私達が戻って来たのは良いのだが、宇宙世紀は0086年に入る頃だった。ジオンの士官学校へと入ったのが13歳ながら0078年の初頭であり、アンとイチカよりも1期前だったが、今では19歳になるだろう。
「シャロ、なに調書見ながら黄昏てんのよ?」
「アン、私も年を取ったなぁって思っただけよ」
「それ、絶対にシーマさんの前では禁句だからね…」
「アンだって、18歳でしょ?」
「まぁね…それにしても、捕まえた五人は若いわね…」
纏めた調書を片手に持ちながら読むが、イチカの世界なら中学1年生位の年齢に当たる12歳だった。
無論、軍事機密の塊とも言えるムサシへの無断侵入は重犯罪であり、両親を呼び出すにしても出稼ぎ労働者である為に両親達の足取りは掴めていないのが実情だった。
イーノと言う少年の父親は公社の人間だったが、先の制圧時に数件の横領と多額の請求を出した一人として海兵隊により逮捕され、ソロモンへと戻りながら月面都市のグラナダへと犯人達を移送する予定だった。
「で、この悪ガキ達はどうするのよ?」
「カミーユの時みたいに志願兵扱い?
シャロ、冗談がキツイわ」
「私だって、ビーチャって糞ガキに押し倒された際に胸を揉まれたのよ。もし、パパが知ったら殺されるのは確実よね…」
「まぁ、それは災難ね…」
「まさか、アンも?」
「あたしの時の相手は、イチカだったからね…」
「で、シャロの親父さんはどうしてんよ?」
「パパ、軍を定年で退役したらしくて、サイド3の士官学校の校長をやらないかって誘われたらしくて、私の子供が産まれたらって校長しながら小遣い稼ぎね」
「じゃあ、サイクロプス隊は解散なの?」
「隊長が代わっただけね」
「まぁ、脱線したけど、この四人だけはイチカに丸投げね…」
「そうね…」
調書を纏めた二人は、イチカに丸投げする事を決めたのだったが、ジュドーの妹であるリィナの扱いについても協議されたが、ミネバに気に入られたのか千秋達と一緒に遊び相手となり勉強も千秋達から教わるらしい。
同じ頃、無断侵入により拘束された四人は仲良く独房へと入れられていた。無論、四人が住む自宅と比べたら天地の差があるフカフカのベッドや水洗式トイレの完備とシャワーまで在るのだから待遇は良いのかも知れない。
「いてて…マジになって殴りやがって…」
「それは、女性の秘事を覗いたのが悪いわね」
「そうだそ!」
「って、ビーチャは顔が腫れてるじゃん」
「うるせぇ!!
好き好んで、あの巨乳士官の胸を揉むかよ!!」
「やっぱり、あの胸は自前だったんだ…」
ビーチャの愚痴に眼が死んだ魚の様になるエルは、シャロの巨乳のデカさにウンザリしながら馬鹿二人が言い争う姿に安堵するが、自分達は機関部の修理が終わり次第にソロモンへと向かう事を尋問の際に聞き知っていた。だが、処罰云々よりはジュドーの妹が隊長の娘の様な少女の側付きとして聞いた時はジュドーがキレそうになったが、リィナがジュドーへ泣きながら平手打ちをしたらしい事をジュドーから聞いた。
「まぁ、あたしも隊長の奥さんのメカニックチーフの束さんの側付きらしいけどね…」
「て言うか、女性士官が多くないか?」
「男性なのは二人以外居ないらしいよ」
「イーノ、マジか!?」
「うん、シーマさんから尋問の際に聞いたら、むさ苦しい野郎ばかりだと気が滅入るから女性士官だけを集めたらしいね」
「でもさ、女性士官って言うけどさ、陸戦の兵士よりも強く無かった?」
「だって、ここの女性士官は海兵隊出身のソルジャー持ちだよって言っていたよ」
「「「ソルジャー持ちだと!?」」」
軍関係に疎いジュドー達でもソルジャーの意味は判る。そんな自分達がソルジャー持ちの乗り込む船に忍び込んで五体満足で無事だった方が不思議でしょうがなく思うのだが、カミーユの父親の一件からは無殺傷で制圧する訓練を、イチカの世界でシーマが監督しながら再度積まされたのだから彼女達は悲惨だった。
勿論、オータムから海兵隊教練を学んだアンと鈴に加えてシャロとイチカの妻達も強制参加で訓練に参加したのだからジュドー達が簡単に捕まったのは当然だろう。
