俺達の母艦であるミョウコウに撤退した鈴達の機体が傷だらけだった事に不安になった一夏だったが、コクピットから降りて来た鈴の無事な姿に安堵しながら抱き締め、あたしやシャロ達の人目に関わらずに鈴とキスする姿に羨ましいとは思いながらも鈴が無事だった事には変わらない。
「鈴、そんなにイチカとイチャ付くなら一緒に寝る順番を飛ばすわよ?」
「アンだってズルいわよ!!
あたしが入浴している間に一夏を搾るだけ搾り取ってフニャフニャにして、あたしが満足出来なくて悶々としたの判ってるわけ!!」
「アンも鈴も喧嘩はね?」
「シャロはアンと同罪なんだから黙ってなさい!!」
妻三人よるヘッドで誰が一緒に寝るのかと揉める姿にイチカは死んだ魚の眼をしながら観ており、カミーユは三人の生々しい痴話喧嘩を見ながら、未だに夜の猛獣化していないファとフォウに内心は安堵してはいるが、当の本人である二人から秘密裏に束大尉謹製の精力剤を寝る前に必ず飲む水に混入させられているとは気付かず、既に二人が猛獣化しているとは知らない子羊なカミーユだった。
そして、イチカは痴話喧嘩が続く三人を放置と決めて自室へと戻るのだが、とんでもない伏兵がいるとは知らないイチカと妻達だった。
無論、妻の一人のイリアはモビルスーツデッキからFAZZのエネルギー効率の調整をクロエとしながら見てチャンスだと思い、夜にイチカの部屋へと向かったが部屋の鍵が施錠されていて部屋に入れず、イチカの部屋に入ることが叶わずに居た妻達4人は悶々とした夜を各自の部屋で過ごしたのは言うまでもない。
そして、翌日。
「フッワァァァァ…久しぶりに熟睡できたな…って!?」
「すぅ…すぅ…すぅ…」
「へっ?」
久しぶりにベッドで熟睡出来たと喜ぶイチカだったが、自身の隣には全裸で俺の腕を抱き枕に気持ち良さそうに眠る水色の髪をした少女がおり、股の辺りのシーツに赤い染みがある事からイチカは頭が混乱しながら考え込むが一切の心当たりがない。それもそうで、眠る前に飲んだ水には睡眠薬が入っておりクェス本人がイチカが睡眠薬を飲んで熟睡したチャンスを活かして夜這いを仕掛けたのだから当然である。
イチカも、この状況を鈴達に発見され叱られるのを怖れて素早く着替えた後に自室から逃げ出すが、食堂へと向かう途中で開けっ放しのイチカの部屋の扉に疑問を持ったイリアが開けっ放しのイチカの自室に入り全裸でイチカのベッドに眠るクェスを発見して怒りの絶叫する。
「私も一緒に寝られなくて夜は悶々としたのに、この糞ガキィィィィ!!」
「!?」
「クェス、待ちなさい!!」
「あっ、ヤバい!?」
「修正してやるから逃げるなァァァァ!!」
「般若が出たんだけど!?」
「誰が般若だァァァ!!」
イリアの怒りの絶叫に飛び起きる様に眼を覚ましたクェスは、ベッドを前に般若の如く怒り狂うイリアの表情に真っ青にしながら、自身が脱ぎ捨てた衣服すら持たずにイチカの部屋から全裸のまま逃げ出すが、イリアの専用機のブルーローズMK-Ⅱの拡張領域に仕舞ってある対人捕獲用のネットランチャーを展開して逃げ出した方へとぶっ放すがクェスもニュータイプである事に加えてインドでは山中を修行して走り回った経験から、アンが起きて部屋から出るタイミングを狙い廊下を蹴り天井へと跳ぶと、アンがイリアの怒りの絶叫から覚めて扉から出た所で顔面を踏み台にしながら廊下へと蹴り出し、アンがクェスの代わりにネットに絡み捕獲される。
「ムニャァァァ…イリア、朝からうるsグッェ!?」
「あっ、アンさんを踏み台に!?」
「あばよ!!とっつァァァァん!!」
「誰がとっつぁんだ!!
