一夏がシャアに拾われた件について   作:ロドニー

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サイド2へ

 

 

 ムサシの修理も終わり、謹慎が明けた鈴達にも三つ巴の戦いから喪失したブラックローズⅡシリーズの機体がムサシへと補充されたのだが、搬入を直前にして束さんが搬入に待ったを掛けたのだ。

 

 無論、搬入に立ち会うイチカ達はモビルスーツデッキに集まっており、専属のメカニックに説明を受ける手立てとなっていた。しかし、土壇場で搬入されたモビルスーツを見上げた一同は唖然とするしか無い。

 

 「束さん、これって…」

 

 「ブルーローズMK-Ⅱじゃ無いわね…」

 

 「うん、そうだけど?」

 

 束さんが土壇場で搬入したモビルスーツは、ソロモンの工廠から運び出された機体は全てが同型機に統一されており、機体へと専用のカラーリングを認められていたイチカとアンにシャロ以外は、旧ブラックローズⅡのカラーリングと同じだったが、新型機の違いはファンネルの廃止に伴いファンネルボックスは外されており代わりに可変式高出力のスラスターとバックパックから脇下までレールが敷かれた2基の伸縮式のハイパーメガランチャーを装備したバックパック。肘には余剰エネルギーを利用した高出力化したビームシールド発生装置に加え、腕部にはスポット式のビームガンを装備し、胸部のコクピットハッチを挟む様に両脇には90ミリのメガマシンキャノンを装備したブラックローズⅡとは全くの別物化したブラックローズⅡだった。(頭部がモノアイ化したアクシズ仕様のF91へと変貌している)

 

 「束さん、ファンネルが無いけど?」

 

 「イリアちゃん、アレは要らないから外したよん。それにね、ジュピトリスの持ち主の木星公社に束さんの可愛い作品を貶されたからブラックローズⅡの改装案の一つを製造ラインを無理矢理に束さんの強権を発動させて造らしたんだよね…」

 

 「機体名は?」

 

 「う〜ん…束さんでも製造に手一杯だったから考えて無かった…」

 

 「「「えっ…」」」

 

 束さんのカミングアウトに黙る一同。

 

 しかし、ブラックローズ系統で有る事は変わらず、ブラックローズⅢとして命名されオリムラ中隊が原因で最近は胃痛で悩むハマーン様によって既に登録されていたと知るのはソロモンから出撃した後だった。

 

 無論、ムサシのソロモンからの出撃直前に女性パイロット3名とブラックローズ系統の機体が三機だけ緊急搬入されたのだが、その内の一機はミチルの専用の機体だった。

 

 「キャノンタイプですわね…」

 

 「セシリア、私の機体にイチャモン付けてシメられたいの?」

 

 「いえ…」

 

 モビルスーツデッキで満足そうにブラックローズⅡのバリエーション機の重装支援型ブラックローズⅡを満足そうに見上げるミチルにギロリと冷たく一睨みされ、同じく補充要員としてパイロット訓練を終えたばかりの半泣き状態のセシリア。無論、パイロット訓練を受けて合格した後オリムラ中隊へと配備されたセシリアとラウラにもブラックローズⅡタイプの機体が送られたが、ミチルの機体とは別物だった。

 

 ハイパーメガランチャーを外した三機の内、ミチルの機体は重装甲化に加えてバックパックから延びる連装のビームキャノンとジムⅢ以上のマイクロミサイルポッドや各種ミサイルを装備し、長射程のビームスマートガンを装備した機体だった。

 

 同様にセシリアのブラックローズⅡも同じくカスタマイズされた機体でありスナイパータイプの機体とラウラは重装甲に特化した重砲撃戦仕様のキャノンタイプだった。彼女達二人がブラックローズシリーズを受理した背景にはオリムラ中隊のパイロット不足の解消が目的であり、元軍属だった事もありモビルスーツ操縦訓練でも優秀だった事だった。

 

 しかし、サイド1から来たが無理矢理に士官学校へと入学させられたジュドー達は学校を抜け出して遊んだりデブリ回収で働いていた事が学力低下へと祟り、未だにソロモンでの士官学校を卒業出来ずにサイド2への作戦には参加すらしていない。

 

 それでも、オリムラ中隊の面子はイチカを隊長にアンとシャロを筆頭に鈴とイリアにクリスとエマ、カミーユにフォウの三個小隊を始めとし、ミチルを小隊長にセシリアとラウラの支援小隊を含めた四個小隊の15機の機体がムサシへと格納されたが、三つ巴の戦いの様な最大艦載数である21機が搭載された頃と比べたらモビルスーツデッキは寂しく思うだろう。

 

 「ねぇ、何であたしのだけはガンダムヘッドなのよ…」

 

 だがしかし、搬入されたモビルスーツを見上げながらモビルスーツデッキでハンガーに固定された自分の機体を前にボヤくのは鈴だった。

 

 「と言われても、メカニックのアタシに文句をいわれてもなぁ…」

 

 「分かってるわよ!?

 

 でもさ、叫びたいわよ!!」

 

 ジオン系統の技師の趣味なのか束さんの趣味なのかはハッキリと判らないが、鈴専用のブラックローズⅢの頭部だけが吊り目型の凶悪顔したガンダムタイプの頭部を使用した事にげんなりしながら見上げていたのだった。

 

 そして、補充と整備が終えたムサシはサイド2へと向かうのだが、フロンティアサイドのとある企業を刺激する事になる事を予測出来なかったのだった。


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