そんなジュドー達が話している最中、一人の茶髪の女性士官がやって来る。彼女はムサシのチーフメカニックであり、ソロモンでは技術最高顧問の束さんだった。
「悪巧みは辞めたほうが良いよん♪」
「げっ、あん時のおっぱいお化け!?」
「エルちゃんの処遇は束さん預かりと成ったから身請けに来たよん。じゃあ、カモン!!」
「えっ、あたし!?」
「エルちゃんにはクーちゃんと一緒に娘の春香の面倒を見て貰うからね♪」
「いやいや、あたしは子供の面倒を見たことが…」
「大丈夫、クーちゃんが仕込んでくれるからね」
束さんは、エルを独房から出すと自室に居るクロエへにお願いするとブラックローズⅡを修理すべくモビルスーツデッキへと戻るのだった。
無論、ジュドーはカミーユに預けられ、モンドとイーノは束さんの助手としてメカニックとして働き、ビーチャはマドカと一緒にモビルスーツの操縦訓練へと向かわされたがマドカとやり合うのは別の話だったりする。
旧オーガスタ研究所跡地には、ハヤト率いるカラバのメンバーが調査をしており地下室の最下層から一人の女性を保護するのだが、ガルダ級の病室で確認に来た際に彼女を見たハヤトは怯え出したのだ。
「なっ、何故、君が!?」
「あら、独立戦争の時のア・バオア・クー決戦で私が落としたガンキャノンのパイロットじゃない」
「アムロ、来てくれ!!」
「ハヤト、どう…」
ハヤトに呼ばれたアムロは医務室に入り込むが、彼女を見るなり死んだ亡霊を見るかの様に叫ぶ。
「あら、アムロはカラバに居たのね?
私もそれなら安心ね」
「君は、死んだんじゃ無いのか!?」
「確かにコクピットを撃ち抜いた本人のアムロが言うんだから間違いは無いわ。でも、ゲルググの頭の方からビームを放ってくれたお陰でギリギリの所でコクピットブロックを切り離す事には間に合ったわ」
「何故、君は今頃になって目覚めた!!」
「私がイチカを助ける為に精神体になりながらも、ティターンズの暴走にも手を貸さなかった引き篭もりのアムロには言われたく無いわね。
あら、それとも、愛しい二人からの求婚でも渋って居るのかしら?
まぁ、シャア閣下は覚悟してハマーン様とナタリー様と結婚したけどね」
「くっ」
「まぁ、ハヤトは独立戦争だったからって割り切りなさいな」
彼女からの正論と言う弾倉が入ったマシンガントークに蜂の巣にされた二人だった。
無論、台湾に向かう途中にはベルトーチカの乗る複葉機が着艦してアムロに会いに来るのだ。
「あら、台湾に向かうと聞いたけど…」
「フフフ…(玩具発見!!)」
「あら、見ない顔ね」
「あら、はじめましてベルトーチカさん。私は、オーガスタ研究所でローレライ計画の人体実験にされてましたミチル・サオトメです」
「へぇ、最近目覚めたニュータイプは彼女だったのね。アムロは?」
ミチルはニヤリと笑いながらアムロが入浴中だとベルトーチカに教えながらも、アムロが宇宙に上がればもう一人の女性が出来る話をする。無論、アムロを食べてしまえば解決する旨を耳打ちし、ベルトーチカは顔を真っ赤にさせながらもミチルとガッチリ握手を交わす。
「そう…アムロを食べてしまえば良いね…フフフ…フフフ…フフフ…既成事実を作れね…」
「食べるなら、入浴している今がチャンスね」
ベルトーチカは軽い足取りでアムロが入浴しているだろう浴室へと向かう。勿論、浴室に突入したらしくてガルダ級の艦内にはアムロの絶叫が木霊する。
『ベルトーチカ待て、早まるな!?
ヌッワァァァァァァァ!?』
「あらら…本当に狼に成っちゃったわね…」
文字通りにアムロを食べたらしくて、ミチルは可笑しくなり笑う。ただ、女性が持つ獣のスイッチを押して刺激しただけで肉食系女子が簡単に出来るのだから面白く思う。
そして、台湾の宇宙港へと付き、イチカへの手土産には兎印の精力剤を2カートン程を買い付けてソロモンへと向かったのだった。
「イチカに会えるかなぁ…」
ミチルが呟くが、ミチルがハマーンを脅してシャングリラに向かうのは、まだ先になるのはミチルは知らない。