って、あっ…やば…」
「いてて…イリア、あたしを捕獲とは良い度胸じゃない?」
とある怪盗三世の様に叫びながら逃げ出したクェスを尻目にしながらも、ネットに絡まって情けない姿を晒したアンはジト目でイリアを睨みながら額に青筋を浮かべていた。無論、ネットから救出した後にアンがイリアへと拳骨を落としたのは言うまでもないが、クェスに踏み台にされた事に怒り心頭となりイリアと一緒に追う事になる。
一方、イリアから逃げ出す事に成功したクェスは自分の部屋に一時的に逃げ込み着替えてからは、鈴の部屋へと向かうがアンとイリアに待ち伏せされているなど予想すらして無かった。
「っつ!?」
「「捕まえたわよ!!って、アレ?」」
鈴の部屋に入ろうとした瞬間、アンとイリアの二人の波動を感じたクェスは扉を開けながらも後ろへと飛んだ瞬間、中からアンとイリアがクェスを捕まえる為に飛び出したが空振りに終わる。
「クェス、待ちなさい」
「つっ!?」
しかし、『待ちなさい』と言われ鈴の怒りの波動を諸に受けてしまいクェスは動けなくなり鈴に捕まる。暫く鈴からのお説教を受けた上で精神世界だと理由で鈴から釈放されたが、現実世界でこんなことをしたら許さないと一言付け加えられてクェスは首を縦に振り鈴から赦されたのだった。
妻達とクェスの朝の騒ぎから一変してソロモンに帰還を果たしたイチカ達だったが、鈴とイリアにカミーユはソロモンの工廠に呼ばれており、鈴はブラックローズⅡを受領しカミーユとイリアもブルーローズMK-Ⅱを受領する予定だったが、鈴だけが機種変更訓練の時間が無い事を理由にブラックローズⅡの受領を拒絶したのだった。
アクシズのソロモンの防衛網も厳重に敷かれた状態となるのだが、月面ルートは補給物資の輸送により開かれたままであり、アナハイムからの幾隻の補給艦が艦隊を組みながらソロモンへと搬入される光景は異様な空気すら感じるのだった。
同じ頃の連邦軍は、戦後に返還されたジャブロー基地から二十隻の艦艇が打ち上げられているが、ソロモンへと増援として向かうがロンド・ベル隊の攻撃に間に合うのか微妙なラインでありブライトは期待していなかった。
「ブライト、残った艦隊でやるのか?」
「…やるしか無いだろうな」
ブライトはソロモンへの攻撃に疑問を抱きながらも、篠ノ之束博士がイチカの愛娘達を護る為だけに残した三つ巴の戦いの時のソロモン防衛用の衛星や監視衛星がある事を思い出すとジェガンで躱して行きながら掻い潜れるのか不安になるのだった。
ブルーローズMK-Ⅱを受領したカミーユとイリアは、イチカを相手に模擬訓練を実施していた。無論、ニュータイプ専用機に改修されたブラックローズⅡを受領したギュネイとクェスも強制参加となり、一対四での模擬戦だがギュネイとクェスはペイント塗れと成りながらもイチカを追う。
「大佐、強過ぎる…」
「これでは!?」
「ギュネイ、クェス前に出過ぎだ!!」
カミーユが怒鳴り二人を注意するのだが、イリアがイチカを足止めしようとファンネルを展開しながら隙を作ろうと奮闘するのだが、ビームシールドに防がれ隙すら作れないのだ。
「ほれ、隙だらけだ!!」
「うぇぇ、あたしの攻撃が当たらない!?」
「私を舐めてもらっては困るぞ!!」
別の場所でも、純白のブルーローズMK-Ⅱに乗るハマーンを相手にアンとシャロに鈴が追い回すが、ハマーン相手に悪夢だと鈴は思うが、Ex-Sガンダムの機動力でもブルーローズMK-Ⅱに追い付けない事実に機体の限界すら感じたのだった。だが、機種変更訓練の時間と防御面での不安からブルーローズMK-Ⅱの受領を断った手前、ハマーンに一撃を入れようと意気込む鈴だった。
こうしたアクシズ側の訓練の最中でも、地球連邦軍の主力艦隊がソロモンへと向かう姿が暗礁宙域に配置された偵察部隊に発見されたが、先行するロンド・ベル隊の本隊も発見されてソロモンの司令部へと報告されていた。
「ロンド・ベル隊発見!!」
「各防御衛星を機動させなさい!!」
司令部に詰めるナタリーの叫びに防御衛星が機動し、居住区にはシェルターへの避難警報が鳴り響く。無論、迎撃の為のモビルスーツ隊の出撃も含まれ、ソロモンの周囲にはアクシズの艦隊やモビルスーツ隊が待ち構えたのだった。