に悟るのだった。

 

 『彼女もニュータイプなのか!?』

 

 「カミーユ、レズン、ここは引くわよ!!」

 

 鈴は叫び時限タイマー式のグレードを投げながら離脱を測り、生き残ったレズン隊のギラ・ドーガを引き連れて撤退し、レズンはカミーユのウェーブライダー形態のゼータガンダムの背中へと乗り離脱する。アムロはスペリオルガンダムが厄介だと思い、ハイパーメガビームランチャーを構えたが鈴からの置き土産のフラッシュグレードが炸裂して視界を奪われたが、視界が回復した時にはアクシズのモビルスーツ隊は撤退していたのだった。

 

 

 

 


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